MILAX実験

−マイクロ波で飛行機が飛んだ−

藤田 正晴

 

はじめに

 郵政省が推進している成層圏無線中継シス テムの研究における重要な要素技術の一つ に、無人飛行体にエネルギーを供給するため のマイクロ波電力伝送技術があります。通信 総合研究所では、平成元年より受電用レクテ ナ(受信したマイクロ波から直接直流電力を 取り出すことが出来るデバイス).の研究を中 心として、成層圏無線中継システムに必要な マイクロ波電力伝送に関する基礎研究を開始 しました。この技術の応用として、京都大学 超高層電波研究センター他と共同でMILAX (MIcrowave Lifted Airplane eXperiment、 マイクロ波駆動小型模型飛行機実験)計画を 推進してきました。この計画において当所は レクテナの開発を担当し、平成4年8月29日 にMILAX実験機の飛行を成功させました。 本文ではその概要について報告致します。

 

MILAX計画の経緯

 平成2年7月に神戸大学工学部から、マイ クロ波エネルギーによって小型模型飛行機を 飛ばす計画を検討しており、当所にレクテナ を担当して欲しいとの打診がありました。当 所ではレクテナを中心としたマイクロ波電カ 伝送の研究を推進している折りでもあり、新 しい技術を確立する上からも重要との判断の もとに同計画に積極的に参画することと致し ました。同様の実験は1987年にカナダにおい て成功裡に実施されましたが、今回の計画に おきましては、最近の技術の発展を背景に後 に述べますようにアクティブフェーズドアレ ーや円形パッチを用いたレクテナなどの新し い方式を積極的に採用しました。

 この実験は開発要素の多いいくつかの装置の組み 合わせで成り立つものですから、各部分を担当する 機関の間で10数回にわたる打ち合わせを行い、相互 のインターフェースを確認しなから全体のシステム の決定や装置の開発を行ってきました。

 参加機関と最終的な分担は次のとおりです。京 大・神戸大は全体の統括及びスケジュール管理と送 電用アクティブフェーズドアレーの開発、日産自動 車鰍ヘ追尾装置の製作と送電機のまとめを行いまし た。富士重工鰍ヘMILAX実験機の機体の設計、製 作を、またマブチモータ鰍ェ推進用モータを製作致 しました。当所は主に受電用レクテナの開発を受け 持ちました。

 打ち合せの回数を重ねるにしたかって、当初の計 画の問題点が明確になり、それに伴って全体システ ムはかなり違った形態になってきました。当初、送 電機は地上に置く予定でしたが、機体が旋回のため に傾くと伝送電力が大幅に低下して飛行を維持出来 ないことが判明しました。そこで最終的な実験形態 として自動車に送電機を搭載し、機体を自動車で追 跡すると共に電気的にビームを制御し、機体を追尾 することによって安定 なエネルギー供給を図 ることとしました。ま た、機体にはバッテり を搭載し、この電力に よって十分飛行高度を 取った後、送電車が飛 行機の下を並走する形 となった時にレクテナ からの電力に切リ替え て飛行させることにし ました。エネルギー源 のバッテリーからレク テナヘの切リ替えは操 縦者の判断でラジコン により行うことかで き、機体に取り付けた ランプを点灯させるこ とでその状態を外部から確認できるようになってい ます。

 

MILAX用レクテナの概要

 ここで、当所が担当した受電用レクテナの概要に ついてまとめてみます。

 レクテナ(rectenna)とは、マイクロ波を受信す るアンテナと整流器、フィルタが一体となったもの をいい、伝搬してくるマイクロ波から直接直流電力 を取り出すことが出来ます。

 MILAX用レクテナとしては、機体側で必要とす る電力を供給できることはもとより、軽量であるこ とや、機体に装着するために薄型であることが要求 されました。予備実験の結果から、レクテナ素子 あたりダイオードを8本使用することで、1Wの直 流出力を達成できることが判明しました。一方、推 進用モーターを回転させるために100Wの電力が機 体側から要求されましたので、1W出力のレクテナ を予備を含めて120素子程度搭載することとし、機体 側とレクテナの構造に関する打ち合わせを重ねまし た。その結果、機体の下面に、20素子のレクテナパ ネルを6枚搭載することを決定しました。

(表紙写真)

 アンテナ素子として、薄型形状が可能である円形 マイクロストリップパッチを採用しました。円形パ ッチの誘電体部はアンテナ効率向上のためにある程 度の厚さを必要としますが、この部分を従来の素材 で作製すると非常に重くなり、飛行出来ないと判断 されました。そこで、ペーパーハニカムをアンテナ 面と整流基板の間に接着することで、軽量化を図り ました。また、レクテナ部には0.3mmの薄形基板を 採用し、導体部の厚さも非常に薄いものを使用して います。この結果、レクテナ重量に占める基板、導 体部、接着剤の重量比はほぼ均等となり、既存技術 の限界にまで軽量化か図られました。その結果、レ クテナ総重量を1kg以下とすることが出来ました。

 アンテナ素子と給電線は、導体部に設けられた結 合口(スロット)を介して結合されています。スロ ット部以外ではアンテナ部と整流回路部は地導体で 分離されており、マイクロ波が直接ダイオードを照 射することがありません。アンテナ部で受電された マイクロ波はダイオードで整流されますが、ダイオ ードの非線形性によって高調波が発生するので、ダ イオードの前後にフィルタを挿入して高調波の再放 射を非常に低い値に抑圧しています。

 

レクテナ試験

 当所の大型電波暗室においてMILAX実験用に 開発してきた送電機とレクテナを対向させ、総合試 験を実施しました。これは、レクテナが十分な電カ を発生することを予め確認するため、およびアクテ ィブフェーズドアレーのビーム調整を行うためでし た。休日には空調機は運転されないので真夏の電波 暗室内は大変暑く、送電機の温度上昇を気にしなが らの測定でした。

 実験の予定時期はせまっており、残り少ない時間 の中でレクテナから取り出す電カを少しでも増加さ せるための悪戦苦闘の毎日が続きました。68W程度 の出力電力がこの時点で確認されました。機体側の 試算の結果、この電力は水平飛行を維持するために ぎりぎりの値であることが判明しました。しかし、 飛行実験のおりには自動車用のバッテリを使用する 予定でしたので、手持ちの電源よりも電源事情が良 くなり68W以上の出力の得られることが予想され ました。

 

MILAX飛行試験

 日産自動車株の追浜テストコースにおいて、8月 22日、23日に飛行試験を行いました。まず、推進用 モーターの代わりに疑似負荷として抵抗を接続し、 機体をクレーン車で吊り上げて電力伝送試験を行い ました。機体が風によって動揺するので出力電力は 変動しましたが、伝送距離が約10mのとき80W以上 の出力電力の得られていることがわかり、実験チー ム一同胸をなで下ろしました。

 その後モーターを取り付け、クレーンから機体を 吊り下げた状態での拘束飛行試験を行なって、送電 機から送られたマイクロ波によりモーターが回転す ることを確かめました。また、自由飛行にも挑戦し ましたが、この日は風が強く失敗に終わりました。 飛行中にプロペラが外れるというアクシデントがあ ったにもかかわらず、ラジコンの操縦者の的確な判 断で機体を無事着陸させることができました。

 8月29日早朝、関係者一同は絶対に成功させると の意気込みのもと、追浜のテストコースにおいて再 度の自由飛行試験に挑戦いたしました。当日は快晴 無風状態の絶好の条件でした。関係者が見守る中、 MILAXの機体はバッテリーによって上昇し、送電 機を搭載した車両の上空に誘導されました。ここで ラジコンの操縦者によって、モーターを駆動する電 源がバッテリーからレクテナに切り替えられまし た。マイクロ波で送られたエネルギーを得た MILAXの機体は、送電車の上空を高く空に舞い約 40秒間飛行しました。(

写真1)これは、日本初、世 界でも2例目のマイクロ波駆動小型模飛行機の飛 行の瞬間でした。この日は二回の試験を行い、その 成功を確認することが出来ました。

▲写真1 MILAX実験飛行機の飛行状況

 本試験をもってMILAX(マイクロ波駆動模型飛 行機)の実験は成功裡に終了しました。1993年1月 には今回の成果を引き継ぐ形で宇宙科学研究所の S520-16号機を用いた宇宙空間での電力伝送実験 (METS、Microwave Energy Transmission in Space)が計画されており、当所も京都大学、神戸大 学とともにこの実験に参加いたします。関係各位の ご支援、ご協力をお願いする次第であります。

(通信技術部 通信装置研究室長 藤田 正晴)



人体に対する電磁環境の影響

杉浦 行

 

電磁環境

 近年、我が国の無線局の数は毎年約100万局増加し ており、今や800万局に達しようとしている。このよ うに、我々の身の回りに無線機が氾濫するようにな ると、その電磁波によって引き起こされる様々な障 害、特に電子機器の誤動作や人間に対する影響が懸 念され始めてきた。このため、当所電磁環境研究室 では、昭和58年頃から各種無線局の周辺地域におけ る電磁環境の実態調査を行ってきた。調査対象に選 んだ無線局は、各周波数帯について我か国で最も強 い電波を発射している局(関東地域)である。その 結果、概略以下のことか判った。

 @中・短波の大電力放送所周辺の電界強度は、 最高100V/m程度である。

 ATV・FM放送所周辺では最高10V/m程度。

 B航空監視用の大電力レーダー周辺では、瞬時 的に数100V/mになるが、平均値は極めて低い。

以上の結果は、公道などの一般市民か近づき得る場 所の値であって、送信所構内では当然これよりも高 くなる。以上のような大電力局の外に、非常に普及 している小型無線機の近傍や、高周波ウエルダーの 周囲の電磁界についても調査した。図1は、パーソ ナル無線機から10cm離れた位置の垂直面内の電界 強度分布を表したものである。人がいない場合は、 最高140V/mにも達することが判る。

▲図1 パーソナル無線機(5W)近傍の電磁界

 

人体に対する電磁波の影響

 人体に対する高周波エネルギーの影響について は、ヘルツが1887年に電磁波の存在を証明した頃か ら研究が進められている。例えば1890年代には、低 周波による加熱作用がフランスの科学者によって発 見されている。さらに1900年代になるとジアテルミ ー装置が開発され、人体にラジオ周波数帯の高周波 電流を流して、その発熱作用によって神経痛などを 治療する温熱療法が行われ始めた。その後、第2次 世界大戦になってレーダーが開発されると、マイク ロ波帯電磁波の影響が懸念されるようになり、これ に関する研究が欧米で精力的に行われるようになっ た。その結果、人体に対する電磁波の影響は周波数、 電力密度、照射時間などに依存するが、誘電加熱に よる体内温度上昇(熱作用)と、熱によらない非熱 作用があることが判明した。

 

電磁波の熱作用

 電子レンジの中の食物と同様に、人間も電磁波に 曝されると、そのエネルギーを吸収してジュール熱 を発生し、体温が上昇する。この温度上昇は、単位 体重当たりの電力吸収量、すなわち比吸収率SAR に強く依存する。例えば、全身平均のSARが1〜4 W/kgの場合は、体温が約1℃上昇する。健康体の 体温は36〜37℃であるから、この1℃の体温上昇は 無視できない影響である。ただし、人体の吸収特性 は周波数に依存するため、同し強度の電磁波を照射 しても、吸収される電力は周波数によって大きく異 なる。

 例えばVHF帯では、人体の寸法が波長と同程度 であるため共振現象を起こし、エネルギー吸収は最 大になる。また、エネルギーの大部分が体内深部で 吸収されるため温度上昇を感し難いので、最も危険 な周波数帯である。マイクロ波帯になると、波長が 目などの体内器官の寸法に近くなるため、熱吸収が 局所的に起こり、ホットスポットを生じやすい。特 に、血管が少ない眼球や睾丸は、熱拡散が難しいの で影響を受けやすい。一方、HF帯以下の周波数帯で は、エネルギー吸収が比較的に少ないため熱作用は 顕著でない。しかし、誘導作用によって体表面近く に電流が流れるため、これによる神経・筋肉等の興 奮か問題になる。

 

電磁波の非熱作用

 前項の低周波誘導電流による刺激作用の他に、こ れまでに様々な現象が電磁波の 人体に対する非熱作用として報 告されている。しかし、実験結 果の再現性が乏しいため、定説 になっているものは極めて少な い。例えば、動物に振幅変調し た高周波電磁波を照射すると、 脳細胞のカルシュウムイオンの 流動性が増すことは広く知られ ているが、その生理学的影響は 未だ解明されていない。また、 パルス変調したマイクロ波を人 体に照射するとクリック又は唸 り音が聞こえることがある。こ の現象は0.2V/m程度の弱い電磁波でも起こるた め、最初は非熱作用と解釈されていたが、現在では マイクロ波による局所的不均一加熱が原因であると 考えられている。

 

電波防護指針

 人体に影響しないと思われる電磁波の強度(限度 値)については、古いものでは1953年に米海軍が定 めたものがある。その後、電子レンジや無線機の普 及に伴って、これによる障害を未然に防ぐために各 国で防護基準の制定が行われた。例えば、欧米諸国 は熱作用を重視した基準を制定し、一方、東欧諸国 は非熱作用の可能性も考慮し、安全率を大きく見積 もって限度値を定めた。このため、欧米と東欧では 基準が非常に異なり、現在でもVHF帯の電界強度 限度値は20倍も違っている。

 我が国でも、昭和60年頃から郵政省で電磁波に対 する防護指針の検討が開始され、昭和63年には電気 通信技術審議会にその諮問が行われた。その結果、 内外の研究成果を慎重に考慮して、図2に示す指針 値を平成2年に答申した。例えば図のVHF帯の指 針値は、体温上昇0.1℃に対するSAR0.4W/kgか ら定めたもので、基本的に欧米の基準に沿ったもの である。なお、本指針策定には、電磁環境研究室及 び測定技術研究室が大いに貢献した。

(標準測定部長)

▲図2 電波防護指針(一般人用)



≪研究支援シリーズ≫

宿 舎 事 情

深沢 岩美

 当研究所の職員になった時から、あるいは、結婚 が決まった時から必要になるのが住宅であろう。

 最近では、バブルの崩壊で不動産の価格は沈静化 してきたと言われているが、賃貸住宅の家賃が下が る気配はなく、本所周辺では2DK程度のアパート でも月額10万円近くもしており、家計に占める家賃 負担は非常に重く、勢い公務員住宅(宿舎)ヘの入 居希望が多くなる。しかし、宿舎も厳しい財政事情 を反映して新規の割当が少なく職員の希望になかな か応じられないのが実情であるが、本所及び支所の 宿舎事情について紹介してみたい。

 

(独身者用宿舎)

 本所については、小金井寮があり42室に12月末現 在31名(内女性2名)が入居している。この他に、 上の井寮跡地に本省所管の独身寮が建設中であり、 12月末に完成の予定である。また、関西支所につい ても、岩岡宿舎4戸・8室があり8名(うち女性2 名)が入居している。現在、この宿舎に隣接し、27 名か入居可能な世帯転用型独身寮を建設中であり、 本年度末までに完成の予定である。

 同支所には、平成3年8月の新庁舎完成により9 名の独身研究職員が移転したが、財務局所管の独身 寮がないため、近畿郵政局から臨時に宿舎の貸与を 受け今日に至っているか、この新しい寮の完成によ り全員の入居が可能となり遠距離通勤から解放され る。

 以上のように、本所及び関西支所とも独身寮につ いては、現在建設中の寮が完成次第、当面の必要数 は確保できる見通しであるが、新規採用者が毎年十 数名あり、その多くか入居を希望していることから 決して余裕があるとは言えず、直ぐにひっ迫してし まうため、入居資格を満30才までとしてご協力頂い ているところである。

 

(世帯用宿舎)

 本所については、本省を経由して財務局所管の合 同宿舎の貸与を受けているが、本所への通勤圏内に 宿舎の新設が少なく、既存の宿舎の空き待ち状態と なっている。現在、入居を希望している職員、及び 家族の状況から広いタイプの宿舎への移転を希望す る職員等数名に待って頂いている実情である。

 関西支所についても合同宿舎の貸与を受けている が、支所周辺には宿舎がなく、遠距離の宿舎が割り 当てられており、また、戸数も不足しているため近 畿郵政局から臨時に宿舎の貸与を受けている。財務 局からは10戸の宿舎の配分計画を受けているが、財 政事情から着工されておらず、実際の貸与までには まだかなりの時間を要する見込みである。

 平磯センターについては、省庁別宿舎を有してい るが戸数が10戸と少なく、新たな転入者に応じられ ないため、財務局に貸与を要望している。しかし、 当地域の宿舎事情は極めて悪い状況で、新たな貸与 は全く無く、現在貸与を受けている宿舎も老朽化が 著しい取り壊し予定の宿舎である。その一方で、管 轄の財務事務所にも宿舎の設置要求をしているが、 未だ見通しが得られていない。

 なお、同じ茨城でも鹿島センターは、独身用宿舎 がある他、CS・BS時代に省庁別世帯用宿舎の設置が 認められて新たに28戸を建設したため、老朽化は進 んではいるものの比較的余裕がある。

 

(おわりに)

 以上のように、本所、関西、平磯では宿舎事情は 非常に悪く、直ちに緩和される状態ではないが、職 員が安心して職務に専心するためにも、安定した宿 舎の提供が必要であり、1戸でも多くの宿舎の確保 が出来るよう、関係方面に強く働きかけをしている ところである。

(総務部 庶務課 管理係長)



≪通信総合研究所滞在記≫

One month at CRL

Victor G.Sinitsin,

Institute of Radio Astronomy

Kharkov,Ukraine

     Prior to start writing,

     Just look how beautiful

        a clear white sheet of paper is...

Perhaps,I shall not try to present anything like“My impression of Japan”,for the mere reason that Japan is too great a cultural and psychological world to have an adequate impression of in just one(or a few)month.Certainly,I have touched only superficially upon this ocean,and it could hardly have been otherwise,even after a year,without at least a rudimentary knowledge of the language. Lacking that knowledge,I could not help remaining deaf and blind to many aspects of the Japanese everyday life. However,there is something that I have understood and appreciated.I stayed most of the time at the CRL Headquarters in Koganei-shi,paying short visits to the Hiraiso and Kashima Research Centers and the Solar-Terrestrial Lab. of the Nagoya University at Toyokawa,and I am happy to have found a community very much like that at my own institute.It is not just that I met people with similar scientific interests,which is something too obviously expectable,but I admired the atmosphere of dedication and comradeship and sincerity at that. This is something highly valued but rarely met in professional life,but other“gaijin”here at the CRL told me it is met in Japan more often than at other places.Needless to say,this helped in work almost as much as the fine equipment and excellently meticulous organization. As a result,I have nearly fulfilled the plan jointly developed for my 30-day stay before my arrival here.The only problem has been that one month actually proves a much shorter period than 30 days.Over that time,I have developed a rather rigorous theory(based on a previously known theory)to confirm my understanding of radio wave scattering in the outer solar corona and the solar wind,and did the related numerical work.Observations of cosmic radio sources through the turbulent solar wind are important parts of radio astronomy both at CRL and at my institute,though performed at very different frequencies.I have learnt a great deal about research programs of the CRL,especially in the fields of remote sensing and atmospheric propagation.I will be happy if the discussions I had with colleagues here and at other CRL centers have contributed to their understanding of the state of radio science in the(former)USSR and may stimulate our closer cooperation.

     When back home,I am going to miss my Japanese friends.

      Arigato gozaimashita.Iroiro osewa ni narimashita.

Victor G.Sinitsin博士の紹介

 シニーチン博士は、ウクライナ共和国科学アカデ ミー電波天文研究所より、科学技術庁の招へい研究 者として、平成4年10月5日に来日し、11月3日ま で電波部電波媒質研究室に滞在した。博士の専門は 電波伝搬理論で、滞在中は当所との共同研究テーマ である惑星間シンチレーションに関する理論研究を 行うかたわら、所内外の研究者との交流に多忙な 日々を過ごされた。この間にご協力いただいた関係 各位に感謝いたします。

(電波部電波媒質研究室長 森 弘隆)



短 信

電気通信フロンティア研究
第2回成果報告会開催される

 郵政省・(財)テレコム先端技術研究支援センタ共催 の電気通信フロンティア研究第2回成果報告会が10 月19日午後、東京で開催されました。

 今回は、「未開拓電磁波技術の研究開発」「高次知 的機能の研究開発」「ネットワーク・ヒューマン・イ ンタフェイスの研究開発」の3つの分野で、それぞ れ5つの講演がありました。また、本田東京工業大 学助教授による「高度立体動画像通信プロジェクト を始めるにあたって」の特別講演が行われました。

 約110名の参加者により熱心な討論がなされまし た。また講演終了後には、講演者・聴講者による懇 談会を行い、なごやかに交流を深めました。

 本報告会は一般に公開しています。今後は毎年5 月頃に定期的に開催する予定ですので、ご参加をお 待ちしています。


第83回研究発表会開催される

 平成4年度秋季研究発表会(第83回)がさる11月 11日に当所の大会議室で開催されました。

 春野所長の挨拶に続いて午前中は「セシウム原子 ビームのレーザ冷却とトラッピングに関する実験」、 「蓄積イオンのレーザ冷却と量子跳躍の観測」、「ミリ 秒パルサー観測による高安定時系への応用(観測シ ステムの概要と初期実験結果)」、「鹿島〜野辺山電波 干渉計(KNIFE)による天体電波源の観測」の発表 を、午後からは「レーダによる極域電離圏ダイナミ ックスの研究」、「中低緯度電離圏不規則構造の観測 と生成理論」、「電磁シールド材評価法の検討と解 析」、「成層圏無線中継システム用マイクロ波電力伝 送の基礎実験」、「陸上移動通信用16QAM方式の野 外走行実験」がそれぞれ発表されました。また、ホ ワイエにおいてマイクロ波電力伝送実験に使用した 模型飛行機など発表関連の実験機器を展示し、休憩 時間には実験風景のビデオ上映を行いました。

 当日は所外から189名の方々が来聴され、発表につ いての活発なご意見をいただきました。これら多く の貴重なご意見を参考にして、今後の研究活動に生 かしていきたいと思います。


34次南極観測隊出発

 快晴の11月14日の正午、第34次南極観測隊が観測 船「しらせ」で東京港晴海埠頭を出発した。34次隊 には当所から山口隆司、蒔田好行の2名がそれぞれ 電離層定常、宙空部門に参加し、山口は昭和基地郵 便局長も兼務する。土曜日ということもあってCRL から畚野所長を始め、多数の仲間が見送った。

 観測隊はオーストラリアのフリマントルに寄港し た後、12月下句に昭和基地に到着する。当所の2名 は、夏の間に電離棟外壁の張り替え工事、南極周回 気球の打ち上げ等を実施して、現在越冬中の33次隊 と交代する。越冬中は電波による超高層大気の観測、 人工衛星電波の受信を行い、帰国は再来年の3月末 の予定。多くの成果が期待されている。

▲観測船しらせ第34次南極観測隊を乗せ出発


パソコンネット「CRLプラザ」の利用状況(1)

 今回は、部外者(OB、出向者、当所に関係の深い 会社の方達)のCRLプラザ利用状況について報告 します。現在部外の登録者は28名。利用者数は約10 名/月、利用回数約64回/月、平均利用時間は約5.5 分/回となっています。開局(1992年4月CRLニュ ース参照)して6ヵ月という短期間のため、利用の 特徴、内容、傾向など正確に把握はできていません が、当所のイベントのあった6月(研究発表会)、7 月(施設公開)には、利用の回数、時間がともに顕 著に増加しています。それらは他の月に比べ約2 〜4倍にも達し、CRLプラザが主に情報収集の場と して利用されていることがうかがえます。一方利用 者数はイベントに関係なく月毎に増加しており、今 後一層活発な利用が期待されます。

 なお、CRLプラザはパソコンに通信ソフトとモデ ムを追加するだけで容易に利用できますので部外者 の方の多くの参加をお待ちしています。


機械工作講習会の開催

 当所には本所3号館に機械工作室があります。こ こでは研究や実験に使う機器や部品を、専門の担当 者が製作する方法のほかに、研究者自らの手で製作 や改修ができるよう、工作機械を開放し、工作材料 を準備しています。

 担当係では国家公務員安全週間に合わせ職場安全 教育の意味も含めて、職員が開放工作機械等を取扱 うに際して必要な安全確保、機械の整備及び操作 法・工作技術の習熟を目的とする機械工作溝習会を 昭和43年以来実施しています。

 今年の、講習会の内容の一端を紹介しますと、講 習期間は10月20日から3日間で、一日目は、機械工 作についての一般的注意事項及びボール盤、金切鋸 盤等の小型工作機械の取扱い並びに加工方法、二日 目は、フライス盤の取扱い及び加工方法、三日目は、 旋盤の取扱い及び加工方法等について実施しまし た。最近、当所でも外国入研究者が多数来日して おり、この講習会にも参加者があって、当係も国際 的になったものだと感じているところです。

(情報管理課 試作開発係)


ソフトボール大会会計課チーム優勝

 秋の恒例行事であるソフトボール大会が、構内グ ランドで、10月下旬から11月中旬の昼休み時間を利 用して実施された。試合は、各部等からの12チーム によるトーナメント方式により行われ一回戦から熱 戦が繰り広げられた。決勝戦は、強豪チームを連破 して勝ち上った情報管理部チームと、一回戦シード で順当に勝ち進んできた会計課Bチームとの対戦と なり、同等の守備力から接戦が予想されたが、情報 チームが優勝を意識し過ぎてか固くなり、残念なが ら会計課Bチームの強力打線の前に敗れた。今年、 健闘が目立ったのは3位になった電波部チームで、 2回戦までは堅実な守備と強力打線で勝ち進んでき ただけに、準決勝を前に主力選手であった南極隊員 の出発という不運に見舞われなければ、決勝戦に駒 を進めていたかもしれない。会計課はV3を達成し たわけであり、来年は会計課の優勝を阻むよう各チ ームの健闘を期待したい。

▲試合を前に監督が気合を入れてるところ