「大地震で身を守るためには」





平川 久夫




 昨年1月17日未明におきた出来事は、世界中に衝撃をもたらし、日本中をパニックに陥れました。このため、国をはじめほとんどの地方公共団体などが地震対策の見直しをはじめ、防災関連法令、防災システム、防災設備・用品の整備に取り組んでいます。

 通信総合研究所でも、同様に災害対策の見直し気運が高まり、昨年2月に地震対策検討委員会が設けられ、何回かの会合の後4月に地震対策検討委員会報告書をとりまとめ、さらに11月には実施の詳細について同報告書追補版を追加報告しました。

 阪神大震災は、まず地震ありきの問題提起をしてくれました。いままでは防火があり、火を防ぐことが優先で通信総合研究所も防火防災管理細則により、防火に関連する定めがあり、地震に対する備えは特に明記されていませんでした。地震対策検討委員会では、「大地震が起こったら」をテーマにこれらの対処方針について検討を加えています。したがって、同報告書は研究所で被災した場合の想定になっているので、以後この中では報告書とは別に、被災者の体験に基づき、一般家庭での大地震に対する備えについて書いていくことにします。


1 震災準備について・・・

 非常持出袋の中身で実際に役に立ったもののベストテンはヘッドランプ、ヘルメット、携帯ラジオ、下着、医薬品、ホッカイロ、マッチ、底の厚い履き物、水食料品、防寒着などとなっています。特に身の回り品ではアドレス帳、現金(小銭も)、車のキー、予備の眼鏡などが必要となり、置く場所を予め決めておくことが大切であったとあります。

 自家用車は、非常に有効に利用できます。エンジンをかければ、冷房、暖房が効き、テント替わりにもなるし、ラジオを聴いて情報を得ることもできます。さらにトランクルームは防災用品を保管できて、家が倒壊しても使うことが可能です。

 一般的には、アウトドア用品、キャンプ用品などは、防災用品として利用できる物が多く、これらに関する雑誌、書籍を参考にすることをお奨めします。 次に、大地震で身を守るためには寝室の家具の配置です。寝ているときに落下物、転倒物に押しつぶされたら、致命的になるので、タンスの上には物を置かない、天井からスピーカーなどをつり下げないなど気を付けたいものです。また、ガラス戸付家具は、ガラスの飛散防止用として、フィルムやスプレーもあるので是非お奨めします。


2 揺れる中では・・・

 本当に揺れる中では、まず自身の安全を確保することで、テーブルや机などの下に隠れることを家族と申し合わせておくべきです。

 それから消火作業ですが、危険を省みず行うことは、結果的に命取りになりかねないので、あくまでも消せるときまで待つしかありません。初期消火には、消火器を複数用意しておくことがベターですが、代替としてマヨネーズが使えることは消防庁でもテスト済みです。また、ポリ容器に消火用水を保存しておけば飲料水の確保にもなります。もちろん風呂の水も溜置きしておけば必ず役に立ちます。


3 混乱のあとで・・・

 阪神大震災の火災の中に「通電火災」といわれているものがありました。これは、電力会社の必死の復旧作業でやっと送電できたあと、しばらくしてから各家庭のスイッチの入ったままの電気製品が押しつぶされた状態で加熱、発火し火災となるものです。これからは、ガスの元栓をしめる のと同じようにおおもとの電源スイッチを切ることも求められます。

 阪神大震災では家屋の倒壊で下敷きになり、そのまま死亡している方が大変多かったように聞きます。この家屋の耐震チェックを手軽にできる本も書店で売られています。また、各市役所でも必ず防災担当窓口があり、地域に役立つ防災パンフレットを市民に配布しています。



 災害に立ち向かい、自己防衛するのは消防署、警察署ではなく、私達自身です。

 常日頃の心構えと訓練があなたを救います。




< 追記 避難訓練 >



避難訓練の模様



 阪神大震災から1年、通信総合研究所本所においては、1月18日に避難訓練を実施しました。

 今回の訓練は、人命安全を第一にした避難、安否確認の訓練、起震車体験、消火器、避難ばしごの訓練を260余名の参加の下に実施しました。 




(総務部 会計課)