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第7回 国際パーソナルマルチメディア無線通信シンポジウム WPMC'04

若菜弘充 (わかな ひろみつ) - 無線通信部門 横須賀無線通信研究センター長

2004年9月12日から15日にかけて、イタリアパドヴァ県アバノテルメにおいて、第7回パーソナルマルチメディア 無線通信シンポジウム(The Seventh International Symposium on Wireless Personal Multimedia Communications, WPMC'04)が、NICTとYRP研究開発推進協会の主催、パドヴァ大学、ローマ大学、イタリアベネト州、パドヴァ県他の 協賛で開催されました。例年、無線通信技術のホットトピックスをいち早く取り上げてきましたが、今回は 「再構築可能なヘテロジニアスマルチメディア無線ネットワークとアプリケーション」をテーマとしました。この ヘテロジニアス無線ネットワークとは、携帯電話や無線LANのように異なる種類の無線ネットワークの意味で、 このような異種無線ネットワークを、その時々の状況に応じて柔軟に切り替えて利用するための技術が現在注目されて います。シンポジウムでは無線アドホックネットワーク、無線IPとQoS(サービス品質)、シームレス接続とモビリティ 管理、無線LANや無線PAN、MIMO等のアンテナ技術、UWB(超広帯域通信)、光無線通信等の先端的な無線技術について 幅広い課題が取り上げられました。

シンポジウムは55の技術セッションで構成され、211件の口頭発表、109件のポスターセッションの計320件の研究発表が 行われました。投稿された論文が414件で、採択率78%はWPMCが国際会議として育ってきた証拠といえるでしょう。 地域別の発表論文数では、アジア太平洋地域が108件、ヨーロッパ202件、北米11件、南米1件と、ヨーロッパからの 参加者が多いのも、このシンポジウムの特徴です。国別の参加者では、日本120名、イタリア59名、デンマーク27名、 イギリス22名、ドイツ20名、フランス15名他でした。

初日の12日には、3つのチュートリアルセッションとレセプションが行われました。13日の開会式は、会場からバスで 30分ほどの距離にあるパドヴァ大学のガリレオガリレイグレートホールで行われました。ここは1592年から1610年まで パドヴァ大学数学教授を勤めていたガリレオが講義を行っていたホールです。

開会式では、長尾 理事長によるシンポジウム主催者挨拶(写真1)、来賓挨拶の後、 総務省鬼頭達男技術総括審議官が「u-Japan; New Endeavour of Japan」と題して、今後の我が国の情報通信の方向性を 示すu-Japan計画の概要を講演されました。午後以降はシンポジウム会場(写真4)へ移って、技術セッションが 行われました。WPMCのもう一つの特徴は、優れた研究論文を表彰することです。14日夜にアワードバンケットが Ristorante Relais Golf Montecchiaにおいて行われ、優秀論文賞3件、優秀学生賞2件が授与されました。バンケット では、中世音楽を演奏して世界的にも著名なConsort Venetoが中世楽器と歌と詩の朗読で、ペトラルカの詩に基づく 作品ほか、十数曲を奏で会場の雰囲気を多いに盛り上げました。

最後に、WPMC'04の成功は多くの関係各位のご協力によるもので、ここに感謝の意を表します。次回、WPMC'05は、 デンマークオールボー市で開催される予定です。