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 第2期中期計画スタート 〜ユニバーサルコミュニケーション社会の創造に向けて〜 総合企画部 企画戦略室長 若菜 弘充(わかな ひろみつ)

第2期中期計画いよいよスタート
情報通信研究機構(NICT)は、平成18年4月1日より5年間を期間とした第2期中期計画をスタートしました。中期計画は、総務大臣から示された中期目標を達成するために、NICT自らが作成した業務計画です。その中には、業務運営の効率化や財務内容の改善に関する業務計画とともに、情報通信分野における国の政策に貢献するため、我が国の国際的な競争力・経済力の強化、人類の知のフロンティアの拡大、安全で豊かな国民生活の実現を目標とした研究計画が具体的に記述されています。
ユニバーサルコミュニケーションと新しい研究課題
 NICTは、ICT分野における今後10〜15年先の実現目標のひとつとして「ユニバーサルコミュニケーション」を設定しました。これは異なる言語や文化、価値観、知識を持つ人々が互いの相違を認識した上で、情報の伝達や知識の共有をスムーズに行い、相互理解、協働活動、問題解決や新たな知の創成を可能とするものです。人と人、人と機械、機械と機械の自由なコミュニケーションの実現を目指しています。例えば、高齢者や子供やコンピューターに関心のない人でも、情報通信機器の複雑な操作を覚えることなく、インターネットから簡単に欲しい情報を得たり、外国人とも自由にコミュニケーションができるようになります。
3つの研究領域に重点化した取り組み
 第2期中期計画では、総務省のUNS(Ubiquitous Network Society)戦略プログラム(注)とも歩調をあわせて、3つの研究領域に重点化して取り組むこととしました。超高速で柔軟なネットワーク技術で国際社会を先導する「新世代ネットワーク技術」、知識の創成を促進する「ユニバーサルコミュニケーション技術」、安全で安心できる豊かな社会を目指す「安心・安全のための情報通信技術」です。これらの目標を実現するために、これまでの情報通信部門、無線通信部門、電磁波計測部門、基礎先端部門の4つの研究部門を、3つの研究部門へ集約して研究リソースを集中することにしました。
新しい研究組織
 3つの研究部門のもとには、それぞれの目標を実現するための7つの研究課題を設定して、それに対応する7つの研究センターを設置しました。
 新世代ネットワーク技術に対応する第1研究部門は、世界有数のブロードバンド環境を実現したわが国の技術的な優位性を今後も維持・強化させるとともに、将来の有線と無線が融合したネットワークのアーキテクチャやプロトコル、アクセス技術、さらに、それを支える最先端基盤技術の研究開発を目的としています。新世代ネットワーク研究センター(小金井)、新世代ワイヤレス研究センター(横須賀)、未来ICT研究センター(神戸)の3つの研究センターを設置しました。
 ユニバーサルコミュニケーションの実現を目標とする第2研究部門は、多言語翻訳や知識処理の研究開発を行う知識創成コミュニケーション研究センター(けいはんな)と、立体映像や音響等による超臨場感通信の研究開発を行うユニバーサルメディア研究センター(小金井)の2つの研究センターから構成されます。
 安心・安全のための情報通信技術に対応する第3研究部門は、サイバーテロ、自然災害、環境問題等の国民の不安を情報通信技術により取り除き、活力ある未来を構築するために必要な技術を研究開発します。情報通信セキュリティ研究センター(小金井)、電磁波計測研究センター(小金井)の2つの研究センターで構成されます。


新組織とプログラムディレクター 独立行政法人 情報通信研究機構 組織構成図

 

産学との研究連携によるイノベーションのために
 民間企業や大学等との研究連携を強化するため、様々な研究分野で優れた知見、見識を有する有識者を新たにプログラムディレクターとして登用しました。NICT自らが行う研究や外部機関への委託研究等が、全体として一層効果的に推進され、限られたリソースで最大限の成果が得られるよう、研究課題の立案から研究の遂行に対して適切な指導や助言を行うというものです。こうしたプログラムディレクターの活動を支えつつ、産学との研究連携を強化するために、連携研究部門を設置しました。
アウトカムを前提にした研究開発
研究成果については、常に社会の中でどのように活用されているか、活用されていくかを念頭に置かなければなりません。社会経済ニーズに対応したアウトカム志向の研究開発をさらに強化する目的で、研究推進部門を設置しました。知的財産権の獲得や運用の強化、標準化活動の支援等、研究成果の展開や発信を積極的にかつ戦略的に行います。さらに、事業化に向けた波及性の大きな先進技術の研究開発を支援する基盤技術研究促進部門、情報通信ベンチャーの創業支援、情報通信インフラの高度化やデジタルデバイド解消に向けた支援等を業務とする情報通信振興部門を引き続き設置し、基礎から応用までの研究開発を一貫した統合的な視点で行い、併せて情報通信分野の事業支援等を行うNICTの特長をより一層発揮していく計画です。
研究の活性化と人材育成
 より一層の研究開発の活性化を図るため、研究者の研究意欲向上を目的とした様々な競争的研究資金制度を設けました。革新的で挑戦的な研究課題の発掘のための戦略的研究推進制度、新規探索的萌芽研究のためのチャレンジ研究制度のほか、研究成果展開支援制度や外部資金獲得奨励制度等があります。
 NICTにとってもう一つの重要な課題は、優れた研究者の獲得と人材の育成、特に若手研究者の育成です。そのために、NICT独自の国際的な人材派遣制度、インターンシップ制度(海外の大学や研究機関からの人材受入)、外部機関への出向や民間との人材交流、連携大学院、社会人ドクター、大学院生の受入等を積極的に活用していきます。
おわりに
 情報通信は重要な国力の源泉の一つとして、欧米ばかりでなく韓国や中国においても国家の戦略的な産業として位置づけられています。将来の市場獲得に向けて熾烈な競争も行われています。わが国もこの分野で国際競争力を維持し強化するためには産学官がタイアップした上で相当な努力が必要です。産学との積極的な研究連携や技術移転の促進、標準化活動の推進や支援、人材育成、独創性・創造性に富む研究開発の推進等を通じて、NICTに期待されている役割を十分に果たしていこうと考えています。これまでのご協力に感謝するとともに、今後のご指導、ご支援をお願いいたします。

UNS戦略プログラム:(諮問第9号)「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方について」(Universal Communications, New Generation Networks, Security and Safety for the Ubiquitous Network Society)平成17年7月総務省情報通信審議会答申でまとめられた戦略プログラム。http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/eng/features/r_d_progrums.pdfに答申の概要が掲載されている。



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