次世代通信ネットワーク


久保田 文人

  はじめに
 毎日世界のどこかで楽しい、あるいは悲しいでき ごとが起こる。それがたちどころに伝わってくる。 悲しい例であるが、湾岸戦争では、戦争の悲惨さが 茶の間に直接なまなましく、しかもリアルタイムで 伝わり、「情報」の持つ威力を改めて実感させた。 私たちはまさに情報の時代におり、すでに社会活動 や個人生活に通信ネットワークは欠かせないものと なっている。
 ところで、現在のネットワークにはいろいろの課 題があり、将来は通信をより便利なものにすること が望まれる。そのための研究のおおまかな方向につ いて述べるとともに、当室の現在の研究テーマにつ いて紹介する。
  将来の通信サービス
 通信の役割は、通信によって個々の入の生活や社 会活動をより便利に、より豊かにすることにある。 将来の通信サービスを考えるうえで、まず利用者の 立場に立って通信の便利さ、使いやすさ、豊かさを 以下のキーワードに集約してみた。
  ・いつでも     ・どんな情報でも
  ・どこ(に)でも  ・どんな形でも
  ・誰(と)でも   ・自分好みで
  ・やさしく     ・安く、確実に
 表1はこれらのキーワードから通信サービスへの 要求条件をまとめたものである。これをさらに将来 の通信サービスイメージに展開すると、次の五つの 方向にまとめられる。

表1 便利さと通信サービス、ネットワークへの要求条件

@マルチメディア通信サービス
 電話やパソコンを中心とする1対1の対話形通信 は、音声通信のみならず、文字・静止画・ファクシ ミリによるテキスト通信・記録通信やそれらの組み 合わせ、および映像を付加したヴィジュアル・テレ フォンへ発展する。

A映像通信サービス
 高精細大画面映像や3次元映像など、映像をベー スに臨場感のある新しい通信サービスが実現され る。

B個人通信サービス
 個人番号により相手がどこに いても呼び出せる接続方式や超 小型携帯端末により、居場所に 制約されない通信が可能とな る。また、個人の活動に合わせ て個人ごとにネットワークをカ スタマイズできるようになる。

C知的通信サービス
 言語の翻訳、メディア間の変 換、電話番号を使わないあいま いアクセス、秘書機能などによ り、利用者の要望に的確に応じ ることのできる知的なサービス が実現される。

D基本サービスの高信頼化
 セキュリティ及び品質の確保 とともに、基本的な通信サービスについては、災害 時やふくそう時における通信の確保など、一層の信 頼化が図られる。

  ネットワークの高度化
 こうした将来の通信サービスを提供するネットワ ークは、以下の機能から構成される。
・利用者とネットワークとの接点にあって、場所に 制約されない通信やあいまいなアクセスを可能と するアクセス機能

・情報の量や形態(メディア)に制約がなく、どん な情報も効率的に伝達することのできる情報伝達 機能

・利用者の要望および利用者やネットワークの状況 を的確に把握し、それらに対応した通信を実現す 制御機能

・通信の疎通状況を把握し、ネットワークのリソー スを有効に利用するための管理機能

 将来のネットワークはこれらの機能を有機的、体 系的に組み合わせ、しかも新しい技術は容易に取り 入れ発展できる構成とすることが望まれる。図1は このような将来のネットワークの構成イメージであ る。また図2は、先の五つの通信サービスの方向と ネットワーク機能との関連を示したものである。


図1 将来のネットワーク構成


図2 通信サービスとネットワーク機能

  研究課題
 次に、上記将来像を念頭に現在当室で取り組んで いるテーマを紹介する。

・ATM通信網制御
 映像情報を統合したサービスを可能とする広帯域 ISDNの通信方式としてATM(非同期転送モード) の研究が行われている。方式実現上の課題として、 多メディア、可変速度、複数品質の入力情報に対し て呼の受付可否判断を、ネットワークへの影響を解 析した上で行うアルゴリズムや、網リソースの使用 状況に応じて通信パスを効率的に割り当てるための ルーティング制御アルゴリズムなどの新課題があ る。それらの研究に着手したところである。
 なお広帯域ISDNでは放送と通信の融合の可能性 もあり、このためのネットワーク構成の研究にも取 り組んで行きたいと考えている。

・個人通信サービス制御
 いつでも、どこでも通信を可能とするための有力 手段の一つは個人番号を用いる方法である。また将 来、超小型携帯端末が広範囲に使用されることが十 分想定される。そこで無線によるアクセスと個人番 号による接続を有機的に結合する個人通信制御技術 の研究を進めている。さらに、個人個人で異なる要 求に柔軟に対応する通信サービスの実現をめざし、 個人にカスタマイズしたサービスを提供するための サービスの構成法、制御法の研究に着手しようとし ている。なお、複数の通信事業者間の相互接続や国 際接続の行われる環境下で、利用者が本当に便利で 豊かなサービスを受けられる網のアーキテクチャや 方式の考案が重要である。

・トラヒックのダイナミック制御
 災害、故障あるいはふくそうなどによるネットワ ークの疎通能力の低下を防ぎ、信頼性を高めるため には、ネットワークの状態を監視し、異常を検出し たとき直ちにルート変更や呼の規制をし、さらに網 の回線構成や回線数を自律的に変更するなどの制御 が必要である。状況に応じて網構成をダイナミック に変更してトラヒックの疎通を維持するための制御 法の研究に着手している。このような制御が可能と なれば、通常の状態では網リソースの有効利用を図 る手法としても活用できよう。

  おわりに
 以上駆け足だが、将来へ向けてネットワークが抱 える多くの課題の一端を示し、私たちのテーマを紹 介した。ネットワークは情報社会の神経系である。 宇宙船地球丸のできごとを即時にありのまま伝え、 社会の様々な活動や個人の生活を支えるとともに、 人と人とのコミュニケーションを豊かにするものと してさらに発展することを願い、一同微力ながらこ の巨大なシステムであるネットワークの研究を進め て行きたいと考えている。

(総合通信部 統合通信網研究室 主任研究官)




電離層レンズと衛星電波


丸山 隆

  はじめに
 自然を相手に観測を続けているとその作り出すパ ターンの妙に驚かされることがしばしばある。ここ に紹介する準周期性シンチレーション(Quasi- Periodic Scintillations)もその例である。
 稚内電波観測所では1986年から人工衛星ETS-U のVHFビーコン電波を受信して電離圏の研究を行っ てきた。時折、電界強度が短時間のうちに大きな変 動を示すことがある。これは電離圏中の密度分布の 不規則性によるもので電離層シンチレーションとし て良く知られている。通常、シンチレーションは不 規則な強度変動であるが、時として、驚くほどの規 則性を示すことがある。図1にその一例を示すよう に、前後にリンギング状の変動を伴った大きな強度 減衰である。このようなパターンが複数個連続する 場合もあれば、単発の場合もあるが、いずれも1回 の事象は数分の内に終了するのが普通である。これ らは強度変動の様子から準周期性シンチレーション (QPS)呼ばれる。最大規模のQPSでは中心部分の 強度減衰が20dB以上で、1分以上にわたって受信 電界強度が背景雑音レベル以下になった例がある。


図1 QPSの観測例

  スポラディックE層との関連
 電離圏研究の常套手段として、現象解明のための 最初の手がかりを得るために季節変 化を調べることがよくある。図2に 示したのは発生数の季節一時間分布 である。大きな●ほど数が多い。 QPSの発生は顕著な季節依存性を示 し、圧倒的に夏(5〜9月)に多い ことが分かる。このことはスポラ ディックE層との関連を大いに示唆 する。次は時間変化である。一日の 中で最も多く発生するのは、7時と 19時を二つのピークにしてその前後 である。ピークが12時間離れて二つあることは、半 日周期の潮汐との関係を連想させる。スポラディッ クE層も半日周期の変動を示すことがあるが、QPS の方が遥かに明瞭である。この他にもいくつかの統 計的な検討を行うと明らかにQPSはスポラディッ クE層に関係していると結論づけられる。


図2 QPS発生の季節・時間変化

 スポラディックE層はおよそ100qの高度に現 れる電子密度の異常増加域である。その厚さは数百 メートル程度と考えられている。水平方向には、必 ずしも均一ではなく、ある時にはちぎれ雲のように 小さなプラズマ塊となっているらしい。その中心部 分のプラズマ周波数はたかだか2〜30MHzであるか らETS-UのVHFビーコン(136MHz)電波を反射す ることはない。しかし、小さなプラズマ塊は透過す る電波にとっては凹レンズの働きをする。

  発生の機構
 地上で受信している静止衛星からの電界強度が時 間変動するには途中の媒質が時間とともに変化しな ければならない。スポラディックE層を構成してい るプラズマ塊が水平に移動し、伝搬路を横切ると考 えると大変都合がよい。図3にその模式図を示し た。凹レンズの中心部分が通過するときには、電界 強度は低下するはずである。その前後はどうか?プ ラズマ塊による位相の進みを考えて地上での電界強 度の空間パターン(フレネル回折)を計算してみ た。その結果、半径1qの円盤状の塊が数十m/s で移動すれば観測されるようなQPSパターンが再 現できる。


図3 QPS発生機構の模式図

 QPSのパターンにはもう一つ重要な特徴がある。 中心の主要な電界強度減衰をはさんで現れるリンギ ングは必ずしも対称ではなく、圧倒的に後半側で良 く発達している。時間帯によっては90%以上の事 象で前半のリンギングを欠いている。プラズマ塊が 伝搬路を横切るというモデルで考えるならば、塊の 形状は単純ではなく、ドリフトの前面では境界の密 度勾配が緩やかで、後面では急峻であることに対応 する(図3)。このプラズマ塊の変形機構は密度の 不均一性に由来する分極電場によるらしい。すなわ ち、塊の中心は周辺部分よりも電場によるドリフト 速度が小さくなるため、後面の境界に追いつかれて しまうわけである。
 プラズマ塊の変形がさらに進むと、複数の小さな 塊に分解すると考えられる。そうなれば、もはや明 瞭なQPSは観測されず、ランダムなシンチレーショ ンとなる。実際、QPSとランダムシンチレーション について発生時刻の統計を調べるとQPSが2,3時 間先行している。

  結び
 上記プラズマ塊モデルで全てがうまく説明できた わけではない。複数のQPSが十数分の間隔で連続 する事象では、何等かの波動現象との関連を想起さ せる。いままでの観測ではドリフト方向の構造しか 求まらないので、直角方向にはどうなっているか分 からない。さらに進んだ観測方法を工夫したいとこ ろであるが、昨年末でETS-Uの運用が終了したこ とは大きな痛手である。
 これまで紹介したようにQPS研究も単に電波伝 搬障害の問題のみならず、超高層・宇宙空間をプラ ズマ過程の巨大な実験室としてとらえるという、今 日の超高層大気研究の一側面を表している。

(稚内電波観測所 所長)




雨と電波伝搬


小□ 知宏

  はじめに
 大気中の電波伝搬では、マイクロ波以上の高い周 波数になると大気ガスによる吸収、雨、雪、霧など の降水粒子による散乱・吸収など、多くの障害があ る。特に、雨による減衰、雨滴の変形に基づく偏波間 での混信は良く知られた通信への障害要因である。
 近年の通信需要の増大と多様化は、このような障 害があるにもかかわらず、ミリ波とかサブミリ波な どの高い周波数の積極的な利用、直交二偏波の利用 などを含む、この周波数帯の特性を生かした通信方 式やシステムの実用化をめざす研究を要求している。
 リモートセンシングにおいても、対象物をより良 く識別する目的で高度なレーダ技術が要求されるよ うになってきた。例えば、直交する二偏波に対する 反射強度、二偏波間の位相差など、偏波を含めた反 射の情報をすべて取り込むようなことが行われつつ ある。雨のレーダ観測の分野では、雨、雪、ひょう などの識別、降雨強度、雨滴の大きさの分布などの 定量化において、このような新しいレーダ技術は極 めて重要である。
 降雨中での伝搬あるいは雨のレーダ観測におい て、通常の理論解析では多くの雨滴がある場合で も、基本的には一つの雨滴に当たった電波の真正面 方向への散乱、あるいは真後ろへの散乱を評価して いるにすぎない。しかし、実際には図1に示すよう に、斜め方向に散乱した電波がまた次の雨滴に当た るといった経路もある。このような散乱を多重散乱 といっているが、多重散乱を考慮すると、通常の単 一散乱による解析結果は正しくないのであろうか? あるいは、多重散乱は実用上何か問題を生ずるので あろうか?これらの事について以下述べてみたい。


図1 電波の散乱過程

  通信品質と多重散乱
 多重散乱した波の強度は、放射伝達の式を数値解 析的手法を使って解くことにより求めることが出来 る。図2には雨量12.5o/hの降雨域に円偏波の電 波が伝搬する場合、入射波が30デシベル減衰した地 点で多重散乱波の強度がどの位になるかを、周波数 を横軸にとって示したものである。縦軸は30デシベ ル減衰した入射波に比ベ、何デシベル下に多重散乱 波の強度がくるかを示す。多重散乱した波は角度分 布を持つので、受信アンテナの指向性が広いほど強 く受信することになる。図中のパラメータは受信ア ンテナビームの半値幅である。また、実線は入射波 と同じ偏波の強度、破線は散乱を繰り返すことによ り生じた逆の偏波の強度を示す。多重散乱波は入射 波と位相的な関係が無い一種の雑音成分であるが、 縦軸の値が-20デシベル程度以下であれば通信品質 に悪影響がないと考えられるので、これを一つの目 安とすれば、マイクロ波通信では多重散乱の影響は 考える必要のないことが分かる。しかし、将来300 GHz以上のミリ波帯を通信に用いる場合、半値幅1° 程度の受信アンテナを用いると、多重散乱波が何ら かの悪影響を与える可能性のあることが分かる。こ のように通信では入射波は減衰するとはいえ、まだ かなりの強度があるため、相対的に多重散乱波の影 響は少ない。


図2 多重散乱波の受信電力の周波数特性

  パルス波と多重散乱
 最近は通信においてもリモートセンシングにおい てもパルス変調した波を用いることが多い。パルス 波の入射に対して多重散乱した波はどのような性質 を持つかを、降雨層からの反射波について調べてみ よう。
 いま、等価時間幅0.5μs、繰り返し時間80μs のパルスが雨量12.5o/hの降雨層に入射した場合 を考えよう。図3の鋭いパルスが入射波パルスの波 形で、パルスの搬送波は周波数16GHz、円偏波であ るとする。図3の下の図は降雨層から反射してくる 主偏波の波形を示す。波の強さは実際の強さではな く、最大値が1になるようにしてある。入射パルス が降雨層を通る間にだんだん減衰しながら反射波を 送り返すので、このような形となる。形、強度共に 1回散乱の計算から求めたものとそれほど大きな違 いはない。図3の上の図は多重散乱により生じた逆 の偏波の反射波の波形を示す。ここには多重散乱の 特徴が良く表れている。降雨層へのパルスの侵入が 浅い所では1回散乱が卓越するが、真後ろへの1回 散乱では逆の偏波は生じないので、したがって散乱 波の振幅は極めて小さい。しかし、パルスが深く進 入するにつれて斜め経路の散乱成分が増えてくるた め、時間が経過した所で強度が増えてくる。冒頭で 雨のレーダ観測に偏波の情報も取り込むようになっ たことを述べたが、多重散乱によって生ずる逆の偏 波成分は、通常の逆散乱問題では考えていないの で、測定対象の性質を不明確にする可能性があるか もしれない。レーダのように後方に散乱する電波 は、入射波と位相のそろった強い波が無くなるの で、多重散乱の影響が多めに出る。また、周波数が 高くなるとより影響が大きくなる。


図3 降雨層から反射するパルスの波形

  おわりに
 降雨中の伝搬における多重散乱波の生成につい て、理論的な研究の一端を述べた。多重散乱は従来 の主要な研究対象であった減衰とか交差偏波の発生 などと異なった性格を持っている。将来のミリ波・ サブミリ波などの実用化に向けて、今後更に詳しく 研究を行う必要があると考える。

(第三特別研究室長)




≪職場めぐり≫

たたが1秒されど1秒


標準測定部 周波数標準課

 先日、あるテレビ番組で航空券や列車の指定券の 予約風景が紹介されていた。発売開始の午前10時に なると各旅行代理店の端末機から一斉に予約注文が センターコンピュータに向かって打ち込まれる。こ の注文が予約され、次の予約データを打ち込み、コ ンピュータの応答を待つと『満席』の返事が返って くる。正に1秒の違いが成否を分ける時代である。 現代社会にとって、時間や時刻が大切なことは十分 理解して業務に携わってきたつもりであったが、改 めてその重要性を再認識した次第である。その業務 とは、『周波数標準値を定め、標準電波を発射し、 標準時を通報すること』であり、国の標準時計をあ ずかり、文字通り一刻もゆるがせにできない。

 現在、周波数標準課は、標準器係、標準比較係、 標準電波係の3係総勢8名と請負1名でこの業務を 遂行している。このほか業務係2名は、標準測定部 の庶務担当として張り切っている。標準器係は、10 数台にもおよぶセシウム原子時計を並列運転し、こ れらの荷重平均で周波数や時間及び日本標準時を設 定維持し、その周波数は、10^-14の桁で、また、時 刻についても国際度量衡局(BIPM)の決定する協定 世界時と1マイクロ秒以内に同期され、世界の標準 保持機関のトップクラスにある。更に、国家標準の 確度向上をめざして一次原子時計の開発にも取り組 んでいる。標準比較係は、BIPMや関係国際機関と の比較、標準電波の偏差値やTV、ロランC、GPS 等の受信値の公表業務、及び新しい標準供給法の開 発に取り組み、現在電話回線による時刻供給の実用 化をめざしている。標準電波係は、標準電波の発射 に必要な施設の維持運用が主で、名崎送信所と本所 に分けて設置されている装置に常に細かい気くばり をするかたわら、より便利で使いやすい標準電波を めざして、時刻コードの重畳実験を行っている。こ の他に、原子周波数標準器の搬入較正や、うるう秒 調整の周知、受信報告書の処理、それに外部からの 見学や問合わせに対する対応など繁忙を極める毎日 である。

 では、この周波数・時間及び時刻標準の設定維持 と供給業務に携わるスタッフの横顔を紹介しよう。 渋木主任研究官は、硬式テニスの名手で、関東支所 から転勤の瀬端技官と一緒に毎日いい汗を流し体力 作りに励んでいる。三木主任研究官は、ソフトボー ル大会の名遊撃手で標準Aチームの先頭にたって奮 闘しているがこのところ優勝から遠ざかっている。 相田研究官は、アマチュア無線のマニアで、業界で JR1UHOのコールサインを知らない人は少ない。課 内の“紅一点”岩佐さんは、明るい性格とチャー ミングな笑顔で課のアイドル的存在である。古巣に 戻った菊池専門職は、標準電波に関する告示や規則 に詳しく、より完ぺきなものにしようと年齢を感じ させないハッスルぶりである。山西係長は、社交性抜 群で、特に女性に親切な所は衆目の一致するところで ある。若手のホープ大塚技官は、念願の標準電波の 仕事につけたと毎日業務に張りきっている。最後に 優秀なスタッフに囲まれた筆者(佐藤)は、囲碁・ 将棋でボケ防止に努めている。

(佐藤得男)


後列左から 三木、大塚、渋木、岩佐、相田
前列左から 菊池、佐藤、山西、瀬端



短 信




大型コンピュータの更新

 当所各部門共用の大型コンピュータは、昭和59年から 1CPU型で3年間、2CPU型で約4年間使用した従来の ACOS 850システムに代わり、3月1日からFACOM M-760Xシステムとなった。
 新大型コンピユータは、ベクトルユニットを内蔵した 2CPU型で、従来のシステムに比べ主記憶容量が約10 倍、通常の処理性能が約2倍、大量データを画一的に処 理するベクトル処理性能が大幅に向上するほか、OSと してOS-Wに加え、科学技術分野で急速に広まっている UNIXが同時に稼働する。この大型コンピュータは従来 と同様に本所内、各支所、各電波観測所からオンライン で使用できる。電波観測所とはISDN化も検討中。
 大型コンピュータ入れ替えと同時に、高速グラフィッ ク処理のため、並びに所内の研究などに対するワークス テーションの有効性を広く評価するために共用ワークス テーション9台を設置し、共用端末装置とともに、大幅 に拡張する10メガビット/秒の所内ネットワークに接続 する。



科学技術週間講演会の開催

 4月18日の発明の日を含む1週間を科学技術週間とし て全国でいろいろな行事が行われ、当所においても毎年 講演会を開催しています。本年も下記により一般の方々 を対象とした講演会を開催します。多数の聴講をお待ち しています。


 講演会日時 平成3年4月18日(木)
       午後2時から4時まで
 場 所   通信総合研究所大会議室
 対 象   一般(申し込み不要)
 講演題目  「パーソナル化へ向かう移動通信」
        講演者:水野光彦 通信系研究室長
       「電波警報の歩みと宇宙天気予報」
        講演者:小川忠彦 平磯宇宙環境センター長
 問合せ先  企画調査部企画課第三企画係
       電話:0423-27-7465(ダイヤルイン)