ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

92■概要戦略的プログラムオフィスは、オープンイノベーション推進本部ソーシャルイノベーションユニットにおける活動の中枢として、NICTの研究開発成果の普及や社会実装を常に目指しながら、課題の分析、戦略的な計画の立案と実行、効果の検証といった一連の活動を任務とする。その中で、研究企画推進室は、様々な活動を倫理的側面から適切に行えるようにするための制度の整備や運用、知的財産や標準化の戦略の検討、研究開発成果の普及に向けた活動の具体化といった業務をNICT内外と連携しながら推進している。また、戦略的プログラムオフィスに時限的に設置された統合的AI準備室では、AI関連技術の研究開発と社会実装を強力に推進するための新しい研究開発推進センターの設立準備を行った。■28年度の成果研究企画推進室では、既存制度を再整理しながら、新体制の下で各種の制度の業務運営の円滑化を図りつつ、標準化や知的財産戦略の検討、研究開発成果の普及に向けた活動を行った。1 . オープンイノベーション及び社会実装に向けた制度面での対応NICTの研究者が研究開発を進め、外部と連携し、また研究開発成果を社会展開するうえでは、関係法令などを遵守することはもとより、一般社会に不安や不信を抱かれないように、社会的受容性の観点でも適正なマネジメントが必要である。研究企画推進室では、こういった制度面での対応のため、パーソナルデータ取扱研究開発業務審議委員会、利益相反マネジメント委員会、生体情報研究倫理委員会の事務局を経営企画部企画戦略室から引き継いだ。これらのうち、前者2 つは共に平成27年度に設置されたばかりであり、しっかりとした運営体制を構築することから取り組んだ。2 .標準化・知的財産戦略戦略的かつ重点的な標準化活動がNICTの研究開発成果の最大化のための重要な方策の1 つであるため、イノベーション推進部門標準化推進室とともに標準化アクションプランを策定した。このアクションプランでは、NICTが重点的に標準化に取り組む分野を特定し、具体的な行動計画等を定めた。今後、各分野における標準化活動における道標となるとともに、標準化活動と研究開発の相乗効果を促すことが期待される。また、ワイヤレスネットワーク総合研究センターが進める工場のIoT化の加速を目指した無線システムの協調制御と安定化技術の標準化活動を強力に支援する活動を行うなど、研究所等からの要請に基づいて標準化活動に協力した。知的財産戦略としては、イノベーション推進部門知財活用推進室とともに知的財産戦略委員会を設置し、集中的な議論を実施した。平成29年3 月に取りまとめた第二次中間報告では、技術移転活動の一層の活性化のための方策、知的財産の保有コストの適正化のための考え方を取りまとめた。3 .研究開発成果の普及に向けた活動オープンイノベーションに向けた活動として、平成28年度は、まず経営企画部企画戦略室とともにNICT内の意見交換会の実施に取り組んだ。意見交換会では、NICTの研究開発成果の普及に向けた意識を共有するとともに、今後に向けた有意義な議論が行われた。また、内外の有機的な連携を円滑かつ的確に推進するため、大学や民間企業の有識者、NICT出身者など、豊富な人脈や経験を有する人材を戦略的プロジェクト企画推進コーディネーターとして活用する取組を開始した。この取組のもと、招へい専門員として6 名、協力研究員として7 名の人材を登用した。以上の研究開発推進室の活動のほか、戦略的プログラムオフィスには、時限的な室として、統合的AI準備室が設けられた。統合的AI準備室では、人工知能技術戦略会議の下で総務省と文部科学省、経済産業省による3 省連携に適切に対応するとともに、最先端AIデータテストベッドの構築に取り組んだ。また、平成29年度に向けて、AI関連技術の研究開発と社会実装を強力に推進するための新しい研究開発推進センター設立を準備した。戦略的プログラムオフィス研究企画推進室 室長  小山 泰弘 ほか4 名3.11.13.11.1.1オープンイノベーションにつながる戦略・分析・検証と制度面の対応