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研究現場訪問(鹿島宇宙技術センター)
超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)プロジェクト

WINDS用車載地球局(左)と可搬型地球局(右)

いつでも、どこでもインターネットを利用できる情報通信環境の実現を目指して、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)を利用した、次世代高速通信衛星技術に関する研究や実験を行っています。

―こう語るのは、ワイヤレスネットワーク研究所 宇宙通信システム研究室の高橋卓研究マネージャーと大川貢主任研究員です。

「きずな」は、21世紀の高速衛星網の技術実証をするために、NICTとJAXA(宇宙航空研究開発機構)が共同で開発しました。NICTでは、衛星に搭載している高速スイッチングルータを設計したほか、電子走査ビームアンテナ(APAA)の要素技術の開発にも携わっています。さらに、1.2Gbps/622Mbpsの高速通信が可能な地上システムとして、高速バーストモデムも開発しました。

―どのような成果が得られたのでしょうか。

2009年には、国立天文台、NHK、JAXAと共同で硫黄島から皆既日食のハイビジョン中継を行い、2010年には心臓外科手術の3Dハイビジョンライブ映像を伝送して、遠隔地からの大容量通信の可能性を確認しました。また、平城遷都1300年祭会場から大極殿の4K映像を、NICTのマルチチャンネル映像伝送システムによって超高精細映像を伝送する実証実験を行いました。

2011年の東日本大震災後には、JAXAと協力して「きずな」の通信回線を提供し、現地に派遣された緊急消防援助隊や自衛隊との連絡網を確保することで災害対策活動支援を行いました。これにより災害時における仮設ブロードバンド通信網の有用性を確認することができました。

2012年には東京消防庁の震災訓練の様子を東京消防庁本庁へ伝送する実験や、衛星に搭載されたAPAAの照射端域であるハワイにおけるデータ伝送特性測定、ハワイ大学医学部と沖縄を結んだ遠隔医療教育実験を実施しました。

―今後の展望をお聞かせください。

WINDSは打ち上げ(2008年2月23日)から5年経ち、今後は、新規に開発した車載地球局等を用いて、災害対策実験(ワイヤレスメッシュネットワークとの接続実験など)や船舶から海洋資源探査等の情報を伝送する実験を実施していく予定です。このようなブロードバンド衛星通信技術は、将来発生が懸念される災害において大きく役立つことが期待されています。

高橋 卓/写真: 右  大川 貢/写真: 左 高橋 卓(たかはし たかし)/写真: 右
ワイヤレスネットワーク研究所
宇宙通信システム研究室 研究マネージャー

大川 貢(おおかわ みつぐ)/写真: 左
ワイヤレスネットワーク研究所
宇宙通信システム研究室 主任研究員
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