昭和62年度電波研究所予算の概要


 昭和62年度予算編成作業は、昭和61年12月25日に 大蔵省原案が内示、12月30日に政府案が決定され順 調にスタートしたが、第108通常国会での予算案審 議は売上税法案問題をめぐって長期空転で大幅に遅 れ、本予算は昭和62年5月20日にようやく可決成立 した。本予算の成立が5月下旬にまでずれ込んだの は、昭和42年以来20年ぶりのことである。
 ところで当所の予算は、総額40億3,744万7千円 で、前年度予算額に対し、8,864万円(2.1%)の減 額となっており、物件費に限っては9,491万3千円(5.2 %)の減額となっている。事項別内訳を別表に示し たが、その概要は以下のとおりである。

1  航空・海上衛星技術の研究開発(EMSS)につ いては、本年度で施設の整備が完了し、新たに実 験経費が認められた。

2  技術試験衛星Y型による研究開発(ETS- Y、マルチビ-ムアンテナ)については、Sバン ドの一部EMが、その外はBBMが各々認められ た。

3  組織要員については、統合通信網研究室の設置 と1名の増員が認められた。

4  成立予算の中には、航空・海上衛星技術の研究開 発、衛星用マルチビームアンテナの研究開発及び 標準電波施設整備にかかわる国庫債務負担行為の 歳出化分として、3億8,042万円が含まれている。

5  厳しい概算要求基準のために、定常的な装置の 維持費及び実験経費の要求を、大幅に減額せざる を得なかった。

 以上、昭和62年度電波研究所予算の概要を述べた が、各事項とも前年度に比較して一部の経費を除き ほとんどがマイナスとなっており、引き続き厳しい 状態が続いている。また、昭和63年度の概算要求に ついて、新聞情報等によると投資的経費(施設整備 費)のマイナス要求基準を撤廃する動きもあるが、 早急には好転するとも考えられず、さらに厳しい状 態が続くものと思われる。

(総務部会計課)





FM-CWレーダによるマイクロ波散乱係数の測定


水津  武

  

はじめに
 地球観測を目的としたマイクロ波映像レーダが初 めて人工衛星に搭載されたのは、昭和53年NASA によって打ち上げられたSEASATにおいてであ る。これによるマイクロ波映像は、昼夜の別なく得 られること(全日性)、大気中の雨や雲の影響を受 けないこと(全天性)などの特徴を持ち、氷に覆わ れた大地や海洋の分解能の良い画像を提供し、リモ ートセンシングの面から大変注目を集めた。
 当所では、マイクロ波映像レーダの有望性に早く から着目し、映像レーダの研究・開発、レーダデー タの高速処理システム及び画像作成ソフトウエアの 開発等を行ってきた。
 ここで紹介するFM-CWレーダ(マイクロ波散 乱計)は、このマイクロ波映像から有用な物理情報を 導くため並びに新しい観測対象のレーダを開発する ための基礎データ取得を目的に製作したものである。
  

最近のレーダ技術
 最近の新しいレーダ技術の特徴は、従来のように 標的の検出・追跡を目的とするのではなく、地表面 又は水面上に広がった対象について、物理的、電気 的性質の違いを利用し、位置、形状などの空間的広が りや時間的変化を調べる目的で、新しい観測対象を 目指したレーダが開発されてきていることである。
 例えば、洋上の風向・風速や油汚染監視レーダで は、風によって起こる水表面の「さざなみ」の波長 と電波の波長とがほぼ同じ場合に、照射された電波 が強く散乱されることを利用している。風向・風速 測定には風向及び風速によって散乱の強さが変化す ることを、また、油汚染海面では油の表面張力が小 さいことから「さざなみ」がたちにくいという物理 的違いを検知する。
 電波は、物体内に物質の誘電率に応じてある程度 浸透する性質があり、その深さは、波長の数倍から 10倍程度である。内部構造を調べるために使用する 電波の波長は長いほど良いのであるが、アンテナや 部品の大型化とレーダ分解能の制約が問題となる。
 このように、観測対象・目的に応じて、使用する 電波の波長、偏波などが決まる。レーダとしての応 用については、植生、雪氷の解明など明らかにすべ き興味深い研究分野が多く残されている。
  

FM-CWレーダ(マイクロ波散乱計)
 FM-CWレーダは、連続的な電波に周波数変調 を加えて送信する方式のレーダである。送信波の一 部を、物体から反射してきた受信波と混合すれば、電 波が往復する遅延時間に比例したビート波が生じ る。このビート信号を周波数分析すると周波数が距 離に、振幅が散乱の強さに対応する。従来、航空機の 高度計などに利用されてきたように測距に適してい る。距離分解能は、cを光速、僥を変調の変位幅と してc/2僥程度である(僥=200MHzで75p)。
 この方式は、パルスレーダに比べ、連続波である ことから小電力ですみ、ナノ秒パルスを増幅するよ うな高周波部品を必要としない。また近距離の測定 対象に適している。
 本マイクロ波散乱計は、送信波9.5〜9.7GHz 63 mW、距離分解能75p、最小信号感度-80dBm、重量 15sであり、高さが5mまで可変できるタワー上に 取り付けて、地表面の様々な物体の散乱係数を測定 する可搬型の小型レーダである。
  

マイクロ波散乱係数
 遠隔の地表面などの物体にマイクロ波を照射した 場合、それら物体によって後方に散乱される電波の 強さは、アンテナ利得・送信出力といったレーダ側 の諸元と、物体の散乱係数σ0(微分後方散乱断面積) によって決まる。散乱係数に影響を及ぼす量には、
 @物体の性質……表面粗さ、組成、構造、電気的 特性(誘電率、伝導度)等
 A観測パラメータ……波長、偏波、入射角、方位角等
が挙げられる。Aのパラメータについて、種々の物 体の様々な状況下での散乱データを蓄積し、豊富な データベースを作成することによって、特定の諸元 のマイクロ波映像レーダが取得する画像に意味のあ る物理的解釈を与えることができる。
 通常私達は、可視・赤外の光学写真をはじめて見 てもある程度の解釈ができる。それは、光学写真に ついての常識が経験的に備わっているからである。 マイクロ波画像は、地表面の各種物体によるマイク ロ波散乱強度分布を画像として出力したものであ り、光学写真と同じように見えても光学写真以外 の情報を含んでいる(写真1)。これは、マイクロ 波が物体を透過・侵入する性質から、物体内の構造 などの情報をも含んでいるためである。この隠され た情報を抽出することがマイクロ波リモートセンシ ングの目標である。現在、各種物体の様々な状態の マイクロ波散乱特性データを取得し、物体と電波と の相互関係の常識を築くことが求められている。


写真1 SIR-B映像(木曽川、長良川、名古屋湾、渥美湾、渥美半島の一部)

  

稲のマイクロ波散乱係数の測定
 昭和59年10月、シャトル映像レー ダによる稲の観測実験を、秋田県立 農業短期大学の協力を得て行って以 来、その後、農林水産省農業環境技 術研究所とも共同して稲のマイクロ 波散乱係数測定実験をX-バンド FM-CWレーダを用いて行ってきた。
 稲は日本の主食であると同時に世界の三大食物の 一つである。日本では、多くの人数を投入し(専業 的に従事する人員だけで2万人とも言われている。) 稲の生育状況や収量予想、収穫高などの詳細な データを得ている。このため、稲を測定対象とした 場合、含水率、草丈、籾数、葉面積、収量などのパ ラメータが比較的に得られ易い。そこで我々は、こ れらの量と、当所の装置から得られるマイクロ波散 乱係数との関係を調べ、将来リモートセンシング技 術による収量予測を目指し研究を行っている。写真 2は、筑波の農業環境技術研究所の実験田にお いて、当所のX-バンドFM-CWレーダを用いて 稲のマイクロ波散乱実験を行っている風景である。
 これまでの観測で、稲穂の成長から収穫前までの 散乱係数の変化や夜露の有無の影響などが明らかに なりつつある。しかし、稲は種類、肥料の多寡、その 他による個体間の差が大きく、統一的な解釈ができ るまでには一層のデータ蓄積と努力が必要である。


写真2 稲のマイクロ波散乱実験風景

  

今後の計画
 本実験は、昭和60年度から科学技術振興調整費の 重点基礎課題として推進されており、昭和61年度に はマイクロ波散乱計の多周波化を行った。今年度は さらに実験を進め、多周波によるリモートセンシン グデータの解釈が有効になると期待される。これに よって、上記の稲など植生のマイクロ波散乱係数測 定実験のほか、雪氷のマイクロ波散乱係数測定を行 う予定である。これは現在、南極で進められている セールロンダーネ基地へのルート確保の上で問題に なっているクレバス探査レーダなどと関連した実験 である。また、実開口レーダ、合成開口レーダによ るマイクロ波映像レーダとの比較・検討も進めてい く計画である。

(電波応用部 宇宙環境計測研究室 研究官)




≪随筆≫

女性の活躍


高橋 寛子

 雇用機会均等法施行後も、残念ながら電波研究所 における女性パワーの活用に目立った進展は見られ ないが、世の中の流れはこのところ着実に変わって きており、女性の活躍が目立つ分野が多くなってき ている。情報サービス産業も、女性パワーを活用し ている分野の一つであろう。女性ばかりのソフト ウェアハウスを経営している女性経営者が、数年前 に家庭の主婦向けに「お掃除プログラム」なるもの を開発した。これは掃除スケジューラとでもいうべ きもので、今日はどことどこを掃除すべきかを教 えてくれるものなのだそうである。このプログラム を開発したという発表を読んだ時に、もっぱら家事 の手抜きばかりやっている私は、掃除ロボットと組 み合せられるのならともかく、これでは計算機に指 示されて掃除をすることになるわけで、そのような プログラムが果たして売れるものかなと首をかしげ たことを覚えている。
 ところが、男性には悪評だったこのプログラム が、実は主婦には非常に好評なのだそうである。 「主婦はいくらでも怠けられる。そこのところを しっかり見張ってもらうためにこのプログラムを 使ってみたい。」という意見もあったそうだ。

 ところで、これまで組織内では、男性の論理や生 活体験に基づいて仕事が進められてきた。その中で 女性は、女性の感性や生活体験から生まれる視点や 知恵を抑えて、従来の職場のカラーにあわせてきた 点が多かったのではないかと思う。従来の企業からは、 「お掃除プログラム」は決して世に出ないであろう。 私が「お掃除プログラム」の評価を誤ったのも、従 来の職場のカラーに染まった判断だったからかもし れない。

 現在、ソフトウェア産業のみでなく、女性の視点 を表に出して事業を営んでいるところが多くなって きている。もちろん感性等の入り込む余地のない分 野も多いわけで、そのようなところでも能力を発揮 する女性のいること、能力が発揮できるようにする ことが重要であることはいうまでもない。しかし、 男性が自由に能力を発揮しているのと同じように、 女性の感性と生活体験を十分に持った人が、自然 に、また自由に能力を発揮でき、女性の生活者感覚 を注ぎ込む場があることも、組織内に新しい発想を 持ち込むのに役立つという認識が生じていることも 事実である。

 電気通信の分野ではどうであろうか。今までの通 信は、相手に情報をできるだけ正確に効率良く伝える ことに主力がおかれてきた。このような場合にはあ まり感性などというものが入り込む余地はなかった といえよう。しかし、21世紀に向けて、電気通信網 は大きく変わろうとしている。知的通信網、よりフ レンドリな通信サービスの必要性が浮かび上がって きている。ユーザの個々の要求に柔軟に対応できる 使い勝手のよい通信網を作り上げるには、女性なら ではの感性を生かすことや、豊かな生活体験から湧 きでる多様な発想や視点を取り入れることも重要で はなかろうか。女性がこの分野にももっと入り込ん で活躍することが望まれるわけである。

(情報管理部長)





≪職場めぐり≫

放送波帯の有効利用をめざして


総合通信部放送技術研究室

 放送技術研究室は、昭和60年4月の機構改革で誕 生した新しい研究室です。研究の柱となるのは、放 送における周波数の有効利用についてです。周波数 の有効利用にはいろいろの側面がありますが、周波 数の繰り返し利用を中心に研究を進めています。

 研究室の特徴として、行政との結びつきが強い点 があります。放送では行政側と無関係に研究を進め ても、実用化の可能性はありません。一方行政側 も、中立的立場にある当所の役割に期待していま す。そのためプロジェクトの推進に当たっては、放 送事業者やメーカーも参加する委員会体制がよくと られます。委員会組織の利点として、現在行ってい るテレビジョン同期放送の場合、妨害度の画質評価 実験に使用する評価用画像を、面倒な著作権・肖像 権にわずらわされずに放送局から提供してもらうこ とができた外、無人の中継放送局に測定器を持ち込 んで、同期放送が実用化された場合に適合した状態 で、データを取得することができました。

 しかし、このような委員会体制の中で、当所の特 色をいかに発揮するかが難しいところです。幸い、 室員達はパソコンをフル活用して実験システムを構 成したり、必要に応じてアイディアをハード化でき る能力に恵まれています。そのおかげで、放送波の 位相変動特性の解明や、実測データに基づいた妨害 度の画質評価実験を行うなど、多くの貴重な成果を あげることができました。

 同期放送の次のプロジェクトとして、CD(コン パクトディスク)並みの高品質なディジタル音声放 送の検討を開始しています。既存の放送に妨害を与 えないで、テレビジョン周波数帯を共用することを 考えています。放送行政局内に、放送事業者やメー カも参加する委員会が既に組織され、検討課題の整 理を行っています。評価用の音源・音質評価法や帯 域圧縮技術等での協力を得ながら、当所で実績のあ るスペクトル拡散通信方式の活用や、都市内伝搬特 性の影響分析等で特色を発揮したいとはりきってい ます。

 5人の室員の紹介をします。小宮主任研は、野球 ・テニス・卓球等において、他人に真似のできない テクニックを披露していましたが、現在は社交ダン ス一筋に打ち込んでいます。大内主任研は、クラッ シック音楽の鑑賞を趣味とし、リコーダ合奏が縁と なって結ばれた素敵な奥さんと、音楽会にでかける のを楽しみにしています。都竹研究官は、昼休みは テニス、夜は少林寺拳法、夏はスキューバダイビン グ、冬はスキーを楽しみとするスポーツマンです。 太田技官は、野球やテニス部に所属しているもの の、研究所青年リーダとしての仕事にもおわれてい ます。石川は、下手なテニスやソフトボールに汗を 流して身体の老化防止に励んでますが、子供達から 「何か趣味を持たないと早くボケルよ!」と脅かさ れています。

(石川 嘉彦)


後列左から 太田、大内
前列左から 石川、都竹、小宮




外 国 出 張


米国における移動体衛星通信の動向調査


 昭和61年12月8日から19日まで、移動体衛星通信の動 向調査のため米国へ出張した。調査訪問機関は、NAS A本部、連邦通信委員会(FCC)、ARINC、ジェ ット推進研究所(JPL)、Hughes、RCA、Federal Express及びU.S.Postal Serviceである。
 各訪問機関では、移動体衛星通信分野における活動状 況、周波数分配等の諸問題及び今後の展望などについて 意見交換を行った。NASA及びJPLではETS-X /EMSS及びETS-Yについて講演を行い、多くの 関係者に日本の活動状況を紹介する機会を得た。
 現在、移動体衛星通信をめぐる世界情勢は大きく変化 している。特に米国はAvSAT、MSS及びGEOSTAR と航空、陸上及び測位の各分野で商用衛星通信を 独自に導入するべく積極的な活動をしている。
 今回の調査結果を今後の研究の進め方、今秋開催され る移動通信に関する主管庁会議等へ反映させたい。

(宇宙通信部 移動体通信研究室 主任研究官 大森 慎吾)



タイ王国モンクット王工科大学 拡充計画書前調査団に参加して


 昭和62年3月3日から14日まで標記調査団のコンピュ ータ分野担当として、タイのバンコク市に出張した。調 査団は国際協力事業団がモンクット王工科大学に技術移 転を目的とするプロジェクト技術協力を行うための事前 調査に派遣されたもので、電気通信、放送、機械工学、 コンピュータの各分野に関し、同大学の実情と要望の内 容、他大学及び市場における状況などの調査を行った。 電気通信、放送に関しては20年前に日本から供与され現 在も使用されている設備があり、機械工学ではほとんど 設備がない状況である。コンピュータに関しては、処理 速度0.23MIPS、主記憶256k語、ディスク容量300Mバイ ト、端末装置6台のシステムがセンターコンピュータと して使用されており、教育用バッチ処理でほとんどいっ ぱいである。チュラロンコン大学、アジア工科大学では 本格的オンライン・システムが稼働している。日本系1 社、米国系3社のディーラについても訪問調査を行っ た。

(情報管理部 電子計算機室長 奥田 哲也)



短 信



尾上道雄氏叙勲


 元企画部長 尾上通雄氏には、4月29日の「天皇誕生 日」にあたり、多年にわたって電離層観測システムの確 立、電波伝搬特性の解明、電波予警報業務の改善等に多 大の貢献をされ、また、宇宙通信システム技術の発展に 尽力された功績等により勲四等瑞宝章受賞の栄に浴さ れ、5月11日郵政省講堂において勲章伝達式が行われた。
 同氏は、昭和16年東京帝国大学工学部電気工学科卒 業、日本放送協会技術研究所等を経て昭和20年11月当時 の文部省電波物理研究所に入所され、以来昭和45年3月 に退官されるまで一貫して電波伝搬並びに宇宙通信に関 する研究に従事し、特に我が国の宇宙通信技術開発に指 導的役割を果たし、昭和39年10月の東京オリンピックで 初のテレビ宇宙中継の成功に導くなど極めて顕著な業績 をあげられた。
 このたびの叙勲は、御本人の栄誉であるばかりでなく、 当所にとっても非常に喜ばしい限りであって心からお祝 い申し上げるとともに益々の御発展をお祈り申し上げる 次第である。



逓信記念日表彰について


 4月20日第54回逓信記念日に際し、当所関係では、大 臣表彰として事業優績団体1、永年勤続功労者6名が表 彰され、また所長表彰として事業優績団体1、事業優績 者2名が表彰された。
1 大臣表彰
 「VLBI実験グループ」
 一致協力して多くの困難を克服し、超長基線電波干渉 計による実験実施にあたり、日米間における世界初の地 殻プレート運動の検討を行うなど、電波応用利用技術の 発展に多大の貢献をした。
2 所長表彰
 「総務部庶務課給与係」
 一致協力して多くの困難を克服し、関係法令の大幅改 正に伴い電子計算機による新給与システムを確立し、給 与事務の能率的運用に多大の貢献をした。
 「標準測定部主任研究官 佐藤得男」
 旺盛な研究心をもって周波数時刻標準に関する研究に 尽力し、多くの困難を克服して精密時刻同期方式を開発 するなど国家標準の有効利用に多大の貢献をした。
 「標準測定部較正検定課長 内田国昭」
 高度な科学技術の研究開発の推進における共同開発の 重要性を深く認識し、多くの困難を克服して民間企業等 との共同研究制度の確立に尽力するなど電気通信技術の 進展に多大の貢献をした。
3 永年勤続功労者
 中橋信弘 高橋寛子 徳重寛吾 淡河貴美子
 内田辰夫 小柳津信子



統合通信網研究室の新設


 電気通信事業の「自由化・競争化」が進み、多くの事 業者がディジタルサービス統合網(ISDN)の構築を 目指している。無線通信についてもディジタル化の推進 が重要な課題であり、特に@ISDNの中で各種ディジ タル無線通信方式(固定通信、衛星通信、移動通信)の 役割をいかに分担させるか、A将来の通信需要を賄うに はどれほどの帯域でどのような技術を実現すべきか、な どは日本全体の周波数有効利用に直接関連するので国と しても積極的に取り組む必要がある。
 また、ディジタル網の形成とともに各種サービスの統 合化、網間相互接続などが行われるようになる。このた め通信の品質・信頼性に関して、有線・無線系を包含し た統一的な標準・規格のあり方についても、新たな検討 が必要である。
 以上のような諸課題についての研究を遂行するため に、5月21日より総合通信部内に統合通信網研究室が発 足した。



施設一般公開の御案内


 当所では、毎年創立記念日(8月1日)に研究施設を 一般公開しておりますが、本年は創立記念日が土曜日に 当たるため、7月31日(金)に行います。
 どなたにも分かっていただける内容になるよう、全所 を挙げて取り組んでいますので武蔵野の面影の残る当 所の施設一般公開に、多くの方々がご来所くださいます よう御案内申し上げます。
 公開日時 昭和62年7月31日(金) 10時から16時
 公開場所 本所(小金井)、支所(鹿島、平磯)、及び 電波観測所(稚内、秋田、犬吠、山川、沖縄)
 なお、本所(小金井)における公開項目は、◎どこか らでも衛星通信、◎宇宙の灯台、◎移動通信の新しい電 波を求めて、◎南極をさぐる「観測30年の歩み」、◎こ こまで進んだ画像通信、◎衛星でつなぐ世界の時計、 ◎空にある電波のカガミなど35項目にわたっています。
問合せ:企画調査部企画課 電話0423-21-1211