ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

993  ●オープンイノベーション推進本部3.11.2 総合テストベッド研究開発推進センター高度化手法や、ユーザサイトの各種資源とテストベッドのユーザスライス資源の統合管理仕組み等の研究開発を通じて、ユーザのテストベッド基盤環境構築コスト低減化に取り組んでいる。平成28年度は、テストベッドの広域分散クラウド基盤において、従来の仮想マシンに加えてベアメタル及びコンテナもサポートし、多数の計算機環境の一括かつ短時間での設定、起動を可能にすることで、実証実験環境構築の柔軟性を向上した。また、IoT技術の実証機能を拡充するため、SDNにより制御、管理可能なゲートウェイを用いたユーザサイトと既存テストベッドの接続方式を開発した(図2 )。これにより、IoT機器や計算資源等を含むユーザサイト及び既存テストベッドで構成される実証実験環境の統合的な制御基盤を構築した。3 . 超広帯域ネットワークアプリケーションによる実証実験当室では、100 Gbpsの超高速ネットワークテストベッドJGNを活用した超広帯域ネットワークアプリケーションの実証実験に取り組んできた。特に、将来の8K放送の時代を見据え、そのコンテンツ制作系で求められる8K非圧縮映像の長距離伝送実験を行ってきた。平成28年度は、それまで国内での実施にとどまっていた約26 Gbpsの8K非圧縮映像セキュア伝送について、SC16において日米間で成功した(SINET、WIDEプロジェクト、神奈川工科大、TransPAC、Pacific Wave、Internet2等の国内外の研究機関及びネットワーク機器ベンダ企業との連携により実施)。また同イベントでは、約150 Gbpsの日米間超高速ファイル転送の実証実験にも成功した(国立情報学研究所(NII)等と共同で実施)。8K非圧縮映像伝送は、将来的にはフルスペック8Kとなり、現在主流となっている超高速ネットワークである100 Gbpsを超え、144 Gbpsもの帯域が必要となる。そこで、さっぽろ雪まつりにおいて、このフルスペック8K非圧縮映像を既存の100 Gbps回線を活用して伝送することを想定し、フルスペック8Kではないものの、100Gbpsを超える109 Gbpsの8K非圧縮映像及び16チャンネルハイレゾ(192 kHz、24 bit)音声の伝送を、JGNを含む複数の国内100 G回線を用いてマルチパス分割伝送することに成功した(48組織と共同で実施・図3 )。図2  ゲートウェイを用いたユーザサイトと既存テストベッドの接続方式仮想化物理リソースVPN仮想化物理リソースユーザがネットワークを設定(負荷高)NICTが要望を聞きスライスを設定NICTがユーザローカル環境含めスライスを設定ユーザはネットワーク設定から解放されるユーザローカル環境ユーザローカル環境テストベッドスライステストベッドスライスSDN GWによりスライスを延伸従来のテストベッド基盤環境拡張されたテストベッド基盤環境図3  100 G超の8 K非圧縮映像及び16チャンネルハイレゾ音声のマルチパス分割伝送映像109GbpsJGN・SINET5の複数の100Gbps回線を利用して配信8Kカメラ2台での広画角映像8Kモニタ個々のフローの到着遅延時間の違いをネットワーク経路制御で調整ハイレゾ音声 音声収録1Gbps映像109Gbps立体音響システム