衛星による国際時刻比較


周波数標準部

  はじめに
 人工衛星による最初の精密時刻比較実験は1962年8月, 実験用通信衛星テルスター(周回衛星)を用いて英,米 両国間で実施された。それ以後,静止衛星の利用を初め とし,衛星及び搭載機器の性能改善,信号伝送技術の進 歩などによる精度の高い比較測定(random errorの減 少),及び測定に付随する物理現象の定量的解明による (systematicerrorの減少)確度向上が可能となり,現在, 衛星は精密時刻,周波数比較の方面でも,主役の座を占 めつつある。以下,衛星を利用した時刻比較の方法と現 在までに得られた主要な成果を概観した後,当所が実施 した国際時刻比較実験のうち,最近の二つの成果につい て述べ,最後に将来の世界的時刻供給システムについて 述べる。
  衛星による時刻比較
 衛星を利用した時刻比較方法は,時刻信号を電波にの せて送る方式により,表1のように分類できる。表中、 片道(one-way)方式は時刻信号を送信局又は衛星から 利用者に向けて送る方式であり,往復(two-way)方式 は時刻信号を利用者A,Bの両方から相互に伝送する方 法である。片道方式には,衛星を時刻信号の単なる中継 器として使う場合と,時刻信号の送信源として使う場合 がある。衛星からの標準電波発射には前者の方法が適し ており,航行衛星には後者が用いられている。いずれに しても,片道方式の場合の時刻比較の確度は,信号が送 信源から利用者まで伝わるのに要する時間(伝搬遅延時 間)がいかに正確に決められるかで決まる。従って,衛 星軌道の状態,軌道決定精度が重要な要素となり,また, 航行衛星では,搭載した時計の進み遅れの一定さも重要 な要素となる。また,電波が電離層や大気中を通過する 際,その伝搬通路が図1のように屈折するとともに伝搬 速度が媒質(電子,水蒸気等)によって影響される。こ れによる余分な遅延時間は,電離層の場合,搬送周波数 の2乗に逆比例するのに対し,大気の場合は,大気圧, 水蒸気圧などに関係し,搬送周波数にはふつう依存しな い。電離層による遅延時間は,上記のような周波数特性 を利用して,同一の発振器から作られた(コヒーレント な)二つの周波数による測定結果から推定できるので補 正が可能である。400MHzと150MHzの2周波数を用いた 場合,衛星の仰角や電離層の状態にも依るが,0.1〜0.2 μs程度には補正が可能である。大気の影響は,周波数に は無関係であるが,仰角には関係し,低仰角ほど遅延時 間誤差は大きくなるがその値は比較的小さい(例えば, 30゜で20nsぐらいであるが,大気測定により補正すればさ らに1桁小さくなる)。結局,片道方式の場合の確度は衛 星軌道決定の確度,電離層の影響とその補正の程度,信 号形式などにより異なり,表1のように,0.1〜50μsと かなり幅を持ったものになる。


表1 衛星による時刻比較


図1 電離層と大気による伝搬遅延

 これに対して,往復方式では,信号の伝搬遅延時間が 両方向でほとんど等しいので,時刻比較の確度はこれの 影響をほとんど受けず,表1のような高確度が得られる が,一般に高価なマイクロ波帯の送受信施設が必要であ るため,利用者は,片道方式とは対照的に,特定の専門 機関に限定される。表2に最近までの主要な衛星利用国 際時刻比較実験を示す。


表2 主要な衛星利用国際時刻比較実験

  当所における最近の成果
(1)ATS-1による実験
 1975年8月,当所は米国航空宇宙局(NASA)と米国 海軍天文台(USNO)の協力のもとに,静止衛星 ATS-1を用い,当所の鹿島局とNASAのロスマン局間で,往 復方式による高精度の時刻比較実験を行った。両局で高 性能のセシウム原子時計を使用し,これらから発生する 高精度の秒信号の伝送には,これらに同期した約16メガ ビット/秒の擬似雑音(PN)符号で搬送波を位相変調 する,いわゆるスペクトラム拡散変調方式を用い,1ns という従来にない時刻比較精度を得た。また,時刻信号 が送信及び受信系を通過する際に生ずる遅延時間の精密 測定を両局で実施し,さらに,後述のサニヤク効果の補 正を行うことにより,確度についても10nsという世界最 高の結果を得た。今世紀初期から,回転円板や地球上で 光干渉計を用いた光の伝搬実験により,回転座標系で測 定される二点問の光の伝搬時間は,その伝搬の向きで異 なることが確かめられていた。これがサニヤク効果で, 往復方式を使った日米間のこの実験では,電波の伝搬時 間は往路と復路で異なることになる。また,その値は地 球の自転角速度と,地球の中心,日米の両局及びATS-1 が作るループ(赤道面上への投影)の面積の積に比例し, この場合数百nsである。上述の高確度は,このような補 正の結果得られたもので,日米間のセシウム時計運搬に よる測定で確認された。この実験は高精度と高確度はい うまでもなく,サニヤク効果が最初に検出できた電波 による衛星実験として,国際的にも非常に高く評価され た。
(2)航行技術衛星1号(NTS-1)による実験
 米国海軍は,海軍航行衛星システム(NNSS)という 現用の衛星航法システムの運用開始後,次の段階として TIMATION(Time Navigationから作った単語)1号 を1967年に打上げた。NTS-1は1974年、TIMATIONシ リーズの三番目の衛星として打ち上げられたが,これら の衛星は,後述の世界測位システム(GPS)の一つ前の 段階の衛星として位置付けられる。NTS-1の諸特性を 表3に示す。当所におけるNTS-1の実験は1978年10月 に開始された。図2は実験の概念図である。図において, 時計Aと時計Bの時刻差はNTSを仲介にして,次のよう に求められる。先ず,A地点で,時計Aと衛星の時計S の時間差を測る。この値から,軌道計算で求めたSA間 の距離(時間の単位で表すことにする)を引けば時計A の時計Sに対する偏差がわかる。衛星が地点Bの上に来 たとき,同様にして時計BのSに対する偏差を求める。 この間,時計Sが全く遅れ進みなく動いたと仮定すれば, 二つの偏差の差が時計AとBの時刻差となる。以上は理 想的な場合で、実際のデータには,図1に示したような 伝搬遅延の変動,軌道決定における誤差,さらに衛星の 時計の変動などが含まれる。軌道決定は米国海軍研究所 (NRL)が数か所の専門の局からの測定値を用いて行う。 また,NRLは,自局をはじめ,当所など各受信者からの 測定データを集め,USNOと各受信者との時刻差の暫定 値及び最終値をそれぞれ,毎週及び数か月ごとに受信者 に知らせる。この最終値によれば,USNOと当所との時 刻比較精度及び確度は,いづれも数百ns程度である。図 3(a)はその一例である。図には原子時計運搬による比 較値も示してある。NTS-1による時刻比較の確度は 前に述べたような諸要素で決まるが,この場合,電離層 による335MHz電波の伝搬遅延とその変動の影響がこの データのばらつきにも出ている筈である。このデータは 335MHz  1周波送信のものであるから,2周波利用の場 合のように,測定時における電離層遅延を実測値から補 正することができない。電離層遅延は伝搬通路上の全電 子数で決まる。当所では,任意の地点での全電子数の日 周変化の月平均値を,地方時の関数として,昼間は正の 余弦関数で,夜間は常数項で表した,いわゆるBentモデ ルを使って,当所とNRLの両受信点で適用すべき遅延時 問の補正値を計算した。図3(b)は同図(a)にこの補正値 を適用した結果で,これにより,データの標準偏差は 0.53μsから0.34μsに減少していると共に,原子時計運搬によ る時刻比較値(USNO PC:Portable Clock)との一致 の度合いも改善された。このような簡単な補正でも相当 有効なことがわかる。なお,右下りの直線傾向は当所と USNOの時計の周波数差(レート差)によるものである。


表3 NTS-1の特性


図2 NTSによる時刻比較


図3 NTS-1による日米間時計比較における電離層遅延補正の効果
   (a)生データ (b)電離層遅延補正つき

  今後の国際比較システム
 以上主として衛星による国際時刻比較技術の現状につ き述べた。一方,比較システムのニーズでは,先ず周波 数標準の国際比較がある。個々の標準の確度は既に 1×10^-13に達しているが,現在のロランCによる比較精度 (1日平均で1×10^-12程度)は不十分で,さらに高精度な比 較システムの早期確立が必要である。また,精密電子航 法や測位システム,さらに高速度のディジタル通信綱な どでも,今後ますます高精度の時刻と周波数が必要にな り得る。このような事情から,国際無線通信諮問委員会 (CCIR)は1978年の京都総会で,衛星による世界的時刻 供給に関する中間作業班IWP7/4を設立し,日本(当 所)を含む西側先進諸国,ユーゴ,中国など10か国のほ か,国際報時局,ESAなどの国際機関もこれに参加した。 現在,活動目標(時刻供給システムの単なる概観報告に するか,または,推奨システムを選んで公式の勧告をす るかなど),システムの在り方などの議論を回章で始めよ うとしているが,1980年6月のCCIR中間会議には,も う少し明確な見解が出されよう。
 このような世界的供給システムを現行又は計画中のシ ステムから選ふとすれば,システムの性能(確度,サー ビス地域など),価格のほか,システムの永続性や信頼性 も考慮する必要がある。その点では,公共性の高いイン テルサットや気象衛星は有利である。インテルサットは 往復方式が使えるので,数10nsの確度が可能であるが, 設備のほか運用費が問題である。米国は二つの気象衛星 の約470MHzの信号に時刻符号と衛星位置情報を重畳さ せている。確度は10μs程度であるが,低価格の受信機か 開発されている。
 NASAが計画中の追跡及びデータ中継衛星システム (TDRSS)は,NASAの地上施設と低高度周回衛星間でテ ータのやりとりをするための静止衛星システムで,198。 〜1981年に運用開始予定である。静止位置は41°Wと171°W が予定されており,日本,オ ーストラリア,北米,ヨーロ ッパが時刻比較可能範囲に入 る。PN符号による時刻信号 を往復方式で送れるので, 10ns程度の高確度が可能である が,利用者設備は相当高価に なることが予想される。なお, 少くとも10年は運用するとい われている。
 次に,静止衛星に適用でき るシステムとして,静止軌道 利用のレーザ同期(LASSO) システムがある。これは,二 局の利用者がレーザ・パルス の静止衛星折り返し測定を, ほぼ同時に行い,衛星上では 両方のパルスの到来時刻差を 測定するもので,1nsの高確 度が可能といわれている。1981年4月打上げ予定の SIRIO-2衛星(気象衛星)を使って実験が予定されている。 測定が気象条件に左右されるほか,設備が非常に高価 (100〜200万ドル)なことが欠点であるが,将来性のある 方法と言える。
 最後に,周回衛星による片道方式の例として,世界測 位システム(GPS)につき述べる。これは米国国防総省 が開発中の,常時利用可能な高精度の航行・測位システ ムで,運用時(1980年代半ば)には軌道半径約26,500q, 軌道傾斜角63°の三つのほぼ円軌道に8個ずつ,合計24個 の衛星が配置され(現在4個),各衛星には原子時計が搭 載される。最低6個は常時何処でも利用可能であるが, 利用者はそのうちの適当な4個を選び,それらからの時 刻信号を受信して,それぞれの距離を測定する。4個の 衛星の位置はわかっているから,これらの測定から利用 者の3次元の位置と時計の時刻偏差がわかる。
 衛星からの送信周波数は1,575MHzと1,228MHzで,こ の2周波数で電離層遅延の補正をする。また,これらの 送信周波数は二つのPN符号でスペクトラム拡散変調さ れている。一つはC/A(Clear/Access)符号で,ビッ トレートは1.023メガビット/秒,他方はP(precision)符 号と呼ばれ10.23メガビット/秒のビットレートを持つ。 GPSによる時刻比較の確度は数10nsといわれているが, P符号の一般利用は当分不可能であろう。精度の低いC/A 符号を使用した場合でも確度は100〜200nsになるようで ある。受信機は未だ開発段階ということもあり,相当高 価である。
 以上,現用及び計画中のシステム中から五つを選んで 述べた。TDRSS,LASSO,GPSなど簡単に優劣はつ け難いが,将来は別として,現状ではGPSが最も手近か なところにあるように思われる。
  おわりに
 衛星を利用した時刻比較方法,国際比較実験のレビュー と当所での成果及び今後のシステムにつき述べた。とく に航行技術衛星による日米間の時刻比較実験は当所にと って貴重な経験であり,将来のさらに高確度の長期的実 験実施への機縁となれば幸いである。

(周波数標準値研究室長  安田 嘉之)




NTC'79に出席して


横 山 光 雄

  はじめに
 米国電子通信会議(NTC'79:National Telecommunications Conference 1979) が,昭和54年の11月27日から 29日の3日間,米国のワシントンで開催された。筆者は SSRA(Spread Spectrum Random Access)関係の 論文二編の発表のため,この会議に出席したので,会議 の内容及び印象等について報告する。
  NTCについて
 NTCは国際通信会議 (ICC:International Conference on Communications) と並んで,IEEEの主催する二 大学会の一つである。ICCが毎年6月に開催されるのに 対しNTCは11月下旬に開催される。NTC'79は,National と銘打ってあるが,その参加国は日本を始め,カナダ, ドイツ,イタリア,インド,ブラジル,台湾,ナイジェ リア,スイス,オランダ,イギリス等と外国勢も多数参 加し,もはや米国内の閉じられた学会ではなく,国際的 ふん囲気がただよった会議であり,このことは今回に 限った事ではない。NTC'79では,51のセッションのもと に251編の論文発表と四つの教育コースが用意された。 会議の取扱う分野は,電気通信に関して考え得るあ らゆる分野を網羅している。毎回会議のテーマが用意さ れるが,今回はTradition of Excellence−Hope for the Future (優秀さの伝統−未来への希望)であった。
  会議の内容と印象
 会議の詳細な報告は,IEEE誌や電子通信学会誌に掲 載されるので,ここでは違った見方で報告する。論文発 表のための会議には,10の部屋が用意され,発表はOHP かスライドで行われた。各セッションの運営の仕方は, Chairman(座長)の独自運営であり,やり方は自由で ある。始めに講演者の紹介をやり,次に発表させる座長 もいれば,「さて時間が来たから始めよう」と言って紹介 なしで発表させる座長もいた。講演時間は20〜25分で, 日本のように講演予定時間の終了を知らせるためにベル を鳴らすようなことはせず,ルーズという感じがした。 人手不足のせいか,セッションによっては座長が司会か ら,講演者のOHPめくり迄一人でこなしていた。講演者 は,一般に早口で相当の分量のスピーチを20分位で終了 させるのが大体の傾向であった。講演者は、ポケットに 手をつっこんだり,座長に次のOHPを出せとか,大きな 態度をとっていた。座長は相当高名な人が担当していた が,机にこしかけたり会場をぐるぐる歩き回ったり,一 般に行儀が悪い。これらのことは,アメリカ人の物事に 対するフランクな態度が原因かとも思われるが,日本人 にとっては,いささか吃驚する。聴衆は全般的にまじめ な聞き方をしていて,1/3位の人間はあちらこちら会場を 変えるためか,出入りが多かった。発表は多岐にわたり, 到底私一人で内容全部を報告できるものではないので, スペクトラム拡散(SS)通信に関してのみ簡単に述べる。 SSに関するものは12編あり内容は次の通りである。 CW妨害波の除去に関するもの(3件),TV信号とSS技術に よるデータ回線の共用化に関するもの(1件), Frequency Hopping(FH)におけるマークとスペースの周波数間隔 の最適化に関するもの(1件),スペースシャトルヘの応 用を考えたシステム及びハード装置に関するもの(1件), 初期接続に関するもの(3件,うち1件は当所から提出), そしてSSにおける能力改善と多重化装置(1件,当所 発表)であった。それぞれ興味深い示唆に豊み,米国に おけるSSの研究対象を垣間見ることが出来た。ロビー での話合いで,一米国人から日本がMagnavox社から SSの機器を購入した理由や当所がSS研究に手をそめてい る理由を聞かれ,日本の事情に関心があるのに驚かされ た。最後に学会出席の機会を与えて下さった関係者の方 々に深く感謝いたします。

(通信機器部 通信系研究室 主任研究官)


短   信


SEASATデータの利用

 1972年のアーツ衛星打ち上げ以来,衛星からのリモー トセンシングの有用性が大きくクローズアップされて来 た。最近注目されているマイクロ波によるリモートセン シングは,従来主流であった可視赤外領域のものに比べ, 天候,昼夜等に関係なく観測が出来るほか,様々な特色 を持ち大いに期待されている。しかし,電波と自然現象 との係わり合いには,まだ不明な部分も多く,そのデー タの解析や利用について解決しなければならない問題が 多い。1978年5月に打ち上げられた“SEASAT”は約100 日で電源が故障したが,高度計,放射計,散乱計,合成 開口レーダと様々なマイクロ波リモートセンサーによる データが取得された。当所衛星計測部第一衛星計測研究 室は,昨年6月に勧告された宇宙分野における日米合同 調査計画の一項目としての「台風による風と波の研究」の グループに参加し,これらのデータの解析を行うことと なった。これにより,我が国が計画しているリモートセ ンシングを目的としている衛星のマイクロ波リモートセ ンサーの開発に,また,電波伝搬路上の気象等の状態が 観測結果に与える影響についての研究成果が日米合同調 査計画に貢献するものと期待されている。



降雨粒径分布測定器の校正

 電波部超高周波伝搬研究室では昨年4月以来ミり波の 伝搬実験を続けている。ミリ波は降雨減衰が大きく,そ の評価にあたっては,降雨の強さと共に,どのような大 きさの雨滴がどれだけあるか,という雨滴粒径分布を知 る必要がある。当研究室ではマイクロホン型の雨滴粒径 分布測定器(Distrometer)を用いている。こうした装 置には正確な校正が必要であり,二,三の方法を考案し いる。今回は当所2号館西側に風よけの円筒を設置し,こ の円筒の中で,適度に大きさの異なる水滴を約10m実際 に自由落下させ,写真判定によってその大きさ,形状, 速度を把握し,この既知の水滴によるこの装置の応答を 調べる。
 期間は1月末から3月末までを予定している。雨滴の 形状,速度の測定データは少なく,貴重な資料が得られ るものと期待されている。なお,ミリ波の伝搬実験概要 および雨滴による散乱については,本ニュースNo.36およ びNo.43を参照されたい。



74SOLAS発効に備えて2MHz帯方探用実験局開設

 1974年海上人命安全条約は,本年5月25日にその効力 を発生する(本ニュースNo.46参照)。それに伴って,発 効後に建造される国際航海に従事する1600トン以上の船 舶は,無線電話避難周波数2182kHzの電波でホーミング が可能な無線方位測定機を設置することが義務づけられ る。この無線方位測定機は,電波法及び郵政省設置法に 基づき,当所が業務の一環として型式検定を実施してい る無線機器に,新たに加えられることになった。当所で は,昨年から,法改正の動きに合せて,検定試験実施の ための準備を進めてきた。本実験局は,法令に定められ た方位測定誤差等の諸特性を測定するための最適な測定 場所の選定及び最も信頼性のある測定法確立のための基 礎資料を得るための信号発信源として開設したものであ る。今後,これを使用して具体的な検定試験法の確立を 急ぐこととなる。その主な性能は, 2100.5kHz;A1,1.5W 及び2163.5kHz;A2,3Wである。