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WINDSワークショップ「WINDSと将来の衛星通信」開催報告

新世代ワイヤレス研究センター 推進室 主任研究員 秋岡 眞樹

 災害時や離島・島嶼域、発展途上国などで絶大な威力を発揮できる衛星通信。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して開発し、2008年2月に打ち上げられた超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)の多岐にわたる実験成果とともに、衛星通信を用いた将来のアプリケーションや先進的な技術研究について議論するワークショップを、12月2日(木)に小金井市のNICT本部で開催しました。企業、官公庁、大学等から120人を越える参加者が集まり、15件の講演が行われました。総務省情報通信国際戦略局宇宙通信政策課の住友貴広衛星開発推進官より宇宙通信政策全般に関する講演とNICTによるWINDSの開発経緯に関する講演に続いて、3つのセッションと総合討論が行われました。

 セッション1:「超高速インターネット衛星きずな(WINDS)の現状と課題」では、最近実験に成功した1.2Gbps高速バーストモデムの開発成果や、NICT/JAXAによる基本実験、国内外の実験者による利用実験の成果が発表されました。

 セッション2:「NICTにおける先進的宇宙通信研究」においては、WINDSを用いた適応型衛星通信技術の開発に加え、光衛星通信の研究、技術試験衛星Ⅷ型(ETS-Ⅷ)「きく8号」による移動体衛星通信に関する多岐にわたる研究成果、地上/衛星共用携帯システムに必要な研究などの講演がありました。離島や洋上における安心・安全が求められる昨今、NICTの先駆的な研究の重要性が参加者からも指摘されました。

 セッション3:「今後の衛星通信研究への期待」では、東京消防庁の松井晶範救助課長から実際の出動時の経験を元に災害現場におけるブロードバンド衛星通信の重要性についての報告があり、今後の連携の重要性を強調されました。

 最後の総合討論では、大学や衛星メーカー、衛星通信事業者から取るべきアプローチやアプリケーションに関する発言が相次ぎ、今後も世界のトップ集団を走れるよう、先を見た次のプロジェクトの立ち上げへの期待が語られました。予定時間を大幅に超過してしまいましたが、終了後の交流会にも60名近い参加があり、活発な議論や情報交換が遅くまで続いていました。WWW集録 http://spacecom-e.nict.go.jp/winds/index.html をご参照ください。

総務省情報通信国際戦略局宇宙通信政策課森孝課長による来賓挨拶
会場風景
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総合企画部 広報室
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