ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

1193  ●オープンイノベーション推進本部3.11.5 統合ビッグデータ研究センターの地図表示に対し、経路上のリスク情報の伝達率が約2 倍に改善されることを確認した。被験者実験で得られた表示情報量と情報伝達率の関係から、今後、リスク情報の可視化方式標準の構築を行う。3 . マルチスケールな大気汚染データ同化・予測技術の研究開発大気環境データを対象に、非静力学正二十面体大気モデルStretch NICAM-Chemに基づくデータ同化・シミュレーション予測方式の基本設計を行った。本方式では、計算を行うグリッド間隔を場所によって変えることが可能であり、例えばアジア地域の広域な大気汚染(水平空間分解能30 km)から国内都市の局所的な大気汚染(同5 km)まで、シームレスな予測を可能にする。このレベルのスケーラブルな予測を実現する手法は世界的にも例がなく、特に越境汚染の早期予測に有効である。評価実験では、アジア圏(グリッド間隔500 km)から福岡市(同5 km)までの炭素エアロゾルや海塩エアロゾルの予測が可能であることを確認した。さらに、衛星観測データの複数波長同時リトリーバル方式によるアジア地域のオゾン高度別分布の導出や、福岡大学に設置されたライダーを用いたエアロゾルの光学特性に基づく分類アルゴリズムの基本設計を行った。今後、これらの解析結果をデータ同化し大気汚染予測を行うシステムを開発する。4 . ソーシャルビッグデータ利活用基盤技術に関する内外との連携慶應大学との共同研究では、ソーシャルビッグデータ流通基盤(SOX)を用いて、Webに公開された各種センシングデータやソーシャルビッグデータ委託データをスケーラビリティ高く抽出・変換・ロード(ETL)する連携システムの開発に着手した。ソーシャルビッグデータ研究連携センターとの連携プロジェクトでは、ゲリラ豪雨を対象に、リスク適応型地図ナビゲーションとSNSデータ可視化技術(タグクラウドマップ)を統合した行動支援システムの基本設計を行った。さらに、スマートIoT推進フォーラム異分野データ連携プロジェクトにおいて、産学官25機関37名のメンバーが参加する会合を3 回開催し、エディターとして異分野データ連携に関する課題や提言をまとめた技術報告書の編さん(平成29年度出版予定)や、総務省宇宙×ICT懇談会中間とりまとめへのデータ利活用に関する提言を行うなど、国の政策へのフィードバックも行った。図 ゲリラ豪雨対策支援システムとリスク予測による地図ナビゲーションゲリラ豪雨対策支援システムの実証実験リスク適応型地図ナビゲーションシステムの開発? 交通データなど交通リスクの予測異分野データ相関分析(イベントデータウェアハウスシステム)行政支援交通・物流支援? リスク受容度に応じた動的な経路探索の基本実装? ピクトグラム化表示方式によるリスク情報伝達効率改善の定量評価? 30秒ごとの3次元降雨観測により地上で局地的に50 mm/h以上の豪雨が降る前にゲリラ豪雨を早期探知? ハザードマップを統合し危険個所を地図上で把握したり警戒情報をメール配信? 神戸市での実証実験(親水河川対策や下水道ポンプ場試運転など227名が参加)