本文へ
文字サイズ:小文字サイズ:標準文字サイズ:大
  • English Top

高分解能 航空機搭載 映像レーダ “Pi-SAR2”を用いた共同研究提案を募集

  • 印刷
2012年11月21日

独立行政法人 情報通信研究機構(以下「NICT」、理事長:宮原 秀夫)は、高分解能航空機搭載映像レーダ(略称:Pi-SAR2)を開発し、日本国内で発生した大規模な自然災害(震災や噴火等)における被災地を観測することにより、被災地の状況把握や地表面の変化把握などに貢献してきました。

このたび、NICTは、Pi-SAR2の高空間分解能(30cm)を生かした応用研究の推進と災害時における実用的な観測手法の開発を目的に、国内の幅広い研究者及び行政機関の実務担当者を対象に、本レーダを用いた研究提案を募集し、その提案に基づき、共同で実験観測を実施します。公募に関する詳細情報は、Webサイトをご参照ください。

http://pi-sar.nict.go.jp/ResearchAnnouncement/index.html

公募の経緯
Pi-SAR2で観測した画像の例

Pi-SAR2で観測した画像の例
(偏波合成画像:東日本大震災直後の
仙台空港周辺の観測。黒色は浸水域)

NICTは、実用的な災害観測を目的に“Pi-SAR2(パイサーツー)”を開発し、国内で発生した様々な大規模災害の観測を行っています。例えば、東日本大災害直後の被災地の観測や津波による浸水域の観測を実施し、その観測結果については、ネットワークを通じて、研究者や実務担当者だけでなく、広く国民の皆様に情報を提供しました。

Pi-SAR2は世界トップクラスの空間分解能を有し、その視認性・判読性は世界最高レベルです。このため、農林学、環境工学、都市工学、土木工学等の学術分野や防災等の実務分野での利用が期待されています。このことを踏まえて、NICTでは詳細な土地利用分類法に関する研究等、Pi-SAR2の高分解能を生かした応用研究の推進と、洪水や津波等の浸水域の推定法の開発等の災害時における実用的な観測手法の開発を目的に、今後2年間の予定で実施する観測実験の提案を国内の幅広い研究者及び行政機関の実務担当者から広く募集します。

本公募について

1. 公募する研究課題
次のいずれかの分野に属し、商業目的を主眼としないものに限る。
① Pi-SAR2が実現した30cm分解能に関する技術的検討課題
② 30cm分解能の新たな有用性を実証する研究  
③ 災害時に役立つ解析・判読技術等に関する研究

2. 公募期間
平成24年11月21日(水)~平成25年1月25日(金) (必着)
 
3. 公募概要
別紙のとおり。
詳細情報、研究応募要領、研究提案書、作成様式等については、以下のWebサイトをご覧ください。
http://pi-sar.nict.go.jp/ResearchAnnouncement/index.html

4. その他留意事項
Pi-SAR2による観測予定は、以下のとおりです。(詳細は別紙をご覧ください。)
► 観測時期 : 平成25年夏~平成26年夏、2回飛行(予定)
► 観測範囲 : 日本国内
► 提供観測データ : Pi-SAR2画像データ 及び 干渉SAR(インタフェロメトリ)に関するデータ

別紙

高分解能 航空機搭載 映像レーダ“Pi-SAR2”を用いた共同研究提案の募集のご案内

1. 募集の概要
本公募は、NICTが開発したPi-SAR2の より広い応用分野の開拓と災害時における実用的な観測手法の開発を目的に、国内の研究者 及び 行政機関の実務担当者から本レーダを用いた研究提案を幅広く募集し、それに基づいた実験観測を実施するものです。

2. 応募要領
(1) Pi-SAR2実験観測について
  • 本公募にかかわるPi-SAR2の飛行実験は、平成25年(2013年)夏季から平成26年(2014年)夏季までの間に2回程度実施します。ただし、必要に応じて、時期及び回数を調整、変更する場合があります。
  • 採択された研究提案の代表者は、NICTと共同研究契約を締結し、観測要求(観測位置や範囲等)などNICTと調整を行います。
  • 全体の飛行計画の作成 及び 飛行実験は、NICTが実施します。
  • 採択された研究提案の代表者が要求できる観測範囲は、日本国内(海洋を含む)に限られます
(2) 公募の対象
本公募の対象となる研究提案は、
①Pi-SAR2が実現した30cm分解能に関する技術的検討課題
<例> Pi-SAR2で観測した高い空間分解能の画像を、技術的にどのような解析を行えば、より効果的であるかの検討等
②30cm分解能の新たな有用性を実証する研究
<例> 高分解能を生かした地表面の詳細な状況把握(例えば、土地利用や作物の生育状況の詳細な把握等)の研究
③災害時に役立つ解析・判読技術等に関する研究
<例> 災害時における建物等の被害状況を把握するために、時期の異なる2枚の画像を用いて地表面の変化を抽出(例えば、新たに建設された構造物と取り壊された構造物を抽出)する解析・判読手法についての研究等
※注 Pi-SAR2は、実際、災害が起こった時の飛行は想定しておらず、予想される災害を模擬した観測を行う予定
これらのいずれかに属するもので、③については研究開発課題にとどまらず災害時や防災現場において求められる実用となる技術開発(例えば、土砂崩れ発生時の流出土砂量を推定する手法の開発)も含むものとし、成果の利用先である自治体等も必要に応じて研究に参加することができます。ただし、商業目的を主眼とした提案は、本公募の対象とはなりません。

(3) Pi-SAR2データプロダクトについて 
  • Pi-SAR2データは、再生処理後のシングルルック複素数画像データ4ルック振幅画像データあるいは4ルックポラリメトリック画像データのいずれかの形式で提供します。
  • 干渉SAR(インタフェロメトリ)に関するデータは、シングルパスのクロストラックインタフェロメトリのデータとして、平面位相差を除去した位相差データであるマルチルックスラントレンジインタフェロメトリ(略称msi)データあるいは msiデータから作成した地図座標変換後の標高データのいずれかを提供します。ただし、標高データには標高が推定できなかった部分が残っています。また、標高データは電波が反射する部分の高さに対応しています。
  • なお、研究提案者がデータを処理・解析するために必要とするソフトウェアは提供しません。
(4) 応募受付期間
平成24年11月21日(水)~平成25年1月25日(金) (必着)

(5) 応募方法 
  • 応募者は、「Pi-SAR2研究応募要領」の付録1に示す作成様式に従って、研究提案書を作成し、応募受付期間内に下記に示したPi-SAR2研究公募事務局あてに、メールで提出してください
  • 本公募に採択された方の責任等の詳細は、「Pi-SAR2研究応募要領」に記述されています。
  • 「Pi-SAR2研究応募要領」は、以下のWebサイトからダウンロードすることができます。

http://pi-sar.nict.go.jp/ResearchAnnouncement/dl/Pi-SAR2-KOBO.pdf

3. 応募書類の提出先・連絡先
独立行政法人 情報通信研究機構 電磁波計測研究所 Pi-SAR2研究公募事務局 あて
E-mail :
URL : http://pi-sar.nict.go.jp/ResearchAnnouncement/index.html
住所:〒184-8795 東京都小金井市貫井北町4-2-1

Pi-SAR2について

Pi-SAR2(パイサーツー)は、Xバンドのマイクロ波を利用した航空機搭載映像レーダである。マイクロ波を利用しているため、雲や火山噴煙に遮られることなく、天候が悪い時や夜間でも地表面の観測が可能(全天候性)。また、世界最高クラスの空間分解能を持ち、地上に何があるかを従来のレーダよりも詳細に観測できる。

さらに、本レーダは、画像の視認性・判読性を向上させるポラリメトリ観測機能、地上の高さ方向の情報を得ることができるクロストラックインタフェロメトリ観測機能、加えて、車両や船舶等の移動体を検出することが可能なアロングトラックインタフェロメトリ観測機能を有している。

図1: ガルフストリーム機に搭載された “Pi-SAR2”

図1: ガルフストリーム機に搭載された “Pi-SAR2”

両翼の付根に設置された2つのアンテナポットに、送信用のアンテナと受信用のアンテナが格納されている。
“Pi-SAR2”で過去に観測した画像の例
図2: 霧島新燃岳の3次元立体画像(2011年2月26日)

図2: 霧島新燃岳の3次元立体画像(2011年2月26日)

2つのアンテナの位相差から高度情報を抽出し作成した3次元画像に、偏波による疑似カラー合成画像をマッピングした画像。

図3: 東日本大震災の直後(2011年3月12日)の仙台空港周辺の様子を観測した、偏波合成画像
(津波によって浸水した地域(黒色の部分)を確認できる。)

図4: 紀伊半島で発生した土砂崩れの状況と、土砂によって形成された自然ダムの様子を観測した、偏波合成画像 (2011年10月7日)

用語 解説

映像レーダ(合成開口レーダ、SAR : Synthetic Aperture Radar)

小型のアンテナで受信信号強度と位相を正確に記録し、これをコンピュータで処理して高い空間分解能の画像を得ることができるレーダ。マイクロ波を送信して地表面から戻ってくる信号を受信するため、天候が悪い時や夜間でも地表面を観測することが可能である(全天候性)。

空間分解能

地上の物体の大きさがどこまで識別できるかの尺度。例えば、30cmの空間分解能とは、「30cm以上離れた2つのものが映像の中でも2つに分かれて見える」という意味。

Xバンド

レーダに使用されるマイクロ波(1GHz~40GHzの周波数の電波。1GHzは10の9乗ヘルツ)の周波数をいくつかの帯域に分けて呼ぶ慣習的な呼び方。Xバンドは約10GHzのマイクロ波のこと。

ポラリメトリ観測機能

電波は、電場と磁場が共に振動しながら伝搬する波であるが、電場の振動面を偏波と呼ぶ。物体は、任意の偏波に対し固有の偏波を反射する。この性質を用い、偏波の組み合わせで地表面を観測し、それぞれの場合の散乱信号を精密に測定し、これらを利用して対象を詳細に識別する機能。

クロストラックインタフェロメトリ観測機能

飛行方向に対して垂直方向に配置した2つのアンテナを用いて、人間が双方の目で立体的に見ることができる方法と類似の方法で3次元的像を得る機能。電波の位相情報を使うため、非常に高精度であることが特徴。

アロングトラックインタフェロメトリ観測機能

飛行方向に沿って配置した前後2つのアンテナを用いて時間差のある2枚の画像を取得し、両画像の差分から移動体を検出する機能。電波の位相情報を使うため、非常に高精度であることが特徴。

本件に関する 問い合わせ先

電磁波計測研究所 
センシングシステム研究室

浦塚 清峰、 児島 正一郎
Tel:042−327−7048  
Fax:042−327−6666
E-mail:

取材依頼及び広報 問い合わせ先

広報部 報道担当

廣田 幸子
Tel: 042-327-6923
Fax: 042-327-7587
E-mail: