Key Stone Project のVLBI定常観測開始





小山 泰弘




 首都圏地殻変動観測計画(Key Stone Project)では最終的に首都圏および周辺に4局のVLBI/SLR局を整備しますが、平成7年12月1日よりこれまでに整備の完了した小金井、鹿嶋、三浦の3局を用いてのVLBI定常観測を開始しました。この定常観測では、土日や祝日を含む毎日、午前10時から午後3時30分まで観測が行われています。こうした観測は、小金井局の集中制御システムからネットワークを通じて遠隔で制御され、鹿嶋と三浦の観測局はテープ交換時以外は無人で運用されています。平成8年1月1日には、午前9時にうるう秒が挿入されましたが、運用システムの時刻は GPS (Global Positioning System)の信号ですぐに自動的に修正され、無事観測を行うことに成功しました。観測データの記録された磁気テープは、観測終了後すぐに小金井中央局のデータ処理室に輸送され、実験翌日には相関処理とデータ解析が行われています。

 まだ、現状では、従来と同じ 64MBPS の記録レート(256MBPSが最終目標)で、1基線だけの処理に限定していますが、これまでにすでに観測終了から24時間以内に解析結果を出力するという当初目標を達成しました。処理・解析された結果は anonymous FTP(ftp://kouma.crl.go.jp)と WWW (World Wide Web)のホームページ (http://kouma.crl.go.jp)とで公開されていますので、誰でもインターネットから最新の解析結果を知ることができます。

 今後は、世界で初めての256MBPSでの高精度測地実験をはじめ、多基線観測データの同時処理、館山局の運用開始、さらには高速データ通信によるリアルタイムVLBI実験といった研究および技術開発課題が残されています。これらの課題を1つ1つ実現しながら、VLBIをさらに高精度化するためのシステム開発と整備を続けていく予定です。






小金井中央局(通信総合研究所本所構内・東京都小金井市)





鹿嶋観測局(通信総合研究所鹿島宇宙通信センター構内・茨城県鹿嶋市)





三浦観測局(郵政省関東電気通信管理局国際監視部構内・神奈川県三浦市))





(関東支所 宇宙電波応用研究室)