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未来のネットワークを作る
3回連載企画 未来のネットワークを創る 第2回

新世代ネットワーク研究開発ターゲット
「ユーザが制約を意識しないネットワーク」

ユーザや状況に合わせるネットワーク

新世代ネットワーク研究開発戦略本部では、「ユーザが制約を意識しないネットワーク」を、重点的に開発すべきネットワークの1つとしています。この目標とするネットワークは、多種多様なユーザ要求や状況に合わせて、カスタマイズしたネットワークを同時に複数提供するようになります。例えば、遠隔手術を行う場合には、データ伝送の遅延やゆらぎが非常に少ないネットワークが要求に応じて構成され、提供されることになります。また、超高精細な立体映像コンテンツを大規模に配信する場合は、受信ユーザに合わせた超広帯域な配信ネットワークが提供されることになります。

カスタマイズしたネットワークを複数同時に提供するための重点技術

ユーザやアプリケーションごとにカスタマイズしたネットワークを提供するため、以下の3つの開発すべき重点技術を定めています。
 1つ目は、End-to-Endで一貫したサービスを提供するための下位レイヤーの技術であり、様々なタイプのネットワークリソースを統合して管理する「ネットワークユニフィケーション技術」です。これは、有線と無線のネットワーク、パケットタイプとパスタイプのネットワーク、さらに光と電気のネットワークを統合して運用するマルチ統合ネットワーク管理技術です。
 2つ目は、統合管理したネットワークリソースから要求条件に合わせたネットワークやサービスを同時に提供する中位レイヤーの技術であり、「多様性を収容するネットワーク技術」です。統合接続した物理ネットワーク上に複数の仮想ネットワークを運用し、またそれら仮想ネットワークにおいてオンデマンドに新規サービスを導入可能とする技術です。
 3つ目は、ネットワークに関する知識の豊富さにかかわらず、快適にネットワークサービスを利用可能とするための上位レイヤーの技術であり、「“OMOTENASHI”ネットワーク技術」です。複雑な設定無く、容易かつ安全に端末をネットワークに接続でき、またストレスなくネットワーク内の状況が把握可能なネットワーク状況の可視化や、ユーザが希望する処理をデータに施す技術を、重要な要素としています。
 ここに示した下位レイヤーから上位レイヤーまでの各レイヤーが連携して動作することにより、カスタマイズしたネットワークの複数同時提供を目指しています。目標とするネットワーク実現により、高度遠隔医療、臨場感の高いテレワークや遠隔教育、さらにはデジタル社会における格差是正や誰もが容易に利用可能な電子政府等にカスタマイズしたネットワークサービスの提供が可能となります。

Profile

鈴木 敏明
鈴木 敏明(すずき としあき)
総合企画部
新世代ネットワーク研究開発戦略推進室
専門研究員

独立行政法人
情報通信研究機構
総合企画部 広報室
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