ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

4(2)統合ICT基盤分野①「革新的ネットワーク技術」では、より高速で柔軟なネットワークの実現を目指して、情報・コンテンツ指向型ネットワークを用いた低遅延低ロスストリーミング技術の基本設計とシミュレーションを行い、従来と比較して制御トラヒックを80 % 減、ユーザー体感品質(Quality of Experience)を25%向上できることを確認した。また、機械学習を応用した仮想ネットワークサービス中の品質を向上させる手法の設計や、複合イベント処理等を応用してサーバの負荷に応じてネットワーク構成を自動的に調整する方法の設計を行った。②「ワイヤレスネットワーク基盤技術」では、第5世代(5G)無線通信システムなどの無線通信のニーズの高度化・多様化に対応するための検討を行った。通信事業者・総務省等とも連携した周波数の効率的な利用方法の検討や、無線技術の高信頼化による見通し外ドローンの制御通信の実証などを実施した。工場内のIoT化のための無線モデルの検討や標準化を行い、メーカ・大学等との異分野・異業種の連携を実現した。地方公共団体防災訓練等における研究開発成果の展開や災害時の医療・救護活動等に貢献し、熊本地震では被災地へ応急的インターネット回線を提供した。また、研究成果を国際標準化団体(ITU-R、3GPP、IETF、IEEE802等)へ提案した。③「フォトニックネットワーク基盤技術」では、空間多重用ファイバに対応可能なファイバ一括光スイッチを提案し、世界最高コア数の7 コアファイバ一括スイッチを開発した。400 Gbps級光信号伝送に必要となる16QAM多値変調信号の送受信技術と高速電界吸収型光スイッチを用いた伝送実験を、従来の1.6倍以上となるスイッチ回数10回、伝送距離500 kmにおいても成功し、大容量伝送を実現する多値変調信号に対する有効性を実証した。また、マルチコアファイバにおいて、非線形光学効果がコア間クロストークにも影響を与えることを世界で初めて明らかにし、現象のモデル化に成功した。④「光アクセス基盤技術」では、異種材料融合技術と光集積デバイス技術を組み合わせ、広帯域波長可変な量子ドット光源の超小型化(0.002 cc)に成功した。高効率・超高速光電気変換デバイスを開発し、100 GHz級高周波信号の伝送とデバイス駆動電力の同時光給電を世界に先駆けて実施した。光・高周波融合の基盤技術として、高精度ミリ波/THz(テラヘルツ)帯基準信号生成技術を用いた光・無線・光ブリッジ伝送の動作実証に成功した。リニアセルシステム利用検証として、成田空港滑走路に異物感知レーダシステムを設置し、耐候性検証も含めた連続運用フィールド試験を実施し、3 cm程度の金属円柱の検出に成功するとともに、実用化へ向けた知見を得た。⑤「衛星通信技術」では、地上-衛星間データ通信品質の向上を目指し、機構が開発した小型光通信装置(SOTA)を用いた小型衛星-地上間光通信実験を2 年以上の期間にわたって成功させた。次期技術試験衛星に搭載するための通信システムの要素技術として、ユーザー当たり100 Mbps級の従来にない広帯域・フレキシブルなデータ伝送を実現する、Ka帯/光のハイブリッド通信システムの概念設計を実施した。また、熊本地震ではWINDS衛星を用いた臨時通信回線を地域通信ネットワーク設備等と連携して高森町(熊本県)に開設提供し、災害時の衛星通信の有効性を示した。(3)データ利活用基盤分野①「音声翻訳・対話システム高度化技術」では、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催時期までに主な10言語について実用的な音声翻訳・対話を実現するため、音声コーパスを着実に構築し、音声認識精度を向上した。また、生活一般分野における音声翻訳を強化するため、病院や企業との連携により、医療分野に特化した音声翻訳システム(日本語⇔英語・中国語)を開発し、臨床実験を実施した。さらに、2020年以降を見据えた技術として、音声入力途中から部分的に翻訳を可能とする同時通訳のパイロットシステム(日本語⇔英語)を開発した。特許文の自動翻訳システムを4 社に技術移転するなど成果の社会実装も推進した。②「社会知解析技術」では、インターネット上の膨大な情報や知識を情報源として有用な知識を得る技術を実現するため、問題を自動認識及び要約する技術について深層学習をベースに開発し、90%以上の精度を達成した。さらに、深層学習を用いて質問自動生成技術を開発し、質問に回答する情報分析システム(WISDOM X)との組み合わせにより、対話システムのプロトタイプを実現した。また、被災情報を分り易く整理・要約する災害状況要約システムD-SUMMを一般に公開するとともに、WISDOM X、DISAANA(対災害SNS情報分析システム)、D-SUMMを民間企業等へライセンス供与し、成果の社会実装を推進した。③「実空間情報分析技術」では、実空間情報の収集分析から生活に有効な情報を提供する技術の実現に向けて、フェーズドアレイ気象レーダーを用いたゲリラ豪雨対策支援システムを開発し、神戸市の防災業務と連携して200名以上が参加する実証実験を実施した。また、異