実施されている特許の紹介


堀 義明



特許番号   特許第1995910号

発明の名称  「スペクトラム逆拡散を利用した電離層伝播遅延時間測定装置」

発明者    三木 千紘、今江 理人




 地球を取り巻いている電離層の活動は、放送、短波通信はもとより、人工衛星通信や地球観測、科学観測などに大きな影響を与えている。電波には、電離層を通過するとき、周波数が低いほど通過するのに時間がかかるという性質がある。

 GPS(汎地球測位システム)では、電離層遅延時間補正を行う目的でL1(1.5GHz帯)、L2(1.2GHz帯)という異なった2つの周波数にPコードと呼ばれる同一のコードでスペクトラム拡散変調した電波が送信されている。


発明原理の説明図



 本発明の原理を簡単に説明すると、図において、電波をアンテナで受信し、高周波増幅回路で増幅した後、L1、L2を分離する。L1を遅延回路を通した後、掛け算回路でスペクトラム逆拡散を行い、バンドパスフィルターによりキャリアを取り出す。この出力は電離層遅延時間に比例しているので、電離層の状況が即時的に測定できる。実際の回路では、遅延回路を調整することにより検出精度を上げて、遅延時間を検出している。


製品化された TECMETER



 本特許は、新技術事業団を介し、日本通信機株式会社により製品化された。(写真) 製品名は、Realtime TECMETERで、電離層の活動状況を示す電離層全電子数測定機能のほか、精密時刻比較、高精度位置測定機能もある。

(実施契約期間 平成元年12月13日−平成10年12月12日)




企画課 成果管理係