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「ネットワークセキュリティ研究フォーラム」設立について

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2012年3月22日

独立行政法人 情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:宮原 秀夫)は、通信事業者、セキュリティベンダ、メーカ及び学識経験者等と、国民の安心・安全なネットワーク利用に向けたネットワークセキュリティ技術の研究開発能力の向上及び研究開発成果の社会展開の促進のため、平成24年3月21日(水)に「ネットワークセキュリティ研究フォーラム」を設立しました。なお、会長には早稲田大学の後藤滋樹教授が選出されました。

  本フォーラムには、ネットワークセキュリティ普及促進部会(研究開発で得られた技術の社会への普及展開を推進)と、ネットワークセキュリティ情報基盤部会(研究開発に必要なセキュリティ情報の共有・利活用を推進)を設置し、我が国のネットワークセキュリティ研究を促進する活動を進めていきます。なお、設立当初は、NICTで研究開発中のサイバー攻撃の観測・分析・対策を行うインシデント分析センター(nicter)で確立した技術や、nicter で収集したセキュリティ情報を基に、活動を行っていく予定です。

背景

NICT ネットワークセキュリティ研究所では、インシデント分析センター(nicter)などの研究開発を通じて、ネットワークセキュリティ技術に関する研究開発を実施している企業や大学等の学術研究機関と、これまで様々な連携を実施してきました。

一方で、最近の高度化を続けるサイバー攻撃については、従来のセキュリティ対策では十分な効果を上げることができなくなってきており、多様化する環境変化に伴う適切な脅威分析に基づき、高度なセキュリティ技術の研究開発を実施する必要があるとともに、関係する機関間でのより一層の連携が求められているところです。

ネットワークセキュリティ研究フォーラム

このような背景から、NICT がこれまで進めてきた取り組みを一層深化させ、我が国のネットワークセキュリティ技術に関する研究能力向上に資する「ネットワークセキュリティ情報共有基盤」の構築と運用、及び研究開発の成果として生み出される技術の「社会展開」等を目的として、企業、学識経験者の参画の下、「ネットワークセキュリティ研究フォーラム」を設立しました。

なお、本フォーラムの発足時の体制は以下のとおりです。

フォーラム    
会長 後藤滋樹 (早稲田大学 理工学術院 教授)
副会長 榎並和雅 (NICT 理事)

ネットワークセキュリティ普及促進部会
部会長 中尾康二 (NICT 主管研究員)

ネットワークセキュリティ情報基盤部会
部会長 菊池浩明 (東海大学 情報通信学部 教授)

フォーラムへの参加申し込みなど詳細については、Webページ等でお知らせしていきます。


今後の展望

本フォーラムの活動を通じて、nicterの技術と成果に基づく研究連携、社会展開を促進することで、我が国のネットワークセキュリティの向上に寄与し、国民のネットワーク利用の安心・安全につながるよう取り組んでいきます。


補足資料

サイバー攻撃の変遷とネットワークセキュリティの今後の展望

20世紀までのサイバー攻撃は、自己顕示を目的としたマルウェアの大規模拡散など、愉快犯が主でした。しかし21世紀に入り、サイバー攻撃は金銭詐取を目的とした経済犯のツールとなっており、潜伏性の高い攻撃や、標的を絞った攻撃など、攻撃手法の高度化が続いています。また、2010年代に入ると、示威活動や諜報活動などに サイバー攻撃が利用され始めるなど、その目的も多様化しています。

そのため、サイバー攻撃に対抗するネットワークセキュリティ技術の高度化が喫緊の課題となっています。ネットワークセキュリティ技術の研究開発には、最新のセキュリティ情報(マルウェアの検体や攻撃に使われた通信など)を利用する必要がありますが、その収集はハードルが高く、企業や大学等での研究の足枷となっていました。そこで、本フォーラムでは、nicterで収集したセキュリティ情報の安全な利活用を進めるとともに、それによって新たに生まれるセキュリティ技術の社会への普及展開の促進を目指します。

ネットワークセキュリティ研究フォーラムの運営体制

ネットワークセキュリティ研究フォーラムの運営体制
ネットワークセキュリティ研究フォーラムの設立趣意書

情報通信研究機構ネットワークセキュリティ研究所においては、インシデント分析センター(nicter)等の研究開発を通じて、ネットワークセキュリティに係る研究開発を実施している企業や大学等の学術研究機関とこれまでに様々な連携を実施してきています。

一方、最近の高度化を続けるサイバー攻撃については、これまでのセキュリティ対策だけでは十分な効果をあげることができなくなってきており、多様化する環境変化に伴う適切な脅威分析に基づき、高度なネットワークセキュリティ技術の研究開発を実施する必要があるとともに、関係する研究機関との間でより一層の研究連携が求められています。

このため、情報通信研究機構ネットワークセキュリティ研究所がこれまで進めてきた取り組みを一層深化させ、我が国のネットワークセキュリティ技術に関する研究開発能力向上に資する「セキュリティ情報共有基盤」の構築と運用、および共有された研究開発に関わる技術の「社会展開」等を目的として、今般、『ネットワークセキュリティ研究フォーラム』の設立を企画することといたしました。

本フォーラムにおいては、通信事業者、セキュリティベンダ、学識経験者、および関係研究機関等、産学官からご参加いただき、 オールジャパンの体制で高度なネットワークセキュリティ技術の確立に総合的に取り組みます。

本フォーラムの活動が、我が国におけるネットワークセキュリティの向上に大きく貢献し、国民のネットワーク利用の安心・安全に繋がるものとなるよう取り組んでいく決意であります。


用語 解説

コンピュータネットワークで構成されるサイバー空間において、不正アクセスやマルウェア感染等により、国家や企業などに損害を与えようとする行為。近年、米国では「サイバー空間」を陸、海、空、宇宙に次ぐ空間として、国家安全保障上重要視するなど、世界中においてサイバー攻撃に対する対策が急務となっている。

nicter (Network Incident analysis Center for Tactical Emergency Response)は、NICTにて研究開発されているコンピュータネットワーク上で発生する様々なセキュリティ上の脅威を広域で迅速に把握し、有効な対策を導出するための複合的なシステム。サイバー攻撃の観測やマルウェアの収集などによって得られた情報を相関分析し、その原因を究明する機能をもつ。


本件に関する 問い合わせ先

ネットワークセキュリティ研究所 企画室

沼田 文彦、守山 栄松
Tel: 042-327-7580
Fax: 042-327-5348
E-mail:

取材依頼及び広報 問い合わせ先

広報部 報道担当

廣田 幸子
Tel: 042-327-6923
Fax: 042-327-7587
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