ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

104■概要研究拠点機能及び社会実装への取組を更に強化するため、耐災害ICTに係る基盤研究、応用研究及びこれらの研究成果に基づく社会実装に向けた活動を連携して取り組む体制を整備する。また、耐災害ICTに係る研究開発の着実な推進及び研究拠点機能の強化に向けて、大学・研究機関等との共同研究等を通じて、外部研究機関との連携を強化する。さらに、研究開発成果の社会実装に向けて、地方公共団体を含めた産学官の幅広いネットワーク形成、耐災害ICTに係る知見・事例の収集・蓄積・交換、研究成果・技術移転等の蓄積及び地方公共団体等の利用者ニーズの把握のため、耐災害ICTに係る協議会等の産学官連携活動に積極的な貢献を行う。加えて、耐災害ICTに係る研究開発成果を活用した実証実験の実施、地方公共団体が実施する総合防災訓練等における研究開発成果の活用・展開及び災害発生時の円滑な災害医療・救護活動等に貢献するためのICTシステムの標準モデルやガイドラインの策定に関する取組等を通じて、耐災害ICTに係る研究開発成果の社会実装の促進を図る。■平成28年度の成果1 .熊本地震支援活動及び災害対応対策など平成28年4 月14日及び16日に発生した熊本地震(14日M6.5、最大震度7 、16日M7.3、最大震度7 )において、研究成果を使った被災地支援を行った。平成27年4 月からリアルタイム版を試験公開したツイッターデータを収集・分析し、災害に関する情報を地域や項目ごとに分類して提供する「災害情報の収集と分析に関する技術(DISAANA)」を熊本地震で容易に利用できるように、リンク・バナーの作成や関連自治体への案内を行った。また、内閣官房では平成28年度熊本地震被災者生活支援チームツイッター分析班が設けられ、活用された。被災地での通信環境を確保するため、2 台の衛星通信用車載地球局を仙台から被災地の熊本県高森町に約30時間かけて移動させ、職員を派遣して、超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)衛星による衛星通信及びNerveNet(ナーブネット)、ICTユニットを用いて、19・20日に地元住人や町役場の方々にWi-Fiなどのインターネット環境を提供した。実際の災害地に職員を初めて派遣することで、災害時に必要な多くのノウハウを得ることができた。熊本地震での実経験を踏まえ、他の部署も含めたNICTが災害時に提供支援できる技術を取りまとめ、実際に支援を実施する場合の災害対応マニュアルの整備や機構内連絡・情報共有体制の整備を行った。さらにDISAANAの拡張版として、災害状況要約システムD-SUMMを10月に試験公開し、鳥取中部地震の災害時情報を提供した。DISAANA/D-SUMMに関してより社会実装を進めるため、企業に技術移転を行った。2 .大学との連携強化東北大学との研究連携強化のため、イノベーション推進部門連携研究推進室と連携してプレマッチング支援制度を開始したところ、両機関間の共同研究の募集に合計23件の応募があり、13件の採択となった(図1 )。当センターでは、7 件応募し3 件採択され、研究連携促進に努めた。また、東北大学以外も含め、全部で15件の共同研究を締結し、研究連携を進めている。3 .産学官連携推進6 月20日に仙台市で耐災害ICT地域連携連絡会、10月24日に東京で耐災害ICT研究協議会、平成29年3 月27日に耐災害ICTシンポジウムを開催し、研究成果や耐災害ICTの新しい技術の紹介及び意見交換を行った。また、企画連携推進室室長(兼務)  高橋 幸雄 ほか6名3.11.3.1実際の災害で支援できる成果の社会展開を目指して図1 連携研究事業の採択課題の概要