新年のごあいさつ


所長 理博 田尾 一彦

 新年明けましておめでとう御座います。新春に際し職 員各位の益々の御発展と御多幸をお祈りしたいと存じま す。また平素から当所のために御協力を賜っております 部外の関係各位に対しましては本年もまた,相変らずよ ろしく御支援の程お願い申し上げる次第であります。
 本年はまた秋には一般無線通信に関する世界無線通信 主管庁会議が開催される予定になっております。20年ぶ りに開かれる無線周波数割当に関して新しい電波利用秩 序を確立することを目的とした大きな会議でありますが, その審議の結果は当所の研究分野にも直接,間接に影響 を与えることと存じます。
 さて年頭に当たり昨年をふり返って反省し本年の進む べき研究の方向を概観してみたいと思います。昨年7月 就任のあいさつの時にも当ニュースNo.28(1978年7月号) に,当所の研究の柱としては(1)宇宙通信及び人工衛星の 研究開発,(2)宇宙科学及び大気科学の研究,(3)情報処理, 通信方式及び無線機器の研究,(4)周波数標準に関する研 究に加えて(5)周波数資源の開発の五つの柱があることを 申し上げましたが,この各々について述べてみたいと思 います。
 先づ宇宙通信及び人工衛星の研究開発についてであり ますが,昨年は当所が関係している衛星が次々に打ち上 げられました。実験用中容量静止通信衛星CS(さくら) は既に一昨年になりますが12月15日に,実験用中型放送 衛星BS(ゆり)は昨年4月8日に何れも米国のロケッ トによって打ち上げられ静止軌道への投入に成功致しま した。CSについては鹿島支所の主固定局兼運用管制局 を中心として日本電信電話公社が,BSについては同じ く鹿島支所の主送受信局兼運用管制局を中心として全国 的に日本放送協会の地球局が協力し,現在,衛星の機能 確認実験,通信実験,電波伝搬実験,管制実験等が実施 されています。稚内及び山川の電波観測所にCS並びに BSの受信施設を整備し鹿島支所の主局とタイアップし て実験実施計画書に従い一連の実験が現在行われており ます。また昨年2月16日には電離層観測衛星,ISS-b (うめ2号)が種子島から国産のNロケットで打ち上げられ ました。宇宙開発事業団による初期性能チェックを経て 現在鹿島支所で観測データが取得され本所・電波部並び に衛星研究部で解析が進められております。
 CS,BSの実験項目は通信,放送衛星システムを確 立するための伝送技術,運用技術,管制技術を主体とし た基本技術実験を行うことでありますが,それら衛星の 寿命の後半には応用実験を実施することが計画されてお ります。CS計画においては衛星システムを用いたコン ピュータ・ネットワークシステムの開発,BS計画につ いては時刻及び周波数の供給システムの開発,14GHz帯 の降雨による干渉妨害波の実験等を計画しており,54年 度予算に要求中であります。従ってCS,BSにつきま しては本年は実験実施計画書に従って実験を継続するの と並行して来年から始まる応用実験の準備をすることが 必要であります。
 ミリ波帯通信の実験的研究を行う実験用静止通信衛星, ECSは,ISSと共に古くから当所が研究開発を行って きた衛星でありますが,いよいよ本年2月5日,Nロケ ットによる種子島からの打上げが予定されております。 衛星本体は勿論のこと当所としては鹿島の主局並びにサ イド・ダイバーシティ受信のための平磯の副局に関する地 上施設の整備を行っており,打上げに対し万全の準備をし ている段階であります。ECSの打上げが成功致します と初期性能チェックを経て本年5月頃から実験段階に移 行致しますので,その時期になりますと当所と致しまし てはCS,BS,ISS-b,ECSと関係する四つの衛星 を同時に利用実験として運用することになるわけであり ます。従来からも衛星開発実験は国家的な大型プロジェ クトとして予算面でも多額な,また要員面でも多数の人 員を投入してその遂行に万全を期しているところであり ますが,本年は以上述べましたように大変多忙な事態と なりますので関係する職員はもとより全職員がその重大 性を再認識してあらゆる面での御協力を特にお願い致し たいと存じます。
 次に実用衛星のための法人構想については,昨年暮れ自 民党通信部会の了承を経て郵政省が昭和54年度の最重要 項目のーつとして法人に対する政府出資資金について予 算要求をしているものであり,現時点では直接当所と係 わり合いはありませんが今後の経過によっては重要な関 係が生じてくることも予想されますのでその成り行きに は注目する必要があります。
 当所として上記のCS,BS,ECSの次に考慮すべ き通信技術衛星計画にいわゆるAMES計画といわれる ものがあります。これは小型船舶及び航空機等の移動体 を通信の相手とする将来の海事通信衛星の先行的計画で あります。これは一昨年からの経緯により郵政省,運輸 省,科学技術庁(宇宙開発事業団)との間で検討が行われ, 昨年夏の宇宙開発の見直しでは一本化した航空海上技術 衛星として宇宙開発委員会に提出され開発研究として承 認された衛星計画であります。当所としてはポストCS, BS,ECSの衛星計画として力を入れて行きたいと思 っております。
 次に衛星通信以外の宇宙分野で特に研究開発に重点を 置いて行きたいのは衛星搭載用能動型電波リモート・セ ンサの研究開発であります。宇宙からのリモート・セン シングの研究は近年急速に脚光をあびてきている研究分 野でありますが,従来研究開発が行われてきたのは主と して可視光,赤外線及び近赤外線の波長領域のものであ りました。当所で開発しようというのはマイクロ波帯及 びミリ波帯の波長を用いたレーダ方式のリモート・セン サで散乱電力から対流圏内の降雨の状況を研究しようと いうものであります。更に将来の問題として太陽発電衛 星に関連して大電力電波伝送の調査研究等も新しい問題 の一つとして検討することが必要かもしれません。
 宇宙分野において最近当所にとって重要になってきた 課題に日米合同調査計画があります。これは昨年7月, NASA(アメリカ航空宇宙局)のラブレイス副長官が来 日した際,我が国の宇宙開発委員会並びに科学技術庁と NASAとの間の会談においてNASA側から提案された ものであります。この提案は日米専門家会議を設立して 宇宙分野における日本と米国の将来の共同プロジェクト の可能性について検討しようというもので,その第1回 の専門家会議が昨年12月12日から15日まで東京で開催さ れました。当所からも村主総合研究官がメンバとして出 席しその他にもオブザーバとして高橋(耕),恩藤,古浜, 川尻の各研究室長が出席して討論に参加しました。科学 と応用の分野について日米からそれぞれ提案事項が説明 されました。第2回の会合が本年3月ワシントンで,第 3回の会合が再び本年6月頃東京で開催され共同プロジ ェクトがきめられることになっておりますが,その結論 によっては当所の研究面にも大きな影響を持つことが予 想されます。
 次に宇宙科学及び大気科学の分野でありますが,先に 述べましたようにISS-bのデータ取得は順調に行われて おり所期の目的である電離層の電子密度,イオン密度の 汎世界的分布図,特にごく最近4か月間に取得したデー タから臨界周波数のUTマップが出来上りました。また 空電による雑音の世界分布図も作成されています。電波 予報も従来の長期的な予報に加えてISS-bのデータを利用 することによって,また整備の終わった平磯支所のチャー プ・サウンダ(FM-CWサウンダ)の受信状況を利用する ことによって,本年は短期予報への研究が一歩前進する ことと思います。電波警報も新しい時代に即応するよう に短波を主体とした従来の警報に加えて衛星通信に影響 を及ぼすような宇宙電磁環境のモニタを行うよう改善が 行われております。
 下層大気のリモート・センシングの研究としてはRASS (電波音波共用探査システム)レーダを用いて本年は更に 充実した実験が行われることになるでしよう。同じく環 境庁の試験研究費によって行っている炭酸ガスレーザを 用いたオゾンモニタの研究も継続して実施されることが 期待されます。
 次に情報処理,通信方式及び無線機器の分野について 述べたいと思います。情報化社会にあって,コンピュー タの利用効率及び信頼性を向上させるためには情報処理 ネットワークシステムが有効ですが,当所では多量の情 報伝送が可能である衛星回線を利用したコンピュータ・ネ ットワークシステムの実験がCSを使用して行われます。 そこでは回線利用効率の高い方式の確立を目指した研究 が行われます。有効な資源である電波を効率よく利用す るために音声通信の場合にも伝送帯域の狭帯域化並びに フェージングや雑音等の妨害に強い伝送方式が必要であ ります。当所ではこれらの要望に応えるため数年前から 音声信号を自己相関関数で処理するSPACという方法 が考案され多大の成果をあげて来ておりますが,54年度 にはECSを利用した通話品質改善の実験等が考えられ ております。本省・電波監理局からの依頼調査項目の一 つであった不法電波発射源の調査法の研究においては昨 年は高感度センサ方式を開発し不法電波を検知出来る見 通しが得られましたので,54年度は予算との関連で本省 と緊密な連絡をとりながら対処して行きたいと思ってお ります。無線設備機器の型式検定については昨年6月無 線設備検査検定協会が設立され10月から業務を開始しま した。当所としても同協会の業務が円滑に運用されるよ う指導並びに協力が必要であろうと思います。
 今後の通信においては画像通信が電信,電話に続く極 めて重要なメディアになるものと考えられます。53年度 の通信白書の中でも画像通信の重要性が指摘されており 個人生活の利便向上,企業活動の効率化等に今後大きく 貢献するものと思われます。その中の代表的なものにフ ァクシミリ通信がありますが,当所でも本省並びに支所 を含めて地方電波観測所との連絡用にファクシミリの採 用を決定し昨年末から運用が行われておりますが,将来 その特性を生かして地方との連絡をより一層緊密にする ため大いに利用していただきたいと思います。
 周波数標準に関してはよりよい精度を目指して水素原 子標準とセシウム標準の研究が本年も継続して行われる ことになります。原子時計の精度の向上と科学の各分野 における精密な時計同期の必要性から世界的規模の時計 の高精度同期の研究が必要になってきております。この 分野での最近の著しい特徴は衛星利用でありましょう。 このため当所では昨年秋からNASAによって開発され た受信機によって航法技術衛星(NTS:Navigational Technology Satellite) に搭載された原子標準時に基づ く信号を受信しております。現在のところ未だ精度の点 で不十分な点がありますが,当所の標準時と欧米諸国の 標準時が従来に比較してより密接に結び付けられたこと は注目すべきであります。本年は更に精度をあげるため きめ細かい研究が必要となりましょう。
 本年から来年にかけてはECS,CSを利用して標準 時刻伝送に関する実験が行われることになっております。 また前述のように. BSを利用した時刻及び周波数供給 システムの実験の準備を本年から始めます。
 超長基線干渉計(VLBI)に関しては,昨年は鹿島支 所と横須賀通研との間でATS-1を利用して小規模な実 験を行い一応の成果が得られました。測地学審議会がま とめた第四次地震予知五か年計画の中でVLBIの開発 を進めるよう建議も行われておりますので,本年からは 更に精度をあげるための検討を行いたいと思っておりま す。
 最後に周波数資源の研究開発の分野でありますが,こ れは将来の電波利用を一層促進させ周波数スペクトラム の有効利用を図るための重要な分野であり未利用周波数 帯と既利用周波数帯とに分けることが出来ます。未利用 周波数帯として40GHz以上の周波数帯では先づ第一に大 気中の伝搬特性を把握する必要があります。特にこの周 波数帯では降雨による著しい減衰が考えられますので, 伝搬路上の雨滴粒径分布を測定し,これらと降雨のタイ プ及び降雨量と電波の減衰量との関連性を研究する必要 があります。この研究は52年度からの7か年計画で行わ れますが,本年は送・受信設備,雨量計等も整備され本 格的な実験が期待されています。既利用周波数帯として は,リンコンペックス方式を利用したVHF,UHFの 狭帯域化実験がありますが,昨年度から実施しており本 年は都内において伝搬実験が行われることになっており ます。本年はまたスペクトラム拡散地上通信方式の開発 研究に着手することになります。この方式はSSRAと 称されている方式で最近特に通信界において話題になっ ているものでありますが,当所では既に過去においてA TS-1を利用してSSRA方式を開発しており,実績を 有する研究分野であります。狭帯域化とは全く逆の発想 で電波の効率化を図ろうとするもので54年度から4か年 計画で研究開発に着手する計画を持っております。
 以上,最初に述べました五つの研究分野について本年 の主要な研究計画を述べた次第であります。御存知のよ うに現在,我が国は経済低成長の時代下にあり当所にと りましても予算面において,また人員面において非常に きびしい面が御座います。特に本年は四つの衛星の実験 運用を実施しなければならないという非常事態を迎えて 職員の皆様には一致協力して対処していただくことを切 望致します。健康には特に注意され,それぞれの立場で 御活躍されることを祈りまして新年のごあいさつと致し ます。




研究室めぐり−その2 電波部宇宙空間研究室

  研究室の生い立ちと変遷
 昭和42年6月に電波研究所は,3次長課室制から1次 長部制に組織がえになり,この時電波部に宇宙空間研究 室が新設されました。初代の室長には旧企画課長の田尾一 彦氏(現当所所長)が就任され,室員は旧企画課から2名, 旧第一電波課第一観測係から3名,旧電波物理研究室か ら2名,旧電離気体研究室から1名と室長を含めて9名 で構成されました。この組織変更の数年前から旧第一電 波課第一観測係において,鹿島支所でテレメータ受信し た国際電離層研究衛星アルエット2号からのトップサイ ド・イオノグラムの解析が進められていました。一方, 旧企画課では「宇宙研究に関する総合的調査」と称する プロジェクトが設けられ,米国の宇宙開発,衛星軌道計 算法,電波天文等の調査が行われていました。これらを 合わせて,発足当時の宇宙空間研究室は「トップサイド ・サウンディングの解析」及び「宇宙空間物理の研究」 という二つのプロジェクトを持つことになりました。
 当時の日本の超高層観測では,VHF赤道横断伝搬, ロケット観測,電離層垂直打上げ等は花形でした。この 中にあって電波研究所のトップサイド・サウンディング は,まさに日本の超高層観測の最先端でした。その後の 宇宙空間研究室のプロジェクトの動向としましては,昭 和43年10月に天体電波観測の細目が鹿島支所へ移された こと,昭和45年4月の「太陽電磁波の電離層への影響」 及び「人工衛星による電離圏磁気圏の研究」の2プロジ ェクトの新設,昭和49年2月の「トップサイド・サウン ディング解析」プロジェクトの情報処理部への転出,昭 和49年4月のそれまでのプロジェクトの廃止と,54302 「宇宙空間諸現象の解析」,54321「VLF宇宙電波の研 究」及び54330「オメガ航法による伝搬擾乱の研究」の 新設,昭和50年4月の54330の廃止,昭和51年4月の 54321の「宇宙空間の電波計測の研究」ヘの名称変更等が 挙げられます。この間に研究室長も羽倉幸雄氏(昭和44 年10月〜49年7月),前田力雄氏(昭和49年7月〜50年7 月)とかわりました。また,宇宙空間研究室の主な研究 内容は,発足当時のトップサイド・サウンディングの解 析から,太陽高エネルギー陽子,X線の電離層への効果 の研究及び磁気圏VLF伝搬波の解析へと変遷しました。 次に宇宙空間研究室の活動が電波研究所の他のプロジェ クトに及ぼした影響について述べたいと思います。これ は宇宙空間研究室の電波研究所における位置づけをも意 味すると思います。発足当時に活発だったAlouette,ISIS (国際電離層研究衛星)によるトップサイド・サウンディン グの解析は,我が国初の実用衛星ISS「うめ」1号,2号によ る上部電離層観測及び電離層短期予報によって受け継が れました。また,太陽高エネルギー陽子,X線の電離層 への効果の研究は,犬吠電波観測所におけるVLF地球 電離層間導波管モード伝搬の研究及び平磯支所における 電波警報業務に少なからぬ好影響を与えました。このよ うに見て参りますと,宇宙空間研究室は,電波研究所の 超高層大気,電波伝搬関係プロジェクトのパイオニア的 な役割を果たしてきたことがうかがわれます。もちろん これらの研究活動は,宇宙空間研究室だけで行われたも のではなく,関連した他のプロジェクトの支援があった ことは言うまでもありません。特に昭和41年頃から始め られたAlouette,ISIS衛星のデータ取得,処理,VLF 電波及びホイッスラの観測に関しては,鹿島支所,情報 処理部,犬吠電波観測所,沖縄電波観測所から多大な御 協力を頂きました。


三次元磁気モデルと製作者(村上利光)

  宇宙空間研究室の現状と今後の方向
 現在の宇宙空間研究室は54302「宇宙空間諸現象の解 析」と54321「宇宙空間の電波計測の研究」と称する二 つのプロジェクトを持っています。前者ではデータ解析, 理論的研究調査を,また,後者では実験観測,データ処 理を主として行っています。この二つのプロジェクトは 全く別のものではなく,一つの研究テーマをソフトとハ ードの両面からアタックしようというものです。
 宇宙空間という言葉は,全宇宙を包含するようで,第 三者には大変な研究室だと思われるかもしれません。宇 宙空間研究室は英語ではSpace Physics Sectionと訳さ れています。Spaceという用語を宇宙関 係に用いたのは,人工衛星が登場して以 来のことで,Cosmology(宇宙論), Astronomy(天文学)とは異り,主として太 陽系空間,しいて言えば,人工衛星が直 接そこへ行って観測データを送って来る 所までと理解して頂ければ十分だろうと 思います。従って当研究室で木星に向っ ているボイジャー衛星の送信機の一つが 故障して,アレシボ(プエルトリコ)のア ンテナからコマンド電波を送る実験をや ったとか,あるいは木星の巨大な磁気圏 が高速回転していて,その中を電導性の イオという木星の月がとり残されて廻っ ていて,デカメートル波長の電波放射源 もあります。しかし日頃我々が研究して いることは,もっと我々の生活に関係し た,太陽活動の変化が地球を取り巻く磁 気圏や電離層に及ぼす効果とか,雷放電 からのVLF電波が地球の磁力線に沿っ て遠く磁気圏を伝搬して来る様子とかの 問題です。それでは最近の宇宙空間研究 室の研究テーマについて御紹介しましょう。


図 ボイジャー1号及び2号の飛行路と天王星(Uranus), 土星(Saturn),木星(Jupiter)の通過予定日

 数年前から当所は国際磁気圏研究観測計画(IMS: International Magnetospheric Study)に参加していま す。我々も沖縄電波観測所と共同して,沖縄でホイッス ラの観測及びその到来方向の測定をしています。ホイッ スラはスピーカで聞くとピューツという尻下りの美しい 音で,雷放電からのVLF電波が地球の磁力線に沿って 反対半球へ伝搬する現象です。従来の観測結果や理論で は,沖縄のような地磁気緯度の低い(15.3°N)所では, ホイッスラは発生しないという定説があり,この観測を 計画する時ためらいました。しかし冬の夜,ホイッスラ が沖縄でもかなりの頻度で観測されました。国際規準磁 場モデルで計算した地球の磁力線の頂点は,双極子磁力 線よりも約300q高い高度700qを通り,都合のよいこと に,この磁力線は冬季の雷活動の中心領域のジャワ島北 東部に入ります。この磁力線に沿って電子密度の濃い不 規則電離があれば伝搬特性をうまく説明できます。沖縄 の弱いスポラディックE層とホイッスラとの同時性及び ホイッスラの到来方向の測定結果は,このような磁力線 沿いに濃い電子密度層があることを示していました。我 々はこの結果を早速国際的学術誌の米国地球物理学連合 のシャーナル(JGR:Journal of Geophysical Research) に発表し,意外な反響を呼んでいます。赤道地帯で 衛星通信電波がしばしば受ける数dBのフェーディング はこうした磁力線沿いの不規則電離によるものと思われ ています。IMSのもう一つのテーマとして,鹿島支所 と協同で,ISIS衛星による磁気圏のVLF電波の観 測を行っています。特に低緯度の上部電離層で,数百へ ルツの周波数に下方から近付くトレースをもつイオンホ イッスラを,世界に先がけて発見しました。よく調べる とこの周波数はその場所の重水素イオンのジャイロ周波 数と一致し,まさに重水素イオンが存在していたのです。 スピーカで聞くと雷様のたいこの音のようにポンポンと 響いてきます。また,中低緯度の地上でしばしば観測さ れる5kHzヒスの起源は20年来の宿題でしたが,ISIS データを解析した結果プラズマポーズ附近(後述)で発生 していることがわかりました。この他磁気嵐後のプラズ マポーズの組成変動をLHR(Lower Hybrid Resonance, 低域混成共鳴)ヒスから求める等,VLF電波の研究 を通して,衛星通信に影響を及ぼす磁気圏の不規則電 難や,磁気嵐時の構造変化に関して我々は多くの新しい 知識を得ることができました。これらのISIS‐VLF データは,平磯のSID(Sudden Ionospheric Disturbance), 犬吠のVLF位相極冠複乱データ,昭和基地の電 離層吸収データ,稚内の電離層嵐データと共に毎年一回 Radio and Space Dataとして,宇宙空間研究室から出 版され,国内はもとより海外でも広く利用されています。
 VLFスペクトルフィルムを作ることはなかなか面倒 なことで,手軽にスペクトルを連続的に見られないもの かとの要望から,スペクトル分析器のビデオ出力を一度 MOSメモリに貯え,それをブラウン管に表示するスペ クトルの動画装置を昨年作りました。これは意外に好評 で,最近,当所を来訪した英国やソ連のVLF研究者が こんな便利な装置は見たことがないと大変な熱の入れよ うでした。宇宙空間の能動的な電波計測に関しては,数 年前に,熱運動する荷電粒子による位相がランダムな散 乱波の電力,ドップラ拡がり,及びドップラ偏移などか ら電子密度,電子・イオン温度,風速等の高度分布を 求めるインコヒーレント散乱レーダの調査に,当研究室 が中心になって若い人達と精力的に取組んだこともあり ます。アラスカのフェアバンクスから40マイルも山奥の チャタニカにあるインコヒーレント散乱レーダを,この 目で見学に行った程の熱の入れようだったのですから… …。地球の赤道上空約2万qの赤道面に,約600qの幅 の間に100個/p^3から1個/p^3へ電子密度が外向きに急減 少する,プラズマポーズと呼ばれる地球プラズマ圏の外 部境界があります。この境界は太陽風から磁気圏に入っ て来た擾乱エネルギーの流れを一時的にせき止め,流れ の向きを変えて中高緯度の電離層に大きな影響を及ぼし ています。この境界に外側の静止軌道から 20kHz〜2MHzのパルス電波を打下げて,そのエコーを電離層の垂直 打上げのような方法で測定して境界の構造を研究する計 画を進めています。最近行われた日米合同調査計画専門 家会議では,NASA側がこの計画に興味を示し,今後 の成行きが注目されています。
 太陽から放出された高速プラズマ流は,南北方向の極 性を持った惑星空間の磁場を運び,地球の磁力線とつな ぎ変わりを生じて,地球磁気圏の尾部に貯えられた巨大 な磁気エネルギーを瞬時に解放して局所的にプラズマ粒 子に与え,オーロラ粒子を加速し磁気圏嵐及び電離層擾 乱を起すと言われています。このオー口ラ粒子は夜側の 静止衛星に衝突して,衛星表面に2万ボルトにも及ぶ帯 電を生じ,これによる電磁干渉のため衛星搭載電子機器 が誤動作し,衛星業務の正常な運用に支障を来たすことが 報告されています。また太陽爆発に伴う磁気嵐は,地球 の磁気圏嵐よりも規模が大きく,電離層嵐を起して地上 の通信回線を寸断し,海底ケーブル,送電線に大電流を 誘起して,業務の運用に支障をきたします。このような 磁気嵐やオーロラ嵐の発生を事前に予知して,嵐の発生 を衛星や電波を利用する機関に警報することは,重要な 社会的業務と思われます。当所では,現在は主として短 波通信を対象とした電波警報が行われていますが,衛星 業務が増加するにつれて,太陽地球環境を対象とした宇 宙警報が必要となるでしょう。このためには,我々はも っと磁気圏や,太陽風や太陽について知る必要がありま す。ISIS(国際電離層研究衛星)のデータ解析からス タートした宇宙空間研究室は,今年で12年目を迎えよう としています。この時機に当り,昨年の日米合同調査計 画専門家会議に提案されたISEE(International Sun Earth Explorer :国際太陽地球観測衛星)のテレメー タ受信及びそのデータ利用が,10年前にISISがISS を先導したように,当所の超高層大気研究の将来を実り 多きものにしてくれることを念願しています。
 なお現在の宇宙空間研究室のメンバーは,私のほかに 中村義勝主任研究官,渡辺成昭主任研究官(カナダ出張 中),村上利光研究官の4名です。

(宇宙空間研究室長 恩藤忠典)




フランスLIMSI-CNRSに滞在して


田中 良二

 音声の分析・合成と音声通信の研究のため,フランス 政府給費留学生として1977年10月から1978年9月までの 1年間フランスに滞在した。この留学生制度は,フラン ス政府が世界各国から毎年留学生を募集しているもので, 文科系3部門と自然科学部門のあわせて4部門があり, 日本からは毎年100名近い留学生が渡仏している。フラ ンス政府から,滞在中の費用と帰国旅費が支給される。 筆者の場合の給費月額は最初の3か月間は1350フラン, あとの9か月は1300フランであった。当時,1フランは 約50円に相当した。国立研究所の職員の場合,科学技術 庁のパートギャランティにより,渡仏旅費の支給を受け ることができる。
 最初の3か月間はフランス中部の保養地ヴィシー (Vichy)にある語学学校CAVILAM (Centre Audio-Visuel de Langues Modernes) で語学研修を受けた。午前3時 間,午後2時間で週25時間の授業は視聴覚方式を多く取 り入れている。なお,1クラス15名ほどの生徒の国籍は 多様であった。放課後は毎日,行事が予定されており, 積極的に参加すればするほど,教室では得られない文化 的な知識が得られ,また他の国からの留学生を通じて, 世界各国についての認識が深まるように工夫されていた。 ここにも,フランス語やフランス文化を世界に広めよう とするフランス政府の絶え間ない努力が着実に実ってい ると感じられた。また,クリスマスを下宿先の家族と過 ごし,新年を迎える町の行事に参加し,フランス人の年 末の行事を体験することができた。
 年が明けてすぐパリに移り,研究が始まった。筆者の 9か月滞在した技術者技術科学情報処理研究所LIMSI (Laboratoire d' Informatique pour la Mecanique et les Sciences de l' Ingenieur) は国立科学研究センタ CNRS(Centre National de la Recherche Scientifique) に属し,パリ南方20qのオルセ(Orsay)にあるパ リ第11大学(Universite Paris-Sud)の敷地の中にある。 オルセは学園都市として開発された地域であり,半分は イベット(Yvette)川の流域で低く,残り半分がムーロン 高地(Plateau de Moulon)になっており,その間はかなり けわしい斜面になっている。LIMSIはこの高台の上に, 計算機センタCIRCE(Centre Inter-Regional de Calcul Electronique) と並んでいる。このCIRCEもCNRS に属する独立した機関で,大形計算機センタとしてのサ ービスを行っている。


研究室にて(筆者撮影)

 CNRSはフランス最大の研究機関であり,大学担当国 務大臣の管轄である。独立した研究所のような組織だけ でも100近くあり,研究費を出したり,他の機関と共同 で運営しているグループは1000を越える。援助先は大学 の研究室が多いようである。CNRSは大学による教育活 動だけでなく,研究活動を国家的な規模で発展させるた めに設立され,数次にわたる5か年計画ごとにその規模 が大きくなっている。
 LlMSIは,パリ第6大学のMALAVARD教授を所長 とし,60名ほどの職員で構成されている。4つの研究グ ループがあり,第1グループでは流体力学の研究,第2 グループでは電子計算機と音声通信の研究,第3グルー プでは図形情報処理の研究,第4グループでは図形,入 力装置の開発などの研究が行われている。筆者は第2グ ループに属し,LIENARD博士の指導を受けた。第2グ ループはRENARD氏を責任者として,研究者と大学院 生合わせて10名ほどである。外国からの研修生も多く, 国際的な雰囲気である。皆,朝早くから夜遅くまで働き, 昼時間になっても仕事を続ける。食堂が終わる寸前に仲 間と食事を始め,にぎやかなおしゃべりが続く。大学構 内には食堂が3つあり,大学の学生,職員はじめ,国立 研究所の職員や外国からの研修生も手続をとれば安く利 用できる。給費の少ない筆者は,4.2フラン(約210円)で 種類の豊富な食事ができたが,収入額による食費の差が あり,同じ食事をとるのに8フラン(約400円)以上の食 券を買う必要がある人もいる。
 ここで,音声通信を目的とした研究について述べてみ よう。音声の分析合成系では,音声伝送に必要な情報伝 送量と合成された音声の品質が問題となる。品質をでき るだけ落とさないで,しかも限られた帯域幅または伝送 ビット率で音声を送るための研究が世界各国で行われて きた。音声の特徴をあらわすパラメータの選び方により, チャンネルボコーダ,フォルマントボコーダ,相関ボコ ーダなどのボコーダが開発され,一方,波形伝送を中心 としたパルス符号化変調PCMや定差変調DMなども開発 された。また最近では線形予測符号化LPCや当所の自己 相関関数による音声処理方式SPACが,波形処理による 伝送方式として開発されている。
 LIMSIで今まで音声研究に用いられてきた手法は,チ ャンネルボコーダ方式による音声の分析・合成器ともい えるもので,分析は,多くのバンドパスフィルタを並べ たフィルタバンクによる各周波数成分の時間変化(周波 数パターン)を計算機に入力して,認識その他の処理を 行う。合成は,計算機で作成した周波数パターンをICO- PHONEと呼ばれる装置に送り出して音声を合成する。 ICOPHONEというのはICON(画像)とPHONE(音声) を合わせた造語である。この方式は,米国ハスキンズ研 究所で開発されたものでパターン・プレイバック方式で行 われていた光学系の処理(パターンの読み取りと発振器 の接・断など)を大幅に電子回路での処理に置き換えた ものである。基本周波数と各高調波に相当する多くの発 振器の出力を,計算機内で作られた周波数パターンに合 わせて接・断し,最後にそれらを加え合わせて音声出力 とする。
 ICOPHONEの方式で注目すべき点は,音声の伝送パ ラメータとして音韻記号が使われていることで,これが 実現すれば,今までのPCMで毎秒64,000ビット,LPC で毎秒3,600ビット必要なところが,毎秒50ビットでよ いことになる。ところが,現在までのところ,音声認識 の技術が確立されておらず,後半のICOPHONEによる 音声合成部分が,計算機からの音声応答装置として使わ れている。LIMSIでは現在,単語認識,連続音声認識 など自然音声の認識に研究の主力を置いており,最終目 標としては,人間と機械の間の総合的な情報交換システ ムを考えている。これらに必要な,自然文(フランス語 の文字列)と音韻記号列の間の自動変換や,認識部に誤 りがあった時の全体に及ぼす効果などの研究も行われて いる。
 筆者は,LPC分析合成系を総合検討したシステムを 作製することとICOPHONEの詳細を理解し,両システ ムを音声通信に応用する際の問題点を比較考察すること をテーマとし,これらの結果を仏文報告書として提出し た。
 フランスにはフランス語音響学会GALF (Groupement des Acousticiens de Langue Francaise)という学 会があり,これは日本音響学会に相当すると思われる。 対象をフランスに限らず,フランス語圏としているため, ベルギー,スイス,カナダなども含まれている。また実 際には,ヨーロッパをはじめ,他の国からも多くの加入 者がいる。GALFの専門別グループの中では音声研究 グループが一番活発に活動しており,年1回の研究会の ほか,各種シンポジウムなどの行事や,活動報告の出版 なども行っている。
 筆者は国立電気通信研究センタのラニオン支所CNET Lannion (Centre National d'Etudes des Telecommunications a Lannion) で開催された第9回音声研究会に参 加することができ,多くの研究者と知り合いになって, 討論し,情報を交換することができた。また,LIMSI 滞在中に,ほかの研究所をいくつか訪問することができ た。各研究所での音声研究は着実に進んでおり,通信工 学や情報処理学などの専門家だけでなく,言語学、音声 学,心理学,生理学など多くの分野の研究者が共通の場 で討論を重ねており,フランスの音声研究は,今後さら に総合的に発展すると思われる。また,共産圏も含むヨ ーロッパ各国との交流も盛んであり,協同研究や相互訪 問による討論も多い。
 筆者は,毎日の研究の合間には,フランス政府による 文化プログラムに積極的に参加し,音声研究と共に楽し い思い出になった。
 最後に,このように有意義な留学の機会を与えていた だいたフランス政府,科学技術庁,郵政本省ならびに当 所の関係各位,始終御指導いただく日本科学技術情報セ ンタ(JICST)企画室長鴫原良樹氏に厚く感謝する。

(情報処理部音声研究室 主任研究官)


短   信


ECS実験施設設備大づめ

 実験用静止通信衛星(ECS)の打上げを2月に控えて ECS地上局設備の建設整備は主局,副局とも着々と進 められ,打上げ前に全て完成の運びとなる。
 ECS地上局設備は既存施設を有効に利用しているた め,その構成は極めて複雑である。次に施設整備の概要 について述べる。
 主局(鹿島支所):@VHP帯運用管制施設の整備− ISSとの共用自動管制システムの開発,Aミリ波帯 10mφアンテナ(ETS-U 実験に使用)の給電系の改造, RF系の整備,Bマイクロ波帯受信用26mφアンテナ系 の改造整備,B時分割多元接続(TDMA)装置を始め とする通信実験端局の整備,D多機能降雨レーダ (ETS-U 実験に使用)にドップラ機能の追加,ECS/BS局 の通信実験端局等とのインターフェース。
 副局(平磯支所):@ミリ波帯10mφアンテナ局の建設, A実験庁舎の建設,BPSK変復調装置,データ処理装 置等の端局装置の整備,C簡易型降雨レーダ,ラジオメ ータ,気象測定器等の整備。
 副局は主にミリ波帯におけるサイト・ダイバーシティ 切替実験に用いられるが,主局と副局の信号連絡には7 GHz帯のマイクロ波回線(美野里中継)が使用される。 これにより,60又は30MbpsのTDMA信号,8Mbpsの制 御信号(気象データ,技術連絡用電話など)が送られる。 本7GHz回線の開通によって,本所,鹿島,平磯間は全 て直接通話が可能となった。
 主局ECS実験庁舎から7GHz回線用鉄塔への約1.2q の信号伝送にはグラスファイバー・ケーブル(4芯) が用いられ,光伝送が行われる(本ニュース11月第32号 既報)。
 ECSによるミリ波実験計画は「世界に先がけた」意 欲的な計画であり,準ミリ波,ミリ波の高い周波数帯に よる衛星通信の開発に貴重な資料が得られるものと期待 されている。



第一回日米合同調査専門家会議の開催

 我が国と米国との間の宇宙分野における共同研究の可 能性をさぐるための第一回専門家会議(本ニュース,第 30号)は,米国からDr.A.Calioを団長とする10名のN ASAの代表団を迎え,昨年12月12〜15日の5日間,東 京で開催された。初日は,科学・応用合同の全体会議が 科学技術庁で開かれ,日米双方の宇宙開発計画,予算制 度の紹介及び共同研究の原則の確認などがあり,午後, 双方の提案テーマによって分けられたサブグループ会議 で,各々関心のあるテーマが紹介された。2日目は,科 学,応用両分野のサブグループが各々,文部省と科学技 術庁に会議場を移し,各研究テーマ毎に討議し,最終日 の合同会議でその結果は報告書にまとめられた。なお, 討議結果は,専門家会議の応用分野のメンバーの1人で ある当所・村主総合研究官がら本ニュースの次号で報告 される予定である。



UJNR地震予知技術専門部会の発足

 UJNR(天然資源の開発利用に関する日米会議)は, 1964年5月,日米両国が自然環境をも含めたあらゆる天 然資源の分野にわたって,政府レベルで科学技術情報を 交換し,天然資源の効率的な開発及び保全を促進する目 的で設置された。昨年10月東京で行われた本会議で地震 予知技術専門部会の設置について提案され,日本側は12 月26日関係省庁連絡会議で次のように決定した。
 当部会は,日米両国が互に観測機器及び手法の研究開 発を行うとともに共同観測等を実施し地震予知技術の確 立に資することを目的とする。また,当部会の日本側の 構成は,部会長に国土地理院長が当たり,委員として国 土地理院,気象庁,地質調査所,水路部,計量研究所, 防災センター,土木研究所,建築研究所,電波研究所の 9機関から各1名とする。当所からは鹿島支所の川尻矗 大第三宇宙通信研究室長が委員として参画することにな った。



ファックス・ネットワークの設置・開通について

 電波研究所の本所と各支所,電波観測所間の通信連絡 は昭和42年以降テレックス回線網により実施されてきた が,これは保守費に比して利用率が低く,宇宙開発関連 のデータ伝送・情報連絡には不適であるため,新たな総 合的情報伝送回線網としてファックス・ネットワ-クを 整備することとし,ファクシミリの機種としてG-U規 格相当品を選定,昨年12月15日全所一斉(沖縄観測所は 4月以降)にその運用を開始した。
 本システムによれば,テレックス回線網では伝送不可 能な文書,資料及び図面等の送付も可能となり,従来に 比して格段の円滑かつ密接な意思疎通が得られるものと 期待されている。