ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

6構築」では、超高速研究開発ネットワーク(JGN)、大規模エミュレーション基盤(StarBED)、複合サービス収容基盤(JOSE)、広域SDNテストベッド(RISE)を統合し、「NICT総合テストベッド」として統合的なICTインフラ研究環境を整備し、統一窓口からの外部ユーザーへの提供を開始した。また、総合テストベッドにおいてIoT技術の実証を可能とするための必須機能を実装した。さらに、技術実証及び社会実証のニーズを踏まえて実証基盤を研究開発するため、スマートIoT推進フォーラムのテストベッド分科会において将来のテストベッド要件等の検討を開始した。②「オープンイノベーション創出に向けた取組の強化」では、機構の研究開発成果の融合・展開、外部機関との連携を推進するため、オープンイノベーション推進本部を設置した。北陸ICT連携拠点の設置をはじめとする地域との連携強化、AI研究に関する3 省(総務省、文部科学省、経済産業省)連携構築などに重点的に取り組んだ。また、テストベッドの窓口一元化と利用手順の改善など、研究設備利用のマネジメントの効率化と有効化を促進した。さらに、データの利活用が不可欠であるIoTやAI等の研究開発において重要であるプライバシー保護の観点から、パーソナルデータの適正な取り扱いを検討する体制を構築した。機構の保有する技術を融合したサービスシステムを実装し、社会的受容性等を検証する取組として、自治体や民間企業との連携のもとに、飲料自動販売機やタクシーにNICT発の技術であるWi-SUNルータを搭載し、地域IoT基盤プロトタイプを構築するとともにIoTサービスの検証実験を行った。オープンデータへの取組としては、世界科学データシステム国際プログラムオフィス(WDS IPO)の他に、G7科学技術大臣会合など国際会合において、オープンサイエンス指針・政策提言への寄与のための活動を実施した。③「耐災害ICTの実現に向けた取組の推進」では、NICTの技術を使って、熊本地震で各種の支援活動を行った。具体的には、衛星通信と無線通信による被災地でのインターネット提供、対災害SNS情報分析システムDISAANAによる災害情報分析及び提供、災害時の外国人・障がい者に対するコミュニケーション支援、航空機搭載合成開口レーダーによる被災地の緊急観測等を実施した。また、大学との連携を強化し、耐災害ICT研究協議会等を開催するとともに、自治体の防災訓練等への参加を通じて技術の有用性実証や普及活動を行った。④「戦略的な標準化活動の推進」では、研究開発成果の国際標準化に資するため、重点分野や具体的な行動計画等を定めた「情報通信研究機構標準化アクションプラン」を平成29年3 月に策定し、第4 期中長期計画における戦略的な標準化推進の基礎を確立した。また、機構全体として、国際標準化機関等に対して寄与文書242件を提出するとともに、議長等の役職者45名を派遣し、屋内近距離通信の回線設計及び干渉検討への活用のための「300 MHz~100 GHz帯における屋内無線通信システム及びLANの計画のための伝搬データ及び予測手法(ITU-R勧告P.1238)」など、機構の研究開発成果に基づく国際標準等14件の成立に貢献した。⑤「研究開発成果の国際展開の強化」では、米国・欧州との国際共同研究の推進、ASEAN IVO(ICT VirtualOrganization of ASEAN Institutes and NICT)の推進、国際会議・国際展示会への参加・出展、各連携センターによる機構の国際展開を支援するハブ機能の発揮などにより、研究開発成果の国際展開の強化に貢献した。本年度は、30機関(新規12件、更新18件)とMOUを締結し、有力な海外の研究機関や大学との連携関係を構築した。また、ASEAN IVOの国際共同研究プロジェクトを通じて、地域分散ネットワークNerveNetの社会実装に向けて、技術移転先企業によるNerveNetを用いた遠隔教育環境の構築支援や海外展開の支援を行った。⑥「サイバーセキュリティに関する演習」では、平成25年度に総務省事業として開始された実践的サイバー防御演習(CYDER)を継承・拡充した。機構が有するサイバーセキュリティの最新の技術的知見及び大規模計算機環境を最大限に活かし、国の行政機関、地方公共団体、重要インフラ事業者等を対象に実践的なサイバー防御演習を開発・実施した。今年度は、全地方公共団体数の約30%を含む計765組織1,539名の受講を実現した。(7)研究支援業務・事業展開業務高度通信・放送研究開発を促進し、我が国におけるICT研究のレベル向上を図るため、海外研究者の招へい等による研究開発の支援を実施した。また、地域ICTベンチャーが、工夫を凝らした新規事業を発表しビジネスマッチングにチャレンジする「起業家万博」、将来のICTベンチャーの担い手となる高専生、大学生等の若手人材の発掘・育成を目的とした「起業家甲子園」を開催し、有望かつ新規性・波及性のある技術やサービスの事業化等に取り組む情報通信ベンチャーの発掘等を行った。さらに、平成28年4 月の情報通信研究機構法改正により追加された、新技術開発施設供用事業及び地域特定電気通信設備供用事業に対する債務保証業務及び助成金交付業務では、IoTサービスの創出・展開につながるように、IoTテストベッド事業5 件、地域データセンター事業8件に対し助成金総額1 億9325万円の交付を決定した。