タイトル 日欧衛星ネットワークを利用した 日仏がんセンターコンファレンス 報告
原井 洋明
  フランスのギュスタフ・ルーシーがん研究所(IGR:Institut Gustave-Roussy)と、東京、築地にある国立がんセンター(NCC:National Cancer Center)など三会場を結んだ遠隔会議が、10月27日に行なわれました。IGR会場には、T.Tursz所長らIGR関係者、F.Grosフランス科学アカデミー事務局長、磯村尚徳パリ日本文化会館館長、青木榮子フランス日本大使館参事官らが来場しました。一方、国立がんセンター会場には、杉村隆名誉総長、寺田雅昭総長らセンター関係者が参列し、郵政省からは、田中征治技術総括審議官、菊池紳一通信総合研究所次長らが出席しました。

  本会議ではIGR、NCC両研究所間の研究成果などが報告されました。両研究所間では、昨年より384kbpsのISDN回線を用いたセミナーが行なわれていましたが、今年2Mbpsの衛星ネットワークを使用することで、高速の情報通信ができるようになったことが報告されました。

JEGネットワーク構成図
  IGR、NCCは日欧高速衛星通信実験(JEG)の一プロジェクトである遠隔医療実験に参加しており、IGR、NCC間の映像、音声は、インターネット通信(IP)ベースの会議システムを用い、2MbpsのJEGネットワークを介して伝送されました。CRLは、この医療実験に用いる計算機設定等の技術サポートおよびJEGネットワークの運用をしており、また、本実験を通じて画像の品質評価を行なっています。今回筆者はその二つの目的のためIGRを訪問し、さらに、遠隔会議のための準備を行ないました。訪問初日にいきなりパソコンが故障したり、IGR担当者が出張で不在になる等、事前に予期しなかったことが起き、当日の東京は雷、豪雨との情報が入るなど気をもんだりしましたが、会議中は、ネットワークに問題は発生せずほっとしました。

国立がんセンター会場風景
  参列者からは賞賛の言葉をいただきました。とはいえ、現状、1対1の会議システムとしてISDNのものと比較した際、帯域が5倍あるので単純に性能も5倍になるとは残念ながらいえません。データの伝送方式の違い、伝送路の違い等でさほど違いがないのが実状です。事実、「より高品質の映像は送れないのか」との意見もあがりました。しかし、コンピュータネットワークには、その特性を十分に活用した使い方があり、例えば、遠隔会議をしながら、それに必要なデータ転送が逐次できること、多地点間での会議が比較的容易にできることがあげられます。脱線しましたが、上記の意見に応えるには、データの符号化方式をかえる、ネットワークを大容量にする、ネットワークのプロトコルスタックを簡略化し、みための容量をふやすなど様々な方法があります。今後、どの方法が最も有効なのかを検討し、期待に応えていかねばならないと思います。
(通信システム部 統合通信網研究室)




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