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石井 守(いしい まもる) - 電磁波計測部門 北極域国際共同研究グループ主任研究員

NICTでは科学技術に関するさまざまな啓蒙活動を行っていますが、次世代をになう若い人たちへの教育活動もその一環と して行っています。近年「アウトリーチ活動」の一環として、文部科学省などでもサイエンスパートナーシッププログラム (SPP )などさまざまな試みがなされています。アウトリーチ活動とは、研究者および研究機関が自らの成果を、 若い世代や教育関係者を始めとする人々に分かりやすく知らせるという意味で近年使われ始めた言葉です。ここでは、 2004年度にNICTで行ったアウトリーチ活動の一部をご紹介します。

北極域国際共同研究グループでは、2003年に地球電磁気・地球惑星圏学会の仲介により群馬県教育委員会と連携して 学校教員に対するアウトリーチ活動を行い、2004年度には高校生にも対象を拡大し5件の活動を行いました。 2004年11月にNICTを訪問した前橋高校は、先方の希望もあり、特に若手研究者との交流を重視したプログラムを作成しました。 2年生45名は大型バスにて到着し、展示室でNICT全体の概要を学習した後、国際会議室にて筆者が北極域の環境計測を テーマとした講演を行いました。その後、少人数のグループに分かれて超高層大気科学および宇宙天気を専門とする研究者との フリーディスカッションを行いました。最後に討論の総括を行い終了しました。

2004年11月-12月には館林高校を対象としてアウトリーチ活動を行いました。これはSPPのもとに高校生に最先端の研究現場を 触れさせることを目的とし、宇宙天気システムグループと協力して、特に実習を重視した3日間のプログラムを作成しました (初回はNICT、第2-3回は館林高校にて開催)。初回は中型バスにて2年生25名がNICT小金井本部を訪れました。午前中は 長妻主任研究員による宇宙天気を中心とした講演および実習を行いました。午後には展示室および光センター、地上雲 レーダの見学を行った後、筆者によるリモートセンシング技術を中心とした講演を行いました。2回目は館林高校に出向き、 インターネット実習室においてネットワークを用いた宇宙天気予報実習を行いました。3回目にはリモートセンシングの 基本的な原理を学ぶことを目的として、超音波センサーの製作実習を行いました。製作したセンサーを使って距離を測る 実験や、発振している信号の形をオシロスコープで観察するなどの実験を、非常に熱心に生徒たちは進めていました。

また、高校教員を中心とした研修の一環としては、久保田主任研究員を中心に教育の現場においてすぐに使える教材を意識 したプログラムを作成しました。2004年12月に群馬県教育委員会の募集に応じた先生方にNICTに来て頂き、インターネットを 利用したオーロラおよび北極域観測についての実習を行いました。いずれのプログラムについても参加者の学習意欲は高く、 教育現場から向けられたNICTへの期待の高さを感じました。

このような活動については、これまで各研究グループ等が個別に対応していましたが、平成17年度からは広報室がアウト リーチ活動の窓口として対応することになり、活動がより一層活発になるものと期待しております。