ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

108応用領域研究室では、災害時に実利用に近い応用技術の研究を進め、社会での利用を進めている。当研究室では大規模災害にあっても切れにくい災害に強いワイヤレスネットワークの研究開発や社会実装を進めるワイヤレス通信応用プロジェクトと、災害の社会知をリアルタイムにわかりやすく整理し提供する研究開発、及び社会実装を進めるリアルタイム社会知解析プロジェクトの2つのプロジェクトを行っている。ワイヤレス通信応用プロジェクト■概要応用領域研究室ワイヤレス通信応用プロジェクトでは、災害発生時、途切れにくいネットワークや、通信が途絶えてもすぐに応急復旧や通信確保ができることが必要であるため、柔軟性や迅速性がある無線通信技術を活用した災害対応の応用技術及びシステム化の研究開発を行うとともに、前中長期計画で開発したメッシュネットワーク「NerveNet(ナーブネット)」技術や今中長期計画での研究成果を活用した社会実装を進めている。(図1 )1 . 災害対応型高度分散地域ネットワーク技術の研究開発災害時においては、電話やインターネットがつながらないなど、通常のネットワークシステムが機能しない場合、地域内にインフラとして設置された分散型ネットワークや分散型情報システムによって、地域内の情報伝達手段の確保や、早い通信回線の復旧を可能とする。また、災害時のみならず平時より各種センサー情報をエッジ処理し、情報の公開・非公開の制御、伝送・保存先の制御、もしくは情報利用の共用化等することで、各地点の情報環境に応じて迅速かつ柔軟に“きめの細かい”情報伝達と情報の利活用を行うことができる。こうした自律分散・地域分散機能を有した自営無線システムの高度化やネットワーク制御・構成法の研究開発を進め、スマートな地域社会の実現に資する地域ネットワークシステム技術・地域基盤プラットフォームの研究開発を行う。また、これらの機能を利用したアプリケーションの開発を行うことでその有効性を評価しつつ、地域社会のインフラ管理等への活用を目指す。2 .機動的ネットワーク構成技術の研究開発災害時に、端末や移動する車両・飛翔体などを活用した機動的な実戦用の無線ネットワークシステムの研究開発を行う。災害時に即応した通信衛星や無人飛行機・ドローンと地上系ネットワークが連携したネットワーク構成技術、車両間で迅速な情報共有を可能とする車両間自律分散型情報通信技術、省電力デバイス間通信技術等に加え、さらに、情報の蓄積運搬や情報に基づくネットワーク技術、情報の信頼性や分散環境におけるトラスト形成技術等、レイヤ横断的な機動的ネットワークのアーキテクチャを確立していく。3 . 技術の社会実証・社会実装に向けたシステム化と技術展開、地域技術実証産学官連携によるフィールド実証実験や防災訓練への参加を行うことで、開発してきた技術の社会での利用を進め、自治体や公的機関での利用に向けた連携を進めるほか、海外における実証実験の実施等を通じて海外での展開を進める。応用領域研究室室長  平良 真一 ほか6名3.11.3.3無無線通信、情報分析技術の実利用を通して防災・減災・災害対応に貢献図1 研究開発技術のイメージ災害対応型地域ネットワーク技術携帯網インターネット自営無線網緊急車両(DMAT等)被災現場即時構成ネットワーク省電力デバイス間通信技術の開発情報の蓄積運搬技術を汎用化し、様々な用途へ適用可能に機動的ネットワーク構築技術広域網とも連携・自営網サービスを継続