ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

253観る●センシング基盤分野3.1 電磁波研究所て1 ~26GHzの外来電波の特性の計測・評価を行い、測定場として使用可能であることを明らかとした。さらに、次世代固体素子レーダーに対応可能な広帯域スプリアス測定用フロントエンドの開発に先行着手した(図2 )。2 .生体EMC技術の研究開発テラヘルツ帯まで人体の電波ばく露評価技術を開発するために必要な電気定数測定法に関して、ミリ波帯までの生体組織電気定数測定法の改善方法、低周波数帯電気定数測定システムにおける同軸プローブの誤差要因等を明らかにした。また、5Gシステムでの利用が有望視される準ミリ波帯における数値シミュレーションによるばく露評価手法について検証し、妥当性を明らかにした。さらに、将来の超高速無線通信等への利用が期待されるテラヘルツ帯について、テラヘルツパルス分光計測手法と、誘電体モデルを用いた相互作用のシミュレーション手法の基礎検討を実施し、テラヘルツ帯における生体組織(皮膚組織)のエネルギー吸収率の水分量依存性を世界で初めて定量的に明らかにした(図3 )。また、様々な電波利用システムに対し、より適切な安全性評価を可能とする、形状や内部構造を柔軟に変形可能なメッシュ構造数値人体モデル開発のアルゴリズムを開発した。最新・次世代電波利用システムの適合性評価技術として、LTE信号の特性を考慮した解析により適合性評価結果の不確かさ評価に必要な測定系条件を明らかにした。また、電気自動車用WPTシステムのための結合係数評価と接触電流評価手法の改良についての理論的検討を行い、その検討に基づいた測定法を構築、世界で初めて実車での接触電流測定データを取得し、IEC国際標準化会議に大きく貢献した(図4 )。さらに、幅広い周波数にわたり様々な電波利用システムの適合性評価に適用可能なSAR測定プローブの新しい較正方法を開発するとともに、SAR較正業務の詳細手順の明確化とその評価・検証を行って妥当性を明らかにした。3 .研究連携と国内外技術基準への寄与大学・研究機関等との共同研究(実績:大学10、国立研究機関5 、公益法人1 、民間企業1 )による幅広い研究ネットワークの構築、NICTが主催するオープンフォーラムNICT/EMC-netの活動などを通じて、電磁環境技術に関する国内の中核的研究機関として研究開発を推進した。NICT/EMC-netの研究会構成を改組し「将来課題研究会」を新設、研究会開催4 回(参加者合計207名)、シンポジウム開催1 回(参加者110名)を実施した。ITU、IEC、ICNIRP等の国際標準化会議や国内外技術基準策定のための審議会等において、下記の通り大きく貢献した(人数はいずれも延べ)。国際会議エキスパート・構成員29名、国際標準化会議出席(電話会議含)127名、国際寄与文書提出58編、NICT寄与を含む国際規格の成立7 編。国内標準化会議構成員65名(うち座長・副座長12名)、会議出席121名、文書提出25編、国内答申2編など(NICT寄与による妨害波振幅確率分布測定法、妨害波測定場の評価法の各国際規格の答申、左旋衛星放送受信設備からの信号漏洩基準値案策定を含む)。図2  次世代固体素子レーダー対応スプリアス測定用フロントエンド図4  ワイヤレス電力伝送装置に対する実車を用いた接触電流測定図3  テラヘルツパルス分光計測装置により得られた、吸収係数の表皮組織水分量依存性