タイトル 独立行政法人化に向けた所内検討会
熊谷  博

 これまでの行政改革の動きの中で、当所が独立行政法人へ移行することは確定してきた。この問題に対して、所内での討論を始めるために、さる2月4日に本所で、また3月25日に関西支所で所内の検討会が実施された。この検討会のなかで議論されたトピックを中心に、今後の独立行政法人化において考慮すべきいくつかの論点を紹介しよう。所内外関係各位からも、当所の今後の改革に対し、ご意見、ご指導を賜りたい。

改革の流れ
 21世紀を目前にして、我が国は、今後少子・高齢化や環境問題に直面しつつ、地球規模の大競争時代を生き残るための方策を模索する必要に迫られている。第二次大戦後半世紀を経て、我が国の行政システムが制度疲労をきたしているとの認識から、より効率的な行政システムを目指すために行政改革は必要と考えられるに至った。 今回の一連の行政改革の主なエポックは以下の通り。
  1. 行政改革会議の発足:平成8年11月
  2. 同会議最終報告:平成9年12月
  3. 中央省庁等再編基本法:平成10年6月
  4. 中央省庁等改革に係る大綱:平成11年1月26日
特に、中央省庁等再編の中で主要な改革として:
  1. 省庁の数を1府12省庁に再編
  2. 内閣機能の強化
  3. 政策の企画立案機能と実施部門の分離
  4. 政策の実施部門に相当する機関の独立行政法人化
が検討されてきた。
 結果から言えば、通信総合研究所を含む多くの国立試験研究機関(56機関)を、独立行政法人とすることが「中央省庁等改革に係る大綱」のなかで示された。これにより当所は独立行政法人に移行することになった。移行時期は、中央省庁再編が2001年1月とされており、独立行政法人化はそれに引き続き同年4月と想定される。

独立行政法人化で何が変わるか?
  1. 国による関与を最小限にして、自立的、効率的な運営を行う。
    • 3−5年間の運営に関する中期計画を作成し、所管大臣の承認を得た後、これに従って自立的な運営を行う。
    • 現在のように予算が費目により細分化される問題は軽減され、柔軟な予算執行が可能になる。
    • 内部の研究組織の変更も、所内の裁量により可能とされ、フレキシブルな研究実施体制が実現できよう。
  2. 会計制度として企業会計原則が適用され、より効率的な運営が求められる。
  3. 自立的な運営と引き替えに、厳正な評価と運営の透明性が要求される。
どんな研究所を目指すのか?
  • 通信総合研究所では、5−10年先の将来方向として、ビジョン21を定めており、基本的にはこれに沿って研究計画を具体化する。
  • 科学技術基本計画の第二期が2001年から開始される。第一期の総括とともに第二期計画に調和した活動が必要。
  • 新研究分野への積極的な投資を行う。
  • 国民、社会の期待に応える研究所へ。
新しい試みは何か?
  • 自立的な活動を生かして、研究活動の活性化を図る。
  • 外部との研究連携をこれまで以上に活性化し、外部人材の活用等も強化する。
  • 社会へ対する広報活動の強化とともに、知的所有権の確保や成果展開等の活動を強化する。
  • 海外拠点を持つことも検討する。
まとめ
 独立行政法人化は、研究所の活動の自立性や研究活動における柔軟性の点で、メリットが予想される反面、会計・予算制度等では先が見えない不安も残されている。今後の制度設計では、新制度のメリットを如何に大きく取り込むことができるかが重要である。またこのようなメリットは、研究所および職員に対するだけではなく、結果として国民全体にとっても享受できるものでなければならない。さらになんと言っても、若い研究者が参加したくなる研究所にしていかなければならない。そのためには所内で活発な議論を行うとともに、外部の多くの方にも意見を頂き、検討を進めたい。
(企画課長)


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