ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

112■概要テラヘルツ帯は、おおむね周波数100 GHzから10 THz(波長にして3 mmから30 μm)の電磁波領域を指す。いわゆる電波と光波の中間に位置し、これまで電磁波の発生及び検出が困難であったことから利用が進まず、未開拓電磁波領域と呼ばれていた。しかしながら近年、通信分野における無線端末の大容量通信の要求などに伴い、既に利用されているマイクロ波帯周波数資源のひっ迫により、新たな周波数帯であるテラヘルツ帯を有効利用する社会的要請が急速に高まっている。これを受けて、テラヘルツ帯で動作可能なデバイスの研究開発や計測基盤技術の進捗が急速に早まってきており、この新たなスペクトラムを、電波を利用するために電波の発信を伴う「能動業務」に利用する検討が本格的に始まっている。テラヘルツ研究センターでは、この動向を加速させるために、NICTの持つ、材料からシステム化までの様々な研究開発力を結集し、100 Gbps級のテラヘルツ帯無線通信システムの実現を支える先端的計測基盤技術の研究開発を主要な課題として推進する。さらに、テラヘルツシステム応用推進協議会の運営等を通じて、産業界や学術界との研究連携の促進や標準化の議論を進め、テラヘルツ帯の有効利用を実現する環境を整える(図1 )。本研究センターの業務実施体制を企画室及びテラヘルツ連携研究室で構成し、未来ICT研究所企画室・フロンティア創造総合研究室、電磁波計測研究所リモートセンシングセンシング研究室・時空標準研究室・電磁環境研究室、ネットワークシステム研究所ネットワーク基盤研究室、ワイヤレスネットワーク総合研究センターワイヤレスシステム研究室からの協力によって推進する、テラヘルツ帯先端的計測基盤技術の研究成果を社会展開し、国内外の研究機関との連携を図ることで、テラヘルツ無線通信技術やセンシング技術などの実用化を目指した研究開発の推進と産業界や学術界等の幅広い利用推進のための標準化を目指す。■主な記事1 .テラヘルツシステム応用推進協議会の活動テラヘルツシステム応用推進協議会は、テラヘルツ技術を基にしたシステム開発を促進し、早期の社会展開・産業化を実現することを目指し、関連する機関の連携を深めながら、課題検討・政策提案、普及啓発活動、動向調査、標準化活動等の検討等を通じて、テラヘルツシステムの普及に資することを目的とするものとして、東京工業大学 安藤真理事・副学長(研究担当)を会長として、テラヘルツ研究センター研究センター長  寳迫 巌3.11.4図1 テラヘルツ研究センター概要