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テレビホワイトスペース帯の車車間無線通信技術を使った災害情報の伝搬実証実験に成功

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2013年10月15日

株式会社トヨタIT開発センター(東京都港区、代表取締役社長:橋本雅人/以下、ITC)と独立行政法人情報通信研究機構(東京都小金井市、理事長:坂内正夫/以下、NICT)は、テレビホワイトスペース帯の車車間無線通信及びコグニティブ無線ルータを組み合わせることにより、災害地において必要な情報を車により伝搬し、インターネット等の広域ネットワークと接続可能とするシステムを開発し、その実証実験に成功しました。これにより大規模な災害時に公衆通信網が寸断されても、災害地のさまざまな情報が車を介して伝搬・共有できるようになり、被災者の支援につながります。なお、本システムのデモンストレーションは、第20回ITS世界会議(10 月14 日~18 日、東京開催)のショーケースにてご覧いただけます。また、本研究開発成果の一部は、総務省の「平成24年度補正予算による電波資源拡大のための研究開発」により得られたものです。

背景

2011年に発生した東日本大震災では、広域な範囲で携帯電話、固定電話、インターネット等の公衆通信網が止まり、広域を対象としたラジオやテレビからの情報は得ることができても、避難された方々がどこにいるのか、どのような状態であるかのような局所的な情報は簡単に得ることが難しく、情報の入手は切実な問題となっていました。一方、災害により公共交通網が止まった中でも、車は物資等の輸送の要となっていることが多く見られました。そのため、車に共有したい情報を預け、車が移動することを利用してその情報を伝搬させ、避難所等で情報が多量に集まるところでは、地方自治体等の車が情報を集めて、遠くまで通信できれば、災害地の情報の共有化が進むことが期待されます。

今回の成果

ITCは、スマートフォンに共有したい情報を入力すれば、近くのWi-Fiを搭載した車にその情報が渡され、受け取った車が移動するとWi-Fiを介して他の車に情報が次々に渡され、さらには長距離の大容量の情報が伝送可能なテレビホワイトスペース帯の車車間無線通信機が搭載された車(例えば地方自治体の車)に渡されると、次にテレビホワイトスペース帯の車車間無線通信機が搭載された車が見つかれば、またさらに渡し、インターネットが使えるようになると、クラウド上にアップロードすることが可能となるシステムを世界に先駆けて開発しました。このシステムでは、交通網の機能が完全に復旧しない状態でもテレビホワイトスペース帯の車車間無線通信を使うことにより、大量の災害地の情報が遠くに転送できることで、よりスムーズに情報の共有化が進むことを期待できるのが特長です。
この災害地で集約した情報をクラウドにアップロードするためには、インターネット等の広域ネットワークへの接続が必要となります。NICTでは、利用可能な商用無線回線を自動的に選択するコグニティブ無線技術の研究開発を行っております。本技術を用いると、災害地の近くで混乱している中でもインターネット接続を行うことが可能となります。
なお、テレビホワイトスペース帯の車車間無線通信技術を使った災害情報の伝搬を実際に行うためには、テレビホワイトスペース帯を有効に活用するための技術的条件の検討、及び、テレビ放送等への干渉を確実に回避するためのホワイトスペース判定方法など、多くの課題が残されており、それらの解決に向けた活動が必要です。

実証実験の内容

ITS世界会議では、ITCが開発した車車間通信技術を用い、災害地を模擬して情報がスマートフォンからWi-Fiを使って車へ、Wi-Fiを使って車から車へ、テレビホワイトスペース帯無線通信を使って車から車へ転送されることをご覧いただきます。さらには、NICTが開発したコグニティブ無線ルータを用い、公衆通信網が復旧された地域を模擬して、ホワイトスペース無線通信で転送されてきた情報がインターネット上のサーバに転送されることをご覧いただきます。なお、世界主要都市において、テレビホワイトスペース帯を利用した車車間通信実験は世界初の試みとなります。

* 開発したシステムの試験及びITS世界会議における展示にあたっては、実験試験局の免許を取得して運用を行っています。

ITS世界会議 
開会式 2013年10月14日 / 東京国際フォーラム
セッション & 展示会、閉会式 2013年10月15日~18日 / 東京ビッグサイト



用語 解説

テレビホワイトスペース

放送用に割り当てられているが、地理的条件や時間的条件によって他の目的にも利用可能な周波数帯

コグニティブ無線ルータ

無線通信機能を複数備え、電波状況に合わせて最適なサービスを選択できるモバイル・ルータのこと。接続可能な無線通信システムを自動的に探し出すことにより、有線ネットワークを用いずに利用者に容易にインターネット接続を提供することができるNICTが開発したシステム。公衆無線LANやモバイルWiMAX、3G携帯電話、PHS等の既存の無線通信サービスを切り替えてインターネット等のWANに接続可能です。ユーザ端末との通信や、端末本ルータ間の中継には、通常の無線LAN通信方式に加え、メッシュ通信やテレビホワイトスペース帯通信などにも対応します。
コグ二ティブ無線ルータは、さまざまな無線システムに対応した機器を開発しており、本実証で利用したメッシュ通信を組み合わせてマルチホップネットワークの形成が可能なものや、テレビホワイトスペース帯に対応した固定通信が可能な機器も開発しています。
【参考: 本実証実験で用いるルータ】 http://www.nict.go.jp/press/2013/05/28-1.html

Wi-Fi

Wi-Fi はWi-Fi Allianceの登録商標です。

コグニティブ無線技術

コグニティブ無線技術は、無線機が周囲の電波環境を認識し、その状況に応じて他のシステムに干渉を与えることなく無線資源を使用して利用者が所望の通信を行えるように、基地局や端末を再構築して無線通信を行う技術です。

図1 災害地での適用イメージ
図1 災害地での適用イメージ
図2 デモイメージ
図2 デモイメージ



本件に関する 問い合わせ先

株式会社トヨタIT開発センター
総務部

Tel:03-5561-8200
E-mail:

独立行政法人情報通信研究機構
スマートワイヤレス研究室

原田、村上、石津
Tel: 046-847-5098
E-mail:

[広報に関する問い合わせ先]
独立行政法人情報通信研究機構
広報部

Tel:042-327-6923