2013年6月10日、東京国際フォーラムにおいて、脳情報通信融合研究センター(CiNet)(NICT、大阪大学、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(ATR))主催による第3回脳情報通信融合研究シンポジウムが開催されました。本シンポジウムは、脳科学と情報通信技術の融合によりもたらされる次世代情報通信の研究の現状を紹介することを目的としたものです。参加者は約400名で、会場はほぼ満席となりました。 来賓挨拶では、総務省大臣官房総括審議官の久保田誠之氏と文部科学省審議官の菱山豊氏より、日本は脳情報通信の研究をリードしており、今後も省庁の壁を越えて本分野の研究を推進していくという内容のお話をいただきました。 招待特別講演では、東京大学大学院医学系研究科教授の宮下保司氏が、個性的・主観的な認知の脳科学的な基盤などについて講演されました。同じ対象を見ていても、見え方は個々人で違っていることを、ビデオを用いた簡単な実験で示され、情報通信の本質について考えさせられる講演でした。 特別講演は、東京大学大学院薬学系研究科准教授でCiNetの研究員でもある池谷裕二氏が、脳活動の80%を占める自発活動が実は特定のパターンを形成していることや、こうした自発活動に介入することで精神疾患が治療できる可能性があることなど、興味深い内容について、専門外の参加者にもわかりやすくお話されました。 その他、CiNetの概要や研究の現状について、柳田敏雄研究センター長や4研究領域の研究者から講演があり、参加者からは、「非常に内容が濃く、有意義な講演セッションだった」という意見を多数いただきました。 ポスターセッションは、各領域12枚、概要3枚の計51枚のポスターに説明員がつき、活発な情報交換や交流が行われました。時間が短めだったため、研究者との直接交流を期待する参加者からは、「ポスターセッションの時間をもっと長くしてほしかった」などの意見をいただきました。 パネルディスカッションは、領域ごとに本質に踏み込んだテーマが設定され、柳田研究センター長のコーディネートのもと、活発な議論が行われました。会場からは、物理学専攻の学生や主婦の方などから、様々な質問が出され、本研究に対する関心の高さや研究成果への期待の大きさを示しているものと考えています。 今後も、シンポジウムなどを通して、皆さまにCiNetの活動をお伝えしていきたいと思います。
1307号_9p(印刷用、856KB、A4 1ページ) |
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