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奥山利幸 (おくやま としゆき) - 総務部 広報室 主幹

第58回国連総会において、「国連防災世界会議」を阪神・淡路大震災から10年目となる 2005年1月に日本で開催することが決定され、日本政府も一体となって取り組むこととなりました。 本会議は、国連加盟国はもとより関連国際機関、NGO等が参加し、 21世紀の新しい防災指針を策定するとともに災害による被害の軽減を目指すことを目的として、 2005年1月18日〜22日、兵庫県神戸市で開催されました。 折しも2004年12月26日にはスマトラ沖大地震が発生し、 インド洋では大津波によりかつてない被害がもたらされました。 このため、急遽「インド洋災害に関する特別セッション」も設けられました。

本会議は、政府間会合、テーマ別会合の他に、シンポジウム、展示会、 ポスターセッション等一般参加型のパブリックフォーラムから構成されており、 NICTはパブリックフォーラムの1つである展示会(総合防災展)に、総務省と共同でブースを設け出展しました。 NICTからは、情報通信技術や電磁波を利用した計測技術を用いて 災害救援・通信の確保・防災活動等に応用するための研究開発成果の紹介として、 (1) ユビキタス通信技術の防災応用研究、 (2) VHF帯マルチホップ移動通信端末"SARDINE"、 (3) 災害・防災情報のための衛星デジタル伝送システム、 (4) 航空機搭載3次元映像レーダ、 について実機およびパネル等の出展を行いました。 また、NICT概要紹介のためのビデオ放映およびパネル展示も行いました。 共同ブースを構成する総務省からは災害時の通信ルート確保に取り組む「非常通信協議会」についての 概要紹介や災害時に活躍する防災通信システムとして、 (1) デジタル同報通信システム、 (2) デジタル移動通信システム、 について実機およびパネル等の展示が行われました。

展示会場は、政府間会合やテーマ別会合等が行われている建物とは少し離れた場所にありましたが、 開催地が震災被災地であったことやスマトラ沖大地震直後の開催であったこともあり、 防災に対する関心が非常に高く、会合出席者や関係者はもとより、地方自治体の防災関係者や 一般の方々等、多くの来場者がありました。そのため、本展示会やシンポジウム等を含めた パブリックフォーラムへの参加者は4万人を超えるほどの大盛況でした。 NICTの出展物についても非常に興味深く見ていただくとともに、 多くの質問等が寄せられ、研究者自ら積極的に対応していました。 また、その場で対応できないものについては、後日資料等を担当者からお送りしました。

本展示会をとおして、何時やってくるかわからない災害に対し、 少しでも被害を軽減するための努力を行うことは決して無駄ではない、ということを痛感しました。