ブックタイトル情報通信研究機構年報

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概要

情報通信研究機構年報

30■概要ネットワークシステム研究所では、世界最先端のICTにより新たな価値創造や社会システムの変革をもたらすために、「社会を繋つなぐ」能力として、通信量の爆発的増加や通信品質・利用環境の多様化等に対応するための基礎的・基盤的技術の研究開発を行っている。フォトニックネットワークシステム研究室では、現在の1,000倍以上の通信トラヒックに対応する「超大容量マルチコアネットワークシステム技術」と、急激なトラヒック変動や通信サービスの多様化へ柔軟に対応可能な「光統合ネットワーク技術」の研究開発を行う。さらに、伝送容量、伝送距離、収容ユーザ数及び電力効率性が世界最高水準の光アクセスネットワークを実現する基礎技術を確立する。ネットワーク基盤研究室では、革新的なネットワークの実現に不可欠なアーキテクチャ及び基礎技術の高度化を先導するため、ネットワーク制御の完全自動化を目指した「ネットワーク構築制御自動化技術」及びネットワーク上を流通する情報に着目した情報指向型のアーキテクチャ確立を目指した「新たな識別子に基づく情報流通基盤技術」の研究を行う。また、第5 世代モバイル通信システム( 5 G)より大量の通信トラヒックを収容可能な光アクセス基盤実現のため、光アクセスから光コアまでをシームレスにつなぐ「光アクセス・光コア融合ネットワーク技術」及びエンドユーザへの大容量通信を支える「アクセス系に係る光基盤技術」の研究開発を行う。■主な記事1 .特筆すべき研究成果(1)マルチコア光スイッチング技術の研究開発マルチコアオール光スイッチングの原理確認のため、空間光学技術を活用した空間多重用ファイバ一括光スイッチ(図1 )を提案した。マルチコアファイバは大容量伝送の実現が可能だが、中継装置ではコア数分のスイッチング素子が必要であった。本スイッチは、1 個のスイッチング素子で多種多様な空間多重用ファイバに対応可能である。平成28年度は7 コアファイバを利用し、世界最高コア数である7 コア一括光スイッチを実装した。(2)情報・コンテンツ指向型ネットワーク技術の研究情報・コンテンツ指向型のネットワーク技術(図2 )の研究として、コンテンツ名を用いた高品位ストリーミングの経路制御・トランスポート技術L4C2(Low-LossLow-Latency Streaming using In-Network Coding andCaching)の基本設計及びシミュレーション評価を行った。L4C2は代表的方式と比較して、制御トラヒックを80%削減し、ユーザの体感する品質(QoE:Quality ofExperience)を最大25%向上させた。本成果は、ネットワーク分野における世界最高峰のフラッグシップ国際会議IEEE Infocom 2017に採択された。(3)超高速・高効率光電気変換デバイスの開発光ファイバ無線のための光・無線融合ハードウェア技ネットワークシステム研究所研究所長  和田 尚也3.2図1 空間多重用ファイバ一括スイッチ図2 情報・コンテンツ指向ネットワーク技術のイメージIP通信のイメージ情報・コンテンツ指向ネットワーク技術のイメージコンテンツがある場所から取得サーバサーバにアクセス集中サーバコンテンツ