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より高精細な映像サービスを目指して

田中健二 (たなか けんじ) - 総合企画部 国際連携室 主任研究員

平成元年4月通信総合研究所(現、独立行政法人情報通信研究機構)入所。以来、鹿島宇宙通信センター (現、鹿島宇宙通信研究センター)にて技術試験衛星5型(ETS-V)を用いた移動体衛星通信に関する研究に従事。 その後、メディア教育開発センターに出向し、大学間衛星通信ネットワーク(SCS:Space Collaboration System)の 設計に従事。復帰後、研究開発用ギガビットネットワーク(JGN)の設計や超高精細映像を用いたアプリケーションの 開発に従事。博士(工学)


去る5月31日、総務省・当機構・NPO法人「ディジタルシネマ・コンソーシアム(DCCJ)」の他、映画や映像の関連企業 などから約70名が参加し、「デジタルシネマ実験推進協議会」(会長:青山友紀東京大学大学院教授。事務局:財団法人 テレコム先進技術研究支援センター)が設立されました。同協議会は、

を目標としています。


TV放送では、モノクロでの放送開始以来、カラー放送、衛星放送、ハイビジョン放送、デジタル放送などいくつかの 大きな転換期を経験しており、映画においても同様に、無声映画にはじまり、有声映画、カラー化、立体映像、 デジタル化(ハイビジョン品質:2Kデジタルシネマ)などの転換期を経験しています。そして、現在、新たな転換期と してなるべく、さらなる高精細な映像サービスの実現に向けて、技術開発が進められています。

当機構では、ハイビジョンを超える超高精細映像を用いた仮想空間の構築を目指した「超高精細バーチャルリアリティ 通信技術」に関する日本ビクター株式会社との共同研究の成果として、ハイビジョンの4倍 (約800万画素=横:3,840×縦2,048画素)の解像度を持つ表示装置(プロジェクター:図2)と撮影装置(カメラ:図3)を 開発しました(平成13年6月5日、平成15年4月15日に関連報道発表)。さらに、国内の研究機関では、4Kデジタルシネマや 4,000本級超高精細映像システムなどが最新システムとして開発されています。


特に、デジタルシネマに関しては、実質的に世界標準を策定するDCI(Digital Cinema Initiative:ハリウッドの 7大スタジオが構成)において、DCCJが世界各地で実証評価実験を進めてきた4Kデジタルシネマをデジタルシネマの 最高位とした仕様を検討しており、遅くとも今年中には、新たなデジタルシネマの標準化が完了する運びとなっています。 主な仕様は、以下の通りとなる見込みです。