雨滴による電波散乱の研究の現状


第三特別研究室

  はじめに
 情報量の増加に伴って,地上無線回線あるいは衛星通 信回線では,ミリ波など従来より高い周波数帯の利用, 限られた周波数を有効に使用する技術の開発などが急が れている。これらの実用化を阻むものがあるとすれば, その最たるものは降雨による電波の散乱吸収であろう。 こごではこの問題に関連し,主として理論面から研究の 現状について二三述べてみたい。
 雨滴は損失をもつ誘電体であり,雨滴に当たった電波 は一部吸収され一部散乱される。雨滴半径は霧の様に非 常に小さなものから,最大3.5o程度まで分布している。 波長が雨滴半径にくらべ非常に長い場合と,逆に非常に 短い場合は,それぞれレーレー散乱及び光学近似の式と いう簡単な式から散乱の様子を知ることが可能である。 ところが,マイクロ波・ミリ波帯では波長が雨滴サイズ と同程度になってくるので,雨滴を球状と仮定しても, ミー散乱の式と云う複雑な式を用いて数値計算しないと 散乱の様子がわからない。この辺がマイクロ波・ミリ波 帯で雨の問題を扱う際の特徴的な点であり,ほとんどの 問題で常に半解析的・半数値計算的方法をとらざるをえ なくなる。
  偏波間の混信に関係した問題
 1960年に当所で行われた35GHzでの降雨減衰の測定中, 減衰量が入射平面波の偏波方向によって異なることが見 出された。この現象は雨滴が球から変形していることで 解釈できるが,このことは周波数有効利用に関連して近 年重要な意味を持つようになった。即ち,周波数有効利 用の点から,同一周波数で直交する二偏波に別々の信号 をのせ,直交偏波間の独立性を利用して実効的に帯域を 二倍にすることが考えられているが,降雨の際,雨滴が 変形しており,更に雨滴の落下方向が電波の偏りの方向 と角度を持っていると送信信号と直交した偏波成分が発 生し,偏波間に混信が生ずる。この問題を理論的に扱う ため,変形した雨滴による電波散乱の計算が行われてき た。変形雨滴を回転楕円体で近似し,摂動法,回転楕円 体関数による展開法,モード整合法,1976年以降は T-マトリックス法,積分方程式を用いる方法,有限要素法 などで散乱特性が計算された。これらの計算法は種々の 解析的方法と数値計算法の組合せから出来ており,計算 法の進歩は電子計算機の進歩と全く平行しているといっ て良い。落下中の雨滴は理論計算によると,半径170μm 以下ではほぼ球形,半径170μm〜0.5oでは偏平回転楕 円体,半径0.5o〜2oでは底が平らな楕円体,半径2 o以上では底の中央にくぼみのある楕円体となる(図1 参照)。そこで,この様なより実際に近い形についても, 1977年散乱の計算が行われている。雨滴サイズと変形と の関係,雨量と雨滴粒度分布との関係などを用い,さら に雨滴落下角分布を仮定すると,雨量と混信量との関係 が求まる。混信量(交差偏波識別度)は,受信側におい て,送信と同じ偏波の信号強度と雨で発生した直交偏波 成分の強度との比をdBで表わしたもので与えられる。図 2は電々公社電気通信研究所グループが地上伝搬路にお いて2周波で混信量を測定したものであり,上記モデル による計算結果は周波数特性も含め,かなり良く実験結 果を説明しているといって良いであろう。この変形雨滴 モデルを支持するその他の伝送パラメータに対する実 験結果も数多くある。しかし,その他の原因,即ち後述 の多重散乱に基づく混信,アンテナ近傍での影響などが 混信の主因であるとの,ドローニュらベルギーの研究グ ループによる反論も残っていることを付記しておこう。


図1 実効半径3mmの雨滴の形(プルッパカー・ピッター, J.Atmos.Sci.,28,p.86,1971による)


図2 識別度劣化と周波数特性(細矢ほか,信学会アンテナ・ 伝播研資AP75-76,1975による)

 次に.衛星通信回線での偏波間混信は複雑な様子を示 す。即ち,ある場合は変形雨滴モデルで予想される主偏 波減衰量対混信量の関係を示すが,他の場合には主偏波 減衰量が極めて少ないのに大きな混信を示すことが,米 国,ヨーロッパでのATS-6号,米国でのCOMSTAR, 我が国のETS-K衛星などの実験結果から示された。衛 星回線では当然0℃層を突抜けて電波が進む力、ここで 氷晶とか氷片,ひょうなどの雨以外の降水粒子に遭遇す る。これらの粒子が大きな混信の原因ではないかと考え られ,1975〜76年のヨーロッパにおけるATS-6号衛星 の実験を契機として,主として英国ワトソンらのグルー プにより散乱の性質を調べるための計算か行われてきた。 氷晶とか一部の氷片は波長に比べ極めて小さいので, レーレー散乱近似で散乱特性の計算が可能である。一方, ひょうなどの様に波長と同程度かそれ以上の大きさで, 変形も大きい場合,モード整合法による計算はどうもう まく答が出ない様である。これに対し,T-マトリック ス法,積分方程式を用いる方法,有限要素法では答が得 られている。計算例としては,例えば米国のブリンジら による図3に示す様な複雑な形状の氷についてT-マト リックス法で散乱特性を計算したもの,英国のエバンス らによる積分方程式を用いた,かなり薄い氷の楕円体に よる散乱の計算,ごく最近の有限要素法で薄板状の氷の 散乱を計算したものなどが報告されている。ただし,こ れらの計算に使われたモデルは実際に空間に存在するも のと直接対応づけられるものではない。


図3 氷のモデル(ブリンジら,Ann.Telecom.,32, 11-12,p.392,1977による)

 現在衛星回線で観測された氷の影響と考えられる現象 は,前述の減衰を伴わない大きい混信のほか,雷放電に 伴うと思われる混信量の突然の変化,主偏波と直交偏波 との間の位相差が突然180°変わることなどである。これ らの現象に対してワトソンらは氷片の整列を規定する力 学的,電気的な力を仮定し,モデル化を行い,定性的な 説明を行っている。しかし,定量的な対応をとろうとす ると,氷片の形状,向き,数密度,粒径分布など多くの 量を知らねばならないが,これらは現在極めて不十分に しか分かっていない。また,これらの瞬時瞬時の値が分っ たとしても,地上回線の場合のごとく,雨量といった様 な単一の量との対応で説明出来ないので,結果を整理す る場合にも多くの困難があるのではなかろうか。
 話は変わるが,これらの基礎的研究の結果を踏まえ, 受信系で交差偏波を取除く装置の開発も国際電々研究所 などで進あられ,非常に良い結果が得られつつある。ま た,この装置の実用化に関し,交差偏波識別度の帯域内 特性その他のデータが必要となり,新しく計算が行われ た。通信帯域内のわずかな周波数の違いによる雨滴の散 乱特性の違いは予想されるごとくわずかなものであるが, それでも高品質の通信を行う際,無視出来ないものであ ることが分かった。
  降雨散乱による干渉の問題
衛星への送信を行っている地上局などの様に,高出力 の局の近くにある地上マイクロ回線には,降雨による散 乱を介して混信の起るおそれがある。このため,混信量を 予測して,局間の距離,方向などを決める必要がある。 取りあえず,雨滴を球体として電波の入射角と散乱角を 色々と変え,散乱の計算が行われてきた(CCIR, Report 569-1,1978)。球状雨滴でも偏波面の方向によって散乱 の仕方は大きく変わる。変形雨滴についてもドローニュ らにより,最近12GHzで一部計算が行われている。球状 雨滴の場合には,ある偏波方向と散乱方向の組合せで混 信の起らない場合があるが,変形雨滴の場合には混信が 起こりうるので注意が必要である。変形雨滴の場合,入射 波の方向,偏波,雨滴軸などの関係が複雑に組合わされる ので,結果を整理した形で示すには工夫が必要であろう。
  多重散乱の問題量
 これまで述べた話は,雨滴に当たって散乱した電波が さらに次の雨滴に当る,いわゆる多重散乱効果について は考慮していない。従来から雨の様に比較的粒子密度が 薄く,吸収性の強い散乱体では,それ程多重散乱による 影響はないのではないかと言われていた。しかし,波長 のますます短い電波を使わねばならぬ様になった現在, その影響を調べておくことは極めて重要である。
 この10年程の間に,多重散乱に関する理論は長足の進 歩を遂げた。散乱体に比べ,波長がずっと短い場合に成 り立つ前方e^-1散乱近似,散乱体から成る媒質が濃い 場合に成り立つ拡散近似のもとでは解析解が得られてい る。しかし,雨滴の場合,その大きさはミー散乱の領域に あり,また光学距離(強度がe^-1になる距離を1光学距 離とする)も5〜10の範囲が問題になる。それ故,ここ でも半解析的・半数値計算的方法をとらざるをえない。 その様な問題があるにしろ,以前から少しずつ研究結果 は報告されていたが,特にここ数年来多くの人がこの問 題についての多くの論文の発表が見られるようになった。 多重散乱が減衰,交差偏波発生に及ぼす影響については 1975年以来ドローニュのグループが検討を行っている。 これとは別に種々の別な計算法を用い,色々新しい情報 が得られつつある。結果として言えることは,信号の減 衰,交差偏波発生に対する多重散乱の影響は数10GHz程 度ではそれ程大きくない。しかし問題によっては注意し なければならない場合がある。図4に示すごとく,リモ ート・センシングなどの際,雨の層に上方から左旋円偏 波を入射させたとする。雨滴を球体と仮定すると雨から の反射波は右旋円偏波 のみである。そのため, 雨中の対象物(一般に は複雑な形をしている) を検知する際,左旋円 偏波を受信すれば雨に よる反射の影響を除去 することができる。と ころが多重散乱を考慮 すると,球状雨滴でも 左旋円偏波がかなり反 射してくる。図4の曲 線はそれぞれの偏波の 散乱指向性を極座標で 示したもの,斜線を入 れた部分は多重散乱効 果によって生じた特徴 的な部分を表わす。この図では35GHzで,すべて半径3.25 oの雨滴からなる仮想的な雨を考えているので,多重散 乱効果が実際の雨より強調されている。150o/hr程度の 強雨でも,この図よりは影響は少ない。また,雨を突き 抜けた前方方向の波は入射波と同じ左旋偏波のみのはず であるが,これもかなり右旋成分を生ずる。反射の場合 を含め,これらの事は前述の降雨による大電力回線の干 渉を考える際,注意せねばならない。
 さらに,厳密に言えば多重散乱ではないが,雨滴がラ ンダムな位置関係で落下することによる受信信号の振幅・ 位相の変動,帯域内での振幅・位相の歪などがイタりア のカプソーニらによって調べられた。また,ワトソン・ グループは雨滴が落下する際に振動することに着目し, 受信信号のスペクトルがドップラー効果によるものと上 記振動によるものとに分離されることを示し,この振動 周波数から降水の種類,雨滴分布を求めることの可能性 を調べている。


図4 多重散乱波の指向性

  おわりに
 雨滴による電波散乱の研究の現状について,主として 理論計算の面から二三の問題をとりあげ述べてみた。文 献リストを含むより詳細な議論については,来年行われ るURSIシンポジウムの依頼により現在まとめている所 である。同じ報告は当所のジャーナルにも来年度発表し たいと考えているので,関心の向きはこれを参照してい ただけると幸いである。

(主任研究官 小口 知宏)




無線設備検査検定協会の発足と型式検定


通信機器部

  はじめに
 昨年6月財団法人無線設備検査検定協会(以下協会と いう)が設立され,同月9日業務を開始した(昨年11月 の本ニュース第32号の短信参照)。それからはや1年を経 過したので,これを機会に,無線機器の型式検定のその 後の模様について述べる。
  協会の設立と事業内容に占める型式検定
 無線機器型式検定は,海上の人命安全に関する条約に 基づく警急自動受信機及び無線方位測定機などを対象と して,戦前の昭和10年当時から実施されてきたが,戦後, 昭和25年新しく電波法及び無線機器型式検定規則(以下 検定規則という)等の諸法令が整備されて今日の基礎が 確立された。現在,検定対象機種は14機種を数え,郵政 省設置法に基づいて,当所が行っている。この間,無線 局数は160万を超え,型式検定が,電波監理並びに電波 技術の向上に果たす役割も,極めて重要なものとなって いる。しかしながら,激増を続ける無線局の検査の合理 化及び年々高度化する電波の利用等から,検定対象機種 の範囲拡大を要求されることとなり,当所としてもこれ に応えるべく鋭意努力してきたが,予算,要員の制約か ら,これら行政側の要望を満たすことは極めて困難な状 態であった。協会は,これらに対応するため,増大する 業務の一部を肩代りする民間機関として設立されたので ある。これらの経緯は,電波時報(郵政省電波監理局発 行,1979年,No.1)に詳しく述べられているとおりであ る。
 協会の事業内容は,無線機器の試験,検査,検定,性 能証明,無線機器試験用設備の利用の公開等となってい る。協会は,当面,昭和53年郵政省告示第501号に基づ き,FM無線機(F),簡易無線機(C),公共用トラン シーバー(G)の3機種に関する型式検定の実施上必要 な試験業務を行うこととし,この1年間,協会ではこの 実施に重点的に力を注いできた。


協会での試験風景

  協会の発足と型式検定の処理手順等
 協会の発足に伴い,F,C,Gの三機種に限り,郵政 大臣に型式検定の申請を行う場合は,協会の発給した検 定試験成績書を,申請書類に添えて提出すれば,当所は 書面の審査により検定を行うことになったのである。更 に,協会では,賛助会員に対して,型式検定の申請の際 に提出する取扱説明書のチェック等事務処理の迅速化の ための便宜を計っており,通常,図1に示すような処理 手順となっている。試験を厳正に行うことは勿論のこと, 申請者に対しても試験の迅速化を心掛け,その成果を着 々と挙げている模様である。当所においても,専任の審 査担当者を配置して,協会側からの技術的質疑に対して も速やかに対処でき,かつ,協会,申請者,当所相互間 に行違いの起きないよう配慮している。更に,協会と当 所間の意志の疎通を計り常に密接な関係を持ち,業 務の円滑化を図るため,両者問の定期打合せ会をもつな ど,万遺漏なきを期している。なお,F,C,G以外の 機種の申請手続きは,従来のとおりである。


図1 協会へ検定申込みした場合の検定試験処理手順

  協会における試験の実施状況
 協会に試験を実施させるに当たっては,申請機器の構 造及び性能の条件等を確認する技術審査基準の作成,機 器の機械的,電気的条件を試験するための試験要領の作 成等に関しての指導打合せ,あるいは,協会側の試験設 備のチェックや測定器の較正など,努力が重ねられた。 協会の職員に対しても実地研修を行い,試験業務移行の ための数々の問題が克服されて,とにもかくにも業務の 実施にこぎつけたというのが,実感である。53年10月か ら54年8月末までの10ヵ月間の経過をみると,申請機種 は,FとCのみで,試験の総処理件数は154件である。 FとCとの申請割合は約7:3である。月別の処理件数 をみると月平均10数台を処理し,最も多い月は20数台を 処理している。協会における処理期間は,申込みを受け てから,すべて1カ月以内に処理されている模様である。 最新方式による自動化が,測定,作図及び試験成績書な ど精度は勿論,試験のスビード・アップや省力化に寄与 していることがうかがわれる。協会の試験結果は,当所 に送られ,その他の申請書類と一諸に合格の条件に適合 するか否かの審査,判定が行われ,特殊のケースを除い ては,おおよそ1週間程度で処理されている。
  協会の業務開始に伴う型式検定の現状
 従来,型式検定の年間総申請数は約220から250件であ るが,このうちF,C,Gが約50〜60%を占め,検定試 験の業務量のかなりの部分を占めていた。今回,協会へ この3機種の試験が移行したので,この分だけ時間的に も人的にも余裕ができるはずであり,この分を型式検定 を支える測定法や測定器の調査研究及び較正部門の拡充 強化に当てる予定であった。しかし現実には,協会の分 担部分が,いわば型式検定業務に占める試験作業だけに 過ぎず,完全に当所から離れて独立したわけではないた め,そのままの余裕とはならなかったようである。協会 の試験の遂行が,従来からの経緯を踏まえて,円滑に流 れるようにするためには,協会との間に密接な連絡を保 って即応できるよう新たに担当昔の配置の必要があった ことも一つである。しかし,従来,試験作業に追われ,お ろそかになりがちであった基礎的調査や試験設備の改善 整備を多少とも充実させることができるようになったこ とは,一つの大きなメリットである。特に,1974年海上 人命安全条約(74SOLAS)の発効を来年5月に控え, 船舶に設置が義務付けられる無線電話警急自動受信 機,新しく義務化される無線電話遭難周波数による方位 測定機等の検定開始のための,赤道海域における空電雑 音等の調査を初めとする一連の準備や,検定の実施は, 協会の業務開始が遅れていたならば,極めて困難になっ ていたであろう。このことから,協会の発足は誠に時宜 を得たというべきである。当所の型式検定の対象も,昭 和53年度はミニサテ局用送信装置を追加し,本年8月か らは前記74SOLAS発効に備えて種類の増加をみたが, 今後とも電波監理上の要請に応えていく必要があろう。
  おわりに
 型式検定は,電波監理上,国が行う試験であるので, 試験法及び試験設備等が確立されていなければならない ことは当然なことであるが,そのためには,常に国の内 外にわたる技術の進歩に即応する不断の研究調査が必要 である。幸いに協会が設立されて一部の機種ではあるが 試験業務が移行されたことは,当所9調査研究分野を充 実させていくうえにおいて大きな助けとなるものであり, 今後も協会の育成に一層の協力を行うとともに型式検定 業務の円滑な運営につとめる所存である。
 終りに,移行に際し,種々御協力をいただいた電波監 理局,協会及び関係機関の方々並びに御助言,御指導を いただいた所内の方々に深く感謝いたします。

(機器課長 今野 清恒)




第22回COSPARに出席して


栗 城   功

 COSPAR(Committee on Space Research:宇宙空 間研究委員会)は国際学術会議(ICSU)に設けられて いる10の科学特別委員会の一つで,よく耳にする南極研 究科学委員会(SCAR)や太陽地球間物理学特別委員会 (SCOSTEP)などと同列のものである。COSPARはそ の名の示すように,宇宙空間の研究を国際的規模でおし 進め,研究情報の交換を行う国際研究機構であり,スプ ートニクが打ち上げられた翌年の1958年に第1回が開かれ た。当所からは第4回のフィレンツェ(イタリア)開催 の際,青野次長(当時)が初めて出席した。
 今回は5月29日〜6月9日の間,インドのバンガロー ル市(デリーから南へおよそ1800q海抜920mの高地), アショカホテルを主会場として開催された。
  バンガロール会合の概要
 今回の参加者は32か国から総数約460人で,表1のよ うに,インドが特に多く,次いで米国,ソ連,西独,フ ランス等の順となる。日本からの参加者は,平尾邦雄 (東大),加藤進(京大),早川幸男(名大),小川利紘(東 大),渡辺隆(筑波大),土屋清(NASDA)の各氏と筆 者の7人であった。


表1 国別参加者数

 会合は,表2のように,総会と4つのシンポジウム, ワークショップおよび,ワーキンググループ公開会議で 構成され,前半はB〜Dのシンポジウムが並行して,後 半はワークショップと各公開会議が並行して開かれた。


表2 シンポジウム等

 筆者は,5月30日から6月1日まではシンポジウム。 に出席した。これは6つのセッションからなり,そのテ ーマおよび発表論文数は表3のようになる。各セッショ ンの初めにはレビュー講演があり,これには20〜30分の 時間が与えられていたが一般講演は10〜15分であった。 このシンポジウムには全部で79件の論文発表が行われた が,その約70%がインドの研究者によるもので,開催国 のせいもあろうが,インド人のこの分野の研究に対する 並々ならぬ意欲のあらわれとも感じられた。


表3 シンポジウムCの構成

 6月4日,5日は総会とシンポジウムAが,市の中央 部のホールで開かれた。総会には当時インドの首相兼宇 宙大臣であったM.Desai氏が出席し,宇宙開発がイン ドの教育,農業,鉱物資源,気象などにとって如何に有 意義であるかを述べ,またインドの第2号衛星が今週中 にもソ連から打ち上げられる予定であることを公表した。 シンポジウムAは,Physical Res. Lab.の所長であり, Atomic Energy Comm.の議長および Indian Space Research Organisationの秘書官でもあったインド宇宙 研究の大先駆者V.A.Sarabhai教授(1919〜1971)をたた える,米,ソ,豪,印各国の老大家による記念講演であ った。
 6月6日以降のワーキンググループ公開会議にはWG.4 (Experiments in the upper atmosphere)とWG.7 (Space related studies of the moon and planets)の一部 に出席した。ここでも盛り沢山の発表がなされたが, ISS本部の仕事に携わっている筆者に印象深かったのは, 西独の代表が衛星AEROS-A&Bで測った衛星高度の 電子密度とIRI(国際標準電離層)のプロファイルを使 ってF2層最大電子密度を求め,CCIRの電離層分布図 と比較し差違を示していたことと,ソ連の代表が Venera9&10によって得られた金星電離層のプロファイルと理 論計算値を示し両者がよく合うことを示していたことな どである。
  インドの宇宙開発
 インド政府は,宇宙科学技術の開発と利用を推進する ため,1972年にSpace Commissionを設け,宇宙省の 行う政策の策定を行っている。宇宙省は国内の宇宙に関 する研究開発の実行をISRO(Indian Space Research Organisation) を通して推進しており,これにSpace Application Center (アーメダバッド市),ISRO Satellite Center (バンガロール市),Vikram Sarabhai Space Center (トリバンドラム市),Shar Center(スリハリコタ 市)の4つのセンターとPhysical Res. Lab.(アーメ ダバッド市)が付属しているとのことである。
 インドでは,これまで二つの人工衛星が何れもソ連の ロケットにより打ち上げられているが,製作はISRO衛 星センターで行われたと言われている。最初の衛星 (Aryabhata)は1975年4月に打ち上げられ,第2号となった SEO(Satellite for Earth 0bservation)は1979年6 月7日の今COSPAR開催中に打ち上げられ,Bhaskara (天文・数学者名)と命名された。この衛星は高度約500 qの略円軌道で,軌道傾斜角は50.7°,周期95分とのこ とである。衛星には2台のTVカメラと3台のマイクロ 波ラジオメータが搭載されている。インドでは,第3の 衛星として3軸制御の静止通信衛星を1980年にESA (European Space Agency)によって打ち上げてもらう 計画で,これをAPPLE(Arian Passenger Payload Experiment) と呼んでいる。
 諸外国の衛星,例えばATS-6やSymphonieを利用 した通信実験や,ISISからのテレメトリによる科学研 究の行われていることなどは衆知のとおりであるが,さ らにISS-bからのテレメトリも希望しており,宇宙にか ける彼等のすさまじいエネルギーには驚嘆させられる。


COSPAR総会風景

  おわりに
 今回COSPARに出席する機会を与えられ,大いに見 聞を広めることができましたことに対し所長及び幹部の 方々,また,企画,庶務課の担当官の御厚意,御配慮に 深謝します。

(電波部 電波伝搬研究室長)




ニュージーランドヘ出張して


市野 芳明・増沢 博司

  はじめに
 1974年海上人命安全条約の1980年5月の発効に備え, 船舶に設置が義務付けられる無線電話警急自動受信機に ついて,それの型式検定の具体的な実施に必要な空電雑 音等の技術的資料を得ること,また,無線電話遭難周波 数への雑音,混信等の実態及び警急自動受信機の動作状 況等の技術的検討資料を得ることを主な目的として, 昭和54年5月9日から同6月11日までの間,ニュージ ーランド航路に就航しているコンテナ船(ジャパンライ ン所属,ごっとういっと号32000トン)に乗船し,日本 からニュージーランドヘの往復路間での赤道海域におけ る空電雑音等の調査を行う機会を与えられたのでその概 要を報告する。
  調査の概要
1) 2MHz帯空電及び2182kHz混信波のテープ収録
 収録用受信機は無線電話警急自動受信機の帯域幅より やや広い±10kHzの入力波をヘテロダイン受信し,その IF出力を直接テープレコーダに収録した。これらのテー プには次の4種類が含まれている。(1)熱帯性しゅう 雨による雑音,低緯度帯において発生するインパルス性 雑音で,レベルは非常に高く継続時問は2〜3分,長い もので15〜30分のもの。(2)遠距離から伝搬してくる 雷による雑音で,熱帯海域で夕刻から夜間にかけて増加 し,発生回数も多く1バーストの長さが4〜5秒に達す るもの。(3)本航海中では発生頻度は多くなかったが, 近い雷による雑音 で,レベルがかな り高いもの。(4) 継続時間も1分以 内であったが,と もかく受信出来た 混信。
2) 2182kHz無線 電話警急自動受信 機の実施調査
 供試受信機に美 際のアンテナで妨 害波を受信させな がら警急信号発生 器から同時に警急 信号を加えて動作 率を測定し,型式検定試験実施のための基礎資料を得た。
 洋上における警急自動受信機の動作状況は,航海中,遭 難船から発せられた正規の警急信号による動作が2回, 自船のSSB電話による誤動作が1回,原因不明による 動作が1回,計4回で,故障によるトラブルはなかった。
3) 2MHz帯空電の広帯域波形記録
 記録には周波数特性DC〜2.2MHzのVTRを使用し, 各妨害波の代表例について記録した。
4) 2MHz帯空電強度の測定及び統計処理
 雑音強度を測定する手段として本調査では,振幅確率 分布(APD)を用いた。APD測定は,1日4回の定時のほか, 妨害波テープ収録時,警急自動受信機の実施調査時及び 赤道通過時など特別の状況と思われる時に行った。


ニュージランド航路

  船上及びニュージーランドでの雑悪
 本コンテナ船は我が国から,日用品,工業製品を,ニ ュージーランドからは,酪農製品,食肉,またはキウイ フルーツなどをコンテナに積み,平均約21〜22ノットで 休みなく往復する働きものである。乗組員は25人で何故 か関西,九州出身者が多かった。船の食事は種類が多く, 和,洋,中華と変化があり気に入った。サロン食堂での 食事は,地位の順に席が決っていて,皆がテーブルにつ き,やや間をおいた頃船長がはしをとると一斉に食事開始 となる。食事は毎食たっぷり出る。しかし,あまり体を動 かすことがないので,運動不足には注意が肝要である。 風呂は塩水を蒸気で沸かしたものだが,毎日入れたのは ありがたかった。酒は,船員の人達とざっくばらんに話 ができる「日課」の一つで欠かせないものとなった。と ころで赤道に赤い帯は見えなかったが,台風さえなけれ ば熱帯の海は静かなものだとか,赤道の方からみると小 笠原や硫黄島などがずいぶん北の方にあるような認識の 変化,しけには三度会い,船が17°位傾むいたことがあ り,その時は壁をつたわって歩くので大変であったこと など,なにもかも初めて体験した。ニュージーランドでは 最初オークランドに入港したが,先住民のマオリ族と白 人とが混在してうまくとけ合っている様子には好感を覚 えた。街中では,日本と米国の10年以上も前の車がか なり堂々と走りまわっており,タクシー以外はすべてシー トベルトを着用していた。住宅は,日本の半値以下で買 うことができるそうで,広々した芝生の庭に,ハイビス カス,ポインセチヤなど熱帯の植物が植えられていた。神 戸に上陸した時はまだ地面がゆれているような気がした。 本調査により貴重な空電データの収録ができたと考えて いる。
 終りに,この調査に対して,御指導,御援助いただい た電波監理局技術調査課,航空海上課及び格段の御協力 をいただいたジャパンラインの関係の方々並びに当所の 関係者の方々に深く感謝いたします。

(通信機器部 機器課)




モントルー国際テレビジョンシンポジウムに参加して


今 井 信 男

 第11回モントルー国際テレビジョンシンポジウムは, 1979年5月27日から6月1日まで,スイス連邦共和国の モントルー市で開催された。筆者はこのシンポジウムに 参加して,我が国の実験用放送衛星(BS,「ゆり」)の実 験結果について発表する機会を得たので,ここに当シン ポジウムの紹介と,とくにその中で放送衛星に関連する セッション内容について報告する。
 このシンポジウムは1961年スイス郵政省の後援で開設 され,第3回までは毎年開催されたが,第4回以後は隔 年開催となり,今年で11回目を数える。その目的はテレ ビジョン技術の研究,開発に関する成果の発表会,及び それと並行して大規模なテレビジョン機器の展示会を催 すことにより,世界のテレビジョン技術の発展に貢献し ようというものである。開催地のモントルー市はジュネ ーブの東約70qぐらいに位置し,レマン湖畔の風光明び な小都市である。


シンポジウム会場のモントルーパレスホテル

 参加者としては,ヨーロッパ,アメリカ,カナダ,日 本,その他世界の国々の関係官庁,放送企業,及び関連 産業から多数の人々を迎えている。前回の1977年の場合 は,55ヵ国から4000人以上の参加者かあり,展示コーナ ーも160社に達したが,今回はそれを上回ったものと思 われる。我が国からは過去数回にわたって,日本放送協 会(NHK)及び放送機器メーカ等から参加している。今 回は筆者の他にNHK 2名,宇宙開発事業団(NASDA) 1名,そのほか民間メーカからは展示のためもあっ て多数が参加した。
 セッションは,A,Bの2グループに分類され,Aグル ープは「放送システム」,Bグループは「放送設備」に関 するものを取扱った。A,Bどちらも9セッションあり, それらのテーマはVideo prduction,Terrestrial broadcasting, Satellite broadcasting,Digital technology, CATV,New TV serviceなどである。発表件数は全部で 89件あり,国別ではアメリカ20,ドイツ17,フランス14, イギリス11,スイス8,日本6,オランダ4,イタリア3, カナダ3,その他3となっている。
 このシンポジウムは,従来地上のテレビ放送技術をテ ーマとして扱ってきたが,今回は特に最近の放送衛星に 対する世界的な関心の高まりを反映して,「放送衛星設備」 及び「放送衛星システム」という二つのセッションが設 けられた。「放送衛星設備」のセッションはChairmanが カナダCBCのSiocos氏であり,NHKの原氏が moderatorとして活躍された。NASDAの荒井氏による BS衛星本体についての発表のほか,放送衛星用のトラン スポンダ,太陽電池パネル,および受信機などについて の発表がヨーロッパ諸国から行われた。
 「放送衛星システム」のセッションでは,Chairmanが European Broadcasting Union(EBU)のMertens氏, MooeratorがEuropean Space Agency(ESA)の Hieronimus女史であった。セッション前半は筆者による 「BS実験結果」(NHKの小川氏と連名),カナダ Communications Research Center(CRC)のHuck氏による 「CTSの実験結果」,及びESAのCollete氏による「ヨー ロッパの放送衛星計画」の合計3件の発表が行われた。 筆者の発表については,日本のBSが世界でも初めての 本格的な実験用放送衛星であることからその実験成果は 非常な関心をもって迎えられ,発表後応用実験や次期実 用衛星の実現時期等について活発な質問が会場から出さ れた。セッション後半では,上記3発表者に更に数名を 加えたパネリストによるパネルディスカッションが行わ れたが,世界各国の将来の放送衛星に対する考え方や相 違などがわかって大変興味深いものであった。
 セッションのしめくくりのあいさつでMertens氏は, 「今や世界的に見て,放送衛星の実験段階は終わろうと しており,次はいよいよいかに実用段階へ移っていくか が問題であり,次回のシンポジウムには実用放送衛星に ついての発表が多数なされることを期待する」と言われ たが,これはまた大方の参加者の感想でもあるように思 われた。
 我が国としては,今後もこのシンポジウムに参加して, BSの実験成果や,将来の実用衛星計画の進捗状況などを 積極的に発表すると共に,諸外国のこの方面の動向をつ かむことが肝要であると思う。
 シンポジウム会場はモントルーパレスホテル内の2つ の会議場を使って行われた。発表は殆んどが英語で行わ れ,一部がフランス語で行われたが,英,独,仏の三ヵ 国語同時通訳により英語のみで不自由は感じなかった。 しかし旅行中やホテル,街中などでは英語が通じない場 合もかなりあったが,そんなとき筆者の習いたての片言 フランス語でも何とか用が足せることがわかり意を強く した。
 シンポジウムでの発表も無事終えて,帰途は飛行便の 都合もあって,かけ足ではあるがジュネーブおよびパリ に寄り,その一端を見聞できたのも貴重な経験であった。
 最後にこのような国際会議にBS実験成果を報告する 機会を与えていただいた所長をはじめ関係の方々に厚く 御礼申し上げる。

(衛星通信部 主任研究官)


短   信


日米科学技術協力に関する第1回協議会の開催

 日米両国間の非エネルギー分野での科学技術研究協力 の可能性を探るための第1回協議会が9月20,21日の両 日,外務省において,米国側からプレス大統領科学技術 顧問を団長にフロッシュ航空宇宙局長官ら総勢約20名の 代表が,また,我が国から富崎外務審議官を団長に関係 省庁の幹部が出席,開催された。
 20日午前の全体会議では米国側からの協力依頼に至る 背景と基本的な考え方の説明及び討議があり,21日午後 は全体のまとめが行われ郵政省からは田尾所長(21日は 加藤次長が代理出席)が出席した。この会議にはさまれ て,科学技術政策会議(policy talk meeting)の他米国 側から提案のあった「宇宙」をはじめ5分野(全体で24 項目からなる)に対応し作られた分科会が開かれた。郵 政省からは宇宙分科会に三浦宇宙通信開発課長及び村主 総合研究官が出席した。この分野の米国側提案プロジェ クトはGeodynamicsをはじめ4項目であったが,日本 側より,4項目はすべて,本年6月に結論をみた宇宙分 野における日米専門家会議における17項目のプロジェク ト(本ニュース40号)に含まれており,しかも日米専門 家会議の結果については,宇宙開発委員会と米国航空宇 宙局とのり間で,既に合意もできているので,同会議の枠 組に沿って進めるべきとの提案かなされ,米国側はこれ を了承した。
 なお,全体のプロジェクトについては数ヵ月後に開催 されるワシントンでの第2回協議会でさらに詰められる ことになった。



大型降雨実験施設を用いたマイクロ波降雨減衰実験

 当所電波部超高周波伝搬研究室及び衛星計測部第一衛 星計測研究室は,9月6日から18日にわたり,科学技術 庁防災科学技術センター第三研究部降雨実験室の協力を 得て,筑波研究学園都市にある同センターの大型降雨実 験施設を利用し,ミリ波電波の降雨減衰測定及び降雨強度, 降雨粒径分布の測定を実施した。ミリ波を通信やリモー トセンシングに利用する場合,降雨による影響が問題に なる。そこで,再現性がありかつ性質がよくわかっている モデル降雨を用いて,ミリ波降雨減衰と降雨強度,降雨粒 径分布との間の関係を定量的に解明するため実施された。 現在,デ-タを解析中で,この結果は実際の伝搬路におけ る降雨減衰と比較,検討されるほか,マイクロ波雨域散乱 計による観測データと比較しその解析に利用される。



超長基線電波干渉計システム研先開発推進本部の発足

 標記の本部が,佐分利周波数標準部長を本部長として, 10月2日に発足した。当所においては,既に昭和50年, 超長基線電波干渉計(VLBI)の基礎実験を,鹿島支所 と電々公社横須賀電気通信研究所との間で実施し所期の 成果を収めた。そして本年度からは,更に高精度の VLBIシステムの研究開発5ヵ年計画をスタートさせた。 一方,昨年から今年にかけて3回開かれた宇宙分野にお ける日米専門家会議義(本ニュースNo40参照)では,17項 目の日米共同研究が,勧告され,その一項として「地殻 プレート運動の研究」があり,その中で1983年に日本と北 米等との間でVLBI技術に関する共同実験を行うことが 記されている。また,本年9月20日,21日に東京で開か れた日米科学研究協力の第一回協議会においても,米国 はVLBIを含む24項目の日米共同プロジェクトを提案し ている。
 以上のような状況を考慮して,当所ではVLBIシス テムの研究開発を,なお一層円滑,強力に推進するため, 周波数標準部及び鹿島支所の関係職員を主体とする本部 を発足させた。構成メンバ-は次のとおりである。
 (本部長)佐分利 義和 (副本部長)小林正紀
 (主幹)川尻矗大 (本部員)河野宜之・高橋冨士信, 安田嘉之,小林三郎,原田喜久男,尾鳴武之,中島 政雄
 (アドバイザー)村主行康,栗原芳高,岡本裕允, 若井登,石田亨,生島広三郎
 (庶務)糸岡雄三



中国電子学会電波伝搬視察団当所に来訪

 中国電子学会電波伝搬視察団(団長・斬鳳茉・中国電 波伝搬研究所長外6名)が,去る9月1日から同20日ま で来日し,我が国の関係施設と大学等を見学した。
 同視察団の主目的は,我が国の電波伝搬研究の代表的 機関である当所の見学にあり,9月3日及び4日にかけ て,電波部を中心として各部を見学し,5日に平磯支所, 6日に鹿島支所,7日に犬吠観測所を見学したほか日程 を追加して8日には再度電波部を訪れ,専門的な質疑を行 った。さらに17日には団長,副団長が来所して所の幹部 と会談した。その際,当所の田尾所長を来年度中国に招 待したい旨及び電離層観測資料の交換等の提案があり, 今後も交流を深めることとなった。