本文へ
文字サイズ:小文字サイズ:標準文字サイズ:大
  • English Top

被災地におけるインターネット無線LAN環境の構築【1】

~ NICTが開発した「コグニティブ無線ルータ」の利用 ~

  • 印刷
2011年4月13日

独立行政法人情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長 宮原 秀夫)は、4月5日に「コグニティブ無線ルータ」の機材を岩手県内避難所の一つである大槌町立安渡小学校に持ち込み、一般の被災者が利用可能なインターネット接続環境を構築しました。これにより、同地区や近隣被災自治体に展開しているBHNテレコム支援協議会(以下「BHN」、理事長 上原清人)等による様々な被災者支援活動の拡大につながります。

NICTでは、携帯電話や無線LAN等の異種の無線システムを統合的に取り扱い、電波の有効利用や効率的な情報通信ネットワークを実現するコグニティブ無線技術の研究を進めています。本技術を活用すれば、短時間でインターネット環境を構築すると共に携帯電話の効率的利用等が実現できるため、NICTが開発したコグニティブ無線ルータを被災地に設置しました。今回、岩手県遠野市や近隣被災自治体に対して情報通信機器等の提供や様々な支援を行っているBHNの被災地での活動報告及び岩手県遠野市からの支援要請を受け、NICTでは当該自治体での支援を行うこととしました。

大槌町においては、災害対策本部ですら有線ネットワークの十分な復旧が行われておらず、同町内避難所においては、これまで電話回線は提供されていたものの、被災者が利用できるインターネット接続環境は提供されていませんでした。今回、コグニティブ無線ルータを使ってインターネット接続環境を提供することにより、多くの被災者の方々がインターネット端末を用い、津波被害状況を伝えるインターネット上のニュース映像や安否情報、救援物資等の情報を検索・閲覧したり、手持ちの小型携帯端末を無線LANでインターネットに接続し、情報を取得する姿も見られました。同避難所では、小学校の建物やグラウンドの広い範囲で無線LANを使ってインターネット接続を利用できることが確認されました。

コグニティブ無線ルータは可搬性と耐障害性にも優れており、今回も設置開始から5分程度で無線LANによるインターネット環境の構築ができました。このコグニティブ無線ルータは、ユーザへのインターネット接続サービスのみならずインターネット環境を用いた遠隔医療支援等にも応用が可能であり、さらに要請に応じて、被災地への支援を行う体制を取って参ります。

被災された皆様には心からお見舞い申し上げますと共に、本システムが少しでも役立ち、一日も早く復興されますことをお祈り申し上げます。

コグニティブ無線ルータは、総務省から委託された「異種無線システム協調制御による周波数有効利用技術の研究開発」と「異種無線システム対応端末技術の研究開発」の成果に基づいたものです。 また、同機器設置にあたり多大なるご支援を賜った岩手県立大学 総合政策学部 吉本繁壽教授に感謝いたします。

システム構成
補足資料
インターネット接続に用いたコグニティブ無線ルータ
インターネット接続に用いたコグニティブ無線ルータ


避難所の小学校内に設置したコグニティブ無線ルータによるインターネット接続環境
避難所の小学校内に設置したコグニティブ無線ルータによるインターネット接続環境

端末を操作して様々な情報を求める被災者の方々
端末を操作して様々な情報を求める被災者の方々

用語解説

コグニティブ無線ルータ

コグニティブ無線ルータとは、無線通信機能を複数備え、電波状況に合わせて最適なサービスを選択できるモバイル・ルータのこと。接続可能な無線通信システムを自動的に探し出すことにより、有線ネットワークを用いずに利用者に容易にインターネット接続を提供することができるNICTが開発したシステムです。公衆無線LAN やモバイルWiMAX、3G携帯電話、PHS等のサービスに対応します。

NICTは昨年度より神奈川県藤沢市周辺においてコグニティブ無線ルータの実用に向けた実証実験を行っています。
参考URL:http://www.nict.go.jp/press/2010/04/27-1.html

BHNテレコム支援協議会

情報通信の活用によりデジタルデバイドを解消し、人々の生活が向上することを願い、発展途上国の地域開発協力と医療施設への支援、大規模災害の被災者や紛争難民への緊急人道支援、発展途上国電気通信関係者の人材育成といった国際協力を行っている認定NPO法人。今回、国際人道支援組織「ジャパン・プラットフォーム」(以下「JPF」、代表理事 有馬利男)の資金助成を得て、様々な支援を実施。

ジャパン・プラットフォーム(JPF)

NGO、経済界、政府、メディア等が対等なパートナーシップの下、自然災害、国際緊急援助、復興支援等を迅速、効果的に実施する、国際人道支援システム。

<本件に関する 問い合わせ先>
ワイヤレスネットワーク研究所
スマートワイヤレス研究室

原田 博司、村上 誉、石津 健太郎
Tel:046-847-5076
E-mail:

<取材依頼及び広報 問い合わせ先>
広報部 報道担当

廣田 幸子
Tel:042-327-6923
E-mail: