ブックタイトル情報通信研究機構年報

ページ
27/318

このページは 情報通信研究機構年報 の電子ブックに掲載されている27ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

情報通信研究機構年報

193観る●センシング基盤分野3.1 電磁波研究所指した多点展開への取り組みを開始した。データ品質の飛躍的向上を目指した次世代ウィンドプロファイラ(WPR)に関しては、現行機への改良型アダプティブクラッター抑圧機構の付加により、定物からのクラッターの完全抑圧に成功した(図1 )。2 .リモートセンシング技術(航空機SAR)航空機SARについては、実証研究の一環として、以下のフライト実験や災害状況把握への活用を実施した。(1) 海上の移動体検出・波浪計測、リピートフライトによる地表面の微小変化抽出、送電インフラの状況把握技術(中部電力との共同研究)等の実証のためのフライト実験を実施。(2) 次世代航空機SAR(Pi-SAR3)開発のための基礎実験として、帯域を拡大した偏波共用のATI(Along Track Interferometry)アンテナを開発し、フライト実験により性能を確認(図2 )。(3) 現行の航空機SAR(Pi-SAR2)による熊本地震被災状況の緊急観測を実施。M7.3の地震が起きた翌日の平成28年4 月17日に実施。速報画像データは、総務省、内閣府防災担当、九州総合通信局経由で熊本県、大分県等関係機関に即時提供。フル解像度データは防災科学技術研究所、国土交通省国土技術政策総合研究所に提供し、土砂崩れ等の解析に活用。(4) Pi-SAR2データの高解像度と高度計測機能を活かした土砂崩れ自動検出手法の高精度化技術を確立。また、現在、画質(空間分解能、S/N等)の向上を目的とした次世代航空機SAR(Pi-SAR3)の研究開発に着手しており、平成30年度の運用開始を目指す。3 . 衛星搭載型リモートセンシング技術日米共同ミッションである全球降水観測計画(GPM)においては、Level-2データの精度向上を目的とした解析アルゴリズムの改訂提案を取りまとめ、地上データ等との比較による精度検証を進めた。日欧共同ミッションである雲エアロゾル放射ミッション(EarthCARE)においては主要機器である雲プロファイリングレーダー(CPR)の欧州における確認試験のための輸送前審査会を終了。確認試験を経た後、最終的な欧州宇宙機関(ESA)への引き渡しは平成30年4 月頃の見込みである。衛星搭載ドップラー風ライダー計画においては、コア技術である高出力パルスレーザー開発において、世界最高出力を達成した(図3 )。テラヘルツセンシングにおいては、これまでになかった2 THz帯高感度受信機を開発。また、国内関連機関とともにSMILES-2ワーキンググループを形成し、将来計画検討を進めている。図2 航空機SAR用に開発した偏波共用ATIアンテナ項目旧ATIアンテナ新ATIアンテナ方式導波管スロットアレイ偏波共用パッチ帯域300 MHz(9.5~9.8 GHz)600 MHz(9.2~9.8 GHz)偏波垂直偏波垂直・水平偏波航空機に取付けたアンテナ外観新レーザーヘッド衛星観測のための要求性能(a) 高出力パルスレーザーの出力に関する各国の達成状況。赤のドットがNICTの最新成果。右上に行くほどトータル出力が大きい。図3 衛星搭載ドップラーライダー用高出力パルスレーザーの開発(b) NICTで開発した高出力パルスレーザーのレーザーヘッド外観