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香山 健太郎 (かやま けんたろう) - 情報通信部門 ユニバーサル端末グループ 研究員

2005年11月24 日に、京都府精華町のNICTけいはんな情報通信融合研究センターにて、京都府初のロボット公道走行実験を伴う 「ネットワークロボット実証実験(公道走行等)」(主催: けいはんな情報通信オープンラボ研究推進協議会・けいはんな 新産業創出・交流センター)が行われました。これは、2005年7月にけいはんな学研都市知的特区としてロボット公道実験円滑化 事業の追加申請が認められたことを受けたもので、この公道走行実験を含めた屋外実験をNICT情報通信部門ユニバーサル端末 グループが担当しました。

総務省では、u-Japan政策の一環として、ユビキタスネットワークとロボットが融合したネットワークロボットの技術開発を 掲げています。これを受けた研究が各所で進められており、今回の屋内実験では、NTT・ATR・東芝・三菱重工、各社で開発された 様々なロボットが連携して来訪者を目的地まで案内するという実験が行われました。

一方、NICTでは、高齢者・障害者を市街地で安全に移動できるよう包括的に支援するロボティック通信端末(Robotic Communication Terminals: RCT )を研究開発しています(図1)。今回の実験では、

を用いて、ICW搭乗者の移動を安全に目的地までサポートする実験が行われました。実験は、NICT構内ではICW単体の能力に よって障害物を認識・回避し、公道上では、ICWの死角から近づいてくる自動車を環境端末で認識してネットワークを通じて ICWに情報を提供し、それによってICWが自律的に自動車を避けるという内容で行われました(図2)。この実験は一般公開され、 約150名の方々にロボットによる案内の実体験、そして約10名の方にはICWに搭乗してもらい、実際の回避行動を体験して いただきました(図3)。この実験の様子はTV6局・新聞6紙で取り上げられました。

また、これを記念し、公開実証実験・ネットワークロボット研究開発の今後の展開をテーマとしたシンポジウムが、同日午後に 「けいはんなプラザ」にて開催されました。このシンポジウムのパネルディスカッションでは、地元の代表者や環境監視に 詳しい弁護士も交えた活発な討論が行われました。

今後もこのような実証実験を行いつつ、こうした研究開発などを通して、各種ロボットが様々なサービスを提供し、ロボットが 日常生活にとけ込んだ安全・安心な社会環境の実現を目指していきたいと考えています。