ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

1153  ●オープンイノベーション推進本部3.11.4 テラヘルツ研究センターμm)を用いた。図2 に製作したフィルタバンクと通過特性を示す。また同図に電磁界解析ソフトHFSSによるシミュレーション結果も示す。S21、S31、S41の結果から、各チャネルは25 GHz間隔で設計通りに分割されていることがわかる。これらの測定値は設計値に対して2 GHz以内、少なくとも0 から-40 dBのレベルにおいてシミュレーションと非常によく一致していることがわかった。また、S11についても所望の帯域において-15 dB以下となっていることが確認できた。これらから当フィルタバンクは、ほぼ設計通りに動作し、超広帯域スペクトラム計測装置のRFフィルタ部に有用であると考えられる。3 .国際標準化活動2015年世界無線通信会議において、NICTが提案した「275-450 GHz周波数領域の陸上移動業務応用と固定業務応用への特定化」に関するWRC-19議題1.15が成立し、責任グループとしての活動をWP1Aが開始した。本議題は、多くのWP(Working Party)が関係しており、特にWP5Aにおいて陸上移動業務応用システムの技術運用特性を、WP5Cが固定業務応用システムの技術運用特性をWP1Aに2017年6 月までに提供することが決められている。そこでNICTからはWP5AとWP5Cに対して、275-326 GHz帯で運用する各システムの技術運用特性をまとめるためのITU-Rレポート草案に向けた作業文書の提案を行った。また、これらの情報を関連WPに提供するためのリエゾン文書もNICTから提案し、WP5AとWP5CからWP1A、WP3J、WP3K、WP3M、WP7C、WP7Dに送付することができた。一方、責任グループのWP1Aに対しては、NICTからは議題1.15のための作業計画案、CPM(Conference Preparatory Meeting)テキスト概要案、275-450 GHzで運用する陸上移動業務応用及び固定業務応用と既に無線通信規則脚注5.565で特定されている受動業務(電波天文業務、地球観測衛星業務(受動))との共用両立性検討を行うITU-Rレポート草案に向けた作業文書の骨子案の提案を行い、その方向で進めることがWP1Aにおいて合意された。一方、APTのWRC-19準備会合であるAPG19-1会合において、ITU-Rにおける議題1.15の進捗状況を報告するとともに、APG19-2以降で議題1.15の作業するためのDG(Drafting Group)1.15の議長をNICTから出す提案を行った。さらに、APTワイヤレスフォーラム(AWG)において、NICTが提案し編集した275-1000 GHzで運用する短距離無線通信システムに関するAPTレポート(REP-66)を成立させた(図3 )。また、無線機器の標準化を進めているIEEE(TheInstitute of Electrical and Electronic Engineers) では、テラヘルツ無線の利用モデルのうち、point-to-pointの伝送形態かつ動的ビームステアリングの不要な利用モデルについて、平成25年度のStudy Goup(802.15.SG3d)発足を経て、平成27年3 月にTask Group(802.15.TG3d)が発足し検討されている。TG3d副議長には当研究センター長の寳迫 巌が就任している。平成28年3 月に正式な提案募集(Call for Proposals=CfP)が発出されたことを受けて、平成28年度にはNICTから規格提案を行い、他の提案とマージして規格文書案が策定され、802.15Working Groupでのレター投票が実施されWG案として承認された。図2  製作した導波管フィルタバンクと通過特性(実線はシミュレーション結果)図3  APTレポート完成版の表紙のコピー、2016年9月のAWG会合で成立