NICT NEWS
未来のネットワークを作る
3回連載企画 未来のネットワークを創る 第2回

新世代ネットワーク研究開発ターゲット
「生活環境を支えるネットワーク」

センサー・アクチュエータネットワーク

「生活環境を支えるネットワーク」は、新世代ネットワーク時代に予見される社会問題の中で、特に社会生活に密接に関係する環境問題、食料問題、高齢化問題などの解決、及び、人が人らしく生活できる社会、高いQOL(Quality of Life)の実現を目的としています。そのためには、あらゆる生活シーンにおいてICTによる高度な生活者支援が必要となります。たとえば、国境をまたいだ食材の流通管理や広域環境モニタリング、ネットワークを用いた交通事故防止、高齢者に対する遠隔からのヘルスケアアドバイス、ネットワークロボットによる生活者支援等です。これらを実現するためには、10兆個/年レベルの物流追跡や数十億規模のユーザのリアルタイム生体モニタリングに応用可能で、ユーザが希望する精度・リアルタイム性・信頼度でのセンシング、追跡、データ収集、データ処理、アクチュエータ駆動ができるネットワークが必要となります。このような大規模かつ多様なセンサー・アクチュエータネットワーク*1をここではグローバルセンサー・アクチュエータクラウドと名付けています。

  • *1 センサー・アクチュエータネットワーク:多様な環境情報や生体情報の検知(センシング)、解析(データ処理)、解析結果に基づく環境や生体に対する物理的な作用(アクチュエーション)という基本動作サイクルを定期的もしくはオンデマンドで実行するための、構成ノードによるルーティング及びアドレッシングを含む通信ネットワーク、もしくはその通信ネットワークと一連のデータ処理系を含む協調的通信システム。
2つの技術目標

生活環境を支えるネットワークの実現に向けて、2つの新世代ネットワーク技術目標を立てています。1つは、存在する全ての人、物、生活環境が生成する情報を感知追跡駆動可能なグローバルセンサー・アクチュエータクラウドの構成・制御・管理技術、もう1つは、状態変化や多様な要求に対して、柔軟に感知、追跡、データ収集、データ処理、データ復元、駆動が可能な、環境適応センサー・アクチュエータのミドルウェア基盤技術です。
 前者では、インプラント型マイクロマシンセンサーネットワークから、地球・宇宙までの広大な空間を対象とする大規模センサー・アクチュエータネットワークまでを想定し、ネットワーク形態、ノードアーキテクチャ、ノード密度などの多様性を隠ぺいしつつ、ネットワーク全体をスケーラブル*2かつ高信頼に管理・制御できる技術を重点技術としています。
 一方、後者では、環境やユーザ個人のプロファイルやコンテキストを自動学習し、それに基づいてセンサーやアクチュエータの感知精度及び駆動精度などを自動設定する環境適応センシング技術や、センサーネットワーク自身に一次センサーデータの処理や自己組織型ネットワーク構成機能をもたせるインネットワークプロセッシング技術などを重点技術としています。

  • *2 スケーラブル:ネットワークシステムにおいて、ネットワークの規模(ノード数や端末数)の増大に対して規模透過的に性能を維持できること。

Profile

中内 清秀
中内 清秀(なかうち きよひで)
総合企画部
新世代ネットワーク研究開発戦略推進室
プランニングマネージャー

独立行政法人
情報通信研究機構
総合企画部 広報室
広報室メールアドレス
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