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マルチベンダー間での100ギガビットイーサネット相互接続実験に成功

~ フレーム伝送で100ギガビット/秒の通信速度を実証 ~

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2009年7月15日

株式会社日立製作所(以下 「日立」という。執行役会長兼執行役社長:川村 隆)は、このたび、 次世代高速光通信規格である100ギガビットイーサネット(100 Gigabit Ethernet、以下 100GE)のフレーム伝送システムの試作に成功し、イクシア株式会社(以下 「イクシア」という。代表取締役社長:村上 憲司)が開発した40GE/100GE対応の負荷試験モジュール「K2」(以下 「イクシア K2」と いう。)との相互接続実験により、フレーム伝送による100ギガビット/秒の通信性能を実証しました。光信号の100ギガビット/秒送受信の確認は今までにできていましたが、今回、イーサネットの規格に則ったデータ形式であるフレームレベルでの100GE相互接続を実証できたことは、100GEの実用化に向けた前進を示す成果といえます。

なお、本成果の一部は、総務省が進める「フォトニックネットワーク技術に関する研究開発」の一環として、独立行政法人情報通信研究機構(以下 「NICT」という。理事長:宮原 秀夫)から、日立等7者が共同で受託している委託研究「λアクセス技術の研究開発」によって得られたものです。

背景

インターネットの普及や映像配信を代表とする広帯域サービスの登場、さらには、一般家庭への高速光通信サービスの普及にともない、大都市内や都市間を繋ぐ基幹ネットワークに流れる通信トラフィックは急速に増加しています。そのため、IEEE標準化委員会では、インターネットに代表されるイーサネット形式の通信規格において、通信速度を従来の10ギガビット/秒から、10倍の100ギガビット/秒とする次世代高速通信規格100GEの策定が進められています。

現在、標準化策定と並行して、これに準拠したシステムの開発が進められていますが、100GEの実用化に向けたステップでは、異なるベンダーが開発したシステムの相互接続により、標準化準拠を検証することが必要となります。

今回の成果

1.
日立は、複数の通信路(レーン)を束ねて信号を伝送することにより、大容量伝送を実現する最新の標準IEEE802.3baに準拠したマルチレーン分配( Multi-lane Distribution、以下MLD ) 方式をフレーム伝送に採用した100GEシステムの試作に成功しました。今回、マルチレーンを構成する光ファイバ間の伝送特性の差により、同時に送信したデータが遅延時間差(スキュー)をもって到達するのに対して、受信側でスキューを補正してデータを正しく再生する回路を新たに開発しました。これにより、1本あたりの伝送容量が10ギガビット/秒である光ファイバを10本束ねたマルチレーンを用いて、100ギガビット/秒の高速通信を実現しました。

2.
他社に先駆けて開発された100GE向け検証装置イクシアK2と、日立の100GE試作システムによる相互接続実験を行い、フレーム伝送による100ギガビット/秒の通信性能を確認しました。これまで、100GEのマルチベンダー間の相互接続では、光信号の送受信の確認が行われてきましたが、今回のイーサネットの規格に則ったデータ形式であるフレームレベルにおける相互接続での動作確認は、両システムが標準化に準拠したものであることを立証したといえます。


今後の展望

100GEは、高精細画質映像や立体映像配信をはじめ、クラウドコンピューティング、大容量無線通信など、NGN時代の新サービスを実現する通信インフラ技術です。今後、本技術を大都市内や都市間ネットワーク、データセンタ向けのルータ、ならびに伝送システムへ適用することで、100GEの本格普及を実現します。

なお、本技術の詳細は、平成21年7月22日から開催される「日立 uVALUEコンベンション2009」のネットワークソリューション・セミナーにて紹介します。


補足資料

開発技術の詳細

(1) 100GE試作システム

100ギガビット/秒の通信速度で、イーサネット・フレームを送受信が可能な100GEの試作システムを開発しました。本システムでは、IEEE802.3baにて規定された電気インタフェースであるCAUI(100Gb/s Attachment Unit Interfaceの略)を搭載しているため、さまざまな光モジュールを換装することが可能です。また、100ギガビット/秒の通信速度を実現するためには、従来のクロック速度の増加による速度の向上のみでは困難であるため、複数の低速信号を束ねることで速度増加を行うマルチレーン伝送が必要となります。

一方、これらの複数の低速信号を伝送する際、信号の混信を避けるためには、複数の通信路を用いる必要がありますが、通信路ごとに伝播遅延時間は異なります。この伝播遅延時間の差により、データ伝送にスキューが生じるため、同時にデータを送信した場合においても、受信側で正しいデータを再生できなくなります。

今回、日立が開発したレーン間スキュー補正技術では、伝送データに埋め込まれたマーカをもとに、受信側で通信路同士のスキューを高精度に観測し、スキューを打ち消す逆方向の時間遅延を印加することにより、スキューを補正します(構成図参照)。また、同時に、マーカに埋め込まれたヴァーチャル・レーン番号をもとに、ヴァーチャル・レーンを多重化した際に生じるレーンの入れ替わりも即座に検出し、補正します。この技術により、受信側で正常なデータ再生が可能となります。

構成図 : マルチレーン伝送とスキュー補正技術
構成図 : マルチレーン伝送とスキュー補正技術

(2) 40GE/100GE対応の負荷試験モジュール「イクシア K2」

イクシア K2は、2010年6月に標準化が予定されているイーサネットの次世代規格「IEEE802.3ba」に沿った40ギガビット/秒及び100ギガビット/秒の機器の性能を検証できる負荷試験モジュールです。K2は、PCSレーンの符号化により、100ギガビット/秒の伝送データを生成することができ、かつ、同一速度でデータを受信し、フレームの整合性を検証することが可能です。さらに、従来のイクシアのイーサーネットモジュールと同様に、レイヤー2から7までのテスト機能を提供します。K2は、イクシアの既存のプラットフォームXMシリーズシャーシで使用できるため、すでにイクシアの10/100メガビット/秒、1/10ギガビット/秒のテストソリューションを使用しているユーザーは、同じプラットフォームでK2を利用可能です。 

(3) 日立の100GE試作システムとイクシア K2との相互接続試験による100GE標準化準拠の検証

日立及びイクシアの装置に、100GBASE-SR10に準拠した光モジュールを搭載し、相互接続を行い、OM3仕様のマルチモード・リボンファイバケーブルによる光伝送を行いました。今回、100GE試作システムとイクシア K2による相互接続性検証では、イクシア K2(写真左)で生成したイーサネット・フレームを物理層で符号化、光信号に変換してファイバにて伝送後、100GE試作システム(写真右)で受信し、復号化してイーサネット・フレームを再生するまでの形態(及び逆方向の経路)にて実施しました。

これにより、100GEのMLD方式の機能的な相互接続性、及びイーサネット・フレームによる100ギガビット/秒での双方向データ通信が確認されました。

日立100GE試作システムと イクシア 40GE/100GE負荷試験モジュール「イクシア K2」
(写真右) 日立100GE試作システム (写真左) イクシア 40GE/100GE負荷試験モジュール「イクシア K2」



本件に関する 問い合わせ先

株式会社日立製作所 中央研究所
企画室 担当 : 木下、工藤 

Tel: 042-327-7777

広報関係 お問い合わせ先

株式会社日立製作所
コーポレート・コミュニケーション本部

広報部 担当 : 嶋田
Tel :03-5208-9323

イクシア株式会社

担当 : 三浦
Tel :03-5365-4690

独立行政法人情報通信研究機構 総合企画部

広報室 担当 : 廣田
Tel :042-327-6923
E-mail : publicity@nict.go.jp