上海が近づいてくる


日置 幸介

 

はじめに
 超長基線電波干渉計(VLBI)は、星からくる電波 をアンテナ間で比較して遅延や相関強度を測る装置 である。アンテナ間の距離をはかる「巻尺」、星の構 造をさぐる「電波望遠鏡」、地球の自転速度を測る「ス トップウオッチ」などの他、その気になれば離れた 時計を同期させたり、電離層や大気の厚さをはかる こともできる。まさに精密測定界のスイスアーミー ナイフである。通信総合研究所はVLBIという電子 巻尺で国内外のアンテナ間の距離を測りつづけてき た。最近話題の我々の隣国、中国の上海VLBI局と 鹿島との距離変化について述べ、なぜそうなるかに ついて解説する。
 

VLBl実験の日中史
 昭和58年10月の第2回日中科学技術委員会で、日 中共同VLBI実験の実施が合意され、昭和60年9月 に中国科学院上海天文台とはじめての日中実験が行 われた(RRLニュース、昭和61年10月号)。このとき は上海天文台の6mアンテナを使用したものの、受 信機やVLBIデータ取得装置は鹿島のものを持ち 込むという「押しかけ」実験であった。その後上海 局は、昭和61年にMark%P%C%/%(%s%I!">  

毎年3センチ近づく上海
 4年間、20回以上にわたるVLBI実験の結果は、 鹿島と上海の直線距離が年間3センチ近く縮みつつ あることを示す(図1)。日中の近代外交関係は近づ いたり遠ざかったりであるが、物理的にみるかぎり 両国の「歩み寄り」は着実である。地面の上の点ど うしの距離を変化させる原因は「プレート運動」と 「地殻変動」である。「プレート」とは地表に敷き詰 められた厚さ100キロほどの硬い岩盤のことで、何枚 かに分かれてそれ自身は変形することなく互いにゆ っくり動いている。例えば鹿島とハワイの距離変化 は、ハワイが乗る太平洋プレートと鹿島の乗るユー ラシアプレートの相対運動として一言で説明でき る。一方「地殻変動」はプレート内部の局地的な動 きを指すことが多い。プレートが「硬い」といって も隣どうしのプレートか押したり引いたりするため にさかいめ付近では多少の変形をまぬがれない。鹿 島と上海の距離変化は、プレート運動そのものでは なく、実は「プレート運動によって引き起こされた 地殻変動」なのである。観測された基線長変化、年 間約3cmのうち約2cmが日本の地殻変動による 鹿島の動き、のこり約1cmは東アジアの地殻変動 による上海の動きと考えられる(図1)。


▲図1 VLBIで計った1988年から1992年までの上海−鹿島の直線距離。1988元旦の値から
    の差を単位mmで示す。誤差は1σ。地図上の矢印は3次元的に求めた鹿島と上海の速度
の水平面内への投影(ユーラシアプレート内部から見た速度)。誤差楕円は1σを示す。

 

押されて縮む日本、押されて逃げる中国
 日本海溝では太平洋プレートが日本列島の下に沈 み込んでいる。海洋プレートが沈み込む陸側には島 弧型の火山活動が生じ、地下の温度が上がる。熱せ られて柔らかくなった大地は太平洋プレートの「押 し」によって容易に縮むだろう(図2)。これが鹿島 の西向き2cm/年の動きの原因と考えられる(日本 全体が一斉に動くわけではないので鹿島以外の点で 測ると2cm/年とは限らない点に注意)。


▲図2 沈み込む海洋プレートの圧縮力によって縮む島
    弧。陸内部からみると、鹿島のような島弧前
    面にあるVLBI局は陸方向へ動く。

 一方中国側の地殻変動は大陸的でスケールが大き い。中央アジアから中国、東南アジアにわたる広い 地域は一応ユーラシア「プレート」に属するものの、 巨大な横ずれ断層や地溝帯に代表されるプレートの 大変形がおこっている特殊な地域である。「プレート の内部は変形してはいけない」というのが地面が従 うべき「法律」とすると、東アジアは一大「無法地 帯」といえよう。
 この無秩序の元凶がインド亜大陸である。ゴンド ワナ大陸から分離北上し、約4千万年前にアジアに 衝突したインドは、衝突によって速度は鈍ったもの の止まる気配をみせず、現在なお年間約 5cmの北上を続けている。北上を可能に するには進路にあるモノが「縮む」、また は「よける」必要がある。事実、衝突前 面の地殻にしわがよって大山脈ができ (ヒマラヤの造山運動)、さらにアジアが いくつかのブロックに割れて次々に東に 押し出されているらしい(図3)。一見無 秩序にみえる東アジアの地殻変動もイン ドシナ、南中国などのいくつかのブロッ クが東へ逃げる過程ととらえると規則性 がみえてくる。


▲図3 インド亜大陸の衝突によるヒマラヤの造山運動と
    インドシナ、南中国各地塊の東への押し出し。上
    海VLBI局は南中国地塊の先にのって東へ進む。

 これを直感的に理解するには、ようか んを適当に切って皿の上に横たえ、上か らスプーンの背中で押してみるとよい。 スプーンの下のようかんは多少縮むかも しれないが、それよりも真ん中でちぎれ て左右に押し出されるに違いない。スプ ーンがインド、ようかんがアジア、皿が シベリアに相当する。東に押し出された ようかん片にのった上海は毎年1cmづ つ日本に近づきつつあるのである。
 この仮説自体はアメリカのP.モルナ ーやフランスのP.タボニエが1970年代 に提唱したもので、かなりポピュラーな ものではあるが、測地データから証拠が 得られたのは初めてのことである。これ をみた関連研究者間に「やっぱりそう か」、「そんなアホな」などの活発な議論 がおこり、地球への理解が更に深まるこ とを期待したい。「巻尺」としてはより手 軽なGPSに押されぎみのVLBIである が、何千キロといった基線長で頼りにな るのはやはりVLBIである。中国側では西北部のウ ルムチおよび南東部の昆明(クンミン)に新アンテ ナを建設しており、同しくVLBIに興味を示してい るインドの局とも合わせて、「ようかん」だけでなく 皿やスプーンの動きまで将来わかってくるに違いない。

(関東支所 宇宙電波応用研究室・主任研究官)




大型望遠鏡でBS-3a及びBS-3bの
相対位置の精密観測に成功


有賀 規

 当所では、通信・放送機構、ATR光電波通信研究所と 共同で従来の電波による衛星追尾に光学観測を加えて静 止衛星の位置をより精密に決定する研究を行っている。 その一環として、当所内の宇宙光通信地上センターに設 置されている口径1.5mの望遠鏡と高感度CCDカメラ を組合わせた光学装置(写真1)によって、東経110度に 配置されているBS-3aとB-3bの両方の衛星を望遠鏡 の同一視野内に入れて撮影し、2個の衛星の相対位置を 精密に観測することに成功した(表紙写真)。両衛星は ほぼ経度方向に並んでおり、観測時点で約36km離れて いることが画像解析より確認できた。近距離の静止衛星 の相対位置を大型望遠鏡の画像解析を用いて精密に求め るのは世界でも新しい試みであり、このニュースは新聞 や情報通信ジャーナル等でも報じられた。


▲写真1 口径1.5mの望遠鏡システム
 (A:赤外カメラ、B:高感度CCDカメラ)

 その後詳細な画像解析を行い、点として現れている衛 星のスポット像の重心は0.2秒角(静止軌道上で50mに 相当)の精度で決定できる、即ち2衛星の相対位置がほぼ この精度で決定できる、ことか明らかになった(有本他、 信学宇宙航行エレクトロニクス研究会、1992年7月)。こ のような光学観測では衛星の方向(方位角、仰角)を星 と同じように画像から直接極めて高い精度で求めること ができるという電波では得られない特徴がある。星の位 置を基に校正することによって相対位置のみならず、絶 対的な方向も高精度に求めることができる。
 衛星の追跡(追尾)は多くの場合電波を用いて行われて いる。一方、光学技術を用いた衛星追尾は天候に左右さ れるものの、高精度・高分解能が得られることから最近 では多く用いられている。光学的手法は大きく二つに分 けることかできる。一つは能動的な方法で、レーザ測距と 呼ばれているものである。この方法では光学局からパル スレーザ光を発射して衛星からの反射光を検出し、光の 往復時間から衛星までの距離を求めようという方式であ る。上述の当所の宇宙光通信地上センターでは衛星のレ ーザ測距を実施している。レーザ測距の精度は極めて高 く、現在1〜2cmの精度が実現されている(マイクロ波 レンジングの精度は〜1m程度である)。レーザ装置が 必要なので地上装置が大規模になること及びレーザ光反 射器を搭載した衛星にしか適用できないという制限はあ るが、地球上の多点観測によって衛星の高精度の位置決 定のみならず、各地上局の位置も正確に決定できるので、 測地学の分野では最先端の観測システムとなっている。
 もう一つは受動的な方法で、夜間望遠鏡で衛星を見る と太陽光の反射によって衛星が星と同じように見えるの で、これを観測して位置(この場合、方向が正確に分か る。)を測定しようとするものである。この方法では従来 の電波による追尾方法と大きく異なり、衛星側から電波 や光を発射する必要がない(人工的な電磁波は全く必要 ない。)ので、運用を停止した使い捨ての衛星やスペース デブリを含むいかなる宇宙飛翔体でも観測できることが 特徴である。この方法がBSの観測に用いられた方法で ある。
 近年、静止軌道上では特に通信・放送衛星の数が世界 的にも著しく増加しつつあり、静止軌道の有効利用が必 要である。このような情勢にあって、衛星の軌道(位置) の決定精度の向上が不可欠である。光は電波に比べて著 しく波長が短いのでその分高分解能・高精度が容易に得 られ、将来さらに高精度化が可能である。従って、光学 技術を用いた手法は今後も衛星の高精度位置決定に大き く貢献できるものと考える。

(字宙通信部 宇宙技術研究室)




超高精度基準座標系確立のための
宇宙測地技術開発ワークショップの開催


吉野 泰造

 郵政省通信総合研究所は、1月18日(月)〜1月 21日(木)の4日間にわたり東京都小金井市の同所 大会議室において「超高精度基準座標系確立の ための宇宙測地技術開発ワークショップ (iRiS'93TOKYO)」を開催しました(委員 長:杉浦 行 通信総合研究所標準測定部長)。 本国際ワークショップは、平成4年度科学技術 庁重点国際交流課題による予算援助を受けて、 (社)科学技術国際交流センター、日本測地学会の 後援のもとに通信総合研究所が開催したもので す。


▲iRiS'93ワークショップ会場風景

 宇宙測地技術は、天体電波を使うVLBI、レー ザー光を用い測地用衛星を追跡するSLR、衛星 電波を利用するGPS等からなります。これら の計測技術は、従来の地上測量に比べはるかに 大規模に、そして超精密に測位を行なうのに役 だっており、地球回転の精密計測も含めて現代 の地球科学、宇宙開発の基礎を支えています。 このため、こうした技術の高精度化、総合化に 向け本ワークショップには各国から宇宙測地技 術分野の専門家が一堂に会し、約60件の発表を 行なうと共に活発な質疑応答が行なわれまし た。ワークショップヘの参加状況は、日本を含 め、米国、ドイツ、フランス、イタリア、豪州、 中国、ロシア、ハンガリーの9カ国に上り、日 本滞在中の外国人24名を含め、91名と予想以上 の盛り上がりとなりました。宇宙測地技術は国 際協力のもとに初めて成立するものであるため 多数の国からの参加は今後の国際協力について 討議するため、大変好都合でありました。
 そして最終日には全体の発表から将来の研究 方向を討議する時間を設け、現在抱えている問 題の解決に向けた話し合いも行われました。
 その結果、VLBIの観測システムの国際互換 性や観測協力についての具体的なテーマが議論 できたため「実りあるワークショップであっ た」、「日本の活躍が十分にわかって良かった」 等の言葉を頂き、数週間前のせっぱつまった準 備の苦労も忘れることが出来ました。
 今回のワークショップを象徴したのが2日目 の晩に開かれたパーティーでした。正月の開催 にちなみ日本酒の樽を世界の“地殻プレート” 代表者5人に割って頂く鏡開きの後、パーティ ーは主催者の予期せぬままに、各国参加者の世 界の歌の競演へと展開したのでした。この時は 著名な先生方も皆、童心に戻って陽気に楽しま れていたのが印象的でした。最後に、本ワーク ショップの開催にあたり、多くの関係者の御協 力を頂きました。ここに謹んで感謝の意を表し ます。

(標準測定部 周波数・時刻比較研究室)




≪研究支援シリーズ≫

企画課


梅原 俊彦

 第一企画係

 第一企画係のプロジェクトは「研究調査の企画及び総 合調整」となっていますが、研究所のみなさんも「何と なく色々なことをやっているか、いったい何をやってい るんだろう?」とはっきりしないと思います。実際担務 しても課長補佐・主任研との切り分けが困難な部分が多 いのですが、ここでは研究者の皆さんが直接関係のある 事項について、お願いも含めて書き綴ってみます。
 @本省や科学技術庁との対応
 これは、資料の種類により、幹部の意見や担当部署の 意見をまとめています。また、資料作成要求に対して〆 切か迫っているものが多く、各部課室には迷惑をおかけ しています。毎年恒例の資料については、できるだけ事 前にお願いするように心かけていますので、今後とも御 協力願います。
 A外国出張
 近年依頼出張がたいへん多くなり、本省からいろいろ クレームかついています。郵政旅費が少ないから依頼出 張は仕方がないのですか、クレームの最大の原因は、上 申時期が遅く十分な審査の時間がとれない点です。依頼 元の決定や調整等大変だとは思いますが、できるだけ早 めの手続きをお願いします。
 B外部予算
 外部予算については、本省庁との連絡各や所内の取りま とめを行なっています。また、移し替え用の資料や語句 の説明資料等の作成は出来るだけ第一企画係で行なって います。科学技術庁や環境庁の予算を獲得するには、で きるだけ各省庁の担当者と連絡を密にし、事前情報を入 手することが重要です。また省庁間にまたがる研究(総 合研究等)では、各研究所間の事前の下打ち合わせも重 要ですが、現在これらは研究者任せになっています。
 Cヒアリング
 研究の進捗状況の把握や問題点の洗い出し、また研究 計画を策定するために所内ヒアリングが行われています が、これらの日程調整・資料の取りまとめを行っていま す。また、ヒアリングで出された意見をまとめて各部に 戻しています。
 Dその他
 その他、顧問・客員研究官の事務処理、本省協力依頼 事項、特別研究員の受け入れ、出向者会議の開催、研修 生の受け入れ、外国人研究者の受け入れ、講演会の謝金 等の事務処理を行っています。また、所の承認が必要な 「委員講師」、「各種援助制度への応募」、「科研費の分担者」 の書類の提出先となっています。
 以上いろいろなことを述べましたが、第一企画係では できるだけ提出書類の書式をFDに入れて各部に配布し ています。現在「一太郎」の書式のみですが、近いうち に「マッキントッシュ」も作成する予定です。また「CRL-MAlL」 だけでなく「LAN」への接続も行い、オンライ ン提出可能とする予定です。

(企画調査部 企画課 第一企画係)



 第二企画係

貝沼 昭司

 研究成果の管理を担当しているのが第2企画係で ある。研究成果は、外部発表(学会発表やシンポジ ウムロ頭発表等)や部内発表(季報や研究発表会等) そして特許に大別されるが、個々について思いつく ままに述べてみたい。
 今まで研究成果の確認作業ということで、入力ミ スや記入漏れの修正などで研究者の皆さんには多大 なご協力を頂きました。お陰様で希望する成果リス トは容易に出力されるようになりましたが、さらに データの入力ミス等を無くして信頼性のあるデータ にしていきたいと考えています。そのため、発表伺 書や報告書は、計算機に入力する関係から、記入者 以外の人も読めるように丁寧に記載していただくこ とや、当係からのお願い文書は熟読していただくよ う、さらにご協力をお願いします。
 現在使用中の研究成果管理用計算機は、早い時期 に大きく変貌する予定である。自分の成果は、何時 でも自由に自分のデスクで見ることやプリンターに 出力できること、そして所内研究者の希望する論文 の検索など、いろいろな利用ができるように改善し ていきたいと考えています。
 研究発表会については、当係は6ヵ月前から作業 がはじまります。発表題目や発表者の決定までの手 続き、プログラム作成、プログラム印刷、ポスター 作成そして報道発表など、研究発表会当日までには 大変長い地道な作業が続きます。特にスライドレビ ューやリハーサルなどでは、連絡不行届などで当係 からのお願いに対して発表者や関係者にいろいろご 無理なお願いをすることもありますが、発表会を成 功させるためですのでお許しを願いたいと思いま す。
 研究談話会は、現在、共通談話会と部、分野別、 支所、観測所談話会の5種類6つの談話会が開催さ れています。共通談話会を除いた談話会は、発表ま での準備は少ないがTV中継や発表資料の配布が あり、発表後の作業量は開催回数が増えただけ増え ている。1990年12月までは、月に1回共通談話会を 担当すれば良かったのですが、省力化が叫ばれてい る中で研究談話会の仕事は増えている状態にあり、 他の仕事との関係から当係の仕事は大きく省力化を 進めたいと考えていますので、TV中継システムが 抜本的に改善されるのを機会に皆さんのご協力をお 願いしたいと思います。
 特許関係では、今年から弁理士による特許相談窓 口を開き、特許の出願、拒絶など発明者と係にとっ ては大変有効に機能している。出願の件数も増加し てきたようであるが、9月からスタートしたフロッ ピー出願の頃より出願が小休止しているような気配 も感じられる。なるべく特許に関心をもっていただ き、そして出願へと研究成果を発展していただくよ う希望したい。
 以上、研究成果の管理に関しましては、今後とも 第2企画係にご協力いただきますようよろしくお願 い致します。

(企画調査部 企画課 第二企画係)



 第三企画係

三木 干紘

 第三企画係の仕事は、広報です。その中身は、多 種多様であり見学、視察者のご案内、CRLニュース 及び年報の発行、研究所紹介パンフレットの作製、 科学技術週間講演会の開催、8月1日の一般公開の 開催、報道発表手続き、取材の対応、外部からの依 頼物の回覧や掲示、所内で開催される各種講演会の 支援、文化講演会の開催、大会議室映写室の管理、 記録写真や記事の保管、外部からの問い合わせの対 応、そのほか何処に所属するのか解らない内容の処 理など、休力と健康が頼りの仕事です。
 また、上記項目から派生するサービス、例えば、 カラーコピー機の管理、研究所関連記事の回覧、博 物館的記念物品の保管、ビデオテープの録画や複写、 外部からの依頼資料発送などが有ります。
 当面は、TV会議システムの整備、大会議室のAV 設備の整備、観測所統一パンフレットの作製、広報 用映画の作製、広報室の整備、発表技術の向上など を重要課題として進めております。
 第三企画係の仕事は、直接皆様の利益になること は少なく、見学の対応、ニュース原稿のお願いなど ご迷惑をお掛けすることばかりですが、皆様快くお 引き受けいただき感謝しております。
 急務として、取材を受けたときの対応や、報道発 表、特に共同研究で共同研究者の先方側が報道発表 する場合の手続きが明確な形で周知されていないの で徹底したいと思っております。
 第三企画係の仕事は、切り詰めればいくらでも切 り詰められることですが、研究所の中に一部所は、 専門に考える者が必要な内容と思います。
 蛇足ですが、大部屋で、時々仕事の疲れをいやす 傍ら、親睦を図るための「交流会」を開いておりま す。ご来会下さい。

(企画調査部 企画課 第三企画係)



短 信




鹿島26mアンテナ、国土地理院へ所管換


 平成4年12月10日に関東支所鹿島宇宙通信センターの 26mアンテナが、建設省国土地理院へ正式に所管替えさ れた。
 26mアンテナは昭和43年10月に完成以来、当初の建設 目的であった衛星通信・管制実験に使用され、黎明期に はATS-1によるSSRA等の衛星通信実験や雲分布写真 の受信等において数々の成果を挙げてきたものである。


▲所管換え手続きを終えて握手する両代表

 また、衛星通信実験の合間には、30mパラボラアンテ ナとともに、当時数少ない我国の大型アンテナとして電 波天文観測面でも所外研究機関との共同研究に使用され, 我国の電波天文発展の一翼を担ってきた。
 更に最近では、同アンテナは、VLBI(超長基線電波干 渉計)観測用に改造され、昭和58年より開始された日米 VLBI実験を初めとする国内外のVLBI実験で、プレー ト通動の実証等の多くの成果を揚げ、我国のVLBIによ る宇宙測地基準点として活躍してきた。
 このように26mアンテナは建設後24年の長きにわた って鹿島支所(現関東支所鹿島宇宙通信センター)のシ ンボルとして親しまれ、また、現役アンテナとして最も 長寿のアンテナである。これも、建設当時の技術力の高 さによるものと考えられる。
 この様な大型施設の省庁間の譲渡は当所としても恐ら く初めてのことであり、関係各位の尽力の結果実現でき たものである。
 形態としては、アンテナ等の施設は国土地理院所管、 土地・庁舎の一部は地理院への使用承認という形で運用 される。
 同日は、当所鹿島宇宙通信センターに、国土地理院よ り宮崎国土地理院院長、井上測地部長を始めとする関係 者各位、当所側からは畚野所長、杉浦標準測定部長(当 所時空計測推進委員会委員長)を迎え、同アンテナの受 渡し式等の、所管換え記念行事が実施され、同アンテナ を通じた当所と国土地理院間の今後の更なる精密宇宙測 地面での協力関係の緊密化が約束された。

(関東支所 宇宙電波応用研究室長)



小泉郵政大臣視察


 1月12日小泉郵政大臣が当所の視察に見えられ た。所幹部を引見し日頃の研究活動の労いに続いて、 訓辞をされた。
 続いて、所長による研究所の概要説明が行われた。
 所内の視察に際しては、納得のゆくまで説明者に 質問するなどし、研究所に対する理解をさらに深め られた。観測データから、大臣宅の岩盤の動きのデー タをピックアップした結果から「大臣のお宅の岩盤 は地震がおこると直下型地震になりやすい」と説明 を受けられたときは、VLBI技術からこんな事まで 分かるのかと感心されていた。


▲熱心な質問と説明