短 信



「JJY(短波標準電波)の変更のお知らせ」





今江 理人




 当所では、セシウム原子周波数標準器により、日本の周波数/時刻の国家標準を決定し、その正確さは、協定世界時(UTC)と周波数偏差10−14台、時刻誤差1μs以内という高精度なものとなっております。 その周波数/時刻は、各種伝送手段で国内外にお知らせしておりますが、その1つが、当所が茨城県猿島郡三和町のNTT名崎送信所から送信している短波帯の標準電波「JJY」です。

 JJYは昭和15年(1941年)に千葉県の検見川送信所より送信が開始され、今年で55年になります。その間、送信所の移転統合、送信周波数の拡充や送信用源振の発展(水晶発振器から原子周波数標準器)があり、その安定度は飛躍的に向上しています。現在は、前記の通り名崎送信所から2.5MHz、5MHz、8MHz、10MHz、15MHzの5波により24時間体制で周波数・標準時の通報を行っております。

 JJYは、簡易な短波ラジオで、かつ、音声で時刻情報が取得できるものとして広く利用していただいていると共に、NTTの時報サービス(117)や各放送局の時報などの「親時計」の時刻合わせに活用していただいております。

 しかしながら、海外局の新設等による受信状況の悪化などの諸般の事情により、来る本年(1996年)4月1日より、2.5MHzと15MHzの2波の送信を停止し、5波の送信体制から5MHz、8MHz、10MHzの3波での送信へと変更することになりました。ご利用の皆様にはご不便をおかけすると思いますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

 また、当所では、本CRLニュースでも既にご紹介している通り、新しい時刻の供給手段として、パソコン通信を用いた「テレホンJJY」(電話回線による時刻供給システム)、FM文字多重方式による時刻コードの供給(東京FM系で試験送信中)、計算機ネットワークにおける時刻同期(NTP:ネットワークタイムプロトコル)等のより使いやすく安定に時刻情報をお伝えする手段を開発し、一部実運用を開始しておりますので、ご利用いただければ幸いです。




(標準計測部 周波数標準課)