NICT NEWS
未来のネットワークを作る
3回連載企画 未来のネットワークを創る 第1回

新世代ネットワークの実現に向けて

総合企画部新世代ネットワーク研究開発戦略推進室

2020年のネットワークとは?

10年後、20年後を見据えた未来のネットワーク、「新世代ネットワーク」がキーワードとして注目を集めています。
 21世紀には携帯電話の普及、ADSLや光ファイバーによる高速ネットワークサービスなどで、日本は世界一のブロードバンド大国と呼ばれるようになりました。一方、現在のインターネットの限界も見えてきました。そこで各国で研究開発が始まったのが新世代ネットワークです。
 新世代ネットワークは、インターネットの改良ではなく、白紙から新しく設計するネットワークです。日本では2015年から2020年頃の普及をターゲットにして研究開発が進められています。今後数十年にわたりICT基盤となるべきもので、技術的課題や限界を、既存の技術にとらわれずに設計していくことによって抜本的に解決することを目指すものです。
 新世代ネットワークは、現代社会の諸問題を解決することはもちろん、21世紀の世界文明の一層の発展に寄与するものでなくてはなりません。その実現にあたっては、大胆かつ的確な研究開発戦略が必要です。そのため、まずわれわれ自身が未来社会をどう実現するか、未来社会において新世代ネットワークが果たすべき役割は何か、というビジョンを描くことが出発点です。

http://nwgn.nict.go.jp/report/NWGN-RD-Strategy-NICT-Report-V1-2009.pdf
にて、詳細な報告がダウンロードできるようになっているのでご参照ください。

戦略本部のミッション

このため、NICTは、2007年10月1日に新世代ネットワーク研究開発戦略本部(以下、戦略本部)を発足させました。戦略本部のミッションは、国際的な連携や競争の下で、我が国が新世代ネットワークの研究開発を主導するための中長期的な戦略を策定することです。策定は、戦略本部内の戦略ワーキンググループが中心となって行いました。同グループは、企業からの積極的な人材提供を受けるとともに、NICT内からも精鋭の研究者を集め、我が国の戦略に資する新世代ネットワーク研究開発戦略を集中的に検討してきました。

ビジョンの策定

ビジョン策定では、少子高齢化や医療などの20項目からなる社会課題を解決し、未来社会において新しい価値を創造するための新世代ネットワークに要求される技術要件を分析、3つの目指すべきビジョンが定められました。(1)エネルギー問題など人類が現在直面している社会的問題の最小化、(2)人及び社会が内包する潜在能力の開花と最大化による新たな価値観の創造、(3)多様性を尊重し新たな協調を促進する社会の構築です。
 この検討をさらに進め、これまでのインターネットや次世代ネットワークの延長では実現できない機能要件を抽出し、総計100以上の技術要件を精査・グループ化を行い、代表的な技術カテゴリへと集約したものが「新世代ネットワーク技術戦略」です。

新世代ネットワーク技術戦略

この集約作業においては、ビジョンで示したネットワークと地球上の“もの”と人のつながり、地球と持続可能な社会との関係、人とネットワーク社会との信頼、支援関係等を詳細にレビューしました。この検討から将来のネットワークが具備すべき特徴をまとめたものが、5つのネットワークターゲットです。
 今月から3回にわたり、技術戦略ソリューションとしてパッケージした5つのネットワークターゲットである(1)価値を創造するネットワーク、(2)トラスタブルネットワーク、(3)生活環境を支えるネットワーク、(4)制約を意識しないネットワーク、(5)地球にやさしいネットワーク、およびその基盤技術領域であるファンダメンタルズについて解説します。


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