ブックタイトル情報通信研究機構年報

ページ
140/318

このページは 情報通信研究機構年報 の電子ブックに掲載されている140ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

情報通信研究機構年報

132■概要委託研究推進室では、「高度通信・放送研究開発委託研究」(以下「委託研究」という)により、NICTが自ら行う研究と一体的に実施することで効率化が図られる研究課題について、外部の研究リソースの有効利用による効率的・効果的な研究開発を推進している(図1 )。■平成28年度の成果平成28年度においては、前年度から継続して実施する研究課題16件に加えて、新たに10件の研究課題に着手し(詳細は、6.1.1に掲載)、研究成果として論文発表490件、一般口頭発表615件、標準化提案12件及び産業財産権出願152件を行い、標準化採択においては、ITUで3 件、IECで1 件、oneM2Mで2 件、計6 件が勧告化された。1 .平成28年度に終了した研究課題の主な成果(1) 電磁波を用いた建造物非破壊センシング技術の研究開発地震等の災害による被災建造物の劣化診断のために、広範囲を効率的かつ詳細に把握するセンシング技術が求められている。在来工法による木造家屋の健全性評価には、強度部材である柱、梁、筋交いなどの状態を正確に把握する必要があるが、これらは壁面の内部にあり、目視による検査は不可能である。そこで、木造建築物内部を3 次元的にイメージングするレーダ装置を開発した。さらに、現場使用に対応できるよう、操作が容易なレーダシステムと3 次元可視化システム、データ解析結果から建造物の健全度の診断を支援する診断助力システムを開発した(図2 )。(2) エラスティック光アグリゲーションネットワークの研究開発インターネット、ビジネス向け回線、モバイルなど複数のサービスで利用される異なる性質のトラフィックに対し、エラスティック(伸縮自在)な通信速度・光周波数帯域の割当てを行うことができる、エラスティック光アグリゲーション(集約)ネットワークの研究開発を行った。また、このような革新的なネットワークに必要となる信頼性を、光伝送路の制御方式やスイッチ技術の検討を通して追求し、局舎装置が故障しサービスが断絶しても、故障した装置から10 km離れた別の局舎装置が自動的に10秒以内にサービス断絶前と同じ通信速度で再接続する実機検証実験に世界で初めて成功した(図3 )。(3) メッシュ型地域ネットワークのプラットフォーム技術の研究開発平時にも非常時にも有用な地域ICT技術の確立とその早期実用化を目的に、NICTが開発した耐災害性を備えるメッシュ型地域ネットワーク(NerveNet)について、委託研究推進室室長  青木 美奈 ほか16名3.12.2高度通信・放送研究開発委託研究の推進図1 委託研究のスキーム図2 試験壁の内側(左)を外壁側からイメージングした画像(右)図3 実機検証実験の様子