最近のCS・BS実験の実施状況


CS・BS実験実施本部

  まえがき
 実験用中容量静止通信衛星(CS「さくら」)による実 験は,昭和53年5月15日に,また,実験用中型放送衛星 (BS「ゆり」)による実験は昭和53年7月20日に開始さ れて以来3年以上経過し,郵政省が日本電信電話公社, 日本放送協会(NHK)及び宇宙開発事業団(NASDA) と協力して実験を実施している。
 なお,BSについては, BS搭載のトランスポンダの 送信機能が停止したため,55年度以降におけるBS実験 については,衛星に残された機能を利用した実験を実施 している。また,55年度からは,CSを用いた基本実験 実施機関以外の機関の参加も得てCS応用実験が開始さ れた。
 ここでは,「CS・BS実験の中間報告」(本ニュース No. 55参照)以後,主として電波研究所で実施した実験に ついての概要を報告する。
  CS基本実験の実施状況の概要
 1. 衛星搭載ミッション機器の特性測定実験
 この実験については,半年ごとに定期チェックアウト を行うことにしており,第6回定期チェックアウトを昭 和56年1月に,第7回を昭和56年7月に実施した。特に 第7回定期チェックアウトにおいては,スピン軸を2度 と第5回定期チェックアウト時(昭和55年7月)より大 きく傾斜させて,より広範囲な搭載アンテナの2次元パ ターンの測定を行った。
 これらの測定の結果,ミッション機器の特性が定常段 階移行直後とほとんど変化のないことを確認した。
 なお,昭和54年12月に準ミリ波帯F3チャネルの進行 波管ヘリックス電流が急激に増加したことから,定期的 に特性のチェックを行っているが,現在まで異常なく実 験に供されている。
 2. 衛星通信システムとしての伝送実験
 (1) 通信方式の検討及び伝送品質の評価に関する実験
 基本的な衛星回線RF特性の測定のほか,FM伝送に おける2波共通増幅時のC/N対SlN特性及び隣接チャ ネル間干渉特性の測定,PSK伝送における降雨時の連 続測定,各種干渉波に対する符号誤り卒特性の測定,太 陽妨害及び蝕の影響の測定等を行った。その結果,準ミ リ波帯において,100〜102dB・HzのC/N0(搬送波電力 対雑音電力密度比)が得られ,972チャネルのFDM電話 を伝送したときに50dB以上のS/Nが得られた。なお, この場合,約5dB以上のマージンがあった。
 (2) 地上無線回線との干渉実験
 小型地球局(アンテナ直径1m)を川崎及び横須賀に 移動し,20GHz帯下り回線が地上系から受ける干渉の調 査を行った。この結果,通常の置局条件では,地上通信 系から衛星通信系への干渉量は地球局の受信システム雑 音(800K)より小さいことがわかった。
 (3) 新しい通信方式の開発に関する実験
 ディジタルFM(FSK)伝送実験を実施した。FM 変復調器を用いて,2値のディジタル信号の伝送を行い, C/N0対符号誤り率特性や中継器の非線形性の影響等を 測定した。その結果,IF折返しに対する衛星折返しの C/N0対符号誤り率特性の劣化は小さく,クロック速度 1.544Mbps,変調指数0.5の伝送において,1×10^-4の 符号誤り卒を得るC/N0は80dBであることがわかった。 さらに,変調指数やフィルタの帯域幅を変えて,C/N0対 符号誤り卒特性,S/N対符号誤り率特性の測定を行い. 最適な伝送パラメータの検討を行っている。
 (4) 時刻と周波数標準に関する実験
 FM-SSRA(Spread Spectrum Random Access: スペクトル拡散多元接続)装置を用いた高精度時刻比較 実験及びFM-TV信号による時刻分配実験を開始した。
 3. 伝搬特性の測定と評価に関する実験
 準ミり波帯ビーコン波(19.45GHz)を用いて多数の局 で受信強度,交差偏波特性等を自動的に測定し,データ を統計的に処理することにより,降雨減衰量の累積責確率 分布を求めるとともに,サイトダイバシティ効果,交差 偏波特性等に着目した解析を進めている。
 また,上り回線及び下り回線の降雨減衰量の相互の関 係を求める測定を新たに行った。その結果,同時測定に よって求められた上下回線降雨減衰比は,理論的に求め られる結果とほぼ同様であったが,雨滴粒径分布の違い などによると考えられる測定結果のばらつきも観測され, 今後詳細な検討が必要であることがわかった。
 4. 衛星通信システムの運用技術に関する実験
 (1) 多元接続技術に関する実験
 PCM/TDMA実験を引き続き実施したほか,SSRA 方式における各種の干渉波及び雑音に対する特性の測定, 中継器の非直線がSSRA信号に与える影響の調査等を 行った。SCPC(Single Channel Per Carrier)通信 実験及びMCPC(Multi-Channel Per Carrier)通信 実験としては,多数波共通増幅時における相互変調積の 測定,パイロット交替特性の測定,MCPCにおけるDSI (Dlgital Speech Interpolation)の動作特性の測定等 を行った。
 その結果,多数波共通増幅実験では,チャネル配列法 の工夫によって,相互変調積雑音の影響を軽減し,中継 器の出力バックオフを小さくして,同時通信チャネル数 を多くできることがわかった。
 なお,当所では非常災害時における運搬,設置,通信 等の運用性を確認するため,小型地球局(アンテナ直径 1m)の車載化を昨年9月に完成させ,CSを介して音 声及び静止画像の公開通信実験を郵政省構内で行った (本ニュースNo. 67参照)。
 また,昭和55年10月からコンピュータ・ネットワーク 基礎実験を開始し,バースト伝送基本特性の測定,プロ トコルの性能評価のためのパケット交換実験等を行った。 この実験では,トラヒック量を変化させた時のパケット の平均伝送遅延特性を測定した。スロット付アロハ方式 では,スループットが約20%になると,パケット衝突が 急激に増加し,システムが飽和する。一方,予約方式及 び複合方式では,65%以上のスループットが得られるこ とが明らかとなった。
 5. 衛星運用管制技術に関する実験
 定常的に衛星の監視を行うとともに,高精度な軌道決 定及び軌道保持の研究を進めている。
 また,精密軌道・姿勢保持実験も継続して実施してい る。特に昭和55年12月から昭和56年2月まで南北方向精 密軌道保持実験を実施し,軌道傾斜角範囲を±0.02°に 保持することができた。
  CS応用実験の実施状況の概要
 CS応用実験は,昭和55年5月に候補項目を選定して 以来,実施準備を進め,同年6月に警察業務用衛星通信 システムに関する実験を開始したのをはじめとして,11 項目について実施している。表にこれらの応用実験項目, 実施機関,実施時期等を示す。


CS応用実験項目,実施機関,実施時期及び実施場所

 応用実験には,基本実験実施機関である当所及び電電 公社に加えて,警察庁,日本国有鉄道,東北大学,日本 新聞協会,電気事業連合会及び国際電信電話株式会社が 参加し,基本実験で整備した地球局等を使用して実験を 進めている。
 以下に,現在までのCS応用実験の実施状況の概要を 述べる。
 1. 警察業務用衛星通信システムに関する実験
 警察庁所属の可搬型のB局(アンテナ直径2m)を東 京,大阪,静岡,札幌,福岡及び千葉に移動して,電話, 写真,テレビ等の伝送実験を実施し、基本特性を取得し たほか,システムの運用に関するデータを取得した。ま た,昭和55年9月には,国土庁が主宰する総合防災訓練 にあわせて静岡と東京の間でテレビ画像の伝送を含む衛 星通信実験を行い,関係者の理解を深めた。
 2. 国鉄業務用衛星通信システムに関する実験
 昭和55年10月から,FM-SCPCによる電話,ファ クシミリ,静止画像等の伝送実験を開始した。昭和56年 7月からは,直径5mのアンテナを持つ国鉄固定局が完 成し,国鉄本社屋上に設置されたことに伴い,国鉄可搬 局(アンテナ直径2m)を静岡に移動して2局間の伝送 実験を開始した。また,昭和56年9月には,国土庁が主 宰する総合防災訓練にあわせて音声及び静止画像の伝送 実験を行い,関係者の理解を深めた。
 3. 災害対策用衛星通信システムに関する実験
 災害時において,異なる衛星通信システムを運用する 機関相互の通信を確保するための災害対策共通チャネル 用付加装置を開発し,昭和56年3月に当所所属のCS主 局及びSCPC局並びに警察庁所属のA局及びB局を用 いて通信実験を実施し(本ニュースNo. 61参照),災害対策 共通チャネル方式の有効性を確認した。写真に災害対策 共通チャネル用付加装置を示す。


災害対策共通チャネル用付加装置

 4. 報道用各種情報の伝送実験
 当所のCS主局及び小型地球局(アンテナ直径1m) 並びに電電公社の準ミリ波車載局を用いて,報道用の各 種情報(ファクシミリ・写真,データ及び新聞紙面)の 伝送実験を昭和56年2月に実施し,各種データを取得し た(本ニュースNo. 60参照)。
 5. 電話品質のオピニオン評価に関する実験
 昭和56年5月から電電公社の副固定局を用いてCS折 り返しの回線を設定し,条件を種々に変化させて通話者 から主観評価値(5段階)を収集している。
 6. 広帯域ディジタル加入者無線方式の接続実験
 電電公社の副固定局及び準ミリ波小型地球局を用いて, 26GHz帯の加入者無線システムの衛星回線による接続実 験を昭和56年4月から開始し,静止画像,高速ファクシ ミリ等の伝送,システムのインタフェース条件等に関す るデータを取得している。
 7. サイトダイバシティ通信実験
 当所のCS主局と平磯受信局を用いて無瞬断サイトダ イバシティ切替に関する実験を昭和56年4月から開始し, 可変遅延線動作特性など基本的なデータを取得するとと もに符号誤り率の優劣でダイバシティ切替が正常に行わ れていることを確認した。ここで可変遅延線とは,主局・ 副局面ルートの伝搬路長を等化するために,自動的に制 御されるものである。
 可変遅延線の遅延制御特性は,CS軌道要素を用いて 算出した期待される制御量と本実験結果との比較から, 1ビット(33nsec)の精度で制御されていることがわか った。
 8. その他
 (1) コンピュータ・ネットワークに関する実験
 昭和56年10月から実験を開始した。なお,東北大学は 地球局の完成(昭和56年12月)を待って実験に参加した。
 (2) 電話回線用高速ファクシミリの利用に関する実験  昭和56年8月に当所のCS主局及びMCPC局を用い て電気事業における系統運用に関連したファクシミリ及 びデータの伝送実験を行った。現在データの解析を行っ ている。
 (3) 高機能画像会議実験
 昭和56年8月から電電公社の副固定局及び準ミリ波小 型地球局を使用して実験を開始し,現在データを収集し ている。
 (4) ネットワーク制御実験
 昭和56年12月から電電公社の副固定局及び準ミリ波小 型地球局を使用して実験を開始し,現在データを収集し ている。
  BS実験の実施状況の概要
 昭和55年5月19日及び6月17日に,BS搭載のR系統 及びA系統のトランスポンダの送信機能が停止し,テレ ビジョン信号を用いた伝送実験は不可能となった。した がって,昭和55年度以降におけるBS実験については, 衛星に残された機能を利用して電波伝搬実験,衛星管制 実験,地上送信局電力制御実験等を実施した。
 1. 衛星放送システムの基本技術に関する実験
 (1) 伝送方式に関する実験
 2副搬送波音声多重テレビジョン放送実験に関しては, 主局内の測定を行い,従来の1副搬送波による衛星実験 の結果と合わせて,高品質な音声2チャネルの伝送につ いて検討した。
 適当な変調パラメータの例として,音声副搬送波周波 数5.003496MHz及び5.503059MHz,映像信号による主 搬送波の最大周波数偏移17MHzp-p,音声副搬送波 による主搬送波の最大周波数偏移1.3MHzo-p,音 声信号による音声副搬送波の最大周波数偏移とした場合, S/Ni4dBで,映像S/N38.1dB,音声S/N60.8dB(第 1音声)又は60.0dB(第2音声)が達成される見込みで ある。なおこれらについては現在電波技術審議会で審議 中である。
 (2)電波伝搬に関する実験
 テレビジョン信号を用いた実験については,昭和55年 6月17日から不可能となったが,約2年間のデータが蓄 積されており,統計処理によって全国各地の降雨減衰状 況及びテレビジョン信号の受信状況が明らかになりつつ ある。また,主局においては,ビーコン波による伝搬特 性に関する実験が継続されており,データの蓄積及び解 析が進められている。
 なお,降雨強度累積分布から降雨減衰累積分布を推定 する方法について検討しており,鹿島主局での2年間の データ及び全国10か所での1年間のデータの解析を試み たところ,ほぼ妥当な結果が得られた。
 (3) 降雨散乱の測定調査
 14GHz帯における降雨散乱実験では,BS主局からBS へ向けて送信したテレビジョン信号を,当所,平磯支所 及び犬吠電波観測所において連続受信し,データを蓄積 している。また,BS主局においては,降雨による後方 散乱波を犬吠で受信し,降雨強度分布の測定等を実施し ている。
 犬吠での1年間の受信データから,時間率0.1%にお ける散乱受信レベルは-83dBm(時間率0.01%において は-78dBm)であることがわかった。これは送受信局の アンテナ直径には関係しない量である。
 (4) ミッション機器の特性に関する実験
 BS主局において,衛星の最終段増幅器を除く中継器 の動作状態を,テレメトリーデータにより定期的に確認 している。また,昭和56年7月と8月に衛星搭載アンテ ナパターンの測定を行い,データの取得を行った。
 この測定では,衛星姿勢をピッチ及びロール軸まわり に約±1°の範囲で回転させ,送信(12GHz)パターンは 鹿島主局でビーコン波レベルを測定することにより,ま た受信(14GHz)パターンは衛星受信電力をテレメトリー 信号より取得することにより測定した。その結果,打上 げ前のデータと概ね一致しているが,ビーム中心より西 側の傾斜が緩やかな傾向も見られた。
 2. 衛星管制技術及び衛星放送システムの運用技術に 関する実験
 (1) 衛星管制技術に関する実験
 定期的に連続MECO制御実験を行った。MECO制 御では,衛星から見た地球中心方向とモノパルス電波到 来方向とのなす角を利用しているため,軌道面傾斜角i の増加に伴う姿勢誤差が懸念されたが,この実験ではi =1°程度までは顕著な誤差は見られず,主局における受 信レベルの変動も±1dB程度と見なせることがわかった。 また,MECO運用中にモノパルス送信装置が故障した 場合のバックアップシステムの動作を確認した。
 さらに,アンテナパターンの測定のために衛星の姿勢 を変化させた際に衛星の姿勢制御機能に関するデータを 取得した。
 なお,55年度秋から宇宙開発事業団の行う開発実験に 協力している。
 (2) 衛星放送システムの運用技術に関する実験
 地上送信局電力制御実験により,降雨減衰及び衛星の 姿勢変動による衛星の受信電力の変化を簡易なシステム においてもp-pで約1.5dB,rmsで0.5dBに補償できる ことがわかった。
 3. 衛星放送受信技術の向上に関する実験
 衛星放送受信の障害となる積雪の影響のうち,主とし てアンテナへの着雪対策を重点に実験した。
 4. その他
 BS実験連絡会の下に受信レベル変動要因検討会を設 け,当所,NHK及びNASDAが協力して,検討を行った。
 受信電界の変動には,地球センサのピッチ又はロール 軸誤差出力等のテレメトリーデータから説明出来るものと, それらからは説明出来ないものとがある。後者について は温度変化による地球センサ出力の誤差及びアンテナ反 射面の急激な温度変化によるビーム指向方向の変動が主 な原因と推定された。

(衛星通信部 主任研究官 今井 信男)




第3回周波数標準と計測シンポジウムに出席して


佐分利 義和

  目的の経緯
 このシンポジウム(Symposium on Frequency Standards and Metrology) は,「広い範囲の周波数標準,すな わちマイクロ波から光までの領域での高分解能分光法に よる原子,分子スペクトルの周波数精密測定」を主題と し,この分野の研究推進をはかるため,討論形式を原則 とした国際集会である。特定の国際機構あるいは組織に 属して恒常的に開催されるものではなく,関連分野の研 究者間の相談によって,その都度,具体化するという特 色をもっている。
 第1回は1971年にカナダのNRC(国立研究院)およ びケベック大学主催で65名がケベック大学に集まり,第 2回は米国NBS(国立標準局)およびURSI(国際電波 科学連合)主催で1976年にコロラド州Copper Mountain に95名が参加して開催されている。
 第3回シンポジウムでは,フランスのLHA(原子時 計研究所)の所長C. Audoin教授を委員長とし,10か国 の13名の委員からなる国際運営委員会が組織され,プロ グラムなどの計画にあたり,フランスのCNRS(国立 研究センター)ほか3機関が主催して経費などを負担し た。今回はトリノに通ずるイタリアとの国境近くの山村 AussoisにあるCNRSの研修センターを会場として,14 か国,125名が泊りこみで10月12日から4日間の討議が 行われた。わが国からは4名が参加し,5件の発表を行 った。
 筆者は当所の水素メーザおよびセシウム標準器の2件 の発表と討議に出席することができたので,以下その概 要を報告する。


会場となったCentre Paul Langevin

  プログラムの概要
 約3時間の通常のセッションが9回,ポスター・セッ ションが2回,合計78件の発表があった。セッション名 および発表件数は次の通りである。
 Optical Frequency Standards (T)&(U)   13件
 Microwave Frequency Standards         9件
 Primary Cesium Frequency & Time Standards 10件
 Storage and Cooling             6件
 Frequency Synthesis             6件
 Applications(T) & (U)           9件
 Poster Session (A) & (B)          18件
 Post Dead Line Papers            7件
 全講演を大別すると,(1)レーザを用いた光領域の研究 が29件,(2)マイクロ波帯の研究(含水晶発振器)が30件, (3)イオン分光および光冷却が7件,(4)応用および一般計 測などが12件であった。
  マイクロ波帯原子周波数標準
 (1) セシウム標準器:PTB(西独),NRC(カナダ), NBS(米国),電波研,計量研およびNIM(中国)の 研究状況報告に続き,パネル討論が行われた。国際原子 時に見られる原因不明の周波数の季節変動とも関連して, BIHのGuinot氏は今や正確さ1×10^-13では不十分で あるとの見解を述べ,また,討論の中でも現行方式の精 度向上が飽和している現状を改善するための多くの意見 が出された。また,確度評価に際して考慮すべき新しい 要素として,空胴内の黒体輻射による周波数のズレが室 温で-1.7×10^-14あるとの発表がなされ,今後の問題と して注目された。一方,現行方式での難点を解決し,確 度10^-14以上が可能であるとして注目されている光ポン ピング方式セシウム標準器について,光シフトの検討, 低速度原子を選択する提案などが発表された。
 (2) 水素メーザ:当所のマヨラナ効果を用いた動作特 性の改善,NBSの受動形装置の長期安定度のほかに, 発振形と受動形との特性比較および極低温での実験が発 表された。極低温のスペクトルQ値としては10^12が観測 されており,10^-18という高安定度も期待される。
 以上のはか,ポーランドから小形セシウム,ルーマニ アから水素メーザ,中国からルビジウム標準器の商用 化,水素メーザ,ルビジウム・メーザの報告があった。
  光周波数標準
 (1) 周波数精密測定:波長の異なる数台のレーザから なる周波数チェインにより,メタン安定化レーザの周波 数をセシウム周波数標準を基準に絶対測定を行い,一方 その波長をクリプトンの長さ標準で測定し,これらの結 果より光速度を従来より2桁よく決定したことはよく知 られている。このような測定をさらに精密にするための 周波数チェインの構成,安定化レーザの再現性向上,可 視光相互のビート測定などが報告された。
 (2) 高分解能および高感度分光法:光領域スペクトル のドップラ幅は,波長が短かいためにマイクロ波帯のそ れに比し1万倍も広い。この対策として,二つのレーザ 光による2重共鳴により光軸方向の速度成分のない原子 のみのスペクトルを観測する飽和分光あるいは偏光分光, さらに全原子のドップラ効果を相殺するような2光子分 光などを開発してきた。本集会では,セシウム標準器で 使用されている2空胴形 Ramsey 方式に類似の方法を 光領域で適用するための諸検討および実験結果が発表さ れ,高分解能化への有効性が示された。また,高感度分 光法として,スペクトルの強度変化の検出ではなく,分 散特性を利用する光ヘテロダイン飽和分光法などの報告 があり,その他,超音速ノズルによる低速かつ一様速度 のビームの利用など新しい方法も示された。
  イオン・ネトレージビレーザ冷却
 電子のg因子の精密測定に使用されているトラップを 利用し,その中にイオンを閉じこめ,これにより得られ る鋭いスペクトルを周波数標準にするという提案はかな り以前からあり,実験も行われてきた。しかし,このイ オン・ストレージ方式の難点として,温度に依存する2 次ドップラー・シフトの補正,信号のSN比が低いなどが あり,標準器としての期待がやや薄れてきていた。とこ ろが最近,レーザ冷却という新方法,すなわち共鳴レー ザ光の光圧により,原子を極低温にまで冷却することが 可能となり,また光ポンピングにレーザ光を使うなどし てスペクトルのSN比改善の見込みがたち,再び脚光をあ びてきた。本集会では,フランス,西独および米国から, スペクルトQ値として2〜3×10^10,あるいはレーザ冷 却で10〜50mKの実現,トラップされた1個のイオンの 写真など興味深い発表があり また水銀イオンにより, 10^-16台の安定度と10^-15の確度の標準器が可能であると の提案もあった。さらに,ソ連からは,レーザ冷却と3 次元のレーザ・トラップの検討結果が報告された。
  応用計測
 すでに高安定周波数標準器を利用している航法,通信, 深宇宙衛星トラッキング,相対論効果の検証実験のほか, 重力波検出などの科学観測への今後の応用について,そ の現況と所要安定度の報告があった。
  まとめと感想
 第2回集会から5か年間が経ち,各分野での進歩にす ばらしいものがあり,特に光領域の各種技術の開発によ る高精度化,レーザ冷却の実現,イオン・ストレージ実 験の進展などが印象に残った。マイクロ波帯周波数標準 の精度向上にもレーザ冷却,安定化レーザによる光ポン ピングなど光領域の最新技術利用が不可欠となってき たことは勿論であり,光も電波の延長であるという実感 や各種の量子効果などに自然の深さを改めて感じた。各 セッションともその道の大家,活発な研究者が参加し, 熱心な討論と関連深いテーマの連続であったので,正直 なところ4日間を終了した時には飽和に達したという感 じであった。しかし,雄大な山々に囲まれた大自然の中 での,多くの研究者との寝食を共にしたつき合いは楽し いものであり,また帰途ジュネーブでCCIR会議に出 席中の大滝周波数課長,中橋調査部長とともに藤木IPRB 委員御夫妻と一時を遇せたこともよい想い出となった。
 終りに,本シンポジウム出席にあたり,フランス国立 研究センター(CNRS),また種々御配慮,御世話にな った当所関係の方々に深く感謝いたします。

(総合研究官)




ミラノ理工科大学滞在記


森河  悠

 イタリア政府による給費留学制度は,日伊両国問の交 換留学制度として古くから実施されている。日本側の窓 口は文部省で,留学生は2年毎に芸術分野を中心に6〜 7名が選抜され,イタリア政府より往復の航空券と月々 の給費及び健康保険が支給される。筆者は1980年度の給 費留学生としてミラノ理工科大学(Politecnico di Milano) に1980年11月より1年間滞在し,マルチビームアンテナ を用いた衛星通信システムに関する研究を行う機会を得 たのでその概略を報告する。
 ミラノ理工科大学
 ミラノ市は長靴の形をしたイタリア半島北部の中央よ り少々西寄り北緯45度28分,東経9度11分に位置する。
 ミラノ理工科大学は市東部の学園地区に在り,14学科 の理工学部と5学科の建築工学部で構成されている。筆 者が滞在したのは大学付属の電気通信研究所 (Laboratorio di Telecomunicazioni,Istituto di ELettrotecnica ed Elettronica) で,同研究所はイタリア学術会議(CNR: Consiglio Nazionale delle Ricerche)の宇宙通信研究セ ンタ(CSTS:Centro di Studio per le Teleeomunicazioni Spaziali) を兼ねている。同研究所の主要研究テ ーマは,(1)ミリ波帯電波伝搬特性の研究,(2)テレビ信号 の高精度ディジタル化と伝送に関する研究,(3)通信ネッ トワークの構成に関する研究で,F. Carassa教授以下25 人の職員がこれらの研究に従事している。25人の職員中 5人が大学,12人がCNR,残り8人が両者に所属する 複雑な構成で,さらに13名の教授,助教授と12名の研究 員に分かれている。研究予算はCNRの支出が大半を占 め,1980年度予算は約2億5千万リラ(1980年11月の為 替レートで約6千万円)である。
 ミリ波帯電波伝搬特性の研究は,1977年9月に打上げ られた実験用通信衛星シリオ(SIRIO)の11/18GHz帯電 波の降雨減衰特性の研究を中心に行われ,衛星経由の商 用国際通信を取扱う会社Telespazioと共同で研究を進め ている。テレビ信号の高精度ディジタル化と伝送に関す る研究は,テレビ会議の伝送を目標として帯域圧縮等の 研究が進められており,1985年ESAが打上げを予定し ている多目的衛星L-SATによる伝送実験が計画されて いる。
 また,通信ネットワークの構成に関する研究では,主 として衛星通信におけるランダムアクセスの研究が行わ れており,現在L-SATのためのSS-TDMA方式の研究 が進められている。
 筆者は上記最後の研究グループに属し,マルチビーム アンテナを使用する移動体用通信衛星に,オンボードス イッチを採用した場合のシステム特性の解析を行った。
 研究所は,8時から20時迄の12時間出入り自由で,多 くの職員は2時間近い昼休みを除き,9時前から19時頃 まで勤務している。他では考えられない真面目な職場で ある。ちなみに,イタリアの公共機関の多くは,8時か ら14時迄が勤務時間で,窓口は12時半頃に閉まる。研究 所では,午前と午後の2回のコーヒーブレーク(イタリア ンコーヒーはエスプレッソと呼ばれ濃くて苦い)が習慣 で,濃いコーヒーを飲みながら政治,経済,天候,休暇 など種々雑多な話題について,肩をすくめ手を使ってお しゃべりをする。自分の意見を述べることにより自己の 存在を主張しているのだそうである。仕事に関する議論 も同様で,長時間飽きることなく続くのが常である。
 ミラノの東約30qアッダ川沿いの広大な畑の中に,ミ ラノ理工科大学付属の受信専用のスピノダッダ(Spino d'Adda) 地球局がある。同地球局は,直径3.5mのアンテ ナを用いた,SIRIOからの11GHz帯電波の受信信号記録 系,降雨レーダ,雨量計による降雨の記録系,及びデー タ処理系を有し,常時アナログ及びディジタルによる記 録が行われている。


ミラノ理工科大学

 宇宙開発
 現在宇宙開発を進めている組織は,暫定的なものであ り正式に認められた組織ではない。暫定組織の構成を図 に示す。


宇宙開発体制(暫定)

 宇宙開発関連諸機関の開発計画に関する要求は,正式 な宇宙開発体制が決定するまでの間,宇宙開発の全体的 な管理機関である宇宙計画会議(PSN:Piano Spaziale Nazionale) でまとめられ,CNRを経由して宇宙関連省 庁連絡委員会(CIAS:Commissione Interministeriali Attivita Spaziali) に提出される。CIASは宇宙関連省 庁の代表によって構成される機関で,提出された関連機 関の諸要求をもとに宇宙開発方針を作成し内閣に勧告す る。勧告された開発方針は,国会の審議を経て決定され る。一方,開発に関する予算は,予算省(国の財政は大 蔵,税務,予算の3省で運営され,一般にトロイカ方式 と呼ばれている。支出は予算省の管轄)からCNR及び PSNを通じて各機関に配分される。
 宇宙開発に関して国を代表する機関は,科学技術省の 宇宙グループ(GSMRS:Gruppo Spaziale presso Ministero Ricerca Sientifica) で5〜10人のメンバー で構成されている。
 衛星本体の開発は,宇宙開発関連会社の出資で組織さ れた通信衛星製造会社(CNS: Compagnia Nazionale Satelliti per Telecomunicazioni)が担当し,SIRIO及 びSIRIO-Uの主契約会社として衛星開発の実績を有し ている。
 イタリアには現在以下のような衛星開発計画があり, 1979〜1983年の5か年で2000億リラ(約500億円)の予算 支出が認められている。
 シリオ計画:独力で開発した実験用通信衛星SIRIOは 1977年9月米国より打上げられた。主として11/18GHz帯の 電波伝搬実験が行われ,設計寿命を2年以上経過した現 在も正常に運用されている。一方,気象データの分配と レーザによる時刻同期を主要ミッションとするSIRIO-U は,CNSで開発,製造が進められ,先頃ESA (European Space Agency)に引渡された。1982年春アリアン5号機 により打上げられる予定である。
 サンマルコ計画:ローマ大学航空宇宙研究センター (CRA:Centro Ricerchle Aerospaziali)のフロリオ教授の下 で進められている科学衛星計画で, 4号衛星までの打上 げが完了し,5号衛星の開発が行われている。衛星はケニ ア沖のプラットホームから打上げられている。
 通信衛星計画:20/30GHz帯電波による電話,データ及 びテレビ中継と40/50GHz帯の電波伝搬実験を主要ミッシ ョンとする準実用の国内衛星ITALSATは,1990年代の 実用国内通信衛星のための技術の蓄積が期待され,1987 年末に打上げが予定されている。現在概念設計に相当す るphase Aが終了した段階である。
 なお,ESAが1985年末に打上げ を予定している大型多目的通信衛 星L-SATの開発に主要国として 参加している。CSTSではL-SAT 搭載のためのSS-TDMAの開発研 究を進めている。
 放送衛星計画:イタリア放送協 会 (RAI:Radio Televisione Italiana) が中心となって進められ ているテレビの直接放送衛星計画 で,衛星の開発より個別直接受信 のための受信機の開発及び普及を 大きな目標としている。
 イタリアでは上記のような宇宙 開発が精力的に進められているが, 私には現在の低品質な国内電話回 線網の拡充が衛星開発に先行すべ き課題であるような印象を受けた。
 イタリア雑感
 “南国イタリア”,“輝く太陽の 国”などのイタリアに対するキャッチフレーズとは逆に, ミラノの長い冬は寒く霧の日が多い。それでも,日曜と もなると公園や広場の寒い日たまりで数人のグループが 幾つかでき,長時間議論に熱中している光景を見ること ができる。“国民一人一人が共和国の大統領”といわれ る程政治好きな国民で,話題の多くは政治,経済問題で あるが,その他スポーツや休暇のことなど多岐にわたる。
 午後の散歩は習慣となっていて,昼食後の3時頃から 繁華街はおしゃべりをする人達や,ウィンドーショッピ ングを楽しむ大勢の人達で賑わいを見せる。国の財政は 破産寸前に追い込まれているが国民個人は豊かで,ショ ーウィンドーに飾られている高価な商品や,個人の家の 素晴しい絵画や重厚な家具類はその豊かさを証明してい るように思われる。反面盗難事件が多く,その自衛策と してのドアの鍵の数や,物々しい警報器には驚かされる。
 治安を悪くしていると考えられる他の要因にテロリズ ムがある。滞在中,週に一度の割合でテロ事件が発生し, 大規模なテロ反対キャンペーンが実施されていた。  ストライキの多発も問題であり,産業別や部門別のス トライキが次々と行われ長期間に及ぶことがしばしばで ある。特に,交通機関のような公共機関のストライキの 頻発は旅行者には悩みの種である。
 風光明媚な国土は三方の海と北のアルプスに囲まれ, 気候は一般には他のヨーロッパ諸国と比べて温暖で,四 季を通じて豊富な果物に恵まれている。特に,しぼりた ての血のようなオレンジジュースの風味は格別である。 食べることを愛する国民性からか,前菜に始まりデザー トで終る食事のルールは,一般家庭でもかなり厳格に守 られている。食事を通しての彼等との交際は,相互の理 解を深めるのに多大な効果があるように感じた。
 紀元前8世紀にさかのぼるこの国の歴史は古く,古代 ローマからルネッサンス期にかけての遺跡や美術,工芸 品などの歴史的遣産は膨大であり,短期日にこれらを鑑 賞することは不可能である。また,西ローマ帝国崩壊後 1500年,各地方都市が築いた歴史や伝統は特色豊かで, ローマ,フィレンツェ,ベネツィアを代表とする多くの 都市は感銘を与えてくれた。そして,そこに住んでいる 人達は陽気,性急,現実的であり,かつ他人を信用しな い。個人主義が徹底しているせいか,彼等の中にとけ込 むには多少の時間を必要としたが,伝統に培われた彼等 の文化的レベルの高さに感心させられた。
 1年間のイタリア滞在は,彼等の日常生活や物の考え 方の一端を理解できた点でも有意義であった。
 最後に,今回このような有意義な留学の機会を与えて 下さったイタリア政府,文部省並びに当所関係各位に深 く謝意を表する。 また,渡伊前個人的に大変お世話にな った前イタリア大使館科学参事官Guglielmo Castro氏, 通産省水谷 好男氏,海洋通信研究室長三浦 秀一氏に 感謝の意を表する。

(通信機器部 海洋通信研究室 主任研究官)


短   信


電波研究所/宇宙開発事業団共同液面散乱実験の実施
 衛星計測部第一衛星計測研究室では所有するマイクロ 波雨域散乱計/放射計を用いて,宇宙開発事業団地球観 測システム室及び機器部品開発室と共同で,マイクロ波 の海面散乱特性を測る実験を12月上旬から1月上旬にか けて行った。科学技術庁及び宇宙開発事業団は将来海洋 観測衛星(MOS)2号の打上げを計画しているがこれに 搭載される海面散乱計のための基礎データを収集するこ とが本実験の目的である。実験では,アンテナを固定し, 飛行機自身を左右に傾斜(バンク)させることによって, 電波の最大入射角68°(バンク角45°)までの範囲で,X- バンドとKa-バンドの後方散乱断面積の方位角依存性及 び風速依存性を測定した。実験海域としては,日本海中 央部の6号大型気象ブイ周辺及び高知沖約100qの海上 を選び,高知沖では気象測器を装備した漁船により現場 の海上で風向,風速,温度等の測定を行った。今回の実 験では3種類の風速に対して正味5回(約16.5時間)の 観測を行ったが,このうち高知沖では風速16m/s,波高 4m(推定)でのデータが取得されている。得られたデー タについて、解析が始められた段階で,今年度内には初 歩的な結果を得ることができると考えているが,機内の モニタ用Aスコープによっても電波の散乱強度が入射角 の増加とともに減少する様子や方位角とともに周期的に 変化する様子が確認されている。
 今回の実験でマイクロ波雨域散乱計/放射計が海面散 乱観測においても強力な威力を発揮することが証明され 有意なデータが多数収集できた。これらのデータを基に 現在当研究室では本装置を用いたマイクロ波海洋汚染監 視システムの開発に意欲を燃やしている。



昭和56年度第2回電波監理員・電波研究所連絡会議
(宇宙開発関係)開催さる

 標記会議が,1月19日,本省から佐藤宇宙通信開発課 長ほか7名,当所から若井企画部長ほか18名が参加して, 当所大会議室において開催された。この会議は,宇宙開 発計画の円滑な推進を図るため,本省宇宙通信企画課, 宇宙通信開発課と当所企画部,衛星通信部,衛星計測部, 通信機器部等の宇宙開発関連の担当者が,毎年度2回 (第1回は5月頃,第2回は1月頃)開催しているもの で「局所連」と呼んでいる。第1回局所連では,一連の 宇宙開発計画見直し要望の作業に備えて,本省,研究所 相互の見直し要望に対する考え方を示すとともに,その 年度の宇宙開発関連プロジェクトの進め方について討論 する。また,第2回局所連では,当該年度に行った宇宙 開発関連プロジェクトの進捗状況,問題点等を報告する とともに,政府決定予算案を踏まえて,次年度の宇宙開 発関連プロジェクトの進め方を討議している。
 今会議では,本省より,来年度宇宙関係予算の内示状 況,CS-2,BS-2計画の進捗状況,第二世代実用衛 星の利用と開発について,また,当所からは宇宙関連プ ロジェクトの現状と今後の計画,CS,BS実験の現状と 今後の計画,電波研究所・宇宙開発事業団共同研究につ いて報告があり,活発な討議が行われた。



  東京電波友の会新年名刺交換会開催さる
 東京電波友の会主催による新年名刺交換会が,初めて の試みとして,1月16日午後当所の講堂で開催された。 午前中は粉雪も降る天候にもかかわらず,約80人のOB 会員と現職員が参加した。会は柳橋総務部長の司会で進 められ,谷口治太郎氏が友の会を代表しての挨拶,次い で栗原所長,市野支部長が夫々の立場からの挨拶の後, 湯原元所長の乾盃の音頭でなごやかに懇談へと移った。
 各会員からは16日では少々遅すぎるので来年はもっと 早くやってもらいたいなど意見も寄せられた。最後に田 尾前所長による会員諸氏の多幸と友の会の発展を祈念し ての乾盃で名刺交換会の幕を閉じた。