ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

100■概要テストベッド研究開発運用室においては、北陸StarBED技術センターに設置されている大規模エミュレーション基盤StarBEDを用いた研究開発及びその活用を行ってきた。平成28年度から開始したStarBED4(スターベッド・フォース)プロジェクトでは、これまで主にICT技術の検証基盤として開発を進めてきたStarBEDの機能を拡張し、IoT技術の検証を可能とするための研究開発を行っている。インターネットや企業内ネットワークで利用されているハードウェア・ソフトウェアをそのまま動作させるエミュレーション技術を使った検証は、環境構築のコストが大きいため、大規模な実験を行うことが一般的には難しい。StarBEDの特徴は、このエミュレーション技術により、大規模な検証環境を構築し、精緻な実験を実施できることである。StarBED4プロジェクトでの達成を目指すIoT技術の検証基盤でも、この特徴を活かした環境の提供を目指す。IoT検証基盤としてStarBEDを飛躍させるためには、移動体やセンサーといったIoTデバイスとその上で動作するソフトウェア、無線環境、温度場や湿度場といった物理場、人や車などの移動体の動きなどをStarBEDの上に再現する必要がある。エミュレーション基盤として、多種多様なIoTデバイスや移動体のハードウェアそのものをStarBEDの一部として用意することも選択肢の1 つとして考えられるが、汎用テストベッドとしての柔軟性が失われ、様々な運用負荷が増大するといった懸念がある。これを回避するため、機材としてはこれまで通りの一般的なPCを用意し、その上に様々な技術を用いて、IoT技術が必要とする環境を構築することとした。図1に示すとおり、ICT技術についてはエミュレーション技術を使って環境を構築し、IoTデバイスの導入については仮想マシンを活用、物理量場と移動体や人の挙動部分については数式等でのモデル化を前提とするシミュレーション技術を用いて再現し、エミュレーション環境とリアルタイムで接合を行う。これにより、人・地形・天候などをも取り込んだ実証環境の構築を実現する。■平成28年度の成果第4 期中長期計画の目的を達成するため、初年度となる平成28年度は、IoTデバイスの模倣基盤の確立、物理量場のシミュレーションとの連携機能の構築、IoT技術が前提とする無線環境の模倣技術、既存シミュレータとICT技術の検証環境のリアルタイム統合について、それぞれ要素技術の研究開発を行った。3.11.2.3 北陸 StarBED技術センターIoT技術の検証を可能とするテストベッドへ図1 StarBED4プロジェクトが描くIoTテストベッド