ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

1133  ●オープンイノベーション推進本部3.11.4 テラヘルツ研究センター平成27年9 月29日に設立された。本協議会の運営については、総務省電波利用料・電波資源拡大のための研究開発課題「テラヘルツ波デバイス基盤技術の研究開発」を実施しているNICTを含む4 機関で開始し、その中でNICTが中心的役割を果たしている。平成28年度は、新たに「標準化部会」と「技術検討部会」が設置された(図2 )。標準化部会は、国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)や米国電気電子学会(IEEE802)等での標準化に対応するため、小川博世(NICT)を部会長として設置された。世界無線通信会議WRC-19議題1.15の、275 GHz以上の周波数で運用する陸上移動業務と固定業務における技術運用特性、スペクトラム要件について5 回の検討会合を行い、情報提供を行った。引き続き、WRC-19議題1.15への寄与に向けた活動を行う予定である。また、技術検討部会は、テラヘルツ技術に関する普及活動、政策提案等を行うため、大阪大学 永妻忠夫教授を部会長として設置された。総務省「宇宙×ICTに関する懇談会」に提案するため検討会合を開催した。2 . 第3 回理研-NICT合同テラヘルツワークショップの開催平成29年2 月27・28日にNICT本部(小金井)において第3 回理研-NICT合同テラヘルツワークショップを、電波天文分野の研究会である第17回ミリ波サブミリ波受信機ワークショップと共同で開催した。本合同ワークショップは、NICTにテラヘルツ研究センターが立ち上がったことを契機に、国内のテラヘルツ研究の2 大拠点であるNICTと理化学研究所の連携を図ることを主目的として始まった。これまでに、第1 回をNICT本部で、第2 回を理研(仙台地区)で開催してきた。平成28年度は、古くからミリ波サブミリ波(テラヘルツ波)技術を宇宙電波のセンシング装置として実用化している電波天文分野の研究者や技術者との異分野研究交流の場を提供することを目的とし、ミリ波サブミリ波受信機ワークショップとの共催とした。参加者は117名に達し、口頭講演2 8件、ポスター講演5 5 件を数え(http://www.t-sakai.cei.uec.ac.jp/rxws2017/index.html)、口頭講演の会場となったNICT本部3 号館1 階セミナー室の収容人数を大きく超えるほど盛況であった。招待講演は、当センター小宮山進R&Dアドバイザー(東京大学名誉教授)、東京工業大学 浅田雅洋教授、カナダAlberta大学Frank Hegmann教授、スウェーデンLowNoise Factory社Joel Schleeh最高技術責任者が行い、最新のテラヘルツ技術が幅広く紹介された。NICTの口頭発表枠では、当該関連分野で目覚ましい研究成果を上げている若手研究者の原 紳介主任研究員、長野重夫主任研究員、牧瀬圭正主任研究員が講演を行った。ワークショップ終了後にはラボツアーも実施した。同6 号館1 階のテラヘルツ分光実験(説明:入交芳久主任研究員)、フォトニックデバイスラボ(説明:寳迫 巌研究センター長)及びミリ波デバイスラボ(説明:渡邊一世主任研究員、原 紳介主任研究員)の先端デバイスラボの見学は、予定時間の1 時間を大きく超え、NICT外のラボツアー参加者(約45名)の関心の高さがうかがわれた。テラヘルツ技術の実用という意味では、電波天文分野は最先端である。この分野は、電波、光を用いた情報通信技術、センシング技術の発展が必要不可欠で、まさに NICTと理研がリードしているこれらの基盤技術との親和性が非常に高い。今後、このような異分野間の学術交流、連携を進め、新学術領域の形成などへの発展を目指す。図2 テラヘルツシステム応用推進協議会の構成図図3  第3回理研?NICT合同テラヘルツワークショップ及び第17回ミリ波サブミリ波受信機ワークショップ参加者