衛星利用捜索救難通信システム


衛星通信部

  はじめに
 現在,捜索救難(Search And Rescue:SAR)通信は, 中短波(2.182MH7),VHF帯(151.5/243MHz)等で, 主に地表波を用いて行われている。遭難信号(SOS)を 受信すると,SARセンタ(我が国の場合は,海上保安本 部等)へ通報するとともに,SOSの発信位置を推定し, 遭難の捜索を開始する。このことから,SAR通信システ ムの必須条件は,遭難通信の受信,発信位置の決定,信 号の解読を迅速,確実に行うことにある。SOSの監視は, 各国の機関で行われている外,航行中の船舶,航空機に その傍受が義務付けられている。我が国の近年の海上遭 難の状況は,表1の通りで,人命救助率は97%に達して いる。我が国の救助率の高い理由として,近海での遭難 が多いことと,遠洋の場合は,漁場又は漁場への航路上 での海難で,僚船に救助されることなどが挙げられてい る。しかし,諸外国の場合,沿岸,漁場,定期航路から 離れた場所,及び高緯度地方に於ける遭難の救助率は極 端に小さくなっている。衛星利用のSAR通信システムで は,全地球をカバーすることが可能なばかりでなく,SOS の発信位置の同定も可能となり,SARシステムの運用費 の軽減も期待できることから,政府問海事協議機関 (IMCO),国際民間航空機関(ICAO)及び国際無線通信諮問 委員会(CCIR)が中心となり,国際的な衛星利用SAR システムの検討が進められでいる。(1)我が国は海洋国で あり,上記の国際的SARシステムの大口ユーザとなる可 能性があること,(2)国際社会の一員として国際的システ ムの開発に分相応の寄与をすベきであること,(3)国際的 SARシステムに参加することにより,我が国の遭難救助 率をさらに高め,かつその効率化を図ることも可能とな ることから,IMCO,ICAOの主管庁である運輸省の電子 航法研究所とCCIRの主管庁である郵政省に所属する当 所とが協力して衛星利用SAR通信システムの研究を進め ている。電子航法研究所の成果は,既に,CCIRレポー ト,電子通信学会誌,電子航法研究所研究発表会等で紹 介されているが,当所の研究に関しては,対外的には, CCIRドキュメントで紹介されているだけなので,本ニ ュースで紹介する。


表1 要救助海難の発生状況(海上保安統計)

  衛星利用SAR通信システムの実験
 衛星利用SAR通信システムの研究のために行われた実 験及び今後の実験計画は表2の通りである。表に示され ているように,衛星の軌道は,今後の実験では,静止軌 道(INTELSAT-X,MARECS)と太陽同期軌道(高度 約850〜900q,NOAA,COSPAS)のみが予定されてお り,運用も,これらの軌道の衛星で行うことが想定され ている。測位は,前者では,航法装置の位置データの転 送,2個以上の衛星による測距,太陽同期軌道では,こ れらに加えて,ドプラシフトからも測位を行うことが, 研究の対象になっている。静止軌道は,遭難信号の捕捉 が常時行える点で太陽同期軌道よりも優れているが,カ バレッジ、測位,伝搬損失の点で劣るため,運用は共用 システムに依る可能性が多い。


表2 EPIRB実験システムパラメータ

  当所のSAR通信システムの概要
 当所が衛星利用SAR通信システムの研究に着手したの は,1978年の夏である。当時,電子航法研究所や欧米で は,既にこの研究が進められていたが,変調方式がいず れも従来のAM,FM等の狭帯域技術(Narrow Band Technique:NBT) によるものであり,当時急速に発展 しつつあった周波数拡散技術(Spread Spectrum Technique:SST) を用いたものは無かった。そこで,IMCOの 事務局が,国際的SARシステムの決定には,NBTとSST の比較が必要と考えて,SSTを用いたSARシステムの 研究を広く呼びかけていたのに答えて当所で研究を開始 した。表2からも明らかなように,欧米でも,ほぼ同じ ころSSTのSARシステムの研究が開始された。当所の 場合,1.6GHz帯で静止衛星を用いるシステムと,406MHz 帯で低高度衛星又は静止衛星を用いるシステムとが並行 して進められている。欧米のSSTのシステムはすべて 1.6GHzで静止衛星を用いるシステムに属し,406MHz帯 でSSTを利用するSARシステムは,現在のところ当所 のもののみである。当所の1.6GHzシステムは,AMES実 験の一部として,1980年10月から海上実験が開始されて おり,その概要は,本ニュースNo.44,No.56,No.58にも示 されている。406MHz帯の受信装置は,1.6GHz帯での成 果を基にして製作中であり,1.6GHz帯の非常用位置指 示無線標識(Emergency Position Indicating Radio Beacon:EPIRB) は,現在製作中の406MHz帯のEPIRB の成果を基にして製作する予定である。1.6GHz帯で静 止衛星を利用するシステムは,SSTの基本特性である周 波数共用特性を用いて地上装置の大部分と衛星を共用し て通常の通信と,遭難通信を行い,システムの費用軽減, 簡易化を図っている。(SSTの詳細については,本ニュ ースNo.32,No.41を参照)。406MHzシステムの実験も行う 理由は,(1)406MHzの方が1.6GHzよりも,同一送信電力 の場合EPIRBの必要電力が少いこと,(2)EPIRBの送 信アンテナが簡単にできること,(3)同一利得のアンテナ で受信する場合アンテナ端子出力が大きいこと,(4)方向 探知機に依るホーミング(遭難点にへリコプター等で行 くこと)が容易なこと等である。当所のSAR通信システ ムの仕様は電子航法研究所,電波監理局の方々のアイデ アも参考にして構成した。
 SSTの利点として,上記の周波数共用のほか,当所で は,次の4点を考えている。
 (1)SSTの特性から,伝送データのビットレイトを小 さくできること,また,周波数ダイバーシチと同様な効 果からフェージングマージンを小さくできることから SSTを用いたEPIRBの消費電力は通常の方式のものよ りも少なくなり,EPIRBの小型,軽量,低廉化が容易 となる。
 (2) SSTの特性から,距離情報(相対値)が得られる ため,通常のドプラシフトのみによる場合よりも,迅速 確実に遭難位置の決定ができる。
 (3) SSTの特性から,マルチプルアクセスが容易なた め,EPIRBのビーコン波の連続送信が可能となり,方向 探知機に依るホーミングが容易となる。
 (4) 太陽同期衛星と静止衛星の共用システムの場合, SSTの特性から,太陽同期衛星が受信した遭難信号を静 止衛星中継でSARセンタへ送ることが容易になる。
  当所のSAR通信システムの実験計画
 当所のSAR通信システムの実験は,図に示す2種類 で,下記の項目が予定されている。
 (@) データ伝送誤り率の測定
 (A) マルチプルアクセス
 (B) 中心周波数の検出(ドプラシフトの検出)
 (C) 距離信号の検出
 (D) 海面反射波,波浪等によるフェージングの測定
 (E) 他の通信とのトランスポンダの共用
 (F) EPIRBの位置の算出
 海上実験は,上記の全項目について行うが,前節で述 ベたSSTの利点(1)の検証と,EPIRBの種々のアンテナ (垂直及び円偏波)にたいする波浪およびその泡,しぶ き等による影響の測定に重点を置く予定である。当所以 外のEPIRBのアンテナは,ドームに入れるか,外観上 ドームに入れたと同じようになるコニカルログスパイラ ル形式が多いようである。
 406MHzシステムのデモンストレーション実験は,1982 年頃打ち上げ予定の米国のTIROS-Nシリーズの気象衛 星NOAA-E,-F,-GのSARパッケイジ及びソ連のCOSPAS 衛星とその地球局を利用Lて行う予定であり,一方1.6 GHzシステムの実験は,1982年頃打ち上げ予定のMARECS, INTELSAT-XのINMARSAT用トランスポンダ とKDDの海岸局を利用して行う予定で,関係機関に要望 中である。これらの実験の成果は,我が国の海洋観測衛 星1号(MOS-1)のデータ収集システム(DCS)の開発に も反映させる計画になっている。


図 実験システム概念図(図中説明の上は406MHz,下は1.6GHzシステムに対応

  おわりに
 我が国は,海洋国であるばかりでなく,世界の船舶通 信装置の大部分が日本製であり,このことを考えると国 際的な衛星利用SARシステムの開発も我が国では効率的 に行える可能性が大きい。従って関係機関及び関連メー カの方々の積極的な御協力を得て,研究は順調に進んで いる。また,当所のシステムが国際的システムに採用さ れる可能性は大きいと考えている。しかし,SSTとNBT は共存できるため,当面は衛星のSAR用トランスポンダ, 地球局の主要部のみを国際的に統一し,変調方式は,国 ごと, 又は地域ごとに自由に決めるシステムとなろう。 その理由は,現在のSARセンタは遭難信号を受信すれば 必ず救助に向かうわけではなく,特定の水域,地域,場 合によっては特定の国籍の場合のみ救助に向かい,その 他は関係国のSARセンタへ遭難信号を転送するだけのこ ともある。一方,衛星利用のSARシステムでは,カバレ ッジが全地球的となるから,遭難データの転送は意味が 無くなり,救助の対象とする遭難信号しか受信できない 方がよいかも知れない。即ち,変調方式は,各国のSAR センタに固有の方式の方が,運用上便利とも考えられる。

(第三衛星通信研究室長 高橋 耕三)




磁気嵐予報の意義とその技術の発達


電 波 部

  はじめに
 当所では電離層の異常現象によって生じる無線通信へ の障害を予測し警告することにより,各種通信システム の有用性をより高めるため,電波警報業務を実施してい る。磁気風は電離層に大きな擾乱を与えるので,当所で は電波警報業務に反映させるため磁気嵐予報の研究を続 けている。近年,磁気嵐が無線通信のほか,宇宙開発そ の他の分野にも大きな影響を及ぼすことが広く認識され, 磁気嵐予報の重要性が増大してきた。一方,磁気嵐の研 究も次第に進み,磁気風予報のための努力は確実にゴー ルに近づいている。ここでは,磁気嵐予報がどんな分野 に応用されるか,磁気嵐予報のための研究がどこまで進 んでいるかを中心に,できるだけ簡単に解説する。
  磁気嵐とは何か
 太陽は周囲の宇宙空間に超音速のプラズマの流れ− 太陽風−を吹き出している。地球はこの太陽風の中に浮 かぶ一個の巨大な磁石である。地球の磁場は太陽風の流 れをさえぎり,逆に太陽風は地球の磁場を有限の領域に おしこめる。こうして地球のまわりに,直接には太陽風 にさらされない領域−磁気圏−が形成される。磁気圏 も電離層や太陽風を起源とするプラズマに満たされてお り,電気的に電離層と結合して電流の立体分布回路にな っている。地表で測定される磁場は,(1)地球固有の磁石 がつくる不変の磁場,(2)地球周辺の空間の電流分布がつ くる変化磁場,(3)この変化磁場によって地中に誘起され る誘導電離がつくる磁場,の合成である。ここでいう変 化とは地球の自転によるものであり,基本的には周期一 日の規則的なものである。しかし時として,日周変化の 数十倍から百倍以上の大きさの地磁気の乱れが突然に, 世界的にほとんど同時に発生し数日間続くことがある。 これが磁気風である。その正体は磁気圏や電離層に異常 に強い電流が流れることにより生じる磁場の乱れである が,これと同時に,あるいは二次的に,磁気圏のプラズ マ分布,放射線帯,電離層,超高層大気の構造に大きな 変化が生しる。つまり磁気風とは,地球周辺の空間全域 で起こる非常に大きな擾乱現象を地磁気の変化からとら えたものであり,現象そのものは磁気圏嵐とか地球嵐と か呼ぶべきものである。宇宙空問科学の研究者が磁気風 という言葉を使う時,その脳裡には磁気圏全体の擾乱現 象が浮かんでいる。このように大規模で多岐にわたる擾 乱現象が総称的に磁気嵐と呼ばれているのは,地磁気の 連続観測が1800年代には既に世界各地で行われており, 地球環境の各種の擾乱現象が地磁気の変化との比較によ り理解され記述されてきたためである。
  なぜ磁気嵐の予報が必要か
 磁気嵐の際に電離層がこうむる擾乱の研究は,電離層 反射を利用する無線通信の実用的要請もあって広く行わ れてきた。磁気嵐の際には極地域の電離層を中心に高エ ネルギーの電子・陽子が降りそそぎ,オーロラを光らせ たり高度80qから110qの下部電離層の電子密度を異常 に増加させる。これと同時に電離層に強い電場が生じ, 異常に強い電流が流れる。高エネルギー粒子の降り込み と電流によって超高層の大気は加熱され,全地球的規模 の運動−風系−が生じるとともに,化学組成,構造が 変化する。この超高層大気の変化と電離層に生じた電場 の効果により,電離層で最大の電子密度をもつF層の電 子密度が減少する。以上が磁気嵐の際の電離層擾乱の概 略である。
 高緯度地域の下部電離層の異常電離増加は,VLF帯 電波の位相変動を起こし,オメガ航法における測位誤差 を生じさせ,MF〜HF帯電波を吸収して通信や放送に 障害を与える。またF層電子密度の減少はHF帯の高い 周波数の電波による遠距離通信を不能にする。
 近年,通信需要の増大に伴い,VHF〜SHF帯の電 波による衛星通信が行われるようになった。衛星通信は 電離層の影響を受けないものとして考えられていたが, 電離層に地球の磁力線に沿う電子密度の不規則構造が発 生すると,そこを通過する電波が強いシンチレーション を起こし,通信障害の原因になることが明らかにされた。 この不規則構造は一般に電離層中に強い電場がかけられ た時に生じるものであり,従って磁気風の際にはシンチ レーションによる障害が発生し易い。実際, 当所が関与 しているETS-U,CS,BSの各衛星,インテルサ ット衛星等でVHF〜SHF帯電波の磁気風による強い シンチレーションの発生が確認されている。磁気嵐が衛 星通信に及ぼすもう一つの影響は,衛星−地上間の全電 子数の変動による伝搬遅延時間の変動である。F層電子 密度の急激な変動による伝搬遅延時間の変化は,衛星航 法,衛星追跡等の精度を悪くするものであり,衛星を利 用した計測技術が向上するに伴い,無視できないものに なっている。
 衛星によるリモートセンシング,航法,測距等の技術 が実用段階に入り,人工衛星の利用が活発になるととも に,磁気風が人工衛星自体の動作に無視できない有害な 影響を与える新しい事実が見出だされている。そのうち でも特に重要なものとして,人工衛星の異常帯電の問題 と宇宙空間における強い放射線の問題がある。一般に人 工衛星は高温プラズマにとりまかれているため,電子と イオンの易動度の差によって負に帯電する傾向がある。 磁気風の際には磁気圏の高温プラズマの流れが強められ ているため,1万ボルト以上にも帯電することが報告さ れている。このような異常帯電時には,放電による電子 機器の誤動作や損傷等が発生することがあるため,衛星 連用は非常に慎重に行う必要がある。磁気風は放射線帯 の粒子フラックスも増大させる。放射線の増大は搭載機 器に有害であるばかりでなく,米国のスペースシャトル 打上げ成功によって今後有人宇宙飛行,宇宙空間におけ る人間活動の機会が増加することを考えると,人体の放 射線被ばくの問題としても重大である。
 一方,磁気風は地表に数ボルト/qの誘導電圧を誘起 し,送電施設,送油管,電話線等のような地上の長い導 体に強い誘導電流を流し,種々の障害を起こす。例えば 送電系においては,異常電力の発生,電圧や周波数の不 安定化,高調波の異常発生等が生じ,その結果,送電系 が発電機の能力を超す過負荷状態になったり,発熱によ る変圧器の損傷やシステム保護用リレーの誤動作等の障 害が生じることが知られている。
 上に述べたように,磁気嵐は通信,人工衛星環境,地 上の諸施設に重大な影響を及ぼす。その障害の発生を予 知して適切な対策を講じることは,これら文明の利器を 用いる現代の社会生活を円滑に維持するために大切なこ とであり,磁気嵐の予報は現代及び近い将来の技術文明 を支える基礎技術の一つである。
  何が磁気嵐を起こすか
 磁気嵐は太陽風と磁気圏の相互作用によって起こされ るものであり,磁気嵐の発達をコントロールするものは 太陽風の速度と太陽風中の磁場である。特に太陽風磁場 の南北成分のコントロールは強く,太陽風磁場が南を向 いたとき磁気嵐が発達し,北を向くと磁気風は回復に向 かうことが知られている。実際,磁気嵐時の地磁気変化 を太陽風速度と太陽風磁場の観測値からかなり正確に再 現する数値モデルもつくられている。このことは,太陽 風の上流で磁気圏に到達する前の太陽風の状態を常時観 測することにより,磁気風の規模と時間的推移をかなり 正確に予報できることを意味する。米国の宇宙環境サー ビスセンタでは,太陽と地球を結ぶ線上,地球半径の約 240倍の距離に浮かぶ人工衛星ISEE-3の観測を利用 して磁気嵐の予報を行っている。この方法は約1時間先 の磁気嵐を予報するものであり,直前予報とでも呼ぶべ きものである。
 もっと早く磁気風の発生を予知するためには,太陽風 の源である太陽を調ベる必要がある。幸い磁気風をコン トロールする南向きの太陽風磁場は太陽風の中の比較的 大規模な乱れによって生じるものであり,そのような乱 れを発生させる原因となる現象を太陽面上でとらえるこ とができる。では,どんな太陽の現象が磁気風の前駆現 象と考えられるであろうか。
「太陽フレア」
 磁気嵐が太陽の自転周期である27日の周期性をもって 起こるものと,全く突発的に起こるものとがあり,後者 が太陽黒点と関係しているらしいことは,すでに1900年 代の初めには認められていた。その後この太陽黒点との 関係は,実は黒点付近で起こる太陽面爆発(太陽フレア) との関係であることが1940年代になって明らかにされた。 正確には,太陽フレアと磁気嵐の関連性の認識は1859年 の太陽フレアの発見までさかのぼる。この年の9月1日, イギリスのカリントンは望遠鏡で大陽を観測していて, 黒点の近くに突然明るく輝く光を観測した。これが太陽 フレアの発見である。そして翌日,太陽フレアから約17 時間後に大きな磁気嵐が地球をおそったのである。カリ ントンはこの事実を王立天文協会に報告している。しか しながら,白色光による普通の望遠鏡で見える太陽フレ アは非常に稀なものであり,太陽フレアの本格的な研究 は1931年に開発された分光太陽望遠鏡を用いて,水素原 子の出す6563Åの光,Hα線による太陽面の観測が開始 されるのを待たねばならなかった。
 Hα線で太陽を見ると,太陽フレアはかなり頻繁に起 こるものであり,全太陽フレアのうちほんの限られたも のだけが磁気嵐を起こすことが分る。それではどんな太 陽フレアが磁気嵐の前駆現象となっているのだろうか。 この問題の手がかりは第二次大戦中,イギリスで行われ た太陽電波の観測によって与えられた。メートル波帯の 電波による太陽の観測で,太陽フレアに伴う強い電波の 放射をとらえたのである。その後太陽電波の観測が各国 で行われ,放射電波のスペクトルも測られるようになり, メートル波帯の電波放射にT型からX型までのスペクト ルの型があることが示された。同時に,太陽フレアには 強い電波放射を伴うものと伴わないものがあり,電波放 射を伴う太陽フレアが磁気嵐と強い関係をもっているこ とが,次第に明らかにされたのである。
 1957年から1958年の国際地球観測年(IGY)には磁 気嵐を中心課題にして国際共同観測を行うことが計画さ れた。このため磁気嵐の予報が要請され,IGYに先立 って蓄積された太陽フレアと磁気嵐のデータが解析され た。この結果,U型とW型の強い電波放射を伴う太陽フ レアが50%以上の確率で磁気嵐の前駆現象になっている ことが初めて明らかにされたのである。
 IGYの豊富な観測と集中的な研究は太陽フレアと磁 気嵐の関係について一つの明確な物理像を与えた。太陽 フレアは太陽の黒点周辺に蓄えられた磁場のエネルギー が爆発的にプラズマの運動エネルギーや粒子放射,電磁 波放射のエネルギーに変換される現象であるが,エネル ギー放出が大きい太陽フレアでは,フレア領域から高速 のプラズマ塊が噴出し,その前方に衝撃波を形成する。 この衝撃波が太陽コロナ中をひろがっていくときに励起 されるプラズマ振動で生ずる電波放射がU型放射であり, プラズマ塊の中に磁場とともに捕えられた高速電子群が 放出する電波がW型放射である。太陽フレアによって発 生した衝撃波は後からプラズマ塊に押されながら2〜3 日後に地球に到達して磁気嵐を起こす。これがIGYの 後に得られた太陽フレアと磁気風の関係についての物理 像である。その後の人工衛星による太陽風の直接観測は この物理像を確認するとともに,磁気嵐の発達をコント ロールする南向きの太陽風磁場は衝撃波の後側の磁場の 乱れによって生じることを示した。
 このように,太陽フレアが磁気嵐の前駆現象であるこ とは物理的にも明らかにされたが,個々の磁気嵐と太陽 フレアとの対応関係を詳しく検討すると,次の二つの問 題につき当る。第一に,強いU型,Y型の電波放射を伴 い,従って磁気嵐を起こすのに十分なエネルギーを放出 したと思われる太陽フレアだけをとっても,実際に磁気 嵐を起こすものは,そのうちの70〜80%である。逆に第 二の問題として,比較的小規模な太陽フレアが磁気嵐の 原因となったと推定される場合もある。この問題は,そ のような磁気嵐に対してもっと明確な原因が見出だされ れば,解決する問題であり,後で述べることにする。
 最近第一の問題に関して興味ある研究結果がレニング ラード大学のグループによって発表された。当然予想さ れることだが,太陽フレアによって噴出するプラズマ塊 とその前方の太陽風は,フレア領域の太陽磁場をある程 度捕捉して地球までやってくるであろう。従って,太陽 面で南向きの磁場をもつ領域で発生した太陽フレアは, 南向き磁場が卓越したプラズマを放出し地球に磁気嵐を 起こすし,逆の場合には磁気嵐を起こしにくいだろう。 実際にいくつかの太陽フレアについてフレア領域の太陽 磁場と太陽風磁場を比較したところ,この推定の正しさ が確認された。この結果は太陽フレアと磁気嵐の対応に ついての第一の問題を解決に導く重要なものである。
「コロナホールと高速太陽風」
 およそ27日の周期でくり返し起きる磁気嵐があること はすでに述べたが,このような磁気嵐は回帰性磁気風と 呼ばれている。この磁気風を最初に説明したのはドイツ のバーテルスである。彼は27日という回帰時間が太陽の 自転周期と一致することから,太陽面上に磁気風の何ら かの原因となる領域が安定に存在すると推論し,これを M領域と名付けた。よく知られている約11年周期の太陽 黒点数の消長と比較したとき,回帰性磁気嵐が太陽黒点 数の下降期から極小期に多く発生することはその後の統 計ですぐに見出だされたが,M領域の正体は太陽コロナ の明るさと関係があるらしいということ以外は不明のま まであった。
 1964年に始まる極小太陽活動国際観測期間(IQSY) に先立って,1963年の11月に打ち上げられた人工衛星 TMP-1による初めての本格的太陽風観測は,惑星間 空間のセクタ構造と呼ばれる太陽から地球周辺の宇宙空 間の構造を見事に描き出した。太陽風に乗って太陽から 伸び出している磁力線の方向を見ると,空間は四つの領 域に分けられていて,磁力線が地球の方へ向かう領域と 太陽の方へ向かう領域が交互に並んでいる。この構造は 安定したものであり,太陽の自転とともに27日の周期で 回転している。しかも磁力線の向きが変わったすぐ後側 で太陽風の速度が急上昇しており,これに対応して地上 では,地磁気の擾乱が観測されているではないか。この 惑星間空間のセクタ構造こそ回帰性磁気風の原因である M領域を説明するものであると誰もが考えた。高速の太 陽風は前方の遅い太陽風にせき止められるように押さえ こまれる。この相互作用によって高速太陽風の前面に乱 れが発生して磁気嵐の原因になるわけである。
 高速太陽風の太陽における吹き出し口と考えられるM 領域が太陽面上で観測されるならば,M領域が地球の方 を向いてから,高速太陽風が地球まで到達するまでの時 間だけ後に磁気嵐が発生すると考えて,回帰性磁気嵐の 予報ができる。M領域の太陽面上での姿は人工衛星 OSO-7,スカイラブによる遠紫外線,軟X線の太陽望遠 鏡によって初めてとらえられた。特に,1973年に打ち上 げられたスカイラブは初の長期有人宇宙船であり,高分 解能望遠鏡の運用を可能にした。10^6K以上にも熱せら れた太陽コロナは遠紫外線から軟X線にいたる短波長の 電磁波を放射して輝いているが, この波長域の電磁波の 放射が弱く暗く見える領域が存在し,ゆっくりと形を変 えながら太陽の自転とともに動いている。この領域がコ ロナホールと呼ばれるものである。コロナホールでは, 太陽面から出る磁力線は放射状に惑星間空間へ広がり, 高速太陽風を吹き出していることがその後の研究で明ら かになり,こうしてM領域の正体がはっきりしたわけで ある。
 コロナホールの発見は,その太陽面における消長と回 帰性磁気嵐の消長を詳しく比較検討する道を開いた。こ の関係を回帰性磁気嵐があまり目立たない太陽黒点数上 昇期について調べた結果,興味深い事実が見出だされた。 太陽活動が活発な時期には寿命の短いコロナホールが存 在して,そこから吹き出す高速太陽風が磁気嵐を起こし ているではないか。この結果は前に述べた太陽フレアと 磁気嵐の対応に関する第二の問題の解決のヒントを与え る。つまり,寿命の短いコロナホールが原因となった磁 気嵐は回帰性を示さず突発的に見えるため,これまでは 無理に太陽フレアにその原因を求め,小規模な太陽フレ アと結びつけられたのではないだろうか。この疑問の正 当性はその後行われた一つ一つの磁気嵐と太陽フレア, コロナホールとの対応関係を調べる試みの過程で,ある 程度裏付けられた。このようにコロナホールの発見は磁 気嵐の原因究明に大きな進展をもたらしたが,なお別の 説明を要する磁気嵐も存在する。1976年から1978年の3 年間を例にとると,全体の25%程度の磁気嵐が太陽フレ アでもコロナホールでも説明困難である。
「フィラメントの突然消滅」
 太陽活動が活発な時期に太陽をHα線で観測すると, 黒い紐状の太陽面にへばりついたようなものが見える。 これがフィラメントであり,比較的温度の低いガスでで きており,光球の光をさえぎるために暗く見えるのであ る。このフィラメントは太陽の周縁部では光球からの光 に照らされて明るく見えるため,紅炎(プロミネンス) と呼ばれている。
 ごく最近,米国の宇宙環境研究所のグループが,太陽 面の中心付近でフィラメントが突然消滅すると,3〜4 日後に磁気風が発生する傾向があることを指摘した。実 はフィラメントの消滅と磁気嵐を結びつける考えはすで に1930年代に提出されていたが,フィラメントとM領域 を対応させようとするいくつかの試みの失敗の後,あま り顧みられなくなっていたのである。ところが、スカイ ラブによる太陽コロナの観測は,フィラメントの消滅に 伴ってコロナ物質の急激な放出現象があることをとらえ た。これにより,フィラメントの突然消滅が太陽フレア と類以の現象として,突発性磁気嵐の原因となり得るこ とが強く示唆されたわけである。
 実際に調べてみると,適当な太陽フレアまたはコロナ ホールとの対応が見られない磁気嵐のほとんどがフィラ メントの突然消滅によって説明できるように見える。し かもそのような磁気嵐の中には,非常に大規模なものが 少くないことがわかる。更に磁気嵐の直接の原因になっ ている太陽風の乱れの構造は太陽フレアによる乱れとも, コロナホールからの高速太陽風に伴う乱れとも明らかに 異る特性を示している。特に注意を引く事実は,太陽風 磁場の乱れが消滅したフィラメント付近の太陽磁場の構 造と関連性を持っているらしいことである。このように フィラメントの突然消滅は磁気嵐の第三の前駆現象にな っている可能性が強く,太陽フレア,コロナホール,フ ィラメントの消滅の三者によってほとんどすベての磁気 嵐が起こされていると考えられるわけである。また,磁 気嵐の第三の前駆現象としてのフィラメント消滅の再発 見は,ちょうどコロナホールの発見により太陽フレアと 磁気嵐の関係をより明確にしたのと同様に,磁気嵐を起 こす太陽フレアの特性を,更に明確にする可能性をも与 えるものである。
  磁気嵐予報のゴールへ向かって
 当所においては,磁気嵐予報の必要性から,磁気嵐の 原因を探る研究が続けられてきた。この間当所は太陽電 波と磁気嵐,コロナホールと磁気嵐,フィラメントと磁 気嵐等,常に世界の研究の先頭グループに加わってきた。 現在我々は磁気嵐予報の研究は確実にゴールに近付いて いるという実感を抱いている。ただ,世界的に見てもこ れまでの研究は,限られた期間について行われたもので あるため,太陽フレア,コロナホール,フィラメント消 滅の三つの原因が明らかになった現在,少くとも太陽黒 点活動の一周期以上の期間に起きたすべての磁気嵐の原 因を調べなおす必要がある。我々は実際にそのような調 査を進めているが,この結果が磁気嵐予報の方法を確立 するものになるであろうと強い期待を持っているわけで ある。

(電波予報研究室 主任研究官 丸橋 克英)




第5回国際ディジタル衛星通信会議に出席のためイタリアに出張して


笹岡 秀一

  はじめに
 このたび第5回国際ディジタル衛星通信会議 (5th International Conference on Digital Satellite Communications, 略称5-ICDSC)に出席する機会を 与えられたので,その概要を報告する。
  会議の概要
 本会議はINTELSAT (International Telecomnmnunications Satellite Organization) と開催国 の衛星通信関係機関が共催して行っている会議であり, 1969年以来3年ごとに開催されている。今回は,35か国 と2国際機関から約400人が参加して,3月23日から26 日にかけてイタリアのジェノバで開催された。会議は, 衛星を用いたディジタル通信の技術およびシステムに関 する広範囲の問題を,世界各国の専門家の間で発表討論 することを目的としている。今回は,(1)衛星回線伝送路 の考察,(2)地上回線網との統合,(3)新規サービスへの応 用,に力点がおかれていた。会議のプログラムと国別発 表件数を表に示す。開会式では,基調講演および技術概 説が行われた。パネル討論では,“統合ディジタル回線 網(ISDNとディジタル衛星通信網との共存)”とのテ ーマで議論が行われた。日本からは,当所の2件(SS RAとパケット通信関係)をはじめ8件の論文が発表さ れた。
  発表した論文
 発表した論文 (Spread Spectrum Multiple Access Communication Experiment via Satellite) は,当所で開発したSSRA装置の紹介と,多元接続特 性,被干渉特性,チャネル共用伝送特性などの実験結果 の報告である。SSRAの海難警報などへの応用につい て,質問があった。別のセッションでスペクトラム拡散 方式による衛星を用いた遭難警報システムの発表があっ たので,それに関連した質問と考えられる。


表 国別発表件数

  各セッションの印象
 表に示すように発表は多岐にわたり,詳細に理解でき ない分野もあったが,ディジタル衛星通信の研究課題と 今後の研究活動について多少知ることができた。
 基調講演では,衛星通信量の増加とディジタル衛星通 信の進歩を振り返ったあと,今後の発展のための課題(技 術的よりもむしろ経済的,政治的)を指摘し,将来(20 〜30年後)の衛星通信システムの予想を述べていた。重 要課題として指摘されたのは,1)コンピュータ通信の発 展にともない,回線交換電話システムとパケット交換デ ィジタル通信網との技術上,運用上および財政上の関係 はどうなるのか,2)今後発展する新規サービスは何か, またこれらの新サービスが新しい通信システム(ケーブ ル,光ファイバー,衛星通信を含む)の設計,施行およ び調整に与える影響はどのようなことか,などである。 また将来方向としては,1)柔軟性と経済性に優れたディ ジタル指向のコンピュータで最適化されたパケット交換 回線網,2)顧客本位に,更に専用化された衛星通信サー ビス,であろうと述べていた。
 各セッションの発表は内容的に分類すると,(1)変復調. (2)伝送,(3)多元接続,(4)信号処理と符号化,(5)地上回線 との統合,(6)新規サービスの分野に大別される。変復調 の分野は基本的なものであり,本会議の発表の4分の1 が関係している。変復調方式としてはQPSK方式が有 望視されており,新たに搭載再生中継器を用いる変調方 式の研究開発が注目されている。伝送の分野では,搭載 中継器の非直線性に関するものが多いが,これとは別に 周波数の有効利用と関連して干渉問題も注目されている。 多元接続の分野では,TDMA(時分割多元接続方式)に 関するものが主流であるが,今後有望なものとしてパケ ット交換方式があり,またスペクトラム拡散多元接続方 式などの新方式も注目されている。地上回線網との統合 の分野は,パネル討論にとり上げられたように重要な課 題であり,特に国内用衛星通信網と地上回線網との共存 が重要である。新サービスの分野では,TV会議を含め たTV関係のサービスが注目されており,またビジネス 用,海難警報用,コンピュータ用,ディジタル音声放送 用,データと画像との複合伝送などの特殊な用途へのサ ービスが提案されていた。
 会議全体として,実用にそった研究とともに新分野を 目指した研究も多く,今後に残された研究課題が多いこ とを感じた。
  おわりに
 衛星通信の需要の拡大と多様化を考えるとき,衛星通 信の研究は今後さらに重要になると思われるが,当所と しても新分野の開発研究などを通して積極的に寄与する ため,今後もTCDSCのような衛星通信の専門会議に 発表していく必要性を感じた。このような会議に出席す る機会を与えてくださったことに対し,またそのために 尽力してくださった皆様に感謝いたします。

(鹿島支所 第二宇宙通信研究室 研究官)


短   信


旭二に西崎太郎氏,端四に狩野忠三氏
−春の叙勲−

 各界国家功労者に対する春の叙勲で,西崎太郎元所長 が勲二等旭日重光章,狩野忠三元事務部長が勲四等瑞宝 章を授与された。
 西崎太郎氏は,昭和34年6月から昭和35年10月まで第 2代所長として在職され,在任中の昭和34年8月から同 年12月までジュネーブで開催されたITUの通常無線主 管庁会議に日本代表団の主席として出席された。その後 電波監理局長として,電波監理行政上の諸問題の解決と 行政の円滑化に卓越した手腕を発揮された。退官後IFRB委員, 電波技術審議会会長として,電波利用の国際 秩序の維持,技術上の諸問題について意見の取りまとめ に尽力するとともに電波行政の発展に寄与された。
 狩野忠三氏は,昭和40年3月から昭和42年4月まで当 所事務部長として在職され,当時電波研究所近代化のた め行った全面的な組織改正に尽力された。また,退官後 は電波タイムズ社取締役としての重職を果され,今も元 気に民間企業で活躍されている。



コンピュータ・ネットワーク実験実施

 情報処理部情報処理研究室では,先に本ニュースNo.57 で紹介したCS利用コンピュータ・ネットワーク基礎実 験を鹿島支所及び山川電波観測所の協力を得て開始した。 4月13日から18日にかけて,パケット伝送基本特性の測 定実験のうち,主としてバースト誤り率特性を測定し, C/Nを変化させながら,誤り要因別にバースト誤り卒 を求めた。なお,誤り訂正をONにした時にC/N換算 で約2dBの改善効果が認められた。また,バースト誤り は完全にスピン周期と一致している。
 5月18日から23日にかけては,バースト衝突時の受信 特性について測定し,順調にデータを取得した。6月に はプロトコルの性能の測定実験を行うほか,蝕等の特別 の期間を除き毎月1週間程度の実験を行う予定である。



日本地球電気磁気学会開催さる

 第69回日本地球電気磁気学会総会並びに講演会は,昭和 56年5月13日から5月15日の3日間,武蔵野公会堂及び 当所講堂において行われた。一般講演227,ポスター講 演21は,同学会としては最大級のものであった。この大 会の開催運営は,当所の同学会々員約30名があたり,企 画部,総務部の協力の下に行われ,総会における小嶋稔 東大教授の謝辞にもあったように「至れりつくせり」の 大好評であった。一般講演は,当所の研究活動とも関係 のある太陽,惑星系,磁気圏,電離層,中層大気等及び 岩石磁気,地殻電気伝導度,地磁気異常,古地磁気等に 関する広範囲なもので,専門外の人にも興味をひくもの が多かった。今大会は,21個にも及ぶ大ポスターセッシ ョンの提示討論会場が設けられ若い研究者の好評を得, 近来にない盛り上った華やいだ雰囲気の大会であった。
 なお,今総会で平磯支所の小川忠彦超高層研究室長が “極域電離圏電子密度不規則構造に関する研究”によ り第85号田中館賞を受賞した。



第60回研究発表会開催さる

 6月3日, 当所講堂において第60回研究発表会を開催 し,外部から145名の来聴者を迎えた。午前3件,午後 4件の発表(プログラムは本ニュースNo.61に掲載)が行わ れた。特に航空海上技術衛星模擬装置と小型船舶地球局 装置による海上通信実験については大きな関心がよせら れ,また,電波・光による中層大気の観測−セントヘレ ンズ火山爆発観測と中層大気国際協同観測計画−や陸上 移動用リンコンペックス方式の実験と評価では活発な討 論が行われた。