高機能知的通信の研究
電気通信フロンティア研究計画の高機能ネッ
トワーク技術研究の一環として、超多元可塑的
ネットワークおよびネットワークヒューマンイ
ンターフェースの研究を実施するとともに、周
波数資源開発の一環として、準マイクロ波帯に
おける陸上移動通信研究をインテリジェント電
波有効利用技術の研究へと拡張し、新たにマイ
クロ波移動通信、放送用周波数有効利用技術、
ミリ波サブミリ波デバイス技術の研究を開始す
る。このほか、ミリ波構内通信、成層圏無線中
継システム、電磁環境研究等を継続する。
○
人間・生体情報の研究
電気通信フロンティア研究計画のバイオ・知
的通信技術研究の一環として、超高能率符号化
技術、高次知的機能および生体機能に関する研
究開発を実施し、神経回路網の並列分散処理機
能の解明、生体ナノ機構の研究も継続する。ま
た、新しい素子開発を目指して分子素子技術研
究を開始する。
○
有人宇宙時代通信の研究
移動体衛星通信、衛星間通信、宇宙ステーシ
ョンにおける大型アンテナ組立技術、光宇宙通
信、高度衛星通信放送技術、小型衛星通信、お
よび分散衛星システムによる宇宙通信の研究を
継続する。
○
太陽惑星系科学の研究
21世紀の宇宙基盤技術としての宇宙天気予報
の研究や太陽から地球へいたるエネルギーと物
質の流れを研究する国際共同研究STEP計画を
継続するほか、光干渉計技術に関する基礎研究
を行う。
○
地球環境科学の研究
降雨観測のための二周波ドップラーレーダー、
短波長ミリ波ラジオメーター、光領域アクテ
ィブセンサーの開発研究を進め、環境情報ネッ
トワークに関する研究を行う他、新たに三次元
マイクロ波映像レーダーの開発及びアラスカに
おける環境観測を行う国際共同実験を開始する。
○
時空系科学の研究
プレート運動、地球回転に関する研究及び、
首都圏直下型地震の予知に関する研究を継続す
る。
また、首都圏広域地殻変動観測施設の整備を
開始する。
○
電磁波物性・材料の研究
電気通信フロンティア研究計画の超高速通信
技術研究の一環として、高温超伝導体を用いた
通信技術および未開拓電磁波技術の研究開発を
実施する。また、周波数資源の研究開発の一環
として、光領域周波数の研究を継続し、ミリ波
サブミリ波デバイスの研究を開始する。
(企画調査部 企画課長)
平成5年度予算案は、平成4年12月21日の大
蔵原案内示、その後の復活折衝を経て同月26日の
概算閣議において決定。第126回通常国会におけ
る予算審議は、不況対策のための減税問題、証人喚
問をめぐり空転したものの、新総合経済対策計画の
後押しを受けて22年ぶりに年度内成立した。
成立した平成5年度予算は、
総額72億9814万1千円
4年度当初予算比38.0%
(20億909万5千円)の増。
内訳を見ると、
人件費は28億4748万4千円
(4年度比5.0%、1億3546万2千円の増)
物件費は44億404万6千円
(4年度比74.0%、18億7280万9千円の増)
旅費は横ばいの4661万1千円となっている。
事項別内訳を別表に示すが、その概要は次のとお
り。
1 新規プロジェクトとして1項目が認められた。
@高度情報通信のための分子素子技術の研究開発
従来の半導体では実現できなかった、
J,;R%l%Y%k$ND6>.7?>pJsDL?.AG;R$N3+H/
%K%e!<%i%kAG;R$N3+H/
Fw$$!"L#3P!"DK3PEy$N?.9fJQ49AG;R$N3+H/
(初年度経費5108万7千円)
A高分解能3次元マイクロ波映像レーダによる
地球環境計測・予測技術の研究
人類の活動に起因する環境破壊並びに火山災
害や大規模洪水等の自然災害を昼夜、天候に左
右されず監視可能とし、なおかつ地球環境変化
の予測を行うための研究。
(初年度経費9659万円)
B地球環境のための高度電磁波利用技術に関す
る国際共同研究
オゾン層の破壊や地球温暖化等の地球環境変
動機構の解明を行うことを目的とした、極域に
おける中層大気の総合的な観測研究。
(初年度経費1億53万円)
Cマイクロ波帯における移動通信技術の研究開発
主として固定通信で使用されているマイクロ
波帯を、移動通信の急激な需要増加への対処と
高度通信サービスの導入に利用するための研究
開発。(初年度経費1億628万1千円)
D放送用周波数有効利用技術の研究開発
放送システムにディジタル技術を導入するた
めの基本技術の研究開発。
(初年度経費1億2472万9千円)
Eミリ波・サブミリ波帯デバイス技術の研究開発
増大する電波需要に対応するため、これまで
開拓が進んでいない70GHz以上(ミリ波〜
サブミリ波帯)の周波数帯における、超小型高
機能デバイス技術の研究開発。
(初年度経費1億9610万円)
F首都圏広域地殻変動観測施設の整備
電波を利用した、超長基線電波干渉計(VL
BI)や衛星レーザ測距(SLR)技術を利用
して、首都圏の地殻変動の測定精度を高め、首
都圏直下型地震の予知技術を確立するための観
測施設の整備。(初年度経費2億3000万円)
2 要員
新規研究員5名、振替増員1名が認められた。
3 継続プロジェクト
@周波数資源の二ーズの増大と多様化に対応す
るため、インテリジェント電波有効利用技術の
研究開発、ミリ波構内通信技術の研究開発は、
新規同様大幅な予算額が認められた。
A宇宙通信技術の研究開発は、6年度打ち上げ
予定の技術試験衛星VI型(ETS−VI)、8年
度打ち上げ予定9通信放送技術衛星(COME
TS)の衛星搭載機器及び地上実験施設等がそ
れぞれ認められた。
(総務部 会計課)
1 対象職員
原則として、試験研究機関の研究職の職員
2 実施単位
各省庁で、試験研究機関ごとに実施する必
要があるかどうかを判断し決定する。
3 勤務時間の割振り方法
職員が業務の都合等を考慮して、あらかじ
め勤務時間の配分を申告し、これを基にし
て必要なときは所要の修正をし、割振りを
決める。
4 申告及び勤務時間の割振り基準
(1)4週間ごとの期間について、勤務時間が
160時間必要。
(2)午前10時から午後3時の間は、休憩時間
を除き、勤務時間とする。(コアタイム)
(3)始業時刻は午前7時以降に、終業時刻は午
後10時以前に設定しなければならない。
(フレキシブルタイム)
当所では、昨年からフレックスタイム制導入に関
する検討委員会を設け、問題点等について検討、整
理した上で、本年度から実施の運びとなった。
職員からの申告は、現在のところ、約50%が8
時30分からの始業、25%が9時から10時まで
の間を始業時刻として、それぞれ8時間勤務を選択
しているが、中には少数ながら早朝7時からの始業
もある。日によって時間帯がまちまちな勤務は1
7%程度になっている。
国立試験研究機関のうち72機関の調査結果では、
導入済み、又は導入する方向で検討しているところ
が69機関(96%)あり、このうち43機関は平
成5年4月から実施、残りもほとんどが10月まで
にフレックスタイム制に移行する予定になっている。
今後、人事院では、今回の実施状況、各業務の特
長、国民への影響等を見ながら研究業務以外の職種
への適用を検討する意向のようであるが、当所にお
いても研究支援部門等への導入が検討課題である。
また、公務機関に対する国民の目は厳しいものが
あるので、誤解によるあらぬ批判を招かないよう、
関係の向きに周知し理解を得ることも大切な課題に
なっている。
(総務部長)
(企画調査部 企画課長補佐〉
小口知宏元第三特別研究室長紫綬褒章を受賞
(企画調査部 企画課長補佐 阿部 真)
電波無反射室完成
(標準測定部 測定技術研究室長 森川 容雄)
▲大型電波無反射室 アンテナ測定システム