ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

273観る●センシング基盤分野3.1 電磁波研究所地中埋蔵物の探査に用いられているが、アスファルト層等、コンクリート建造物の表面付近や木造建造物にはより高い周波数が必要となる。NICTでは委託研究「電磁波を用いた建造物非破壊センシング技術の研究開発(平成24年度?平成28年9 月)」により開発した20 GHzのマイクロ波イメージング装置を用いて実際の木造家屋及び代表的な壁モデル16種類を計測しデータを公開した(図2 )。また、ミリ波帯イメージャーの開発にも着手し、THz波帯については技術移転を促進した。さらに、アクティブ赤外線イメージング技術を鋼管内部の劣化調査に応用し、電力会社の協力を得て撤去された電力鉄塔用鋼管内部の減肉を外部から検出できることを実証した(図3 )。2 . Hologram Printing Technology(HOPTEC)技術図4 (a)に示したように前年度までは単色であったホログラムのカラー化を行った。RGBの3 原色が再生できていることからカラー化できていることがわかる。前年度までのホログラムプリンタは緑のレーザー光源のみであったが、赤と青のレーザー光源を加えてカラー化した。印刷したホログラムのサイズは10 cm×10 cmである。また、図4 (b)に示したように単色のホログラムの複製を行った。サイズは3 cm× 3 cmであり、コンタクトコピーと呼ばれる複製手法を用いた。さらに、ホログラム投影型プロジェクタと、HOEのスクリーンとを用いる新しいプロジェクタ方式を開発した。この技術はNature Communications誌に採録された。3 .国際標準化活動臨場感ある映像を提供できる技術として多視点映像技術が期待されている。各種学会だけでなく動画像の符号化フォーマットの国際標準化を議論しているMPEG会合も多視点映像を高く評価しており、国際標準化を進めてきている。NICTではこの国際標準化活動に参画しており、平成28年度は、多視点映像の圧縮符号化に重要である奥行き推定技術及び視点補間技術の改良提案を行った。また、前年度までに提案していた圧縮符号化方式を知らせるSEIメッセージがITU-T Rec.264及びISO/IEC14496-10AMD3(AVCの3D拡張)に採択された。4 .アウトリーチ活動リモートセンシング研究室と協力して開発したマルチレイヤー画像表示システムを用いた展示手法を多摩六都科学館の企画展「キトラ古墳が語るもの」に提案し、多くの来場者の理解に活用された。図2 木造建造物モデルの内部構造イメージング例壁モデル製作中に撮影した内部構造筋交いの可視化例図3 鋼管内部の減肉検出例外側からは見えない減肉箇所図4 (a)カラーホログラム例(b) ホログラムの複製例原版複製(a)(b)