ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

18■概要突発的大気現象の早期捕捉や地震等の災害発生時の状況把握を可能とするリモートセンシング技術、グローバルな気候・気象の監視や予測精度の向上に必要な衛星搭載型リモートセンシング技術の研究開発に取り組み、社会の安心安全に貢献する。リモートセンシング技術の研究開発においては、第3 期中長期計画において開発したフェーズドアレイ気象レーダー(降水の観測)に加え、風、水蒸気、雲等を高時間空間分解能で地上から観測する技術の研究開発を行い、これらの融合観測によりゲリラ豪雨・竜巻に代表される突発的大気現象の早期捕捉や発達メカニズムの解明など、予測技術向上に必要な研究開発を行う。また、地震・火山噴火等の災害発生時の状況把握等に必要な技術として、航空機搭載合成開口レーダー(航空機SAR)について、構造物や地表面の変化抽出等の状況を判読するために必要な技術の研究開発に取り組むとともに、観測データや技術の利活用を促進する。さらに、世界最高水準の画質(空間分解能等)の実現を目指した、レーダー機器の性能向上のための研究開発を進める。衛星搭載型リモートセンシング技術の研究開発においては、グローバルな気候・気象の監視や予測精度向上を目指し、地球規模での降水・雲・風等の大気環境の観測を実現するための衛星搭載型リモートセンシング技術及び得られたデータを利用した降水・雲等に関する物理量を推定する高度解析技術の研究開発を行う。■平成28年度の成果1 .リモートセンシング技術(地上気象レーダー)フェーズドアレイ気象レーダー(PAWR)や、PAWRと風を計測するドップラーライダー等と組み合わせた融合システム(PANDA)を大阪、神戸、沖縄3 拠点で連続的に運用するとともに、データのオープン化(Web公開・リアルタイム配信)を推進し、これにより様々な外部機関との連携を図り、以下の実証研究が進められた。(1) 大阪と神戸のPAWRデータを活用したリアルタイム雨雲情報及び豪雨予測情報のスマホアプリ配信実験「3D雨雲ウォッチ~フェーズドアレイレーダー」を実施。【民間企業との共同研究】(2)「 京」による高精細シミュレーションとPAWR双方の膨大なデータ(解像度100 m)を組み合わせたビッグデータ同化により、計算機上でのゲリラ豪雨の詳細な再現に成功。【理化学研究所らとの共同研究】(3) 神戸市と連携したゲリラ豪雨対策支援システム実証実験を統合ビックデータ研究センターと協力して実施。【自治体との連携】(4) 二重偏波フェーズドアレイ気象レーダー(MPPAWR)の開発推進。【戦略的イノベーションプログラム(SIP)による連携】地デジ放送波の高精度受信から豪雨の早期検出等に有用な水蒸気遅延を推定する技術に関しては、開発成果の論文発表、報道発表(平成29年3 月9 日)を行うとともに、システムのパッケージ化、面的な水蒸気観測を目リモートセンシング研究室室長  久保田 実 ほか22名3.1.1社会の安心安全に貢献する新しいリモートセンシング手法を創出図1 WPRへのアダプティブクラッター抑圧機構の付加(左)従来型WPRに付加したサブアレイアンテナと(下)ソフトウェア無線機(右)抑圧機構の付加による、定物からのクラッタ―の完全抑圧の成功例抑圧なし抑圧あり-10 1001432高度[km]-5 0 5 -10 -5 0 5 10ドップラー速度[m/s]